『群青のマグメル』の面白さを全巻ネタバレ考察!2019年4月アニメ化!!

更新:2021.12.10

不思議な新大陸を探検する探検家と、彼らを救助する「拾人者(アングラー)」の活躍を描いた、冒険ファンタジー。『ONE PIECE』や『HUNTER×HUNTER』など、日本の冒険漫画に憧れた中国人漫画家・第年秒が手がけた作品です。彼の熱意は相当なもので、その熱意は冨樫義博などにも伝わり、実際に帯を書いてもらったほどでした。 2019年4月からはテレビアニメ化され、ますます話題の本作『群青のマグメル』。その魅力を全巻分、考察していきます!

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『群青のマグメル』の面白さを全巻ネタバレ考察!テレビアニメ化漫画が面白い!

本作の作者は、中国の漫画家・第年秒(ダイネンビョウ)。原題は『拾又之国』です。集英社「ジャンプ+」にて、ウェブコミックとして連載されています。

本作は、突如として現れた「マグメル」という新大陸を舞台に、探検家たちの救助を生業とする少年・ヨウの活躍を描いた探検漫画。設定やストーリー構成がかなり練られており、人気を呼んでいるのです。

著者
第年秒
出版日
2015-11-04

また、作者の第年秒はコミック1巻巻頭のコメントで、本作を「以前から構想を温めていた」と語っており、作品に対する意気込みが伺えます。

20189年4月にはテレビアニメ化もされる『群青のマグメル』の魅力を、全巻にわたって徹底考察!ネタバレを含むので、未読の方はご注意ください。

『群青のマグメル』の謎・伏線を考察!拾因の謎が多すぎる!!

本作には多くの謎、そして伏線が張り巡らされています。特に主人公・ヨウの師匠にあたる拾因に関しては、多くの謎が隠されているのです。

まずは家族について。彼は家族に関して悔いている発言をしていますが、その失った家族に関することこそ彼の目的に関係があるのではないか、という推測があるのです。彼の家族がゼロやクーだという意見もあるので、謎が深まるところでしょう。

さらに彼に関しては、実は並行世界におけるヨウなのではないか、という考察もあります。人類とエリンの両方から「世界の敵」と言われる彼ですが、その理由も気になるところです。

また、経歴が謎に包まれているゼロ。彼女は前述した通り拾因の家族とする考察もあります。そのことから、彼女が発した「私がいなくてもどうか幸せに生きてください」「何週目?」というセリフが、並行世界で生きてきたからこそ出てきた言葉なのではないかとも言われているのです。

その他にもまだまだ細かい謎や、伏線とも思われる描写・セリフが多く存在します。描写1つ1つに注目して、さまざまな推測をしながら読むと、より面白くなるでしょう。

もっと魅力や今後の展開の注目ポイントを押さえておきたい方は、こちらの記事もおすすめです。

突如出現した新大陸とは!?『群青のマグメル』1巻をネタバレ考察!

聖暦元年、大洋の真ん中に突如として出現した新大陸。それは「聖洲=マグメル」と名付けられました。

マグメルには道の自然や新種の生物たちが多く存在しているため、探検家たちはこぞって探求に熱中。しかし、結果的に遭難する人たちが増加してしまいます。そこで台頭してきたのが、探検家を救助する専門家「拾人者(アングラー)」でした。

そんな拾人者のひとりである、主人公の少年・インヨウ。彼は相棒の少女・ゼロとともに「拾人館(ドリフト)」を営んで生活していたのです。

著者
第年秒
出版日
2015-11-04

ある日、拾人館をエミリアという少女が訪れます。極星社の兵器開発部に勤務する彼女は、同じく極星社の生物応用研究部主任である父親の救助をヨウに依頼するのですが……。

毎年95万人もの人が失踪するマグメル。そこで遭難した探検家を救助するヨウは、まだまだ謎多き存在です。しかし、その救助成功率は、拾人者のなかでもナンバーワン。さらに彼は、自在に物体を構造する「現実構造力(リアルラクト)」という特殊能力を持っています。

そんな彼が拾人者となるに至った経緯や、能力の秘密も気になるところです。

マグメルがなんでこの世界に出現したか考えたことある?
それは世界があまりにも退屈だったから
(『群青のマグメル』1巻より引用)

ヨウの言った、この意味深な台詞が意味するものとは?彼はマグメルについて、何か知っているのでしょうか?

1巻ではマグメルのさまざまな生物・植物の生態が語られます。この不思議な新大陸は、いかなる理由で現れたのが、まだまだ定かではありません。

さらにラストでは、クスク諸島という場所にマグメルに次ぐ新たな空間「ダーナの繭」も出現。聖暦36年を境に、世界が大きく動き始めるのです。

ヨウたちが「ダーナの繭」で見たものは?『群青のマグメル』2巻をネタバレ考察!

閉じ込められた極星社の社員を救出するために集められ、「ダーナの繭」の内部に突入した探検家たち。そこはマグメル以上に謎を秘めた空間でした。

巨大生物たちと戦いながら、どこかお互いを値踏みしているような探検家たちでしたが、そんな彼らの前にマグメルにしかいないはずの「原住者(エリン)」が出現します。

エリンを前に、次々と倒れていく探検家たち。一方、取り残されたエミリアは、エリンのなかでも上位の存在「聖国真類(せいこくしんるい)」のクー・ヤガ・クランと対峙します。

しかし、彼によって連れ去られてしまい……。

著者
第年秒
出版日
2015-12-04

エミリアを救助するため、ヨウもダーナの繭にやってきました。そこで件の探検家たちと合流し、ともに協力してエリンと戦うことになります。

ヨウの相棒・ゼロは、エリンとの死闘のなかで生き残った探検家ボルゲーネフ・キミアイオン・蛍火・一徒の4人のなかに、「構造者(ラクター)」となる資質が眠っていることを看破するのです。

2巻では、初めてラクターの能力についての解説が登場。「構造力(ラクト)」とは、想像したものを実体として具現化することであり、その能力を持った者が「構造者(ラクター)」と呼ばれます。

構造者には「現実構造者(リアルラクター)」と「幻想構造者(イマジンラクター)」がおり、前者は現実にある物体を、後者は想像上の物体を元にして構造をおこなうのです。

構造力は、今後の戦いにおいて重要となる要素ですが、2巻でもうひとつ新しく登場した重要な存在が「原住者(エリン)」。人類に近い容姿・知能を持っていますが、その能力は人類を遥かに超越した正体不明の存在です。

そして、エリンのなかでも飛び抜けた能力を持っているのが、聖国真類。彼らについての詳細も、いずれ作中で語られるでしょう。もしかしたら、主人公のヨウにも大きく関わってくる秘密なのかもしれません。

ダーマの繭の戦い、終結!『群青のマグメル』3巻をネタバレ考察!

「ダーマの繭」の内部に突入したヨウは、エリンのなかでも強大な力を持つ戦闘種族「双生タイタン」と対峙します。その頃、クー・ヤガ・クランに拉致されたエミリアは、どうせ殺されるなら、と彼に交換条件を持ちかけていました。

あなたの知りたいことは教える!だからあなたの知ってることも教えてよ!
(『群青のマグメル』3巻より引用)

やがて、クーによって真実が少しずつ語られていきます。ダーナの繭の出現は、ある1人の男によって仕組まれたものだったのです。

著者
第年秒
出版日
2016-06-03

その男の名は、「拾因(シュウイン)」。聖国真類の領域に足を踏み入れたという彼は、構造力によって繭の種に空間移動能力を融合させていました。それによって、繭が街に現れたらしいのです。話のなかでエミリアは、クーがヨウを気にしていると感じ取ります。

実はクーの目的は、構造者とその資質を持った者を殺すこと。そして戦いの末タイタンを倒したヨウの前に、クーが姿を現します。彼は非常に戦闘力の高い「幻想構造者(イマジンラクター)」でした。しかもその能力は、他人の現実構造を盗むものだったのです。

緊迫する、ゼロとエミリア。しかし、その差し迫った雰囲気は、意外な真実によって一気に払拭されることに……なんと、ヨウとクーは腐れ縁の幼馴染だったのです。

徐々に明らかになろうとするヨウの過去、そしてクーとの因縁の正体。突然明かされる重要情報が多いのが、この3巻です。そして、ここで初めてその名前が登場した拾因ですが、「イン」と名が付くということは、ヨウは彼とも何か因縁を持っているのでしょうか?

拾因が成功したという、幻想と現実の両立。これは構造力として考えると、「現実構造」と「幻想構造」のどちらをも使いこなす能力者を示唆しているようにも感じます。このことも、今後の鍵になってくるのかもしれません。

ダーナの繭からの脱出を果たしたヨウ達ですが、極星社のトップにはまだ隠された企みがありそうな予感。ダーナの繭編はここで一旦終息しますが、物語はますます混迷をきわめていくことになるのです。

ヨウとクーの新たな冒険!『群青のマグメル』4巻をネタバレ考察!

ダーマの繭での激闘を終えたヨウは、元の自堕落な生活に戻っていました。そこに幻想を使って、クーから通信が。すっかりヨウたちの仲間となった彼を人界で案内するヨウとゼロでしたが、彼の本当の目的は観光ではなく「例の一族」の動向を探ることでした。

クーは、マグメルは突然現れたのではなく、人間たちは嘘に踊らされているのだと言います。その言葉の本当の意味はわかりません。そこへヨウが探していた「ミスリルリキッド」があるという情報提供が寄せられ、ヨウとクーは要塞都市ラジウムへ向かうのです。

著者
第年秒
出版日
2017-07-04

ミスリルリキッドのある部屋へ向かったヨウたちでしたが、扉を開けた瞬間に目に飛び込んできたのは、武器を持った男たちに取り囲まれている少女の姿でした。すんでのところで、それを助けた2人。少女の名はトト・ビックトーといい、冒険家オーフィス・ビックトーの娘だったのです。

彼女とミスリルリキッドの交渉をしていた最中、彼らはラジウムの超級危険生物「森羅戦鬼(オーグゴーン)」の来襲に遭います。しかも、その様子を遠くから見つめている、1人の男の姿が……。

オーグゴーンを倒したヨウたちに、神明阿一族のルシスを名乗る男が接触を図ってきました。彼らは拾因に関する情報を持っているというのですが……?

さまざまな真実が、少しずつ明らかになる4巻。新たに登場する「神明阿一族」ですが、その真意はまだ不明なうえに、ひと癖ありそうです。しかし彼らの情報によって、拾因がすでに死亡していることが判明。彼の存在は、今後どのように物語に関わってくるのでしょうか?

そして、マグメルのなかでも強大な部族連合「フォウル族」を率いる存在、「原皇ブレス」の名前もちらつきます。ヨウたちとオーグゴーンの戦いを見守っていた男にはこのブレスの紋章があるのですが、それの意味するところもまだまだ不明。拾因が死亡した理由とも、関係があるのかもしれません。

本巻では、すっかりヨウたちの仲間として人界に馴染んでいるクーにも注目。メインキャラが3人になり、ボケとツッコミの役割が生まれてきたところも楽しめるでしょう。


幾重にも設定が練られ、まだまだ謎の多い漫画『群青のマグメル』。2019年4月からはアニメも放送されるということで、今から原作を読み始めて世界観や背景を知っておくのもよいのではないでしょうか?この機会にぜひ、注目が集まる本作を読んでみてください。

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