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特集!あの人の本棚
78.

A.F.R.O   (ミュージシャン)


「見る前に跳べ」精神の先にあるもの(A.F.R.Oインタビュー)

A.F.R.O
さまざまなプロフェッショナルの考え方・つくられ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は北海道・札幌発のミクスチャーポップバンド「A.F.R.O」のSHUNさん、UGさん、YUSUKEさんに登場して頂きました。
「見る前に跳べ」精神の先にあるもの(A.F.R.Oインタビュー)

活動歴10年以上のキャリアを持つA.F.R.O。2015年8月に発表したアルバム『7th』で原点回帰を試みた彼らだが、その弾けるような「バンド感」「ポップ感」の背景を探るべく、今回は読書というフィルターを通して話を訊いてみることに。インタビューに応じてくれたのは、ベースのSHUN、ヴォーカルのUG、ギターのYUSUKEの3人だ。

―― まずは皆さんの読書体験から聞いていきたいのですが。

SHUN 小さい頃から『ONE PIECE』『ドラゴンボール』とか、これぞジャンプ!っていうわかりやすいマンガが好きでした。バンドを結成して3~4年経った頃、先輩から「マンガだけじゃなくて、本を読め」と言われて(笑)、「最初は堅苦しいやつじゃなくていいから」ということで、著名人のエッセイを読み始めたんです。「誰もが知ってる人の体験談だけど、テレビには出てこない部分が知れるから面白いよ」って。とんねるずの石橋貴明さん、ビートたけしさん、ウルフルズのジョン・B・チョッパーさんの本を読んで、そこから本が好きになりましたね。もともと人の話を聞くのが好きなので、そうやってエッセイやインタビューを読むことで、自分の考えを整理していってるのかなと思います。

UG 「マンガばかり読んでないで勉強しなさい」と言われる家庭ではなかったので(笑)、ひたすらマンガを読んでました。で、マンガを読んでいて、自然と漢字も身についたんです。特に勉強せず、漢字検定で準二級とか取れたので。たぶん、それはマンガで培ってきたものなんじゃないかな。大学生くらいに一度小説にハマりかけたんですけど、活字だけだと途中で眠くなっちゃうんですよね。その結果、よりマンガを読むようになりました(笑)。

YUSUKE 自分では意識してなかったんですけど、学生の頃から通知表を見るたびに国語は「5」なのに数学は「2」とかが多くて、「俺って数学はできないんだ……」と思ってました(笑)。よくよく思い返してみると、国語の授業とかで本を読む時は、頭の中に絵が自然と浮かんだりしてたんですよ。もともとマンガは好きだったんですけど、映画はそれ以上に好きで、たくさん観てきたんです。その流れで映画の原作本を読むようになって、むしろ原作の方が面白いって感じることが結構あって。「本にしか伝えられないことって、たくさんあるんだな」と。例えば、『天使と悪魔』のダン・ブラウンの本とかがそうなんですけど、そこから今度は東野圭吾さんの本を読みあさったり。でも、A.F.R.Oでメジャーデビューしてからですね、本格的に読むようになったのは。

―― 3人とも最初のきっかけはマンガなんですね。

SHUN 僕ら全員同い年なんですけど、ジャンプ世代ですね。『スラムダンク』『ろくでなしブルース』『ジョジョの奇妙な冒険』とか。テスト勉強の時、息抜きで単行本を読み出したら止まらなくなっちゃった……みたいな(笑)。

YUSUKE あるあるネタだよね(笑)。

A.F.R.Oのポジティブな音楽観に通じる本 Vol.1

リベロ革命!!

リベロ革命!! 田中モトユキ

ホイッスル!

ホイッスル!  樋口大輔

UG スポ根もののマンガが好きなんですけど、『リベロ革命!!』『ホイッスル』ともに主人公にはハンデがあるんです。『リベロ革命!!』の主人公は背がめちゃくちゃ小さい。でも、身体能力はすごく高くて、バレーボール日本一の高校の監督にスカウトされるんです。「リベロのポジションを用意するから」って。ただ、主人公はスパイカーにこだわって勝負したいってことで、その誘いを断って自分の選んだ道を進む。『ホイッスル』の主人公も背が低くて、さらに身体能力もそんなに高くない。だけど、努力で自分に足りないものを補っていって、背が低いのを逆に長所にして強敵に立ち向かっていく。『黒子のバスケ』もそうですけど、ちょっと弱そうなキャラクターが主人公のスポ根マンガが好きですね。

BECK

BECK ハロルド作石

SHUN 確か高校の時にYUSUKEに教えてもらったんですけど、音楽マンガの王道であり、自分のバンド生活のすべてとリンクするところがあって、バンドマンのあるあるが詰まった作品です。僕らはA.F.R.Oってバンドを素人同然でスタートさせたんですけど、このマンガに「見る前に跳べ」っていうセリフがあって、それに衝撃を受けて。当時の自分たちはオリジナル曲が3曲しかないのに自主企画でライブをやったり、とにかく行動しなきゃダメだ!って気持ちだったんですけど、それはこの言葉にも重なりますよね。あれこれ考えてないで、とりあえずステージに上がってみろ……って。自分たちにとっては青春の1ページ的なマンガ。そういう意味では、これからもずっと読んでいくと思います。自分が音楽で迷った時に『BECK』を読めば、当時のことをいろいろ思い出すし、ここ1カ月以内でも読み返したところなので(笑)。

宇宙兄弟

宇宙兄弟 小山宙哉

YUSUKE 『宇宙兄弟』の5巻に好きな言葉が出てくるんです。「迷った時は正しい方じゃなく、楽しい方を選びなさい」っていうセリフなんですけど、自分が曲を作る時に「このパートだったら、次はこういう展開だろう」って、わりとマジメに考えちゃうところがあって。その時に「迷った時は~」の言葉を思い出したんです。アルバム『7th』に収録されてる「感情的世界」って曲の間奏のギターをどうしようか悩んでる時で、その言葉を思い出して、実際にいつもとは違う楽しい方を選んでみたんですよ。爆音で鳴らして、スケールもちょっとハミ出てるんですけど、思いきり弾いてみて。そういう感じで、自分の創作とシンクロするところがたくさんあるマンガです。自分の指標となるような、力のある言葉が多いですね。


―― 小さい頃に限らず、今もマンガから前向きな影響を受けてるのって素敵ですよね。

SHUN バンド始めて11年目なんですけど、この10年間で一周した感じはあって。いろいろ経験してきて、これまでの自分に何が足りなかったとか、これから何をやっていくべきかっていうのを考えた時に、自分の場合は本の存在が大きいなって。本を読むことで、答えへの近道になる気がする。今までは音楽とひたすら向かい合って、青春時代もそうやって過ごしてきた。10年間、「見る前に跳べ」精神でやってきたから、足りないものも結構あるんです(笑)。そこを自覚した上で、次のステップを踏み出すための要素の一つとして、やっぱり本は必要かなと。

YUSUKE 僕が好きなタモリさんのように、カッコいい大人がどうしてカッコいいのかというと、若い時からの経験の積み重ねが多いほど素敵になってくるからだと思うんです。自分の誕生日の時に『大人エレベーター』っていう妻夫木聡さんの対談集をスタッフの方からいただいたんですけど、その中に「20代、30代は経験することがとにかく多くて、消化しきれない。でも、そのことが生きてくる時が必ずくる」みたいなことが書いてあったんです。「矢を引けば引いた分だけ遠くに飛ばせる」と。だから、30代の僕らもいずれ遠くに矢を飛ばせるように頑張りたいなと。そのための手段の一つとして、もっとたくさん本を読んでいきたいです。

―― SHUNさんはツイッターで「5年先の目標を紙に書き出した」って呟いてましたね。

SHUN そうですね。自分の目標、バンドの目標、時代感……って大きく3つに分けてイメージしてみて。5年後はオリンピックがあるじゃないですか。そういう時代の流れみたいなのも並行して考えて、その中で自分はどうあるべきか、バンドとしてどうしていくべきか、それらを縦軸・横軸にして書いてみたんです。そうすると整理できるんですよ。若い頃はカフェに行って1人でそういうことをやってたんですけど、いつの間にかやらなくなっていたので。そうやって書いてみることも大事だなと。いろいろ読んで、そして書いてみる。この循環が今の自分にとって、いい感じですね。

A.F.R.Oのポジティブな音楽観に通じる本 Vol.2

声に出して踏みたい韻

声に出して踏みたい韻 細川貴英

UG 『7th』からラップのパートが増えたんです。それもあって、もっとラップのスキルを上達させたいと思って手にした本。いろんな歌詞を例に挙げて、丸裸にしていて。ちゃんと理論立てて説明してくれる。どうしてこの歌詞が韻として成立しているのか、その理由が述べられてるんですけど、自分の知らない韻の踏み方とかあったりして、すごく勉強になりましたね。作者の細川さんは「自分はラッパーじゃなくて、韻を広める人だ」っておっしゃってて、確かにその通りだなと。この本を読んで、まだまだ自分には伸びしろがあるってことがわかりました。

分福茶釜

細野晴臣 分福茶釜

SHUN A.F.R.Oでいろんなジャンルの音楽をやってきて、実はすごく悩んでた時期もあるんです。もともとはポジティブで誰に何を言われようと気にしないんですけど、「これでいいのか?」って悩んだりしたことがあって。そんな時に出会った本です。本編が始まる前の冒頭のページで、「ぼくはいつもぶれてる」と書いてあって。細野さんなりの「中庸」って言葉の解釈なんですけど、この一節を見て「ああ、これでいいんだ」って思えたんです。いろんなジャンルを行き来しているうちに、俺ってなんなんだろうって気にしてたけど、どの道を行こうか考えるのではなく、人生かけて「音楽」に取り組むことで「自分」っていう音楽が見えてくるんじゃないか。そんなことを教えられました。鈴木惣一朗さんが聞き手で、細野さんが人生で経験したことをボソボソとしゃべってる雰囲気が伝わってくる。でも、その中には真理がある。今も迷ったら読みますね。

星野源 雑談集

星野源 雑談集

SHUN 星野さんがいろんな人と雑談してるだけの内容なんですけど、スーファミとか下ネタとかお笑いとかの話題の流れで、突然ズバッと切りこんでくるような真理が出てくる。友達と一緒にお酒を飲んでる時に似てるというか、最初はくだらない話で盛り上がっているんだけど、だんだん熱い話になっていく……みたいな。そういう時に「あ、こいつってこんなヤツなんだ」って見えてくるものがあるじゃないですか。だから、普通のインタビューで身構えて「どうですか?」と聞かれるよりも、その人の本質が見えてくるような気がするんです。人と話したり、こういうインタビューやエッセイの本を読んだりすることが、自分に考えるきっかけを与えてくれる。そういう点でも、こういったタイプの本はもっとたくさん読んでいきたいです。

WORLD JOURNEY

WORLD JOURNEY 高橋歩

YUSUKE 世界一周のガイド本なんですけど、実際にその様子だけじゃなくて、世界一周をするためには何をしたらいいかとか、どういうプランがいいかとか書いてある。作者の高橋さんは、20歳の頃にトム・クルーズの『カクテル』っていう映画に影響を受けて、「バーテンダーってカッコいい! 自分もお店出したい!」って衝動で世界一周をした人で、最初に行く国だけ決めて、あとはノープランっていう。さっきの「BECK」の話に出てきた「見る前に跳べ」精神ですよね、これも。僕はそういう人に惹かれる傾向にあるんだと思います。本に出てくる言葉も面白くて、いろんな場所の景色も写真で載っているし、この人の本はシリーズで何冊も集めました。

自分は小さい頃からいろんな場所に行ってみたいという衝動がすごく強くて。実際、小学5年生の冬休みの間、友達と一緒にブラジルにホームステイで行ったことがあるんです。その時、世の中まだまだ知らないことだらけだなって感じました。それからは、いわゆる観光じゃなくて、海外の現地の文化に生で触れてみたいっていう思いをずっと抱きながら暮らしていて、大人になってからこの本に出会ったんです。だから、本の中に「世界一周ができる航空券がある」って書いてあったのを初めて見た時に、その一文だけでテンションがめちゃくちゃ上がってしまって(笑)。

タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?

タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か? 戸部田誠

YUSUKE タモリさんって芸能界に入ったのが30歳なんですよ。昔、それを知った時は「へえ~」と思っただけだったんですけど、自分がこうして30歳になってみて、「この年齢で芸能界に入ったのはすごいな」って実感しますね。この本の中に、タモリさんが35歳で『笑っていいとも!』を始めるにあたって、それまでアンダーグラウンド寄りのフィールドで活躍していたタモリさんが、昼の帯でどうやって持ち味を出したのか?みたいな考察があって。それはハプニングを楽しむというか、別に毎日面白くしようとは思ってないと。テレフォンショッキングで話が弾まなくてもいい、無理して話さず、自然に出てくる言葉を待つんだと。その様子を観た人は楽しくないかもしれないけど、そういう回もあるから楽しい回もあるというか……。その考え方にはすごく惹かれました。

例えば、ライブのMCにしても、毎回ステージで話すことが違う方が自然なわけですよ。でも、昔のA.F.R.Oはそこをカッチリ決めながらやっていて。ただ、事前に何も決めずに流れに身を任せた方が、メンバーが他のメンバーを突然イジったりとか、ハプニング的な面白さが出てくる。それってタモリさんの考えに近いですよね。毎回面白くなくてもいい。回によって浮き沈みがあるからこそ、人間性が出てくるんだっていう。タモリさんはホント憧れの人です。

Photographs by Yoko Yamashita

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プロフィール

A.F.R.O
A.F.R.O
ミュージシャン

2004年、北海道札幌市にてNORIYA(Vo)、SATORU(Vo)、UG(Vo)、YUSUKE(Gt)、SHUN(Ba)、MASAYA(Dr)、AMO(DJ)の7人で結成されたミクスチャーポップバンド。バンド名は「A FUNKY RHYTHMIC ORGANIZER」の略。誰もが歌って踊れて笑顔になれるエンターテイメントなライブ、多彩な音楽スタイルとともに北海道で培われた真摯かつ等身大の言葉が評価されている。2008年、「LIFE」でインディーズデビュー。2012年7月「北風サマー」でメジャーデビュー。その後、さまざな音楽フェスに出演し、A.F.R.O発の北風旋風を巻き起こした。2014年に結成10周年を迎え、2015年には7人7様の音楽ルーツを持った3MC+1DJ+BANDの「原点」と向き合ったアルバム『7th』を発表。2016年1月~2月には対バンツアー「A.F.R.O 七番勝負」を開催、3月にはワンマンライブ「THE ROOTS」を行うことが決定している。詳細はホームページでチェック! http://a-f-r-o.jp/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

A.F.R.O
ミュージシャン

2004年、北海道札幌市にてNORIYA(Vo)、SATORU(Vo)、UG(Vo)、YUSUKE(Gt)、SHUN(Ba)、MASAYA(Dr)、AMO(DJ)の7人で結成されたミクスチャーポップバンド。バンド名は「A FUNKY RHYTHMIC ORGANIZER」の略。誰もが歌って踊れて笑顔になれるエンターテイメントなライブ、多彩な音楽スタイルとともに北海道で培われた真摯かつ等身大の言葉が評価されている。2008年、「LIFE」でインディーズデビュー。2012年7月「北風サマー」でメジャーデビュー。その後、さまざな音楽フェスに出演し、A.F.R.O発の北風旋風を巻き起こした。2014年に結成10周年を迎え、2015年には7人7様の音楽ルーツを持った3MC+1DJ+BANDの「原点」と向き合ったアルバム『7th』を発表。2016年1月~2月には対バンツアー「A.F.R.O 七番勝負」を開催、3月にはワンマンライブ「THE ROOTS」を行うことが決定している。詳細はホームページでチェック! http://a-f-r-o.jp/

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A.F.R.Oのポジティブな音楽観に通じる本

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