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特集!あの人の本棚
86.

タカオユキ   (視聴覚ユニット「みみめめMIMI」Vo)


優しきアーティストの読書体験(みみめめMIMI・タカオユキ インタビュー)

タカオユキ
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は配信限定SG「チャチャチャ」「チョコレート革命」を連続リリースしたばかりの視聴覚ユニット、みみめめMIMIのソングライター&ヴォーカルを務めるタカオユキさんに登場して頂きました。
優しきアーティストの読書体験(みみめめMIMI・タカオユキ インタビュー)

シンガー・ソングライターのタカオユキとイラストレーターのちゃもーいによる、目と耳から刺激する視聴覚ユニット 、みみめめMIMI。アニメの世界から飛び出してきたかのようなカラフルな世界観とポップなサウンドが彼女たちの持ち味だが、今回インタビューに応じてくれたタカオが「絵本は昔から好きなんですけど、ここ1年半くらいは小説をずっと読んでます」と語るように、その歌詞には少しずつ変化が出てきている様子。今回はみみめめMIMIの歌詞を通して、タカオユキがレコメンドする本を紹介してもらいました。

タカオユキがセレクトした「チャチャチャ」「チョコレート革命」とリンクする本

にじいろの さかな

にじいろの さかな(マーカス・フィスター作 谷川俊太郎 訳)

タカオユキ(以下、タカオ) 4歳の時にピアノを始めたんですけど、ピアノの部屋にこの本が置いてありました。今もすごく大切な一冊で、上京する時も一緒に持ってきたくらい。読む度にいろんな捉え方ができるんですけど、虹色の魚が七色のうろこをたくさん身にまとっていて、その自慢のうろこを大事にしているんです。それを見て、いろんな魚が「僕にも(うろこを)一枚ちょうだい」って言ってくるんですけど、自慢の宝物だから絶対にあげないんですよ。そんな傲慢な態度だからなのか、だんだん孤独になっていって……。

最終的には幸せを感じることができるんですけど、小さい時は「うろこが綺麗だな」という感想程度で。すべてのページにキラキラと光る紙を使ったうろこが出てくるので、それらに惹かれてたというか。でも、大人になって読むにつれて、この本は優しさや思いやりを伝えたかったんじゃないかなと思うようになって。年齢を重ねれば重ねるほど、その真意が伝わってくるというか。日々いろんなことに追われたりする中で、ふとした時にこの本を読むと、自分の気持ちの原点を感じられます。

この本が伝えたいことって、幸せは自分一人じゃ絶対に感じられないもの。誰かと共有して初めて幸せを感じることができるってことなんですけど、自分の作曲面と照らし合わせると「私は誰かに聴いてもらえる立場にいるんだ」と自覚するようになって、曲作りのスタンスがガラッと変わったんです。デビューするまでは自分自身のために曲を書いてたんですけど、デビューして1~2年経った今はお客さんの顔を思い浮かべて曲を作るようになりました。

昔から親に優しい子になりなさいと育てられてきたんですよ。それで最近すごく思うのは、自分で作った曲に対して「人に優しい曲であってね」ってことで(笑)。私の「チャチャチャ」という曲も、聴いた皆さんが優しく楽しい気持ちになれるように、子供心や遊び心をオモチャ箱のように詰め込んだんです。そういう精神はこの絵本に通じるかもしれません。

思いを伝えるということ

思いを伝えるということ(大宮エリー)

タカオ ここに書かれている言葉を読んだ時、世の中のすべてのものは「伝える」ってことから始まったんじゃないかと思うくらい、刺激を受けました。誰かが勇気を出して人に伝えてきたからこそ、こうして今いろんなものが存在してるんじゃないかと。それってすごく大切なことだなって、考えさせられました。

私は歌詞を書く時、言葉を要約していくっていうのが、作詞の中で難しいポイントの一つだと思っていて。伝えたいことがあればあるほど、それを一行とかで要約するのが大変だったりするんですよ。ちょっと飾ったような言葉を付け足しても逆にスカスカになったりする。なので、こんなに少ない言葉でも凄いパワーがあるんだ!っていうーーそういう部分でも刺激をもらいました。この本の詩にメロディが乗ったら、果たしてどんな爆発的パワーを持ってしまうんだろうって(笑)。

2012年くらいに出会ったんですけど、私はまだ事務所に入る前で、どこにも属していない状態。オーディションもうまくいかずに……みたいな時だったんですよ。家族からは就職活動しなさいと言われて、夢を諦めるか諦めないかという時期で。そんな時にこの本の言葉を見て、自分の本心にハッとさせられたというか。作者の大宮さんに直接言われたわけでもないのに、こんなに突き動かされるんだ!と思って、それと同時に「伝える勇気」って大切なことなんだと思いました。

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら(川村元気)

タカオ 余命少ない30歳の男性の前に悪魔が出てきて、この世界に存在するものを一つ消すかわりに命を1日伸ばしてやると。それで早速お願いすることにして、チョコレートや時計とかが消えていくんですけど、何を消すかは悪魔が決めるんです。それで最終的に悪魔が男性の飼い猫を指名する。その猫は男性の亡くなったお母さんが大事にしていた猫で、それもあってどうしようかと判断を迫られた時、いろんな感情がめぐって最終的に……っていうお話なんです。

その主人公の気持ちを自分に置き換えた時、言葉にできない感情を覚えて、私にとって猫は果たして何になるだろうと考えました。あと本の中に「家族というのは、あるものじゃなくて、するものだ」みたいなセリフがあるんですけど、家族の大切さも描かれてるんです。身近にあるものって分かりやすいですけど、「存在しないもの」に目を向けるって難しいことじゃないですか。そこに着目されてるのがすごくロマンチックだなって。1冊の本なんですけど、1曲の音楽みたいだなと思いました。

この本は、ちょうど「チャチャチャ」を書いてる時くらいに読んでました。公園の砂場とか消しゴムとか、昔は身の回りにあるものすべてが楽しいものという認識だったと思うんですけど、それが大人になるにつれて自分の嫌いなものや苦手なところに意識がいってしまうーー。そうじゃなくて、幸せや楽しさは今も案外身近なところに散らばっているんじゃないかってことを歌った曲が「チャチャチャ」なんですけど、この本の主人公も自分には何もないと思っていたのに、身近にいる愛猫や亡くなったお母さんへの思いとか、すぐそばに大切なものがあるっていう、そういうところに影響されているかもしれないです。

私は13歳の犬を飼ってるんですけど、去年ちょうど命にかかわる病気にかかって。手術を受けると半分の確率で死ぬ可能性があるけど、手術を受けないと身体が弱っていって死んじゃうかもしれない。どっちも辛い選択肢だったんですけど、結果的に手術することにして成功したんです。その時、犬も家族の大切な一員なんだなって改めて思いましたし、この本のストーリーに置き換えた時、「私の愛犬が消えてしまったらどうしよう?」って考えたり。ありえない話とはいえ、いろいろと考えさせられました。

塩狩峠

塩狩峠(三浦綾子)

タカオ 重ためのテーマの本です。生まれてから死ぬまで、実在した1人の男性の人生が描かれていて、山あり谷ありで、読んでいてすごく疲れました(笑)。でも、悲しいお話なんですけど、大きな意味で「頑張って生きなきゃ」という不思議なパワーをもらうというか。主人公の信念がすごくて。最後は塩狩峠の列車事故で乗客を守るために自ら身を捧げて亡くなってしまうんですけど、その強い信念に感動しました。

本の中に「愛神愛隣」って言葉が出てくるんですけど、簡単に言うと隣人を自分のように愛しなさいということです。明らかに相手が悪くても、それでも敢えて愛を送るような主人公なんですよ。そういう力強さや優しさが単純に格好いいと思いました。この本からは「人生とは……?」ということを考えさせられます。昔に比べると私自身も人生について考えることが増えた気がしますし、今だからこそ読めたんだと思います。

オーダーメイド殺人クラブ

オーダーメイド殺人クラブ(辻村深月)

タカオ 中学2年生の男の子と女の子の物語で、女の子が男の子に「私を殺してほしい」とお願いするんです。で、男の子もそれを了承して、一緒に計画を立てていくっていう斬新なお話なんですよ。思春期の女の子同士のいじめだったりとか、そういうことがリアルに描写されていて、私自身も女子校だったので、そういうゴチャゴチャしたことがなかったわけではなく。でも、そういうのって大人になったら忘れるんですけど、まるで自分の思春期のように感じながら読める作品でした。

思春期の頃って平気で死にたいって言っちゃう人って多いじゃないですか。そこに着目しつつ、恋愛にも通じる要素があって、読み終わった後は言葉にできない感動がありましたね。この本で一気に辻村さんのファンになって、他の作品も今読み進めてる途中なんです。

私の「チョコレート革命」という曲で、“恋とはいったい…”って歌詞があるんですけど、恋って何なんだろうと検索するんです。よくよく考えてみると、初恋の時ってこれが好きって気持ちかどうかって分からないじゃないですか。そういう青春の甘酸っぱさを表現してるんですけど、そういう感覚をこの本を読んで改めて感じたというか。

辻村さんは私よりも大先輩なのに、思春期を扱ったお話でこれだけ感動させられる。ほんと読んでる時は胸が痛いんですけど、読み終わった時には「いい話だったなぁ~」って思える。私もそういう青春を体現できるようなシンガー・ソングライターであろう!と思いました(笑)。どんな人にもオススメできますし、とにかく面白い本です。

本を読むことは、自分を見つめ直す時間でもあるのかなって思います

―― 今回紹介してくれたような本は、友達や知り合いにも結構すすめたりするんですか?

タカオ しますね。相方のちゃもーいに東野圭吾さんの本を貸したりとか、親友と一緒に三浦綾子さんの本を読んだりとか。共有できるのは楽しいです。今思い出したんですけど、そういえば「チャチャチャ」の出だしに“滑り台にもたれながら/推理小説を読んでたって”って歌詞があるじゃないですか。今回の本のセレクトには入ってないんですけど、私が東野圭吾さんの『秘密』を公園で読んでたことが元になってます(笑)。

―― タカオさんは自分で作詞もするから、そういう部分での読書の楽しさっていうのもありそうですね。

タカオ そうですね。作曲は別として、作詞って自分が空っぽになったら何も生まれないと思うんです。私は自分の才能が枯渇してほしくないけど、だからといって自分から強引に水をやるってことはしたくなくて、自然と吸収していきたい。本を読むってことは、ひとりの世界なので自分自身とすごく向き合うんです。自分を見つめ直す時間でもあるのかなって思います。そう考えると、これからの曲もいろいろ変わっていきそうだなと思ってます。

Photographs by Motoki Adachi

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プロフィール

タカオユキ
タカオユキ
視聴覚ユニット「みみめめMIMI」Vo

目と耳から刺激する視聴覚ユニット、みみめめMIMIのシンガー・ソングライター&ヴォーカル。声優としても活動中。イラストレーター、ちゃもーいと共に2013年8月、TVアニメのOPテーマ「センチメンタルラブ」にてデビュー。音楽活動だけにとどまらず2014年8月にリリースした1stアルバム『迷宮センチメンタル』全11曲をモチーフにした完全オリジナルノベライズ企画『憧れパンデミック』が電子書籍で発売中。2016年1月と2月に配信限定シングル「チャチャチャ」「チョコレート革命」をそれぞれ発表。3月3日には地元の神戸VARIT.にて自主企画ライブ「視聴覚アカデミー~地元だョ!全員集合~」、4月3日には東京・渋谷WWWにて同じく自主企画ライブ「視聴覚アカデミーVol.4」を開催する。http://www.mimimememimi.com/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

タカオユキ
視聴覚ユニット「みみめめMIMI」Vo

目と耳から刺激する視聴覚ユニット、みみめめMIMIのシンガー・ソングライター&ヴォーカル。声優としても活動中。イラストレーター、ちゃもーいと共に2013年8月、TVアニメのOPテーマ「センチメンタルラブ」にてデビュー。音楽活動だけにとどまらず2014年8月にリリースした1stアルバム『迷宮センチメンタル』全11曲をモチーフにした完全オリジナルノベライズ企画『憧れパンデミック』が電子書籍で発売中。2016年1月と2月に配信限定シングル「チャチャチャ」「チョコレート革命」をそれぞれ発表。3月3日には地元の神戸VARIT.にて自主企画ライブ「視聴覚アカデミー~地元だョ!全員集合~」、4月3日には東京・渋谷WWWにて同じく自主企画ライブ「視聴覚アカデミーVol.4」を開催する。http://www.mimimememimi.com/

タカオユキ さんの本棚

タカオユキがセレクト。「チャチャチャ」「チョコレート革命」とリンクする本

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