一度読んだら忘れられない!クセのある刑事が登場する警察小説

一度読んだら忘れられない!クセのある刑事が登場する警察小説

更新:2021.12.13

どうも、わちゅ〜さんです。今回は「警察小説」をテーマにご紹介! 探偵が事件を解決するという従来の推理小説とは異なり、その名のとおり警察が中心となって事件に挑みます。最近では映像化される作品も増え、一大ジャンルとして定着。サスペンスや人情物など幅も広く、警察内部の勉強にもなっちゃうというおすすめのジャンルでございまーす!

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私は普段、ファンタジーやSFといった非現実的な作品を好んで読むのですが、気分転換したくなることもしばしば。そんな時! 自然と手が伸びてしまうのが警察小説なのです。警察小説は、私の頭の中を整理してくれる存在。どんなに突飛な話を読んだあとでも、警察小説を読めば元どおーり!! ひゃほーい!! リアリティのある作品が多いためか、頭を現実世界に引き戻してくれるんです。

言うなれば、香水ショップに置いてあるコーヒー豆のような存在(コーヒーの香りで嗅覚をリセットする的なやーつ)。なので私は、ある一定の周期で警察小説を読みます。なくてはならない存在ですわね。はい。そんな私のお気に入り作品を、4冊ほど紹介していきまーす!

犯人に告ぐ

著者
雫井 脩介
出版日
2007-09-13
今回一押しの作品! 今のところ、私の中の警察小説ランキングで堂々の1位に輝いております。

神奈川県にて発生した連続幼児誘拐殺人事件。その捜査責任者に抜擢されたのは、長髪で刑事らしからぬ風貌の主人公・巻島史彦。難航する捜査を打開するため、県警上層部は起死回生の策を練ります。それは、マスコミを通じて目撃情報を集めるとともに、直接犯人に呼びかける「劇場型捜査」というもの。巻島はニュース番組に出演し捜査を試みるが、なかなか思うような成果は出ず。失敗かと誰もが思い始めていた頃「バッドマン」を名乗る犯人から手紙が届き、事件は思わぬ展開へ……。

今作の魅力は、その独特な捜査方法に加え、警察内部でのいがみ合い、報道番組の裏側など盛りだくさん。また、サスペンス色が非常に強く、特に後半戦はドキドキが止まりません! 気持ちが昂ぶって眠れなくなる恐れがありますので、深夜に読むのは避けたほうが賢明です。……えぇ。わたくし、まんまと寝れなくなりました。ご注意を。

隠蔽捜査

著者
今野 敏
出版日
2008-01-29
大人気のシリーズ物! ドラマ化や舞台化、第27回吉川英治文学新人賞受賞といった経歴を持つ傑作。警察小説を語る上で欠かせない存在となりました。もちろん、その面白さは折り紙つき。何を読もうか迷っている方は、まず今作を選んでおけば間違いありません!!

主人公は、警視長・竜崎伸也。現場の刑事ではなく、警察庁のキャリア官僚です。キャリア官僚とは、国家公務員試験をクリアし、幹部候補生として採用された人々のこと。その他の職員(ノンキャリア)とは異なる人事管理が行われており、より早いスピードで昇進します。つまり! エリート街道まっしぐら!! うらやましすぎーる!! そんな羨望の眼差しで見られそうな人物が主人公だなんて、なんだか読んでいると斜に構えてしまいそう……。と思いきや、この竜崎という男、これがまた憎めないやつなんです。

私利私欲とは無縁で、原理原則に忠実。誠実で正義感が強く、部下からも上司からも信頼は厚い。という輝かしい存在の竜崎。おいおい……。まぶしい……。まぶしすぎるぜ兄貴っ…… !! こんなやつ現実にいるのかいな!ってぐらい出来た男なのですが、これがまた共感を呼ぶんですねぇ。はい。

今作の魅力は、登場人物たちの生き様にあると思います。人間追い込まれると本性を現します。正義を貫く者、保身に走る者など実に多種多様。すごーく生々しく描かれています。もはやフィクションだとは思えないほど。納得の面白さでございます!!

凍える牙

著者
乃南 アサ
出版日
2000-01-28
第115回直木賞受賞作! シリーズ物の第一弾にあたる今作は、深夜のファミレスで男が炎上するという衝撃的な事件から幕を開けます。

主人公は、お互いにまったく息の合わない2人の刑事。警視庁機動捜査隊の女性刑事・音道貴子は、長身美貌の持ち主でオートバイが趣味。勝気な性格で無口無愛想。白バイ経験もあり仕事はできるが、男社会の中でもがく日々を送っています。そんな彼女とコンビを組むは、刑事歴15年、現場叩き上げの中年刑事・滝沢保。女性は面倒だと考える昔気質の滝沢は、貴子と組まされたことに対して不満だらけ。この2人のデコボココンビが事件解決に挑みます。

始めのうちは、目を覆いたくなるほどの険悪ムード。滝沢は完全無視を決め込み、口を開いてもイヤミばかり。対する貴子は、イライラしつつも表面上はクールに対応。それがまた気にくわない滝沢。というように、火花バッチバチの状態が続きます。

とにかく噛み合わない2人ですが、捜査が進むにつれ徐々に変化していく関係性こそが、今作最大の魅力だとも言えます。両者の視点で描かれているために感情移入がしやすく、なんだかどちらの意見にも共感してしまうんです。これは読み応えのあるお話ですぞ。事件自体もかなり特殊なので、ありきたりな事件に飽き飽きしている方はぜひ一読を!!

石の繭 警視庁殺人分析班

著者
麻見 和史
出版日
2013-05-15
人気上昇中の「警視庁捜査一課十一係シリーズ」第一弾! 主人公は、警視庁捜査一課十一係の巡査部長・如月塔子。刑事であった亡き父の遺志をくみ、警察への就職を決意。身長152.8cmと小柄で童顔な新米刑事が、猟奇的な殺人事件に挑みます。

物語は、モルタルで固められた遺体が出るという凄惨な事件から幕開け。「トレミー」を名乗る犯人は、捜査本部に直接電話をかけて警察を挑発。その後、何度も電話をかけ続け、揺さぶりをかけてきます。

今作は、個性豊かな登場人物たちの魅力に加え、結末の衝撃度も素晴らしい! 「お前が犯人かっ!!」って突っ込みたくなるほどの展開ですが、フェアなトリックで正統派な印象。事件自体は酷ですが、読後感はスッキリめです。

第七弾まで発売されている今シリーズは、2015年にドラマ化、すでに第二弾の放送も決定(2016年8月現在)。チェックしておいて損はありませんぞ!!

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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