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親の介護をする前に読む本 (講談社現代新書)

親の介護をする前に読む本 (講談社現代新書)

作者 東田 勉
出版社 講談社
出版日 2016年12月14日

親の介護は切実な問題だが、深刻な問題だけに、どうしても目を背けがち。その結果、突然、年老いた親が介護が必要になる局面になってから、家族は否応なく怒濤の介護生活に突入する。事前に十分な準備をしておけば、質の高いケアを実施している施設に入所させることもできるが、何も準備がなければ、選択の余地なく、入所可能な施設に入れざるを得ない。しかし一見きれいな施設であっても、劣悪なケアしかできない施設も多い。介護施設に入所後、短期間で状態が悪化し、病院に転院、そのまま寝たきり生活という悲惨なケースも少なくない。こうした悲劇を避けるには、介護家族が必ず訪れる「その日」の前に、準備をしていく以外に方法はない。本書は介護業界に精通した介護ライターが書き下ろした、介護家族のための「超」入門書だ。ありそうでなかった、家族のための「介護の教科書」。必読の一冊だ。

レビュー

本書は趣味としての読書目的ではなく、実生活での必要に迫られて読んだ本であるが、まあそんな年齢になってしまったということであろう。

さて本書では行政の介護や福祉への取り組み状況、制度としての介護保険制度、そして実践としての介護、さらには終末期の迎え方の説明などがなされる。
行政の介護等への取り組み方や介護保険制度に関しては、いわゆる社会問題としての視点における問題提起にも多く頁が割かれており、広い意味では大いに勉強にもなるが、とことん介護生活での実践とノウハウのみを求める読者にとっては必要とする内容と違うと感じられるかも知れない。
またここでも述べられている通り、例えば行政の財政難もあって福祉・医療関係への予算が限られる中、介護関連の法律も頻繁に改正されるため、本書の内容が必ずしも最新というわけではない。
従って1冊の書籍だけで、全ての情報をカバーすることはそもそも原理的にも困難であり、またそうである以上、いずれにしても自ら情報を取り続ける必要は生じてしまうだろう。
そう考えるとガイドの役割をする書籍があれば、それを取っ掛かりとすることができて有意義であるだろうし、本書は比較的広い範囲の情報を網羅できているため、十分ガイドとしての機能を果たすことができるだろう。
これらのことから本書は、上記の「社会問題としての問題提起」も含めて「親の介護をする前に読む本」として十分及第点を与えられるのではないだろうか。

なお本書にも書かれているが、実際の介護生活はある日突然はじまる事も多く、また一旦介護生活が始まってしまうと、なかなか時間的な余裕がなくなり「介護の情報」を集める時間が持てなくなってしまう。
いきおい与えられた状況・条件下での介護生活に縛られることになり、結果、運任せな面も出て来てしまうようだ。
本書の『親の介護をする前』とはつまりそういった意味である。

愉快な読書ではないが、多くの人にとって有意義で必要な情報を得られると考える。

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