『嘘にも恋がいる』が面白い！切ない恋愛漫画を最終回までネタバレ紹介！

『嘘にも恋がいる』は、河井あぽろが描いている恋愛漫画。

主な登場人物は、幼馴染の裕貴に思いを寄せている三嶋夏芽（みしまなつめ）、夏芽の幼馴染である小林裕貴（こばやしゆうき）、年上の彼女がいた高槻ちかげ（たかつきちかげ）、裕貴に思いを寄せている一式優里亜（いっしきゆりあ）、高槻ちかげの彼女だった佳奈（かんな）です。

夏芽は、幼馴染の裕貴を振り向かせるために、そしてちかげは別れた彼女である佳奈を振り向かせるために、恋人同士のフリを始めました。駆け引きのために始まった2人の嘘の関係ですが、失敗続き……。

彼らの恋路はどうなるのか、最後まで見届けたくなる切ない恋愛漫画です。

夏芽は幼馴染の裕貴を振り向かせるため、ちかげは元カノの佳奈を振り向かせるために始めた嘘の関係。そこにお互いに対する恋愛感情がないと思うと、切なくなります。

「お互いに依存してたし　夏芽が他の男と付き合えば　小林だって少しはお前のこと意識すると思ってたのに」（『嘘にも恋がいる』1巻より引用）

夏芽のためを思いながら言ったちかげのセリフには、相手を元気づけるのと同時に、夏芽に対する恋愛感情の無さを伺うことができます。

「この手が待っている人は　私じゃ　ない」（『嘘にも恋がいる』3巻より引用）

夏芽がちかげを思う健気さが垣間見える言葉です。

出会ったばかりの頃は確かに恋愛感情を抱いていなかった2人ですが、水族館でダブルデートをした際、夏芽は佳奈とちかげがキスをしているところを目撃してしまいました。突然の出来事に理解することができなかった夏芽は、水族館を飛び出してしまいます。

それをちかげが追いかけた時に夏芽が言った言葉に、胸がぎゅっと詰まるような切なさを感じることができるでしょう。

佳奈に自分たちの嘘の関係をバラしてしまった夏芽は、今の気持ちを伝えることにしました。

「私ちかげ君と嘘の恋人していたら……本当に　好きになったっぽくて！！　だ だから佳奈さんがぼーっとしてたら　私がもらっちゃいますからね！？」（『嘘にも恋がいる』第59話より引用）

佳奈を揺さぶるために夏芽が言ったセリフには、ちかげを想う気持ちが詰まっています。

嘘つきな夏芽と嘘つきなちかげの恋がどうなるのか、切なくも心温まる展開から目が離せません。

「それは私のこと可愛いって言ってほしくて　そして　私のことを　好きに　好きになってほしくて」（『嘘にも恋がいる』3巻より引用）

文化祭の日。裕貴に可愛いと言わせたくて奮闘していた夏芽が考えていた言葉です。このセリフひとつで、彼女がどれだけ裕貴を好きなのかがよく分かります。可愛いと思って欲しい、好きになって欲しいという切なる願いが詰まっているシーンです。

「佳奈さんの本命になれなくてもいいから　ただ傍にいたいんです」（『嘘にも恋がいる』4巻より引用）

こちらは、元カレに振られた佳奈にちかげが言ったセリフ。年上の佳奈に年齢を理由に断られたくなくて、20歳と偽ってまで彼女を引き止めたかったちかげの必死さが垣間見えるセリフに、胸キュンします。

「そこには俺達しかいなくて　隣では佳奈が笑っててさ　とても幸せだった」（『嘘にも恋がいる』第52話より引用）

水族館でダブルデートをしていた、ちかげと夏芽、そして佳奈と佳奈の彼氏である旭の4人。ひょんなことから、ちかげと佳奈は夏芽と旭とはぐれてしまいました。静かな水族館で、ちかげが思い出話を始めた時に言った言葉です。

彼がどれだけ佳奈のことを好きだったのか、本音が見える言葉に思わず切なくなります。

色々と事件があった文化祭も終わり、4巻では秋がやってきます。ひと息つけるかと思いきや、今回はついにちかげの元カノであり、思い人でもある佳奈が登場します。

それはちかげのこんな一言から始まりました。

「お前　今日の放課後ヒマ？
ちょっとデートしよ」

それに驚きながらも連れて行かれた先はファミレス。やっぱりそんなことだろうと思った、という夏芽に、ちかげは「え　何？なんか期待してた？」と聞きます。

さっきからちかげはイケメンにしか許されない発言ばかりです。まったく、自分に相当自信があるんですね……。いや、イケメンだからやっぱり許せてしまうんですが。

今日の用は何なのか、と聞く夏芽に、ちかげは本当に自分のことを応援してくれるんだよね、と念押し。もちろんだという彼女に「じゃあさ　俺のために本気見せてよ」と、悪徳ホストのようなイケメンスマイルをふりまき……。

そこに佳奈が現れるのです。

作画が綺麗なことは先述したとおりですが、その作者の力量が遺憾無く発揮された彼女はとても見目麗しい。しかも佳奈、人間的にもとてもできた人物なのです。彼女の美人＆器のでかさを感じさせる言動の前では、年齢的に仕方ないとはいえ、ちかげですらお子様に見えてきます。

ちかげは彼女（役である）夏芽に対し、佳奈をいとこだと紹介します。どんどん嘘が重ねられていきますね。現彼女に元カノを紹介する訳がないから事情を知ってるにも関わらず、いとこだと紹介するなんて、ややこしすぎる。

そしてそのあと、急に連絡が取れなくなったことを佳奈に詰め寄ります。それに対し、彼女も大人であるとはいえ、ちかげのある「嘘」に本気で傷ついたらしく、そのことが原因だと言うのです。

そしてそこから夏芽はふたりの出会いのきっかけについて知ることとなります。素敵な出会いなのですが、実はちかげは佳奈に20歳だという嘘をついていたのです。

当時15歳のちかげにとってはこれくらいの嘘……、とも思えるものかもしれませんが、28歳、アラサー女性からしたら、この嘘は致命的ではないでしょうか。

さらにそのあと佳奈からの衝撃の告白を受け、なぜか謎のダブルデート展開になるのも見所。嘘に嘘を重ね、もはやそのせいで自分の首を絞めることになっているちかげ。年相応の彼の男の子らしさ、佳奈の美しさに引き込まれる4巻でした！

佳奈と今の彼氏・旭の大人カップル、ちかげと夏芽の高校生カップルでダブルデートをすることになった5巻。

夏芽はちかげのために、佳奈に嫉妬させようと頑張ってイチャイチャしますが、慣れないことにすぐに顔を真っ赤にして照れてしまいます。そんなふたりを複雑そうな顔で見つめる佳奈。果たして作戦成功なのでしょうか？

そんな時、旭と夏芽、ちかげと佳奈でそれぞれはぐれてしまいます。そこで元サヤに戻るためにラストスパートをかけるちかげ。

そして佳奈たちを探していた時に、夏芽はふたりがキスしている現場を目撃してしまい……。

そのことをきっかけに、夏芽は嘘から始まったこの関係のなかで、ちかげへの想いが育っていたことに気づきました。そして、キスしていないとごまかすような素ぶりを見せる佳奈にも腹が立ち、Wデートから抜け出し、その場から走り出してしまいます。

そして夏芽を追いかけてきたちかげに対しても、旭という存在がいるのに、そのデートでキスを迫るなんて信じられない、と正論のようで、嫉妬が溢れ出た言葉を投げつけます。

そしてふたりは恋人同士から、ただのクラスメイトに戻るのです。

しかし、ここからがまさかの展開。Wデートで自分の気持ちに気づき、佳奈への嫉妬と、ちかげへのやるせない思いを爆発させ、停滞した夏芽でしたが、それだけで終わるキャラではありません。

このあと彼女特有のまっすぐさで、佳奈やちかげなど、周囲を動かしていくのです。これでこそ夏芽と言いたくなるようなきっぷのいい行動に惚れ惚れしてしまいます。

しかしそんな夏芽でも、自分の中にある恋心をうまく表に出すことはできず、季節は冬から夏に変わってしまいました。

最終回では放課後、偶然ちかげと話すチャンスを得た夏芽の様子が描かれます。一度は、ふたりの関係を諦めた彼女ですが、嘘も本当も関係ない、自分の中にただ確かに存在する気持ちに気づき、そのままそれを彼にぶつけるのです。

最終巻は、そんな夏芽の強くて弱い様子に引き込まれる内容。人間らしい彼女の様子、そんなありのままの様子に動かされるちかげの様子、ふたりの恋の結末をご覧ください。

幼馴染の裕貴が好きだけど、告白してしまえばこの仲の良い関係が終わってしまうかもしれない。そんな切ない恋心を抱いた夏芽は、彼の気を引くために別の男の子と恋人関係を演じることになって……。

お互いに好きな人がいるけれど、ちかげと嘘の恋人同士になりきる夏芽。しかし、恋人ごっこをしているうちに、彼のことが気になりはじめてしまうのです。

嘘の関係だったのに、本当の恋心を抱きはじめてしまった彼女は、どのような道を選ぶのでしょうか？

切ない青春の物語が描かれていきます。それぞれの想いが交差する恋愛模様は、非常にもどかしい展開に。読みながら夏芽と同様にキュンとしたり、想いが簡単に届かなくて胸が苦しくなったり、感情移入してしまう恋愛漫画です。