松岡圭祐のおすすめ作品6選!魅力的なヒロインがずらり!

更新:2021.11.24

数々のヒット作を生み出し続けている松岡圭祐。彼の作品の特徴として、主人公が皆魅力的であるということが挙げられます。エンターテインメント性の高いストーリーで、今や注目の作家となった松岡圭祐のおすすめ作品6選をご紹介します。

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松岡圭祐作品はエンタメも楽しめる推理小説多数!

松岡圭祐は1997年にデビューした日本の推理小説作家です。

作家になる前は催眠術師としてテレビ出演していました。その時の経験を元に執筆したデビュー作の『催眠』がいきなりミリオンセラーとなり、人気作家への道を歩むこととなります。

その後、松岡圭祐は1999年に発表された『千里眼』をはじめとして次々とヒット作を生み出し、映画化やドラマ化もされました。

高校や大学の入試問題へ使用される事も多く、特に『ミッキーマウスの憂鬱』は第31回NHK杯全国中学校朗読コンテストの朗読部門課題作に選出されました。

作品の文庫化の際には大幅な加筆や改稿、文庫オリジナルの展開で読者を最大限に楽しませる工夫をするなど、松岡圭祐は作品と読者への思いの深さが伺えます。

元自衛官の臨床心理士が日本を救う!

主人公は女性初のF-15Jパイロットとして航空自衛隊の自衛官を務めていた岬美由紀。
楚樫呂島災害で命令を無視して人命救助を行ったことで彼女は査問会議にかけられます。しかし、その責任を取らされたのは美由紀ではなく、彼女の命令違反をかばってくれていた上官の板村でした。

板村の除隊処分に納得がいかない美由紀は自らも自衛隊を辞め、板村の処分理由となった「トラウマ理論」が誤りであると証明するため、臨床心理士を志します。

戦闘機パイロット時代に培われた動体視力と臨床心理士になるために身に着けた知識が合わさったことで、彼女は人の顔を見ただけで心を読めるようになっていきました。

数年後、「千里眼」と呼ばれるほどの臨床心理士となった美由紀は、飛行機爆破テロを防ぐために奔走。そのさなか、過去に上官・板村の処分理由を唱えた精神科医・笹島と再会し……。

著者
松岡 圭祐
出版日
2007-09-25

賢く、強く、美しいスーパーヒロイン・岬美由紀の活躍が描かれています。

『千里眼 The Start』から始まる角川文庫版 は小学館版の続編の位置づけとされていますが、美由紀が自衛官を辞めた経緯や臨床心理士になるまでの過去も描かれており、小学館版を読んでいなくても楽しめる内容となっています。

元自衛隊パイロットの臨床心理士という異色の経歴を持つヒロインがどんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみな松岡圭祐の作品です。

どんなものでも鑑定できる若き鑑定家!?松岡圭祐の人気作

人の死なないミステリーとして人気が高い松岡圭祐の作品が、『万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ』です。この作品は、「万能鑑定士Q」シリーズの第一作。

週刊角川の記者・小笠原は巷を騒がせている「力士シール」の取材を命じられます。

シールが大量に貼られたガードレールを入手したまでは良かったのですが、シールの鑑定を頼んでいた鑑定家に断られてしまい、急いで別の鑑定家を探す事になります。

困った小笠原はネットで「万能鑑定士Q」という店を見つけ、その店に行ってみる事にしました。

なんとその店は凜田莉子という若い女性が1人で営む店だったのです。

著者
松岡 圭祐
出版日
2010-04-24

莉子はちょうど、1人の客が持ち込んだ絵画を鑑定中でした。その客も若い莉子の鑑定眼に不信感を抱いているようでした。

驚く事に、莉子はその絵画を見ただけで贋作であると見抜いただけでなく、客が絵画を持ち込んできた経緯まで言い当てたのです。

小笠原は更に莉子の鑑定眼を確かめるために自分の腕時計を鑑定させますが、またしても莉子は小笠原の素性まで正確に言い当てました。

彼女の素晴らしい鑑定眼を目の当たりにした小笠原は、莉子に力士シールの鑑定を依頼する事になり……。

論理的思考(ロジカルシンキング)を武器に難事件に立ち向かうヒロイン・凜田莉子。明晰な頭脳とは裏腹に天真爛漫なところが多い彼女ですが、高校時代までは全く勉強ができなかったという過去を持ちます。

聡明さと親しみやすさ、どちらも兼ね備えたヒロインがどのように難事件に挑むのか、非常に展開が気になる松岡圭祐の作品です。

ひらめきの小悪魔がすべてを解決!

松岡圭祐の「万能鑑定士Q」シリーズの姉妹作にあたるのがこちらの『特等添乗員αの難事件Ⅰ』です。「万能鑑定士Q」シリーズとはまた違ったヒロインが登場します。

中学を卒業して以降ずっと実家暮らしのフリーターをしていた浅倉絢奈は、キャビンアテンダントをしている姉から「クオンタム」という旅行会社の採用試験をすすめられました。しかし結果は不採用。落ち込んだ絢奈はバーでヤケ酒を飲んで酔いつぶれてしまいます。

時を同じくしてそのバーには官僚・壱条那沖も来店していました。彼はバナナの密輸入の強制捜査が失敗に終わった責任を取らされて観光庁に左遷されたばかりでした。

昼間に偶然「クオンタム」に立ち寄っていた那沖は絢奈の添乗員実技試験の現場を目撃していたのです。

添乗員として基本的な知識さえ無い絢奈を見て確実に不採用だろうと感じていた那沖ですが、「クオンタム」の社長に絢奈の間違いだらけの筆記試験答案を見せられた時、心に引っかかりを覚えていました。

彼女の答案は確かに試験の解答としては不正解でしたが、設問の答えとしては成り立っているものばかりでした。那沖は彼女には自分の論理的思考(ロジカルシンキング)とは真逆の水平思考(ラテラルシンキング)の才能があるのではないかと感じ取っていたのです。

バーのマスターの謎かけにあっさりと答えていったこと、そしてバーのテレビで流れた映像に対する絢奈の発想に、那沖はその才能を確信しました。

そうして絢奈は那沖の専属運転手であり、元教育係である能登に水平思考(ラテラルシンキング)の使いこなし方と一般的な教養を叩き込まれることになり……。

著者
松岡 圭祐
出版日
2012-02-25

水平思考(ラテラルシンキング)とは思いつきやひらめきによって答えを出すという思考法です。作品の随所で絢奈のひらめきの数々を見られます。

また、絢奈が水平思考(ラテラルシンキング)の使いこなし方を身につける過程もストーリーと連動して描かれているので、ストーリーを追いながら彼女の成長も共に楽しむ事ができる、松岡圭祐の作品となっています。

探偵を調査する探偵の事件簿!松岡圭祐が復讐に燃えるヒロインを描く

北川景子主演でドラマ化もされた作品です。

探偵を調査する探偵・紗崎玲奈が活躍する『探偵の探偵』はこれまでの作品と異なり、非常にハードボイルドな内容となっています。

探偵養成所であるスマPIスクールに入学した紗崎玲奈。彼女にはストーカーに妹を殺された過去がありました。

未成年である玲奈がスクールに入学してきたのを不審に思った社長の須磨は彼女を調べ、過去の事件の事、そして事件が起きた原因がストーカーに妹の情報を与えた正体不明の探偵にある事を知ります。

玲奈の入所目的がその探偵への復讐にあると感じた須磨は彼女を退所させようとしました。しかし玲奈の涙ながらの訴えを受け、ある条件と引き換えに彼女を本格的に探偵として養成しました。

2年後、玲奈は須磨が経営する調査会社「スマ・リサーチ」の社員となり、新設された対探偵課という部署に配属されます。

それは玲奈の為に須磨が作った彼女1人の部署でした……。

著者
松岡 圭祐
出版日
2014-11-14

「万能鑑定士Q」シリーズや「特等添乗員α」シリーズと違い、殺人事件や暴力行為などの描写が出てくるなど、緊張感溢れるシーンが多いです。

本作のヒロイン・紗崎玲奈は笑顔を見せることのないクールな女性で、どんな事態にも冷静に、時には暴力や違法行為すれすれのことも辞さずに対処します。

しかし物語が進むにつれ、彼女の抱く葛藤や悲しみが明らかになっていき、とても引き込まれる松岡圭祐の作品となっています。

文科省のヒラ事務官はどんな不正も見逃さない!

文部科学省勤めの公務員であるヒロインが活躍する作品が『水鏡推理』です。

ヒロインである水鏡瑞希は国家一般職試験に合格し文科省に入庁した事務官で、官庁勤めの公務員といっても下っ端にあたります。

総合職と一般職の関係性などもリアルに描かれている松岡圭祐の作品です。

文科省一般職事務官の水鏡瑞希は東日本大震災の仮設村で、被災者のある不正を暴きます。
その事を問題視され、瑞希は「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」に異動になります。
そこでは書類整理などの雑用ばかりをさせられ、意見しようとすると総合職官僚達から冷たい視線を送られます。

しかし、税金の不正使用を決して許せない瑞希は、持ち前の推理力を武器に研究機関の不正を次々と暴いていきます。

不正を見過ごせない正義感と行動力には、彼女のつらい過去が関係していました……。

著者
松岡 圭祐
出版日
2015-10-15

霞ヶ関を舞台に、様々な悪事をヒロインが暴いていくというストーリーになっています。

瑞希が所属するタスクフォースですが、実は文部科学省に実在する部署なのだそうです。東日本大震災などの時事的な要素もふんだんに盛り込まれています。

ヒロインが不正を次々と暴く様が痛快で、楽しく読める松岡圭祐の作品です。はまること間違いなし。

誇り高き職業。笑顔に隠された葛藤を描いた松岡圭祐の長編作

「夢があるのはオンステージ。バックステージにあるのは現実だけ」(『ミッキーマウスの憂鬱』から引用)

夢と魔法の王国のディズニーランド、その裏側の人間くさいドラマを作品です。

バックステージと呼ばれる裏方の美装部で働くことになった21歳の青年、後藤大輔が就任から3日間で体験したのは、裏方の現実。正社員と準社員の格差、同僚同士の対立、演者同士の葛藤や軋轢、ディズニーランドに対する誇りを誰もが持っているのに、どこかかみ合わない現実がありました。後藤は彼らそれぞれの仕事に対する誇りに触れて、自分もキャストとしての自覚と誇りをもって成長していきます。

「すべてが手作りだってことが嫌というほど理解できたから、僕たちが支えてなきゃいけない」「ゲストのためにディズニーランドは存在するけど、それを維持しているのは会社の偉い人でもなければ、スポンサーでもない。わたしたち」(『ミッキーマウスの憂鬱』から引用)

 

著者
松岡 圭祐
出版日
2008-08-28


この作品の見どころは、仕事に誇りや自信を持つことの大切さを教えてくれるところです。ただの青春群像劇でかたづけられるのではなく、仕事とは何かということや、何を自分は支えているのかという事を考えさせてくれる作品です。

松岡圭祐の作品は、『万能鑑定士Qの事件簿』(2010年)や『探偵の探偵』(2014年)などに代表される推理ものが多くありますが、どれも職業が中心軸にあります。2005年に 新潮社より出された本作はその職業に対する視点の原点にあるように感じられ、推理ものとはまた違った魅力を放っています。

松岡圭祐が本作に込めている想いは、職業者の仕事に対する葛藤です。表情やしぐさそれぞれが細かく描かれており、また登場人物ごとに視点を変えて見せることで心模様をうまくとらえています。これはほかの作品にはあまり見られない特徴でしょう。

夢にくじけそうなとき、仕事をどこか惰性に感じているとき、少し思い返してみませんか?


魅力的なヒロイン達を数多く描いてきた松岡圭祐。彼の作品はどれも非常にエンターテインメント性が高く、読まずにはいられないものばかりです。

松岡圭祐が生み出したヒロイン達の活躍を、是非作品を読んで確かめてみてください。

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