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特集!あの人の本棚
82.

KIANO JONES   (ラッパー)


本はイメージする力を鍛えてくれる(KIANO JONESインタビュー)

KIANO JONES
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は現在16歳のラッパー、KIANO JONESさんに登場して頂きました。
本はイメージする力を鍛えてくれる(KIANO JONESインタビュー)

神戸で育ったKIANO JONESは、中学生の頃から日本のヒップホップ・シーンで注目を集めていたアーティストだ。実際に対面してみると、表情などに少年っぽさを感じたりするのだが、その作品は規格外かつディープ。昨年12月に発表した待望のデビュー・アルバム『Unknown Future』は、架空の映画のサントラというコンセプトで、その全体像はいわゆる「日常」とはかけ離れたものである。とはいえ、ヘンに気負いすぎているわけでもないので、すっと自然に「異世界」に入っていける。そんな末恐ろしい才能を持ったKIANO JONESのインタビューをお届けします。

―― アルバム『Unknown Future』には、まるでSF世界のような不思議なサウンドスケープが描かれていると思うのですが、そんなKIANO JONESのイマジネーションに本が与える影響っていうのは、どれくらいあるんでしょうか?

KIANO JONES(以下、KIANO) 本って音が鳴るわけじゃないですし、自分の頭の中には言葉しか入ってこない。そういう意味でもイメージする力が鍛えられやすいのかなとは思います。小説を読み始めたのは、ラップを始めてからなんですよ。その中でまず挙げるとするなら、『ザ・シークレット』って本はすごくハマってましたね。この本はイメージの捉え方について書かれてるんですけど、アプローチの仕方次第でイメージが現実になる……みたいな内容で。読む前から、自分的にはそれがどういうことなのか薄々気づいてたんですけど、読み終わってから具体的にわかりました。極端に言うと「言霊」ってことなんですかね。頭の中で考えて、自分の心の中で純粋に思ったら叶う。この本を読んだのは15歳くらいの時だったんですけど、ミュージシャンで読んでる人多いらしいです。

―― KIANOさんは今高校生だから、そう考えるとホント最近なんですね、本を積極的に読むようになったのは。

KIANO はい。ラップをやるようになってからインドア寄りになって、本を読むことが増えましたね。『ザ・シークレット』以外であれば、『まだなにかある』っていう作品も面白かった。イギリスの小説で、死んだはずの男の人が自分の生まれ育った場所で目が覚めて……みたいなストーリーです。イギリスの小説だけじゃなく映画も好きで、その中で現実なのかファンタジーなのかわからないようなものに惹かれます。 マンガだと『刃牙道』が好きですね。『グラップラー刃牙』シリーズの一番新しいやつなんですけど、絵がすごく独特で。ノリ的にはお笑いで言うとトレンディエンジェルみたいな感じで、とにかく勢いで勝負する作品です。小学校の時は『北斗の拳』『ろくでなしBLUES』にめっちゃハマっていて。

―― え? リアルタイムじゃないですよね?(笑)

KIANO はい(笑)。『北斗の拳』は、その迫力がとにかく凄いなと。それから日本の小説だと、『ニルヤの島』が面白かったです。シンプルに説明すると、死んだ後に人はどうなるのかってことを描いていて、天国と地獄は本当にあるのかどうか……みたいな。女性の作家さんが書いたんじゃないかっていうくらい繊細なタッチの話なんですけど、作者の柴田勝家さんってガタイがよくてレスラーなんじゃないかっていう風体で。そのギャップも結構面白い(笑)。最初は『アウトデラックス』で柴田さんのことを知って、それがきっかけで買ったんです。

―― 今回のアルバムとリンクしてそうな本とかは何かあります?

KIANO 『まだなにかある』の孤独な感じは、今回のアルバムで言うと「Still Waiting」に近いところがあるかもしれないです。歌詞の内容というよりは、やっぱり歌い方なんですよね。同じ言葉でも、歌い方でイメージを変化させるというか。

―― 本を読んでいる時は無音?

KIANO いや、声が入っていないインストの音楽をかけながら、読むこともあります。聴き流せる音楽。

―― KIANOさんの同世代の人だとネットでマンガとかチェックする人が多いと思うんですけど、やっぱり紙の本で読みたいですか?

KIANO 間違いなくそう思います。スマホはスマホで、本は本。勉強する時もそうなんですけど、紙じゃないと頭に入ってこないです。

―― 本は自分のインプットに欠かせない?

KIANO そうですね。ラップの技術的なことは勝手に進化していくので、それ以外のことはインプットがないと……とは思います。そういう意味で、本は大事です。アルバムを聴いてもらったらわかるんですけど、自分はやっぱり暗い内容の本が好きなんですよね。ただ、作者本人は明るい感じで「暗いのを書くのが好き」っていうタイプがいい。自分も暗いリリックを書きながら、笑顔でいる人なので(笑)。

―― リリックの部分で共感できるようなアーティストっていうと誰かいますか?

KIANO イギリスのロード(Lorde)とか。彼女も小説が好きみたいで、初めてその歌詞を見た時に世界観が凄いなって。

―― サウンドは無国籍でディープなのに、KIANOさんの日本語のリリックはすごくいい意味でナード(オタク)っぽいところがあって、その対比も面白いと思いました。オシャレになりすぎないというか。

KIANO ダサいが、カッコいいというか。日常生活だって、ダサいことの方が多いじゃないですか。その中で、いちいちカッコつけていてもダサいし。カッコいいサウンドに合わせて、カッコつけたことを歌っても、あんまり意味がない。でも、カッコいいビートに合わせて、すごいヘンテコなことを歌うだけで、一気にカッコよくなる。で、日本語でラップをやるなら英語のフロウでやっても面白さは出ないので、それだったら日本語の良さを出していきたいなと。

―― なるほど。

KIANO アルバムに「湾岸MIDNIGHT」って曲があるんですけど、この曲はリリックを棒読みすると「は?」って感じなんですよ(笑)。でも、そのダサさを歌い方でどうカッコよくしていくのかってことで。リリックが80年代っぽいってよく言われるんですけど、俺的には今こういう感じが面白いんじゃないかって作っただけで、『湾岸MIDNIGHT』っていう作品は知らなくて、ゲームしか知らなかったんですよ。作品のことを知らずに、自分のイメージだけで「湾岸MIDNIGHT」をやってみたっていうのも面白かったです。

―― KIANOさんの音楽の根底にある「孤独感」「寂しさ」みたいなキーワードって、どこから出てくるものなんでしょうかね?

KIANO うーん、どうなんだろう。中学校の時は友達もたくさんいて、楽しく過ごしてたんですけど、どこか仮面を被って話してるような感覚もあったりして。みんなと楽しくハッピーにやるけど、本音じゃないみたいな。

―― 昨年からアメリカで暮らすようになって、今年も引き続きアメリカでの生活を送るんですよね。

KIANO はい。学校行きながらスタジオにも通うので、ほんと楽しみです。

Photographs by Yoko Yamashita

KIANO JONES『Unknown Future』のバックグラウンドにある本

ザ・シークレット

ザ・シークレット ロンダ・バーン

まだなにかある

まだなにかある パトリック・ネス

刃牙道

刃牙道 板垣恵介

ニルヤの島

ニルヤの島 柴田勝家
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プロフィール

KIANO JONES
KIANO JONES
ラッパー

米NY・ブルックリン生まれ、神戸出身のラッパー。2013年末に発表されたPV「HEAT Prod. by KID FRESINO(Fla$hBackS)」で大人顔負けのスキルを披露(当時中学生)、その後、B.D.「BALANCE」、DJ BEERT & Jazadocument「The Documentary」、Y'S「LOVE HATE POWER」、SEEDA AND DJ ISSO「CONCRETE GREEN 13」等にゲスト参加。また、韓国のアーティストの作品MGFC「ni**as Can't F**k With Me feat. KIANO JONES」「Underwater feat. Jay Allday, KIANO JONES, Reddy, Okasian」等にも参加。KIANO JONES名義の音源が世に出る前から、多方面で注目を集める。昨年12月、待望のファースト・アルバム『Unknown Future』をリリースした。http://kianojones.com/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

KIANO JONES
ラッパー

米NY・ブルックリン生まれ、神戸出身のラッパー。2013年末に発表されたPV「HEAT Prod. by KID FRESINO(Fla$hBackS)」で大人顔負けのスキルを披露(当時中学生)、その後、B.D.「BALANCE」、DJ BEERT & Jazadocument「The Documentary」、Y'S「LOVE HATE POWER」、SEEDA AND DJ ISSO「CONCRETE GREEN 13」等にゲスト参加。また、韓国のアーティストの作品MGFC「ni**as Can't F**k With Me feat. KIANO JONES」「Underwater feat. Jay Allday, KIANO JONES, Reddy, Okasian」等にも参加。KIANO JONES名義の音源が世に出る前から、多方面で注目を集める。昨年12月、待望のファースト・アルバム『Unknown Future』をリリースした。http://kianojones.com/

KIANO JONES さんの本棚

『Unknown Future』のバックグラウンドにある本

『Unknown Future』のバックグラウンドにある本

KIANO JONES
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