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特集!あの人の本棚
91.

魚山堂書店   (古書店)


「ひらめきは、再発見から生まれる。」映像の専門店・魚山堂書店が選ぶ、ひらめきを生む本

魚山堂書店
世界一の古書店街・神保町に店を構える古書店の店主たちに「ひらめきを生む本」を選んでいただく企画『発想の窓 ひらめきを生む本』。選んでいただいた本は、神保町の「HASSO CAFFÈ with PRONTO」に展示し、チラシと合わせて紹介しています。今回伺ったのは魚山堂書店。写真集やカメラなど「映像」に強い古書店です。
「ひらめきは、再発見から生まれる。」映像の専門店・魚山堂書店が選ぶ、ひらめきを生む本

映像のことなら何でも聞いてください

「映像」がコンセプトの魚山堂書店は、都道301号線沿いに並ぶ雑居ビルの2階にあります。ですが、話によると開業当時は現在のような形になるとは思っていなかったとのこと。1992年に独立した当時は品川にあり、いわゆる「街の古本屋」でした。それが、お客様との出会いの中で写真集など映像に関する本を取り扱うようになっていき、神保町の現在の場所に店舗を移した2002年にはすっかり「映像」をコンセプトにしていた本ばかりになっていたそうです。お客様との出会いで店のコンセプトが決まっていくなんてなんだか素敵ですね。

雑居ビルの2階ということもあり「知るひとぞ知る」といった趣きの同店。もし映像に関してお探しのものがあれば「何でも聞いてほしい」と店長の伊藤俊一は言います。ただ、神保町のお店を楽しむためのアドバイスも加えていただきました。

「ウチに限らないとは思いますが、神保町の古書店を楽しむためには、“欲しいものの問診票”を自分の中でつくってくることが大事だと思います。大学病院に紹介される前の町医者が書く問診票ですね。どこの科に診察してもらえれば良いかを判断するためのものです。」

「どういうことかというと、例えばウチでしたら、写真集のほかにも本になっていない1枚の写真や家族アルバムなども扱っていますので映像に関することなら何でも答えられます。ですが、「戦争の写真を探している」といったザックリした質問ですと答えることが難しい。「日露戦争で日本が勝っているようなイメージ」や「戦争で庶民が食うや食わずで苦しんでいるようなイメージ」など、どんな映像が欲しいのかを自分の中で整理して、“欲しいものの問診票”をつくって来ていただければ、お役に立てるのですが。」

神保町の古書店は、どれもある分野におけるプロフェッショナルなので、該当分野については膨大な知識があります。その膨大な知識を活用するのも、古書店めぐりのひとつの大きな魅力です。せっかく神保町に行くのなら、自分はどんなものがほしいのか、見つめてみてから行くことでもっと楽しめるかもしれませんね。


再発見から生まれるひらめき

―― そんな映像の専門店・魚山堂書店が選ぶ「ひらめきを生む本」。いったいどんな視点から、本を選ばれたのでしょうか。

店主・伊藤俊一さん(以下、伊藤) ひらめきは、知らないことを知って驚いたり、新鮮な気持ちになったときに生まれると思います。当店は古書店ですので「再発見から生まれるひらめき」というテーマで3冊を選びました。

―― 本当はあったのに顧みられていないことに光を当てる。再発見という視点は、まさに古書店だからこその「ひらめき」への道ですね。

伊藤 はじめに紹介するのは『紙上のモダニズム ~1920-30年代日本のグラフィックデザイン』です。これは昭和のグラフィックデザインを代表するひとりである原弘のコレクションを掲載した図録です。戦前のグラフィックデザインがどんなものだったかを再発見できます。とにかく情報量が多くて勉強になる1冊です。

―― 戦前にこんなにもカッコいいデザインがあったんですね!驚きです。

伊藤 2冊目は『東京は、秋』。現在も活躍している写真家・荒木経惟の心の底が覗ける1冊です。というのも、この本は荒木経惟自身が撮影した写真1枚1枚を妻の陽子に説明していくスタイルで書かれているんです。荒木経惟が自分の写真についてコメントをするような本はこれしかありません。彼がどんな想いで写真を撮影していたのかを再発見できる本です。

―― 素人目には一見何でもないようにみえる写真に、こんな意図があったのか、と驚かされます。

伊藤 最後は『離された園』です。全国各地にあったハンセン病の隔離病棟を取材したもの。ご存知でない方も多いかと思いますが、本書の刊行当時(1956年)、ハンセン病患者は差別を受けていました。現在では想像もつかない差別を再発見するための1冊です。

『離された園』は岩波写真文庫の中の1冊でもあります。岩波写真文庫は、1950年から1958年にわたって全286タイトルもの数が発行されたシリーズで、豊富な写真で1冊ごとに違うテーマをルポルタージュする写真集。この当時はインターネットやテレビがある現在と違って、ビジュアルでものを知るためには本が一番のメディアだったということに驚かされます。

―― ハンセン病は歴史の授業で習ったことがありますが、こうしてその時代の本を手にとって読むと「本当にあったことなんだ」とあらためて思わされます。どの本も、おすすめされないと日常ではなかなか見つけられない本ですね。それぞれの本が抱えるテーマへの気づきも含めて、まさに「再発見」できた時間でした。本日はありがとうございました。

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プロフィール

魚山堂書店
魚山堂書店
古書店

住所:千代田区神田神保町2-14-6 谷地ビル2階
営業時間/休日:11:00~18:00/日、祝
TEL:03-5211-6003
FAX:03-5211-5488
メールアドレス:gyozando@nifty.com
ホームページ:http://www.gyozando.com/

ライターについて

Writer 7
和氣正幸

リアル本屋開業を目指す本屋好き。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。本をキーワードに様々な分野で活躍中。

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ホームページ:http://www.gyozando.com/

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