物とその価値について考えてみたい人のための本

物とその価値について考えてみたい人のための本

更新:2021.12.7

昨年末の引越しの際に、物をたくさん捨てた。歳をとるにつれて「無駄に物を買わないようにしよう」と思って実際そうしていたのだけれど、それでもけっこういらない物があった。でも無駄って難しい。無駄とはいえ使わないけど思い出深い物なんかもあってなかなか選別できず、引越し先まで持ってきた物もある。とはいえ、昔よりずいぶん物は少なくなった。

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思い出してみると、うちの母親もやはり物を貯めこむタイプだ。包装紙やビニール袋や紐や「ほんとにこれ使うの?」という物までかたっぱしからとっておく。そのせいか分からないが、断捨離って憧れる反面、なにか人間らしさに欠ける行為というかつまらないことに感じていた。この本に出会うまでは。

もたない男

著者
中崎 タツヤ
出版日
2015-05-28
断捨離を超えている。タンスの中にガスコンロが置いてある写真がシュールだった。常にそこに理由なく物があることが許せないってのはそれはそれで大変なことだけれど、どこかホッとする人となりが垣間見えて楽しく読める。あっという間に読み終わるし、読後の不思議さといい具合に「なるべく無駄に物をもたないようにしよう」という気になります。

物欲なき世界

著者
菅付雅信
出版日
2015-11-04
自分の物に対する執着や価値観について思いを巡らせると、子供の頃がバブル時代だったことが思い当たる。子供の頃は気づかなかったけれど今考えてみると、その時に刷り込まれた価値観が根強く自分の中にあることを見つけることができる。

『物欲なき世界』はそうした価値観が変わってきているという。物よりもライフスタイル、装飾よりも中身、大量生産よりも手作り、そして「シェア」。確かに自分の身のまわりを見渡しても、そうした暮らし方を選ぶ人やお店が増えていると思う。と同時に、今はまだそうした価値がお金に紐付けされていると思う。

spectator〈34号〉 ポートランドの小商い

著者
出版日
2015-09-02
『spectator 34号』はこのところ様々なメディアでもよくピックアップされているポートランドの現状を知ることができるし、『「シェア」の思想』も建築を中心に空間や、既存の物をシェアすることによって生まれる新しい価値について触れている。

大きな家に住んで、いい車に乗ってたくさんの財産をもっている事が幸せの象徴という時代があった。実際は今もそうだし、またそういう価値観への憧れが強くなっている気もする。それは貧困化が進んでいることの証明かもしれないし違うかもしれない。

一方で物やお金ではない部分に目を凝らす人も増えてきたようだ。誰かが溜め込めば誰かが飢える。砂場で山を作ればそれと同じ大きさの穴ができるように。そして穴の中は闇だ。バブル崩壊以降、それを見てきた人たちの中で今までと違う何かを求めようという気分が高まっている。そして、それを僕も楽しみにしている。
著者
["編集協力 門脇 耕三", "西沢大良", "千葉雅也", "國分功一郎", "吉村靖孝", "青井哲人", "猪熊純", "中川エリカ", "仲俊治", "西田亮介", "橋本健史", "古澤大輔", "連勇太朗", "pha", "能作文徳"]
出版日
2015-07-24

おかげさまで今、部屋は片付いていて広くはないけど割と気に入っている。
今回は、物とその価値について考えてみたい人のための本です。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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