竹内薫のおすすめ本5選!サイエンスライターが科学を解説

更新:2021.11.9

科学を研究する者と科学を知らない者の間には大きな隔たりがあるように感じますが、その二者の架け橋となってくれるのがサイエンスライターです。今回は私達に科学を分かりやすく解説してくれるサイエンスライター竹内薫のおすすめ本5冊をご紹介します。

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多数メディアでも活躍するサイエンスライター、竹内薫

竹内薫は1960年東京都生まれのサイエンスライターです。東京大学理学部物理学科を卒業し、カナダのマギール大学院博士課程を修了した頭脳派として知られています。

竹内薫はサイエンスライターとして科学本を執筆するだけでなく「湯川薫」名義で小説も多数執筆していました。執筆活動に加えテレビやラジオなどのメディアでも活躍しており、NHK「サイエンスZERO」のナビゲーター役を務めるなど精力的に多方面で活動しています。

星と人は同じ量子でできている。竹内薫がやさしく語る宇宙論

人間のカオルと七三分けの猫カロア。猫のカロアがやさしくカオルに宇宙論を紹介する一冊です。会話形式でやさしい言葉を選んで書かれていますので、難解な内容に思える宇宙論もスラスラと読んで楽しむことができるでしょう。

著者
竹内 薫
出版日
2008-12-23

「わたしやカオルやみなさんは、いったいどこからきて、どこへいくのか。そして、いったいなんのために生きているのか。それを宇宙のつながりで考えてみたい」(『宇宙のかけら』より引用)

このように、小学校高学年ぐらいの子どもでも読むことができそうな平易な文章でありながら、そのシンプルな言葉の中に宇宙の真理が染み渡っています。宇宙の成り立ちを探ることは人の命や生きる意味を突き詰めることでもあるのです。本書は分かりやすい宇宙論の本という要素だけでなく、哲学本としての要素も持ち合わせています。

星と人は同じ量子でできている、そんな真実を知ったカオルの最後とは……。読者を惹きつけるストーリーにも注目です。

宇宙の不思議や神秘的な哲学に触れてみたい人におすすめしたい一冊です。本書を読んだら、あなたの固定概念は引っくり返り、死生観がガラリと変わってしまうかもしれません。

竹内薫が日本の科学の未来を考える

イギリスの科学雑誌「ネイチャー」とアメリカの科学雑誌「サイエンス」を比較しながら日本の科学力について考察した一冊。海外の科学というものの捉え方と日本の捉え方を比較して、日本の科学事件の原因や、今後の日本の科学文化の問題点などを探ります。

著者
竹内 薫
出版日
2011-12-22

日本でも、理科に興味を持っている子は多くいますが、現状としてそれが「科学」という教科になった瞬間、離脱していってしまう子も多いといえるでしょう。
 

それは科学そのものと科学が置かれている社会でのあり方が、あまりリンクされていないから、と竹内薫は説明します。つまり学習した科学的知識が、どのように社会に役立てられ、どのような仕組みによって社会に還元されていくのかというプロセスへの意識が日本では少し欠けているという指摘をしているのです。

純粋に科学という学問を追い続けるのも研究や教育として素晴らしいのですが、やはり海外には違った科学の活かし方と捉え方があると本書では述べられています。本書では視点を海外に広げることで、冷静かつ客観的な論考がなされており、知的好奇心をくすぐる内容を実現しているといえるでしょう。

学生時代、科学に苦手意識を持っていた人にこそ、おすすめしたい一冊です。複雑で難解というラベルを貼られていた「科学」が、グッと身近に感じられること間違いなしでしょう。

何度でも読みたい科学史入門書

科学史についての知識が何もない初心者のために作られたのが本書。サイエンスライターとして活躍する竹内薫が科学という学問の考え方から私たちの生活に潜む科学まで、ゼロから丁寧に教えてくれる科学エッセイです。

科学予想は8割はずれる

竹内薫
新潮社

Googleの入社試験を紹介した項目「科学で世界は変わっていく」は興味深いでしょう。Googleの入社試験には「10円玉の大きさに縮められ、ミキサーに入れられました。60秒後に刃物が回り出します。さて、あなたどうしますか?」という問題が出題されたことがあるそうです。

「後世の歴史家は、Googleに代表される情報革命に、どのような名前を与えるのでしょうか。」(『科学予想は8割はずれるー半日でわかる科学史入門』より引用)

本書ではこんな言葉を使って、世界有数のIT企業であるGoogleがいかに科学的思考の優れた人材を求めているかについて述べられています。私たちが毎日のように当たり前に使っているGoogleが歴史を代表する情報革命のひとつだと考えると、新たなワクワク感が胸に生まれてくるようです。

私たちの生活はもはや科学技術なくしては成り立たないのにも関わらず、私たちの多くが科学について知ろうとしないのはどうしてなのでしょうか?この本はそんな科学から背けられてしまったあなたの顔を、そっと科学の方へ向けてくれるような一冊です。本書を読むことで学べる科学史は私たちに新たな気づきを与えてくれることでしょう。

広くやさしく書かれた科学の入門書

宇宙の始まりはどのようなものだったのか、また宇宙に限りはあるのか……。これまで人類が知りえなかった宇宙の謎を明かしつつある現代宇宙論を紹介しているのが本書です。内容としては、コペルニクス、ガリレオ、アインシュタインの理論から、超ひも理論、ブレーン宇宙まで紹介しています。

図が豊富で、かつ各文章も非常に簡潔に書かれています。宇宙論を知ろうとするときはどうしても特別な知識が必要なのでないかと考えてしまいがちですが、本書は無駄なものを削り本質だけをストレートに伝えてくれるので、宇宙論の輪郭を誰でも捉えることができるでしょう。

ざっくり分かる宇宙論

竹内薫
ちくま新書

導入部分で引き込まれ読み進めていくと、あっという間に宇宙論の基礎が学べている、そんな読者の理解を助ける構成になっています。

例えば、そもそも昔の天文学者たちがどのようにして宇宙の不思議に気づいたのかというエピソードを読んでいると、そのエピソードは宇宙の加速膨張へと発展していきます。そこで作者が科学を勉強しはじめたエピソードで少し休息を取り、その後宇宙の加速膨張を引き起こす未知のエネルギーへと話が進んでいくのです。
 

言われるがままに読み進めていたら、いつの間にか宇宙論の基礎が自分のものになっている、そんな一冊です。本書を読めば新たな宇宙への好奇心を十分に満たすことができるでしょう。

竹内薫が素粒子を解説!面白くて眠れなくなること必至の科学本

素粒子という名前を聞いたことがある人は多いかも知れませんが、それがどのようなものなのか理解している人はあまりいないかもしれません。実は本書で紹介されている素粒子の世界は奇妙で不思議な、とてつもなく魅力的な世界なのです。

著者
竹内 薫
出版日
2013-02-24

本書では素粒子とは何なのかという基礎の説明から、素粒子物理学や素粒子論が掲げる仮説の数々まで、イラストや図とともに分かりやすく解説しています。ダイナミックな印象のある宇宙論から比べると、本質に近いため、あまり目立たないと思われがちな素粒子論ですが、掘り下げてみると何とも独特な世界であることがわかるでしょう。

宇宙を語るうえで欠かすことのできない素粒子。宇宙の始まりの秘密である「超ひも理論」においても重要な役割を果たしています。宇宙がつくり出されるという最大の秘密が、この素粒子には隠されているかもしれないのです。

語りかけるような文章で、スラスラと読むことのできる一冊です。この本に出会わなければ素粒子のことなど気にもかけないかもしれません。それでも一度知ってしまったら、そのあまりにも不思議な魅力を持つ素粒子の世界は、あなたの心を掴んで放さなくなってしまうでしょう。

いかがでしたか?今回は科学の世界が楽しめる竹内薫のおすすめ本を5冊ご紹介しました。最後までお読み頂きありがとうございます。

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