5分でわかるバッタの生態!特徴や餌、活動期間、イナゴとの違いなどを解説!

更新:2021.12.10

バッタといえば、日本中どこでも見ることのできる馴染み深い昆虫です。子供の頃に夏休みの自由研究などで飼育した経験のある方もいるのではないでしょうか。この記事では、そんな彼らの生態や種類ごとの特徴、イナゴとの違いなどをわかりやすく解説していきます。あわせて昆虫のことをもっと好きになれる本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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バッタの生態を紹介!大きさや餌、寿命など

 

バッタ目バッタ亜科に分類される昆虫で、熱帯・温帯・草原・砂漠など地球上のあらゆる地域に広く分布しています。

体色は緑色や茶色のものが多く、外見はコオロギやキリギリスなどによく似ていますが、体が前後に細長くて触覚が短いのが特徴です。昆虫のなかでも特に後ろ足が発達しており、体長の数十倍もの距離を跳躍することができます。

幼虫の間は翅がありませんが、成虫になると多くの種で翅が伸び、空中を飛ぶことも可能です。一部には翅があっても飛ばないものもいますが、そのような種は後ろ足を用いた跳躍だけで十分に用が足りるからだそう。

生活する場所によって、植物の上で生きる「植上性」と地上で生きる「地上性」の2つに分けられています。植上性のものは爪の間に吸盤状の器官が発達しており、これを使って植物にしがみつくほか、ガラスなど表面がつるつるしている面でも歩くことが可能です。

主な餌はイネ科やカヤツリグサ科の植物で、寿命は5ヶ月ほどです。

バッタの種類ごとの特徴。イナゴとの違いと見分け方

 

日本に生息している主な種類をご紹介します。

トノサマバッタ

日本全国に分布し、もっともよく見かける種です。体長は4~7cmほどと大型で、群れのなかで育った個体は褐色、そうでないものは緑色となります。翅を使ってよく飛び回るのも特徴です。

ショウリョウバッタ

体長はオスが約5cm、メスが約8cmで、両者の差が大きいのが特徴。メスは日本に生息しているバッタのなかで最大です。

オスが飛ぶ際に、翅を打ち合わせて「キチキチキチッ」と音を出すことに由来して「キチキチバッタ」と呼ばれることもあります。

オンブバッタ

オスの体長が約2cm、メスが約4cmほどと小型の種。メスの背中にオスが乗っている姿が有名です。交尾以外の時もこの様子がたびたび確認され、オスがメスを守っている、ほかのオスに奪われないようにしているなどの理由が考えられています。

クルマバッタ

体長は4~6cmほど。トノサマバッタに似ているものの、一回り小さいサイズをしています。後翅に黒い帯模様があり、飛び立った時にその模様が車輪のように見えることが名前の由来だそう。


日本にいる最大の種は上述したショウリョウバッタですが、世界に目を転じてみるとさらに大きい種がいます。

2014年に開催されたサッカーワールドカップでは、コロンビアの選手の腕に巨大な個体が張り付いてなかなか離れないという珍事件が起きました。詳しい種は判明していませんが、その大きさはなんと20cmもあったそうです。

またもっとも小さな種は、日本にもいる「ノミバッタ」。5~6mmほどいう極小サイズです。

ちなみによく似た姿をしている昆虫に「イナゴ」が挙げられますが、両者の違いはご存知でしょうか。イナゴはバッタ亜目イナゴ科に分類される、バッタの仲間です。

日本では稲を食べてしまう害虫をイナゴ、それ以外をバッタと呼び分けているのが一般的。また稲穂につく個体は擬態のために体が茶色になることが多いことから、茶色の個体がイナゴ、緑色の個体をバッタとして分けることもあります。

稲を食べているイナゴには程よい甘みがあるのに対し、草を食べているバッタは苦いのだそう。イナゴの佃煮は見かけるのに、バッタの佃煮を見かけないのにはこういった理由があるんですね。


よく似た昆虫・イナゴについては5分でわかるイナゴの生態!結局バッタとの違いは何なのか?種類や味も紹介!にて詳しくご紹介しています。あわせてチェックしてみてください。

バッタは幼虫から成虫になる?

 

昆虫の生態は、卵から孵化した後にどのような過程を踏んで成長するかによって、「完全変態」と「不完全変態」に分かれます。

幼虫から蛹を経て、成虫へと成長するのが「完全変態」、一方で幼虫からそのまま成虫へと成長するものが「不完全変態」です。バッタは後者にあたります。

卵は地中の浅い所に数十個まとめて産み付けられ、孵化した幼虫は地表に出ると、すぐに最初の脱皮をおこないます。幼虫の間は翅がなく、後ろ足での跳躍のみで移動するしかありません。

何度か脱皮をくり返すうちに、背中にうろこ状の翅が目立つようになってきて、最後の脱皮を経て成虫になると翅が伸び、飛び回ることが可能になります。

オスはメスを探して、その背中に飛び乗って交尾をし、メスは腹部にある産卵管を地中に差し込んで産卵。ほとんどの種が越冬することなく短い生を終えることになるのです。

バッタの活動期間はいつ?採集に適した季節とは

 

多くの種類は卵の状態で冬を越し、6月から9月頃にかけて成虫の姿を見ることができます。活動期間は11月頃までで、越冬することはありません。

そのため採集に適した時期は、夏から秋のはじめ頃にかけてとなります。都市部でも公園や芝生、河川敷など比較的どこでも発見しやすいでしょう。

採集方法は昆虫網を用いるのが最適。素手の場合は、彼らは前にしか進むことができないため、背中からではなく前から掴むようにすると採りやすいです。

 

もっと知りたいバッタの生態!わかりやすいオススメ本をご紹介

圧巻の生態写真図鑑

著者
["村井 貴史", "伊藤 ふくお", "日本直翅類学会"]
出版日
2011-07-25

北は北海道から南は沖縄まで、日本全国を巡って撮影した写真がおよそ2000枚収められた生態図鑑です。日本で確認されているバッタの仲間をすべて網羅している、豊富な情報量には唸らされます。標本だけではわからない生き生きとしたバッタやコオロギ、キリギリスたちの姿は圧巻そのもの。

区別が難しい種は、拡大写真などで見分け方を詳しく解説しているので、図鑑として用いるだけでなくフィールドワークのお供にも最適な一冊です。

さらに虫の鳴き声を収録したCDも付録として付いているので、実際に聞きながらページをめくることが可能。さまざまな楽しみ方をしてみてください。

バッタ以外の昆虫も。くすっと笑える、ゆるい昆虫ライフ

著者
じゅえき 太郎
出版日
2017-10-13

本書はTwitterのフォロワー数10万人越えの超人気アカウントを書籍化したもの。

メスの背中から降りることなく過ごすオンブバッタ夫妻や、昆虫界の永遠のライバルであるカブトムシとクワガタの対決、さらに厳しい女王アリの下で定時帰宅を目指す働きアリたち……思わずくすっと笑ってしまうような昆虫たちのゆるふわな日常が切り取られ、ユーモラスな4コマ漫画で描かれています。

笑えるだけでなく、オタマジャクシでありながら蛙になる以外の夢を語る子供たちに向き合うお父さんなど、少しじーんとくる内容も。

時に楽しく、時に感動的に、そしてちょっぴりの皮肉も込めて、日々綴られる虫たちのゆるふわライフ。虫嫌いの子どもにもおすすめの一冊です。
 

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