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宇宙を生きる:世界を把握しようともがく営み (入門!ガクモン 人気大学教授の熱烈特別講義)

宇宙を生きる:世界を把握しようともがく営み (入門!ガクモン 人気大学教授の熱烈特別講義)

作者 磯部 洋明
出版社 小学館
出版日 2019年03月01日

「物理学で世界を理解する」意味が分かる!

著者は、太陽が専門の、宇宙物理学者です。

タイトルは、宇宙研究に携わりたい、と希望する方々へ向けた、

熱いメッセージです。

それは、例えば、「はじめに」から抜粋した次の一文。

「地球以外の天体に移住したり生命そのものを改変したりといった、

自分たちの生のあり方自体を技術的に変えてしまうことが

工学的研究によって現実味を帯びてくると、

そもそも私たちは、どのような社会を作り、どのように生きたいのか、

という問いを根底から考え直す必要が出てきます。

ここで、人間にとっての意味や価値といった問題も取り扱う

人文科学や社会科学が登場することになります。

宇宙の研究は、今や自然科学以外の領域にも広がっているのです。」

また、「研究者のセンス」についても語られ、初学者にとって、

深い学びになります。


「世界を理解するために問題をどのように切り取るか、

その問題に対してどのような説明がよりよいと考えるか、

そこに研究者のセンスのようなものが問われます。」

宇宙関係の本は、難しい、というのが相場ですが、

本書は、入門書として全分野の初学者におすすめです。






【編集担当からのおすすめ情報】
物理にも宇宙にも興味のなかった文系の編集ですが、

磯部洋明さんの話はとても分かりやすく、

物理が理解できなくても、話の内容は理解できました!

研究というものが、どのように前に進んでいくのか、

また、学者の方々の興味の深め方、コラボの仕方など、

興味深い事が次々と明らかにされていきます。

そして、著者自身の和訳によるフリーマン・ダイソンの論文「Time without end」のイントロダクション。

「物理学的な検討のその先にある思索への道を提示」しているダイソンの論文について、熱く語る著者に、是非しびれてください!

レビュー

とても面白く読んだのであるが、これは一風変わった書物であり、またいわゆる洗練された作品というよりも、ある種のまとまりのなさを感じるものでもあったのだが・・・

「新進気鋭の学者が語る『学問ってナニ?』」ということで、本書は「学問とは何か?」「研究と学問の違い」「物理学で世界を理解する意味とは」などといった問題意識をテーマとした作品である。
といっても明確な結論が提示されている訳ではなく、研究当事者としての著者の現在進行形のテーマとして、その逡巡や試行錯誤も含めて示されていて、つまりこれが本書の取り留めのなさの原因になっているのだが、逆にいうとリアルでもあって、却ってそこに不思議な魅力を生んでいるともいえよう。
またこれらの問題意識の手掛かりとして、理論物理学者のフリーマン・ダイソンを始め、レヴィ=ストロースやハンナ・アーレントなどの考え方も紹介されていて、そこも興味深く読んだ。

本書で示される著者の上記問題意識は、ある意味真っ当で健全な考え方であって、いわゆる思想的な凄みや驚くべき斬新さは無いといえそうなのだが、逆にいえば物理学研究者として、日々、現実社会と対峙している者のリアルな実感がある。
平たくいえば、われわれ市井の読者の日常と地続きの悩みを感じさせてくれた。
「まあ、そうだよねぇ」と。

ちなみに上記問題意識の逡巡に関連して、「一番本質的なところには、共通の興味を持っている人たちが集まって『これめっちゃおもろいな!』って言い合いたいという、根源的な欲求があるんだと思う。」とか「そんな風に考え出すと、講演会で長々と自分語りをされることも(中略)とても大きな意味を持っているのかもしれない。だとしたら、その人がそのような場を持つことができることは、『できるだけ多くの人ができるだけ有益な学びをする』ことと同じくらい意味があることなんじゃないかと、私は思うようになってきました。」などといった部分は、大いに共感もしたし、またこれらは本書の白眉ですらあるかも知れないとも感じてしまった。

尚、本書の内容はそれだけではなくて、著者の研究の具体例として太陽の「コロナ」「黒点」「フレア」などの紹介・説明があるのだが、ここも個人的にはとても面白く読んだ。
例えばかねてより不思議に感じていた「コロナ加熱問題」、つまり太陽表面(光球面)が六千度であるにも関わらず、そこから離れたコロナの温度が百万度に達するという「謎」の解説は有用であった。
要するにコロナを温めているのは、光球面からの熱伝導だけではなくて、主に「対流しているガスの運動エネルギーによる電磁誘導」だったということである。
へぇーなるほど。

<とっても蛇足>
本作は比較的短時間(いわゆるトイレタイム用として数日で読了)で読み終えられたのだが、相変わらず複数の本を併読していて、しかもいずれも全然読み進められない。
最近体調が悪いことや、それに伴って読書時間が短いこともあるのだが、ツンドク本がどんどん溜まる一方で何とかしたいと焦る。
読書や知識への興味は尽きないのであるが、己の理解力の乏しさが歯がゆいばかりである。
ちくしょー。

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