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特集!あの人の本棚
61.

小川図書   (神保町にある洋書中心の古書店)


洋書・洋雑誌・英学史の専門店 神保町・小川図書で海外と日本との接点を見る。 - シリーズ「本屋めぐり」

小川図書
本棚のプロフェッショナルである「本屋さん」に、本棚をつくっていただこうというインタビュー企画。第四回目は洋書と海外の古雑誌の専門店「小川図書」です。外国語で書かれた本ばかりでなく日本語の本も置かれている同店。選書から知る同店の魅力をお楽しみください。
 (今回のインタビューは、神保町に2015年4月にオープンしたばかり「HASSO CAFFÈ with PRONTO」で配布される「発想の窓」とのコラボ企画です。)
洋書・洋雑誌・英学史の専門店 神保町・小川図書で海外と日本との接点を見る。 - シリーズ「本屋めぐり」

洋書・洋雑誌の両方を扱う店は他にない

―― 神保町には多くの古書店がありますが、小川図書さんの魅力、他店との違いはどこなのですか?

福岡店員(以下、福岡と表記) 洋書と洋雑誌の両方を扱っているところです。両方扱うお店は他にはなかなか無いですね。特に英語で書かれた本が多いですが、フランスなど、他の国のものもあります。洋雑誌については、ファッション誌はもちろん、経済紙もありますし『PLAYBOY』や『Esquire』などの男性誌も扱います。様々ですね。

―― 年代では、いつごろの雑誌が多いのでしょうか。

福岡 1970年代以前のものを集めています。一番古いものといいますと、どういったものを「雑誌」と呼ぶかによって違いますが、例えば、19世紀に発行されたフランスのファッション誌がありますね。

―― 19世紀の雑誌は、今のかたちと違ったのでしょうか。

福岡 現在のわたしたちがイメージするような、表紙があって背表紙がある雑誌ではなく、薄い冊子の状態で出版してのちに合本にしたものがあります。それを雑誌と考えれば、その当時のものは取り扱っています。わたしたちがイメージする雑誌となると、20世紀のはじめ。1930年代のものからあります。

―― そんな古い雑誌でも2千円や3千円で購入できるんですね。

福岡 もちろんものによりますが、雑誌ならこれぐらいのお値段のものもたくさんあります。

ひとつの柱は、英米文学

―― 雑誌だけでなく、ハードカバーの本も置いてありますね。

福岡 みなさんが思い浮かべるような古い洋書ですね。日本について書かれた外国語の本や言語学の本、英米文学の本などがあります。特に、英米文学の洋書がウチのひとつの柱ですね。

―― 開店当初から、品揃えは変わってきているのでしょうか。

福岡 最初は何でも扱うような古書店でした。そこからだんだん外国語の本を増やしまして、最近は洋書の初版本など一冊で価値のある本を集めています。

―― 例えば、洋書の初版本でこれは良いというものはありますか?

福岡 初版本で良いものは外のガラスケースの中に入れてあります。例えば、グレアム・グリーン『第三の男』の初版本です。名作映画『第三の男』の原作ですね。ほかにも1934年に発行されたミッキーマウスの飛び出す絵本『Mickey Hop-là!』もあります。 Mickey Hop-là!

正しくは1934年。出版日は不明。

―― 飛び出す絵本は1930年代からあったんですね。

もうひとつの柱は、日本における英語の受容

福岡 あとは小泉八雲*の初版本もあります。小泉八雲関係の本は、特に集めているんですよ。

*出生名:パトリック・ラフカディオ・ハーン

―― これは『怪談』の初版本ですか! 小泉八雲は、日本文化を海外に紹介したことで有名な文筆家ですよね。

福岡 実は、小川図書には一部だけ日本語の本も置いてあるのですが、それは英米文学という柱以外にもうひとつ、「日本における英語の受容に関する本」という柱があるからなんです。そのテーマから、日本にゆかりのある外国人として小泉八雲に注目しているんです。

KWAIDAN

正しくは1904年。初版後刷。出版日は不明。

―― 「海外と日本との接点になるような本」ということでしょうか? 

福岡 そうです。だから、日本語で海外を紹介した本も置きますし、当然、外国語で書かれた日本についての本も置いているんです。

―― ガラスケースの中に額縁に飾られた賞状のようなものがありますが、これは何でしょうか?

福岡 国際古書籍商連盟(以下、ILAB)に加盟していることを証明するものです。

―― 日本でいう古書組合のようなものですか?

福岡 その通りです。加盟しているお店が信頼できることをILABが保証してくれる、というものです。加盟していなくても販売はできるのですが。

―― お客さんは、どんな方が多いのでしょうか。

福岡 いろいろな方がいますね。洋書の方は大学の先生とか、あとはコレクターの方もいらっしゃいます。雑誌の方は、こちらも様々ですね。最近は、海外からのお客様が増えています。というのも、AbeBooks.comという世界中の古書店が参加している、日本でいう「日本の古本屋」のようなサイトがあるのですが、ここの方が神保町に来られた際にウチを取材してくださったからです。このAbeBooks.comに載せていただいてからは、たくさん海外の方も来られるようになりました。

―― そうすると、英語のやりとりが大変では?

福岡 まだまだ勉強中です(笑)。 でも、簡単なやりとりばかりなので、なんとかやれています。

表紙の写真が印象的な洋雑誌

―― お店についてお伺いしてきましたが、そろそろ「発想の窓」に載せるためお選びいただいた3冊の選書をお伺いしたいと思います。これはどのような基準で選んだのですか?

福岡 まず、カフェ(HASSO CAFFÈ with PRONTO)に置かれるということで、製本がしっかりしているものを選びました。ほかにもカフェで手に取られた方が、欲しくなったときに購入しやすいようにお求めやすい金額かどうかも考えました。あとは、カフェのお客さんに見ていただけるように、目を引くものかどうかですね。

―― 1冊目の紹介は雑誌『LIFE』ですね。表紙が素敵です。

LIFE (1939年5月22日号)

福岡 『LIFE』の1939年5月22日号です。表紙の写真は、1939年開催のニューヨーク万博にいた案内係を写したものですね。1930年代独特の力強い写真を表紙に使っていて、これは目を引くだろうと思い、選びました。写真が中心の「グラフ雑誌」と言われていただけあります。『LIFE』は1936年に週刊誌として創刊。1972年まで発行されていました。その後、月刊誌、無料週刊誌と発行形式は移り変わりますが、現在は休刊しています。

―― 毎号、表紙にインパクトがありましたね。

福岡 『LIFE』の特徴は、なんといっても大きな判型の誌面と写真のパワーを存分に引き出す大胆なレイアウト。イラストを多用した広告も楽しいですね。この時代の号は紙質も良く、戦前に発行されたとは思えないほどキレイな状態を保っています。テレビが現在ほどメジャーでなかった時代に、雑誌がニュースを画像で伝える手段としていかに大きな役割を担っていたのかが伺い知れる雑誌ですね。

The Saturday Evening Post (1957年11月23日号)

―― 2冊めはかわいい表紙ですね。

福岡 イラストがカラフルでかわいいですよね。いかにもアメリカンなイラストが素敵です。 『The Saturday Evening Post』は1897年創刊の週刊誌で、1971年まで隔週刊など形を変えつつ刊行されていました。選んだ号のように1960年代初めごろまではイラストの表紙で、毎号ストーリーがある1コマまんがを見ているよう。見ているだけでも面白いものです。

―― 情報誌ですか?

福岡 主に時事ニュースや小説などの読み物を掲載していた雑誌で、ページの大半を占める日用品や食品などのカラフルな広告が目を引きます。この号(1957年11月23日号)の裏表紙は、東京を舞台にしたコカコーラの広告なんですよ。

―― アメリカから見た当時の日本も窺い知ることができる、ということですね。

福岡 はい。この雑誌は、ノーマン・ロックウェルのイラストの表紙が有名なんですけど、彼のイラストのものですと一冊で1万円を越えるんです。他の方のイラストですと千円や2千円なのですが。

―― そんなに!? 表紙のイラストを描かれた方によって値段が違うんですね。

福岡 日本ではノーマン・ロックウェルが人気だということですね。

VOGUE (1970年1月1日号)

―― 3冊目についての紹介をお願いします。

福岡 『VOGUE』1970年1月1日号です。キュートなジェーン・バーキンが表紙の号ですね。

―― 本当にかわいらしいですね。『VOGUE』は現在も発行されていますね。

福岡 やはり、手にとっていただきやすいもので、現在も発行されているVOGUEなら気軽だろうと思い、選びました。ジェーン・バーキンも有名ですしね。『VOGUE』は1892年に創刊されたファッション誌。この号では、ロングコートやフォークロア調のドレスなど70年代ファッションが堪能できます。リチャード・ブローティガンの短編 『競売』(『芝生の復讐』収録) も掲載されているんです。

―― お店のこと、選書のことをお聞きしてきました。最後に、一言いただいてもよいでしょうか?

福岡 洋書というだけで敷居が高いと感じられるお客様が多いかと思いますが、そんなことはないですので、気軽に手にとっていただければと思います。例えば、観て楽しい本や雑誌もたくさんありますし、英語の勉強にも使えます。好きな作家を原書で読むというのも楽しい。海外の方で日本のことを知りたい方。日本で海外のことをもっと知りたい方。それぞれにとって良い本を揃えていますので、ぜひ小川図書まで来てください。

―― どうもありがとうございました。


神保町の古書店に海外の方が来られるということに驚きました。もちろん日本語の本もあり、インタビューでは触れませんでしたが辞書も揃っています。海外と日本との接点になるような店。それが小川図書でした。ネットでは得られない、海外のもっとディープな情報を知りたい方は、訪れてみると良いのでは。

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プロフィール

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神保町にある洋書中心の古書店

東京都千代田区神田神保町の古書店です。 専門は洋書(英米文学・言語学・日本学・中国学)と英学史、洋雑誌(1970年代より昔のもの)です。

ライターについて

Writer 7
和氣正幸

リアル本屋開業を目指す本屋好き。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。本をキーワードに様々な分野で活躍中。

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東京都千代田区神田神保町の古書店です。 専門は洋書(英米文学・言語学・日本学・中国学)と英学史、洋雑誌(1970年代より昔のもの)です。

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