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場所はいつも旅先だった (集英社文庫)

場所はいつも旅先だった (集英社文庫)

作者 松浦 弥太郎
出版社 集英社
出版日 2011年02月18日

『暮しの手帖』編集長、松浦弥太郎の自伝的エッセイ50編。
18歳の秋、初めてサンフランシスコを旅した時、僕は何を求めていたのか。
「どうして旅に出たいの?」両親の疑問に、少年が言えなかった答えは……
人生の旅人たちに贈る珠玉の一冊。

【ちょっと立ち読み】
しばらく外国に行くと告げると、母は「あら、そう」とそっけなく答えた。外国がどこの国で、どこの町に行くかとは聞かなかった。来週早々に出発すると言うと、「あら、そう」と同じようにつぶやいた。
それきりだった。僕と母は仲が悪いわけではないが、親密かというとそうでもなかった。
幼い頃から両親は共働きだったため、早いうちから精神的に自立していた僕は、何かを決めることで両親に相談したことは一度もなかった。 決めたことは、いつも事後報告か、その寸前に知らせるのが普通だった。
ニューヨークではじめて過ごした冬は、何十年かぶりの大雪が降り、毎日が零下の寒さだった。
携帯電話など無い時代だったから、泊まっているホテルの住所と電話番号だけは母に伝えていた。
頼まれてそうしたのではなく、せめてそのくらいはしておかないと思ったからだ。
正直いうと、そんなことで旅の不安を少しでも和らげたかったのかもしれない。
日本を離れて二カ月経ったある日の午後、僕は風邪を引いてしまい部屋で寝込んでいると、ドアをノックする音がした。開けるとホテルの従業員が「電話がかかっている」と教えてくれた。
部屋に電話がないため、外からの電話はすべてフロントを通す。ギシギシを音をたてながら動くおんぼろエレベーターで下へ降りて、フロントの受話器を取った。電話をかけてきたのは母だった……
(「母のこと」より抜粋)


--このテキストは、単行本版に関連付けられています。

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犬村優美
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犬村優美

千葉県出身。1976年生まれ。

学習塾で働きながら、趣味で漫画や小説の投稿もしています。読者として好きなのは少女漫画やエッセイです。

手芸が得意なので、小物を作るなどして日々を過ごしています。

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