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林檎の樹 (新潮文庫)

林檎の樹 (新潮文庫)

作者 ゴールズワージー
出版社 新潮社
出版日 2017年12月25日

徒歩旅行の途中、果樹園のある農場に宿を求めたロンドンの学生アシャースト。彼はそこに暮らす可憐な少女、ミーガンに心を奪われる。月の夜、白い花を咲かせる林檎の樹の下でお互いの愛を確かめ合った二人は、結婚の約束をする。だが旅立ちの準備で町へ出たアシ ャーストを待っていた運命は─。自然の美と神秘、恋の陶酔と歓び、そして青春の残酷さが流麗な文章で綴られる永遠のラブストーリー。

レビュー

ジョン・ゴールズワージーの風景の表現は英語であるにも関わらず余りにも詩的に繊細で、それが綿雲が点々と浮かぶ蒼穹と眩しき太陽のもと、美しき草花に佇立し、ささやかな風の音を聞いているかのような錯覚を覚える。また物語の構成も申し分なくまとまっていて、この完璧な作品に文句をいうような人間は恐らくいまい。
しかしいつもこの手の作品を読んで思うのだが、どうしてこうも主人公は身勝手であるのか。森鴎外の『舞姫』を読んだ時にも同じことを考えたのだが、彼は相手との約束をすぐに破り、自分達がはぐくんできた愛の結晶を玄翁で簡単に砕いてしまう。それも非常に身勝手な理由で。私はこのような描写を見ると不愉快に感じる。彼らの行為というのは自己中心的で後先を考えないようなものであるからだ。かと言って、私もその人間の一人であるといえるような屑であり、それは同族嫌悪であるのかもしれない、と常々底なしの葛藤に溺れてしまう。

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