犬養毅の意外と知らない逸話5つ!言論の自由を説いた憲政の神様を知る本も

更新:2021.11.9

5.15事件にて暗殺されてしまった犬養毅。生前の彼は政治家として、どのような功績を残したのでしょうか?この記事では彼にまつわる逸話とともに、より深く知るための4冊の本をご紹介します。

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犬養毅とは?

犬養毅は、大庄屋・郡奉行を勤めていた犬養源左衛門の次男として生まれます。しかし、コレラに罹ってしまった源左衛門は毅が2歳の時に亡くなり、その後の生活は大変苦しいものになりました。

1876年に慶應義塾大学に入学し、在学中は新聞記者として西南戦争に参加しています。その時勤めた新聞社から誘いをうけて大学を中退、記者として活躍をしました。

その後、1882年の立憲改進党設立に参加した頃から政治に関わりはじめ、1890年の第1回衆議院議員総選挙で当選し、そこから42年間で18回連続当選をしています。

政治活動をするうえで、彼は小政党を作っていきました。何度か入閣もするなかで嫌気が差したのか、一時は引退も試みましたが、周りがそれを許しませんでした。

立憲政友会総裁に就いた後、ついに内閣総理大臣に就任します。しかし1932年、彼の政策に不満を募らせた軍部の青年将校が総理公邸に侵入し、暗殺。俗に言う「5.15事件」を起こしました。享年76歳でした。

犬養毅について意外と知らない逸話5つ!

1:尾崎行雄と並んで、憲政の神様と言われていた

憲政とは、独裁を許さず国家の権力を憲法のもとで縛っていく政治です。国民主権の議会政治をおこなうことも含まれています。彼は憲政本党の結成に参加し、その後尾崎の後を引き継いで文部大臣となりました。

2:政敵を多くしてしまうほどの毒舌だった

犬養は周りが心配するほど口が悪く、たとえば遊説中に議論を吹っかけてきた男については、「こいつの頭を治療してやってくれ」などと言ったそうです。この毒舌が、政敵を増やしてしまうことにも繋がりました。

3:政界を引退しようとしていたのに、勝手に立候補届けを出されて当選した

毒舌の一方で、彼がどれだけ人に愛されていたかを示すエピソードです。

小政党を率いることに限界を感じていた犬養は、政界から引退することを考えていました。しかし彼の地元の岡山県の支持者たちはそれを許さず、勝手に衆議院選挙に立候補届を出し、彼を当選させ続けました。

4:困っている人を助けた無欲の人だった

彼は私生活では食事や着るものにこだわらない、無欲の人でした。また中国やインドから亡命してきた人を無償でかくまったり、議会で働く少年を引き取って学校に通わせたりするなど、自らの信念に沿った行動をしています。

5:祖先も子孫もすごい

桃太郎に出てくる犬のモデルになった、犬養建命が遠祖だという伝承があります。また彼の子孫には、国連で活躍した緒方貞子、エッセイストの安藤和津、政治家の犬養健など、有名人が多数いるのです。

アジアの中の日本、隣国中国との友好のために尽力した犬養毅

政治家として、筋を曲げずに主張し続けた犬養毅。そのなかでも取りあげられるべきは、アジアとの共同論者だったことです。

孫文、蒋介石、ラス・ビハリ・ボースをかくまっていたこともあります。すべてはアジアとの友好のためだったのです。

著者
["犬養 毅", "鵜崎 熊吉"]
出版日
2007-01-30

犬養毅という人物はどのような人だったのかということを、内面と外面から記した本となっています。

彼はどんな人に影響を受けてきたのか、その横顔と論点・思想を語る2部構成となっており、彼の人柄を知ることができるでしょう。

アジアという地域において、犬養は独自の外交を展開していきます。政治亡命者を多数助けて、日本との繋がりを意識して行動するのです。

偉人の人生から何かを学びたいと考えたなら、まずは憲政の神様、犬養毅の生き方からヒントをもらいましょう。
 

武士のように生きたかった、ひとりの男の理想と現実

犬養の人生は、どのようなものだったのでしょうか。筋を通し、最期は非業の死を遂げています。

義理と人情で動いた政治家としての側面と、多彩な趣味を持っていた趣味人としての側面。どちらから見るかで、その人物像は変わっていきます。

著者
時任 英人
出版日

彼はひとりの男としてどう生きたのか、 何を大事にしていたのかが分かる、人生を記した本です。「武士として死にたかった」という言葉は、彼が実直な人物だったことを表しているでしょう。

人と人との繋がりを大切にし、義理と人情で動いた犬養毅。人間味があるからこそ、政治家としても多くの支持者を得ていたことがわかります。

家族の視点からみた犬養毅

政治家の家族は、どのような思いを抱いて当人を見ているのでしょうか。

辛さを分かちあい、ともに過ごしていく家族の気持ちは、政治家の家族になってみないと分からないものです。
 

著者
保阪 正康
出版日
2010-05-22

政治家にだって、家庭でしか見せない顔や身内だけが知っている顔があるはずです。本書は、犬養をはじめとして東條英機や吉田茂などの政治家を、家族の視点から見つめた様子が綴られています。

犬養については、彼の孫の道子が語っていて、家族の暮らしの実態に迫るともに、彼の素顔が分かります。
 

ひとりの老政治家から見た、犬養毅

作者の古島一雄は、犬養毅とともに行動をした政治家です。

大正デモクラシー、政党政治の確率、そして暗殺……ともに行動していた古島は、犬養のことをどう見ていたのでしょうか。
 

著者
古島 一雄
出版日
2015-11-21

本書はジャーナリストの緒方竹虎との対談形式で進んでいきます。談話のなかで古島は、自分と犬養とのあいだには2人にしか分からない心の通じあいがあった、と語るのです。

基本的に古島は表には出ず、裏から犬養を支える役目でした。自身が政界を引退した後も、犬養の参謀として政策のアドバイスしています。

激動の時代を、2人がどう乗り越えていったのかがわかる一冊です。
 

読んでみたいと思う本は見つかりましたか?高潔で自分に正直に生きた犬養毅という人物に、興味を持って頂ければ幸いです。

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