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【連載小説】「ロマンティックが終わる時」第11話【毎朝6時更新】

更新:2018.1.10 作成:2018.1.10

呉道に絡まれるジュンヤとユウ!

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村上淳也SIDE

連載第1回はこちら


「ジュンヤ、行こう」

そう言って、ユウは立ちあがる。

「おれに遠慮すんなって」

呉道がへらへらした笑みを浮かべながら言う。

「誰があんたなんかに」

「おいおい、仮にも昔付き合ってた相手に対してあんまりじゃないか?」

悪い予感は的中したようだ。当時は呉道もあんな感じじゃなかったというユウの言葉を聞いて、もしやとは思ったが。

でも、今はショックを受けてる場合じゃない。そんなことは部屋に戻ってからでもできる。間違いなく言えるのは、今、ユウと付き合ってるのはおれで、ユウは呉道のことを嫌がっている。

「元彼づらするやつは嫌われるぜ」

動揺を押し殺して言う。

「そんなこと言って、ホントは悔しいんだろ」

確信する。呉道が挑発してるのは、ユウじゃなくておれだ。だとしたら冷静にならなくてはいけない。ただ挑発しているだけなのか、それとも何か仕掛けているのか。

「おれを悔しがらせて楽しいのか?」

「そんなに楽しくはないな」

「だったらとっととどっか行ってくれ」

「勘違いするなよ村上。おれはおまえに用があって来たんじゃない。奥山に用があって来たんだ」

おれを挑発しにきたんじゃないのか?

「私は用なんてないんだけど」

「まぁそう言うなって」

「あんたと話すことなんてないから」

ユウは休憩室の出口に向かう。

おれも立ちあがる。

「奥山、おれとより戻さないか?」

呉道の言葉に、おれとユウは動きを止める。

「「はぁ?」」

おれとユウの声が重なる。

© jiajun – Fotolia

原島真蔵SIDE

「ユウちゃんとクレミーがねー」

松本は体の前で腕を組んで言う。

「呉道も昔はあんなんじゃなかったから」

意図せずして、奥山と呉道の中学時代の話を聞いてしまったわけだが、僕が聞いていいことだったのだろうか。

「でも、ジュンヤちゃんもアキラちゃんもいるし大丈夫だよ」

「昼間はいいけど、夜は女の子だけでしょ?」

「いくらクレミーでも、女の子の部屋に無理に入ったりはしないと思うけど」

「ううん、そうじゃなくて、昔の嫌なこととか思い出して、自分追い込んだりしてるんじゃないかな」

「ユウちゃんなら大丈夫だと思うけど、ハニーは心配なの?」

「私は……正直わかんない。でも、中1の時にユウを追いつめた犯人は間違いなく呉道だから」

「うーん、ハニーがわかんないなら、おれもわかんないけど」

少しの間考え込む松本と安藤。

「……私、ユウの部屋行ってこようかな」

「ユウちゃんなら、今ジュンヤちゃんと一緒だよ」

「村上くんがユウの部屋に行ってるの?」

「違う違う。さっき、ふたりで休憩室で話してたよ」

「そっか。村上くんが一緒なら大丈夫かもね」

松本と安藤のふたりは、村上のことを信頼しているようだったが、僕は池から上がってきた時の呉道の表情を思い出して、そんなに簡単にことは済まないんじゃないかと思った。

村上と山下に対するあからさまな憎悪。もしかしたら、その憎悪は僕と松本にも向いているかもしれない。

村上と山下と呉道が相討ちになってくれるのが僕としては一番いい形だけれど、呉道の憎悪が僕に向かってきたら、全力で呉道を潰す。本当は更生させたかったのだが、それが難しい場合もある。

どうやっても更生できないやつはいると思う。更生させるのは、たとえるなら、オセロの黒をひっくり返して白にすることだ。でも、四つ角の黒はどうやったってひっくり返らない。呉道は四つ角の黒なのかもしれない。でも、ひっくり返す努力はしようと思う。

オセロの盤上を白く染め上げる。そして、僕は四つ角の白であろうと思う。


次回:1月12日6時更新予定

第12話

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大場諒介
KDP