童門冬二の著書おすすめ5選!歴史小説『上杉鷹山』やビジネスに活かせる本

更新:2021.11.8

歴史上の人物、特に戦国時代や江戸時代の偉人たちを中心に、多くの歴史小説や解説書を手掛けている童門冬二。今回は彼のおすすめの本を5冊ご紹介します。

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歴史に関する多くの著作を発表している作家、童門冬二

童門冬二(どうもんふゆじ)は1927年、東京に生まれました。戦時中は海軍の特攻隊に所属した経験を持ち、終戦後に東京都庁職員となります。東京都立大学理学部事務長や美濃部亮吉都知事のスピーチライターなどを務めました。

在職中から小説の執筆をはじめ、1960年に発表した『暗い川が手を叩く』で芥川賞候補に選ばれました。その後都庁を退職してからは執筆業に専念し、数多くの歴史小説や歴史上の人物を題材としたビジネス書などを発表しています。

その筆の勢いは留まることを知らず、非常に多作であることでも知られています。

童門冬二が描く、世界からの尊敬を集めた名君主

上杉鷹山は第9代の米沢藩主で、故ケネディ大統領をはじめ世界中の多くの著名人が、尊敬する歴史上の人物に挙げています。

彼は幼少の頃に上杉家の養子となり、16歳で藩主を継いで藩政改革に取り組みました。後世には「代表的日本人」として海外に紹介されたほどの大物です。

本作は、江戸時代の大名の中でも特に名君として名高い、上杉鷹山の生涯を描いた小説です。

著者
童門 冬二
出版日
1996-12-01

20万両という巨額の借金を抱え、前藩主が所領を幕府に返還しようと考えるまで悪化していた米沢藩の財政。鷹山はこの難題を前にして、人件費の大幅な削減と産業の育成、また藩校「興譲館」を設立し、学問を振興するといった対策に取り組みました。

天明の大飢饉の被害に苦しみながらも改革を推し進めた結果、2代後の時代には借金を完済するに至ります。
 

彼が残した有名な言葉、「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬ成けり」は、誰でも一度は耳にしたことがあるはずです。日本人であれば知っておきたい鷹山について分かりやすく読める小説として、おすすめです。

学問によって立身出世し、藩政改革を成し遂げた男

本書は、幕末期にあって岡山県の備中松山藩の元締めや執政を務め、藩政改革を成功させた山田方谷の業績について紹介した作品です。

どのようにして財政危機に直面している松山藩の財政再建を成功させたのか、彼の歩んだ人生を振り返りながら明らかにしていきます。

著者
童門 冬二
出版日
2002-05-01

山田方谷の名を聞いたことのない方も多いのではないでしょうか。彼は、10万両の借金を10年で完済し黒字経営にまで持っていったその業績から、経営の師としてビジネスパーソンを中心に知られる存在です。

方谷は農民出身でありながらも学問によって身を立て、松山藩の内政の中枢にまで取り立てられました。藩財政の収支を公開することで借金返済の延長を勝ち取り、また米や鉄製品などを自藩の管理下で売買させることにより経済をコントロールし、さらには藩の船舶を使って直接江戸などにも特産品を売れるルートを整えたのです。

こういった施策は現代の経営にも通用する考え方が多く、本書は山田方谷の教えを知る入門書としてうってつけです。

童門冬二が教える、リーダーシップを発揮した人物の条件

歴史に残る大事業を成し遂げた人物にはなぜ、多くの人がついていったのでしょうか。

本書ではその理由を、「この人のためなら」と思わせる「人望力」があったからであるとし、徳川家康や坂本龍馬といった歴史上の人物が持っていた資質を、5つの要素に分解して解説しています。

著者
童門 冬二
出版日
2002-07-18

本書が説く「人望力」は、人間通・世間通・経済通・影響力・人間力の5要素によって構成されていて、それぞれに歴史上のエピソードを絡めながら解説されています。そして、各能力を求めるだけでなく、それによって人が集まる「人望力」を備えることが重要だと述べているのです。

リーダーシップを発揮したいと考えているビジネスパーソンの方、「人望力」の付け方と、発揮の仕方を歴史上の偉人から学びましょう。
 

藩主にして敏腕経営者であった上杉鷹山

本書は上杉鷹山を経営者として捉え、その経営手腕や人物像を明らかにしていくビジネス書です。

経営を語るうえで重要な、組織の作り方や人の心の動かし方など、マネジメントの面についても掘り下げられています。

著者
童門 冬二
出版日
1990-08-01

本書のターゲットはビジネスパーソンです。そのため切り口は、経営者としての上杉鷹山が、米沢藩という組織を舞台に行った経営改革、というところに明確に置かれています。

多額の負債を抱え修復不可能と思われた米沢藩で、どのようにして鷹山が家臣や領民たちの心をつかみ、希望を与えたのかが示されているのです。

文庫版で140ページほどとコンパクトなので、鷹山の生涯を完結に整理して押さえることができるところもポイントです。忙しい方でもぜひ一度、手にとってみることをおすすめします。

歴史上の人物をもっと好きになるための本

本書では、歴史において名を残した「大物」たちのそれぞれの生き様を、男の器量と題して紹介していきます。

特に戦国時代や江戸時代を戦い抜いた人物が中心的に取り上げられ、それぞれがどのような魅力を持っていたのかが、エピソードとともに語られています。

著者
童門 冬二
出版日
1992-08-01

本書は、歴史人物をもっと好きになるための本、と呼ぶことができるでしょう。

武田信玄や勝海舟といった、教科書に必ず載っている人物についてももちろん取り上げられています。一方で松永久秀のような、悪人というイメージで定着していたり表舞台にあまり出てこない人物についても取り上げられていて、実は彼のような人物が部下には信頼されて人望があったというエピソードを知ることができるのです。

歴史が好きな方でも新しい発見があり、そうでない方も「器量」という切り口で語られているので、興味をもって読み進めることができます。

本書を読んで、「器量」を持ったお気に入りの英雄を見つけてみてはいかがでしょうか。
 

いかがでしたでしょうか。歴史が好きなビジネスパーソンの方には、童門冬二は覚えておいてほしい作家です。しかしビジネスパーソン以外の方も、名を残した歴史上の人物から学べることがあるはずです。かつての彼らの人生に触れながら、いまの生活にぜひ役立ててください。

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