スクールカウンセラーになるには?5分で分かる仕事内容や役割、資格など

更新:2021.12.3

自分の通っていた学校にスクールカウンセラーはいましたか? 悩みを打ち明けたり、何か相談したりして、心が軽くなった方、助かった方もいるかもしれませんね。今や多くの学校に配置されているこの職業は、一体どんなものなのでしょうか。

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スクールカウンセラーの仕事内容は?年収など

スクールカウンセラーは、小中学校や高校といった教育機関で、子どもたちの心のケアをする仕事です。

以前は教師や周りの大人たちが協力して子供たちのケアをしていました。しかし、近年のいじめの問題や不登校児の増加によってそれらが難しくなり、専門家として配置されたのがスクールカウンセラーです。平成7年度から文部科学省がこのような問題に力を入れ始め、心の専門家として配置されました。

主な仕事としては、子ども一人ひとりの心の問題に向き合い、それの解決のためのアドバイスや働きかけをすることです。多感な時期の子どもたちは、置かれている環境や個人によって、悩みやその深さが異なります。そのため、カウンセラーは一人ひとりの心に寄り添っていくことが不可欠となります。

また、必ずしも子どもたちだけを相手にするわけではありません。問題解決のため、教師や保護者に働きかけていくこともあります。子供の悩みを解決するために何をすべきか一緒に考え、働きかけていくなど、大人との連携も重要な職業です。

では、気になる収入はいくらなのでしょうか。

現在、スクールカウンセラーとして働く人々のほとんどは「非常勤講師」という立場で学校に在籍しています。したがって、週に何日か決められた時間に出勤という非正規雇用の形になりますので、時給制のお給料が多いようですね。

勤務先によって異なりますが、時給3000~5000円ほどが平均のようです。時給としては高いかもしれませんが、求められる専門性や責任が反映されているといえるでしょう。

また、非常勤のため、トータルの月収で考えればそれほど多くはありません。地域の学校に掛け持ちで在籍したり、私立の学校に勤めていればひと月30万円以上稼げる場合もありますが、人によっては15万円に届かないこともあるようです。

子どもたちのメンタルケアに関わる職業ですので、これからの雇用環境の改善が求められますね。

スクールカウンセラーになるには?資格は必要?

さて、スクールカウンセラーになるにはどのような道があるのでしょうか?

まず、この職業に就くには「精神科医」「大学教員」の職に就くか「臨床心理士」の資格を取得していることが望ましいです。必ずしも上記の職業や資格が必要というわけではないですが、実際採用の現場ではそういった有資格者が優遇されています。

特に臨床心理士の資格は取得している人も多く、この資格取得がスクールカウンセラーに就く近道ともいえます。臨床心理士の資格取得には、指定の大学院・専門職大学院にて勉強、受験資格を取得ののち、日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格することが必要です。

資格取得後、実際に求人を探すには各都道府県の教育委員会のHPをこまめにチェックしましょう。勤務先は各学校となりますので、教育委員会から求人が出ます。ハローワークに出ている場合もありますが、こちらをチェックするほうがいいでしょう。

大体秋から冬にかけて次年度の求人募集が掲載されます。ただし、非常勤職員の募集が多いので、時給や仕事量を確認し、生活できる給与が見込めるるか、検討を必ず行いましょう。地域や年度によって求人が出ないこともありますので、こまめに情報収集することが大切です。

スクールカウンセラーの役割とは?

学校生活というのは、楽しいことばかりではありませんよね。

クラスになじめない、部活仲間とケンカしてしまった、先生と衝突してしまう。小さなことでも、それをきっかけにどんどん問題が大きくなり、いじめや不登校につながることもあります。

そのようなトラブルを防ぎ、解決し、子どもたちの健やかな成長を手助けするのがスクールカウンセラーの役割です。

教師や保護者にもなかなか言いにくいことも、指導や成績付けを行わず、中立の立場で見てくれるという安心感のある先生にはいえる、ということもあるのではないでしょうか。専門知識を持ち、誰にも相談できないことも聞いてくれる存在なのです。

 

臨床心理の第一人者の講演録

著者
河合 隼雄
出版日
2008-08-31

日本臨床心理学のパイオニアといわれる河合隼雄のスクールカウンセラー向けの講演録。著者が亡くなる前に全国での研修会で語られた8講演が掲載されています。

学校とはどういう場所で、どういう集団が形成されているかという話から、その中でスクールカウンセラーはどのような立ち位置でいるべきかなど、自分が学校に所属するにあたってどのような働き方をしていくべきか、考えを深められる1冊。

日本の文化や個人と集団、などテーマに沿って学校という特殊な場にある子どもたちの心情と、それに寄りそうこの職業のあり方が語られており、この仕事のすばらしさとエッセンスがぎゅっと詰まっている本です。

柔らかい語り口の中からも、河合さんのカウンセリングへの情熱が伝わってきます。

 

実践で役に立つワークがたくさん

著者
["増田 健太郎", "小川 康弘"]
出版日
2015-07-31

スクールカウンセラーとして、また教師として、子どもと向き合うために活用できる様々なプログラムをまとめた本です。著者は30年以上高校教師を務め、生徒の心の問題に向き合ってきました。それで得た知見を生かしたものをワークにしてこの本で紹介しています。

「自分を知ろう」「他者を知ろう」といったいじめや問題が起こる前におこなう心理的教育のプログラムや、「いじめ問題を解決する」などといったより具体的な問題が起きたときのワークまでわかりやすく掲載。

出版社のHPからワークをダウンロードすることもでき、それぞれの問題や授業展開に合わせて子どもと取り組み問題解決へ導いていきます。

カウンセラーとしてどういったプログラムを組むか、どのようなワークが効果的なのか自らも取り組みながら考えていける1冊です。

子どもの心を自信で満たしてあげる

著者
森田 直樹
出版日
2011-08-30

不登校の子どもを持つ保護者へ、スクールカウンセラーである著者がまとめた1冊。

不登校になってしまった子どもがどうしたら学校へ行けるようになるのか。それは、「子どもの心のコップを自信の水で満たす」ことが必要でした。1日3分、子どものことを褒めることで彼・彼女らは自信を取り戻し、未来へと歩き出します。

家庭や学校に不登校の原因があるのに、子どもたちが自分に問題があると思い込み不登校になってしまう。それらを救うには地道な声かけが重要であることが語られ、どのようにすれば再登校できるようになるのかが順にまとめられています。

実際の不登校の子どもと、その親たちの体験談も掲載されており、どのようなことを実行したか、するべきかなど章ごとにわかりやすく読みやすくなっています。

スクールカウンセラーは、多感な子どもたちの手助けをする重要な職業といえます。資格はもちろんですが、心に向き合うために日々勉強と研鑽を積み重ねていくことが重要になってきます。ぜひ、ご紹介させていただいた本を手に取り、自身のスキルアップにつなげていってください。

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