5分で分かるフランス革命!流れや原因を分かりやすく解説!

更新:2021.11.10

世界で最も有名な市民革命の一つ「フランス革命」。絶対君主制を崩壊し、新たな近代国家体制を築くきっかけとなった市民革命は一体どのように始まり、その後にどんな影響を与えたのでしょう?この革命を理解するための、おすすめ書籍をご紹介します。

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絶対君主制を崩壊したフランス革命とは?

「フランス革命」は、18世紀後半(1789年〜1799年)フランスで起きた市民革命運動です。

この革命によって、王が絶対的権力を有した絶対君主制時代と、それまでの封建的体制が崩壊しました。そしてこの革命によって、フランスが新たな近代国家体制を築いていくこととなったのです。

フランス革命一連の流れ

さまざまな状況と思惑が絡まりあって、1789年パリ・バスティーユ牢獄の襲撃を皮切りに、フランス革命が勃発します。

この革命は、もともと「ジロンド派」という中級層の市民たちが中心となった穏健派が中心となっていました。しかしその後、「ジャコバン派」という低階層の市民たちが中心となった過激派が現れ、この2派同士の対立も深まり、ジャコバン派によるジロンド派の排斥が広がっていきます。

そしてジャコバン派の指導者マクシミリアン・ロベスピエールが中心となった「恐怖政治」が始まります。彼らは革命裁判所を設立し、フランス国王ルイ16世、王妃マリー・アントワネットの処刑に始まり、次々と貴族・聖職者、そしてジロンド派の人間たちをも捕え、処刑をしていったのです。

このように、フランス革命以後、フランスは混沌の時代へと入っていきます。そんな時、台頭するのが天才軍人ナポレオン・ボナパルトなのです。

では、なぜこの革命が起こったのか、そして2人の歴史的人物であるマリー・アントワネット、ナポレオンがこの革命とどのように関わったのか、見ていきましょう。
 

フランス革命が起こった原因とは?①不平等な封建制度

革命以前の旧体制を「アンシャン・レジーム」と呼びますが、この旧体制の象徴が、階級制度でした。

この制度は、聖職者・貴族・平民のピラミッド式となっており、特権身分(聖職者と貴族)と平民の割合はなんと2対98。特権身分の人間は税免除をされていたので、平民たちは特権身分者たちの贅沢な暮らしのために、働き続けなければいけなかったのです。
 

さらに、当時フランスは慢性的な財政難に陥っていました。そしてその補填は増税によってなされていたので、平民の負担はさらに増え、聖職者や貴族に対する不満は膨らんでいったのです。

フランス革命が起こった原因とは?②厳しい経済状況

当時のフランスはルイ15世時代から続いていた負債に加え、軍事費に莫大なお金がかかっていました。というのも、フランスにとっても最大の敵国・イギリスが、アメリカ独立戦争を始めたため、アメリカに巨額の軍事支援を行っていた他、欧州内での戦争も続いていたのです。

このような軍事費への投資が、厳しい財政状況を作り出していました。それに加え、当時フランスは歴史的な小麦の不作に見舞われ、パンの価格が高騰。市民の怒りは最高潮に達してしまうのです。

フランス革命が起こった原因とは?③啓蒙思想の活発化

この頃、ルソー、モンテスキューをはじめ、多くの啓蒙思想家がこのような旧体制のフランスに疑問を持ち始め、新しい民主的な近代国家体制の考え方を提案していきます。

このような提案は新しい希望を示すというだけでなく、現在いかに不遇な扱いをうけているかということを市民たちに知らしめる結果となりました。そんな思想家たちの声が原動力となり、市民を革命へと駆り立てていったのです。

新国家体制を再建したナポレオン・ボナパルト

フランス領コルシカ島出身の軍人ナポレオン・ボナパルト。ちょうど彼が砲兵士官として任官した頃、フランス革命は勃発します。ナポレオンはその類い稀な戦術力によって瞬く間に昇進し、革命勃発から7年後の1795年、パリで起こった暴動(ヴァンデミエールの反乱)を大胆な砲術で鎮圧したことから、国内軍司令官の地位を手に入れました。

そんな彼の率いるフランス軍には、その後革命の流れによって次々と志願兵が入隊し、欧州制覇への道を歩み始めます。

そして、1798年ナポレオン軍がエジプト遠征に成功した後、彼は側近者とともにパリでクーデーターを起こし、フランス新領政府を樹立。この出来事が、実質的にフランス革命が終焉を迎えた瞬間とされています。そして1804年、ナポレオンはフランス皇帝ナポレオン1世となり、フランスに新しく軍事独裁政権を樹立するのです。

彼は欧州制覇を目指す一方、民衆の自由と平等を実現するため、現在のフランス民法の土台ともなる「ナポレオン法典」を公布するなど、今まで民衆を苦しめてきた封建制度に代わる新しい社会体制づくりをしていきます。しかしロシア遠征失敗によってナポレオン1世の時代は終焉しました。

革命の道具にされた悲劇の王妃マリー・アントワネット

フランス革命の道具とされてしまったのが、ハプスブルク家(現オーストリアとその周辺)出身、ルイ16世王妃マリー・アントワネットです。

彼女が残したとされる言葉「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」からもわかるように、彼女は貧しい市民たちに目もくれず、豪華絢爛な生活に溺れていました。そして彼女こそがフランス財政破綻の根源であったと理解されがちでした。

しかしこれは非常に誇張された事実だったのです。確かに彼女は今までの王族同様に豪華絢爛な生活をしていました。しかし彼女がフランスを財政破綻に陥れるほど浪費したという証拠はどこにもなく、実は彼女が敵国ハプスブルク家出身であったことを妬んだヴェルサイユ宮殿内の貴族たちの企みによって、このような誇張したイメージや噂がパリ中に広められたとされています。

噂が一人歩きして、彼女は「浪費家の王妃」「フランスの悪の根源」と市民の怒りを爆発させるはけ口となってしまったのです。いわば彼女は、「革命のための道具」となった悲劇の王妃と言えます。

フランス革命のその後

皇帝ナポレオン1世による軍事独裁政治が始まり、フランスは欧州全土へと領土拡大を目指すものの、ロシア遠征失敗によりナポレオン1世は失脚。その後、彼は一時的に政権を再獲得しますが、程なくして再度ブルボン家に政権が渡ります(ワーテルローの戦い)。

ルイ18世による王政復古後、フランスは数度の市民革命とともに(7月革命(1830年)、2月革命(1848年))、混沌の時代と国家再建を重ね、近代国家、そして現代国家への道へと進んで行きます。

そして21世紀の現代。この「フランス革命」は、勃発から220年以上経った今でもフランス国民にとって重要な歴史事項であり、今でも革命時のスローガンとされた「自由・平等・友愛」という言葉はフランス国家の理念として掲げられ、革命が行われた7月14日には毎年、ナポレオンが建てた凱旋門前で壮大なパレードが行われ、国民全員がこの日を祝います。

フランス歴史学習の初級者にもおすすめの一冊

18世紀フランスで「自由・平等・友愛」というスローガンのもと、民衆の力によって圧倒的権力を有していた君主制を打ち破ります。

しかし、この改革によって数え切れない程の多くの尊い命が奪われたのも事実。自由、平等、そして理想国家とは一体何なのか……わかりやすい平易な文章表現で的確に論じています。

著者
遅塚 忠躬
出版日
1997-12-22

中学生向けの書籍とはいえ、とても鋭い視点からわかりやすくフランス革命を説明しています。

複雑な時代背景について、要点を的確に捉えながら丁寧に解説しており、読みごたえも十分。フランス歴史学習の初級者におすすめの一冊です。

フランス革命の主要人物に焦点を当てた本

フランス革命の始まりから終焉、つまりバスチーユ陥落からナポレオン戴冠までの大きな時代の流れを追いながら、それぞれの時代の瞬間に関わってきた立役者、陰で時代を動かした人物や女性たちを紹介しています。

客観的な立場から読み解いているため、偏りなく当時の歴史を学ぶことができるでしょう。

著者
安達 正勝
出版日
2008-09-01

当時を生きたさまざまな人物の人生を丁寧に追っており、気がついたらこの本の世界にはまってしまう、そんな作品となっています。

フランス革命の基本的な流れを理解された後に、より深く当時の人物たちを理解したい、という方におすすめです。
 

フランス革命直後に書かれ名著

著者のエドマンド・バーク(1729−1797)は、イギリスの政治思想家です。本書はもともと、フランス革命が勃発しているまさにその最中に書かれたもので、1790年初版後何度も再版されています。

多くの犠牲者を出したフランス革命、そしてその後の軍事独裁政権のあり方について、当時のイギリス政治と対比しながら書かれています。

著者
エドマンド バーク
出版日
2011-03-01

フランス革命の渦中に書かれたこの名著から、フランス国外から見た時に、この革命のあり方、そしてその後の近代国家作りのあり方がどうあるべきだったのか、客観的に捉えられる一冊です。

さまざまな思想の存在する社会の中で「理想国家とはどういうものなのか」を考えさせられます。

フランス革命の意義を深く情熱的に綴った本

フランス近代史において最も重要な歴史事項となったフランス革命について、当時のフランス市民に基軸を当てて綴られた作品です。

本巻は1789年の3部会招集から1792年のヴァルミーの戦いでの勝利までを綴っています。
 

著者
ジュール ミシュレ
出版日
2006-12-01

1850年頃に書かれたこの名著。150年以上経った今でも、フランス歴史家として名高いジュール・ミシュレ(1798−1874)の豊かで情熱溢れる文章表現によって、どんどん本の世界に引き込まれていきます。

そして、当時このフランス革命がどのように人民に捉えられていたのを深く理解できるでしょう。

革命の様子を生き生きと描いた長編小説

全12巻のうちの1巻目である本書は、3部会招集から1789年に開始された国民議会までの話を描いています。

本巻では、特にジャコバン派の主要人物であるロベスピエールに焦点を当てて時代背景を追っています。

著者
佐藤 賢一
出版日
2011-09-16

長編小説家としてよく知られる本著者ならではの、フランス革命を彩りよく描いた長編小説の第1巻です。

12巻のシリーズとはいえ、一冊が比較的薄いので、意外とすらすら読めてしまうでしょう。フランス革命の時代を生き抜いたさまざまな歴史人物たちの様子が、臨場感をもって表現されています。

このように、フランスの近代史において最も重要な出来事であったフランス革命。フランスという国が、今なぜ多様性を受け入れる民主国家であることを大事にしているのか、歴史の観点からも理解することができますよね。そしてこの革命は世界の近代史においてもたくさんの影響を与えた出来事でもあります。

ぜひおすすめの5冊を通して、さらに深く、フランス革命の実態について迫ってみてはいかがでしょうか?

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