肩の力を抜いて気楽に楽しめる小説3選

更新:2021.12.18

突然ですが、私実は元々本を読むのが苦手です。それを克服しようとしたのも大学生になってからとかで、あんまり難しい本は読めないのです。私みたいな人もきっといると思うので今回はページ数が少なく、短時間で気軽に楽しめる本を紹介したいと思います!

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常識なんてものもあってないようなもので、みんな自分が見てる世界を正しいと思って生きてる

著者
村田 沙耶香
出版日
2016-07-27

36歳未婚の古倉恵子。今まで彼氏なし。18年間同じコンビニで働き続けている。幼少期から人と違うところがあり周りから奇妙な目で見られていた恵子であったが、コンビニ店員として働き始めてからはコンビニだけが居心地のいい場所となっていた。そんなある日、白羽という変わった男がアルバイトとしてやってきた。

まず、主人公の古倉恵子のキャラクターが強烈。幼稚園の頃、死んだ青い鳥を見て両親に「これ焼き鳥にして食べよう」と言うエピソードがまずはじめに出てくる。この本の中で彼女はずっと頭がおかしいのだが、冒頭のこのエピソードだけで十分頭がおかしい(笑)。そしてそれに負けず劣らず、白羽と言うキャラクターも相当頭がおかしい(笑)。

この本を読んで何か答えが出るとか、そういうことじゃないけど、普通とか普通じゃないとかそもそも世の中にはなくて、常識なんてものもあってないようなもので、みんな自分が見てる世界を正しいと思って生きてるんだなって思った。それを究極にわかりやすく描いた作品が「コンビニ人間」なんじゃないでしょうか。

一つの愛の形を「蹴りたい」という衝動に置き換えたセンスがずるい

著者
綿矢 りさ
出版日
2007-04-05

長谷川初実は、陸上部に所属する高校1年生。気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとするクラスメートたちに、初実は溶け込むことができないでいた。そんな彼女が、同じくクラスの余り者である、にな川と出会う。彼は、自分が読んでいるファッション雑誌のモデルに、初実が会ったことがあるという話に強い関心を寄せる。にな川の自宅で、初実は中学校時代に奇妙な出会いをした女性がオリチャンという人気モデルであることを知る。にな川はオリチャンにまつわる情報を収集する熱狂的なオリチャンファンであった。

初実もにな川も、クラスという社会に適応できない人間であるところがまず面白い。でも初実はなんだかんだで周りを気にし続けているし、ひねくれているだけな気もするが、にな川に関してはまず周りと交わる気がない。ここに高校生ならではのリアルな男女差が現れていると思った。一つの愛の形を「蹴りたい」という衝動に置き換えたセンスがずるい、、、

女性作家さんならではの言葉のチョイスが個人的には好き。かなり読みやすいのでオススメ!

人生を見直そうっていう話

著者
岡本 貴也
出版日
2013-09-06

チケットを違法に高値で転売することを生業とするガジロウは、金と女がすべての冷徹な遊び人だ。交通事故がきっかけで、願いを叶えてくれたら預金通帳の中身をすべてくれるという四人(女三人男一人)と出会ったガジロウは、いいカモを見つけたと小躍りする。しかし、願いは四人それぞれで無理難題ばかり。それでも大金を得るためと奔走するガジロウに、やがて変化が訪れ、物語は最後、想像すらしなかったクライマックスを迎える。

生きてる人間と死んでる人間が会話できるというよくあるっちゃよくある話。最初、タイトルだけ見て面白そうだなと思って手にとってみました。恋愛小説かと思いきや全然そんなことなく、どちらかというと人生を見直そうっていう話。

とても読みやすい文章で、読みながら映像が頭に浮かぶ感覚は、「いま、会いにゆきます。」を思い出しました。ドラマチックに物語が進んでいくのでかなり読みやすいです。最後は泣いちゃうかも。

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