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特集!あの人の本棚
88.

うたたね文庫   (古書店)


まるで「タモリ倶楽部」を見るような古書の楽しみ方がある。仏教書専門店・うたたね文庫が考える、ひらめきを生む本

うたたね文庫
世界一の古書店街・神保町に店を構える古書店の店主たちに「ひらめきを生む本」を選んでいただく企画『発想の窓 ひらめきを生む本』。選んでいただいた本は、神保町の「HASSO CAFFÈ with PRONTO」に展示し、チラシと合わせて紹介しています。今回は、仏教書専門店・うたたね文庫店主の篠田英明さんにお話を伺いました。
まるで「タモリ倶楽部」を見るような古書の楽しみ方がある。仏教書専門店・うたたね文庫が考える、ひらめきを生む本

仕事は仏教書でも、プライベートではマンガ好き

仏教書専門店のうたたね文庫は無店舗経営の古書店です。一見、わからないような場所にある事務所に入ると、足の踏み場がないほどの本・本・本。ところで、「神保町で仏教書を専門にしている」なんて聞くと、きっと「寡黙で」「厳しくて」「怖い」というイメージを持ちませんか? そう思いながらドキドキしてお話を伺った店主の篠田さんは、勝手に抱いたイメージとはうらはらに温和な方でした。

「仏教書は修行時代の東陽堂書店が専門だった分野なんです。当初は特別好きだったわけでもないので、修行時代は大変でした。」と、優しく笑いながら話す篠田さん。元々は新刊書店の書店員だったそうです。ある日、神保町を歩いていたときに見つけた古書店の社員募集チラシを見つけた篠田さんは早速応募。このときのお店には受からなかったものの、その後、修行時代を過ごす東陽堂書店に入社しました。同店が仏教・宗教・歴史の専門店だったのです。

東陽堂書店で7年ほど修行したあと独立した篠田さんが開業したのが「うたたね文庫」。はじめから仏教書専門になりたかったわけではないようで、何でも取り扱ういわゆる「街の古本屋」から、心理学の専門古書店になったりなど紆余曲折を経て、現在の仏教書専門という形に落ち着いたそうです。修行時代の専門分野に落ち着くなんてなんだか素敵ですね。

前述のとおり、うたたね文庫は無店舗の古書店です。普段はネット販売や即売会での販売が主とのこと。即売会は、ビジュアルブックがメインの「ぐろりや会古書即売展」と全般的な古書が集まる「東京愛書会」に出店されているそうです。場所は東京古書会館の地下多目的ホール。開催時期は以下のリンク先からご覧ください。

うたたね文庫参加の古書即売会

即売会の魅力や楽しみ方を伺ったところ、「即売会は普段はガラスケースの中にあるような本を手にとって見ることの出来るチャンスなんですよ」とのこと。歴史の教科書に出てくるような人物が書いた本を手にとって見ることもできるそうです。即売会では出店したお店の関係者がレジに待機しているので、分からないことや探している本があればすぐに聞けるのもいい点だとか。もしかしたら篠田さんに会えるかもしれませんね。

余談ですが、篠田さんの好きな本について伺ったところ、井上雄彦『リアル』をはじめとしたマンガが多いそう。「仕事のぼくしか知らないひとがぼくの部屋に入ったらびっくりしますよ」。と笑顔で言われて見わたすと、ひそかに事務所のあちこちにもマンガが……。仏教書専門店という言葉から連想する堅そうなイメージとはまるでかけ離れた軽妙な語り口でマンガについても熱く語る篠田さんに、古書店に対して抱いていたイメージがすっかり覆されました。


現在と過去とのギャップでひらめき

―― さて、仏教書を中心に和本なども取り扱う篠田さんが選ぶ「ひらめきを生む本」。いったいどんな視点から、本を選ばれたのでしょうか。

店主・篠田英明さん(以下、篠田) 「ギャップ」を感じる本を選びました。ふだん古書店に来られないような方が考える本と、古書店が扱う本って違うって思うんですよね。落差がある。「こんな本も売っているのか」という予想と現実との「ギャップ」を感じたときにこそ、ひらめきが生まれるのではないかと考えました。そこで選んだのが、「ギャップ」を感じる本です。

―― なるほど、おもしろいですね。では、1冊目はどのようなギャップがあるのでしょうか。

篠田 1冊目は明治時代に刊行された『東京案内 復刻版 2冊揃』です。地図や写真がついているので現在の風景と比べて読んでみると発見があっておもしろいと思います。例えば、神保町の「風月洞書店」のあたり。江戸時代は武家屋敷だったのですがこの本に掲載されている地図を読むと大きな水たまりになっていることが分かるんですよ。地図に載るくらいだから溜め池のような相当大きなものだったんだと思います。

―― 溜め池が武家屋敷になり、今は古書店が建っている。当時と現在でこんなに風景が違うかと思うと驚きます。

篠田 そうやって現在と過去とのギャップを具体的に知ると、ひらめきに繋がってくると思うんです。「タモリ倶楽部」を観ているときの楽しみに似ていますね。この『東京案内』を読みながら「タモリ倶楽部」を観るともっと楽しめると思います。笑

―― 2冊目は何でしょうか?

篠田 次に紹介したいのは『佐渡旅行案内地図』。当時の観光地の白黒写真が載っていたり、何よりおもしろいのがカラーの鳥瞰図です。地図にワクワクできるって楽しいですよね。佐渡には詳しくないのですが、きっと当時と現在とで全然違っていると思います。本紙を読んでから佐渡に旅行すると、より深く楽しめると思います。

―― 当時と現在で風景がどれだけ変わったのか。そのギャップを知った上での旅行ですね。ひと味違った楽しみ方ができそうです。

篠田 最後に『つげ義春を読む』を紹介します。つげ義春は普通の日常をマンガ作品にした初期の作家のひとりだと思っています。ぼくらの過ごす日常が、彼にかかるとなんとも言えないタッチの作品に生まれ変わる。「なんでもない日常でも作品になりうる」というギャップが、ひらめきに繋がるのではないかと思い選びました。もちろんぼくがつげ義春が好きだからというのもありますが。笑

―― こうして篠田さんと古書の話をしているだけで、たくさんのひらめきが生まれそうな気がします。古書の見方が変わりました。本日はありがとうございました。

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プロフィール

うたたね文庫
うたたね文庫
古書店

神保町にある仏教書専門店(無店舗)。

東京都千代田区猿楽町1-5-20 高尚堂ビル
営業時間/休日:10:00~18:00/日、祝
TEL:03-3292-9340
FAX:03-3292-9340
メールアドレス:uta-e@nifty.com
ホームページ:
http://homepage2.nifty.com/utatane-e/
http://uta.jimbou.net/

ライターについて

Writer 7
和氣正幸

リアル本屋開業を目指す本屋好き。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。本をキーワードに様々な分野で活躍中。

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