5分でわかるイナゴの生態!結局バッタとの違いは何なのか?種類や味も紹介!

更新:2018.8.15

夏目漱石の『坊ちゃん』に登場し、秋の季語にもなっている「イナゴ」。農家を悩ます害虫ともいわれていますが、実は食べてみると栄養満点のヘルシー食材なんです。この記事では、そんな彼らの生態や種類ごとの特徴、バッタとの違い、食べ方や味などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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イナゴの生態は?

 

バッタ目イナゴ科イナゴ属に分類される昆虫の総称です。日本や東南アジア、インド、アフリカなど広範囲に分布しています。

「稲穂に寄生する子」という意味から「イナゴ」と名付けられたそうです。日本では多くの種が水田やその周辺に生息し、秋口に収穫前の稲を食い荒らしてしまうため、害虫として煙たがられることが多いです。

体長は2~4cm前後で、オスよりメスの方がひとまわり大きく、種によって大小さまざまな翅と触覚をもっています。

体色はイネ科の植物によく似た黄緑色や明緑色で、褐色に近い種もいます。紅褐色の複眼をもち、眼の後ろから背中にかけて黒っぽい筋が見られるのも特徴です。

秋になると、卵包と呼ばれる泡にまとめられた卵を、地中や稲の根元に産み付けます。卵の状態で越冬をし、5~6月に孵化。6~7回の脱皮をくり返して、7~9月に成虫となります。

草食性で、主なエサはイネ科植物の葉や茎など。天敵は、鳥や爬虫類、両生類、大型の昆虫などです。

イナゴの種類ごとの特徴

 

日本に生息している主な種類をご紹介します。

コバネイナゴ

オスの体長は1.5~3cm、メスは2~4cmほど。北海道から九州まで日本全国に生息しています。翅が短く、飛ぶことは苦手ですが、跳躍力に優れています。天敵が近づくと葉の後ろに回り込んで身を隠そうとする習性を持ち、逃げ足は速いそうです。

卵を包む泡が他の種より細かくて堅め。乾燥に強く、そのような地域では他のバッタ類との混生も見られます。

ハネナガイナゴ
 

オスは1.5~3cm、メスは2~4cmほど。本州、四国、九州、沖縄の水田やその周辺の草原などで見られ、中国や台湾、東南アジア各国、インド、スリランカにも生息しています。

体色は明るい緑色で、体の側面に入っている筋は濃い茶色です。翅が腹端を大きく超えるほど長いのも特徴です。

ツチイナゴ

オスは5cm、メスは5~7cmほどで大型の種です。本州、四国、九州、南西諸島に分布し、中国やインドでも見られます。

体色は淡い土色で、全身に細かい毛が生えているのが特徴です。背中に入っている筋は黄白色で、眼の下に黒い線、胸部の側面にも黒い縦縞が入っています。

クズなど背丈の高い草原に生息し、主にそれらの葉を食べています。成虫のまま冬を越すのも他の種との大きな違いです。

セグロイナゴ

オスは3cm、メスは4cmほど。日本では本州、四国、九州、沖縄に生息していますが、地域によっては個体数が激減しているそうです。

体色は灰色がかった薄茶色で、前胸背面には黒褐色の大きな紋があり、その両側縁には淡黄色の縁取りが入っています。眼に6本の縦筋が入っているのも特徴です。翅は灰色がかった薄い褐色で、濃い褐色の斑点が見られ、他の種とは見た目に明らかな違いがあります。

動きが素早く、昔はバッタの仲間だと思われていました。共食いの性質があり、死骸や衰弱個体を食べることもあるそうです。

結局イナゴとバッタの違いは何なのか

 

色や大きさ、動き方などを見ると、イナゴとバッタは似通った部分が多く、明確な違いを見つけるのは困難です。イナゴのなかには稲を食べる種ばかりではなく、バッタと同様の食性のものもいるので、より見分けがつきにくくなっているといえるでしょう。

さらに紛らわしいのは、名前に「イナゴ」とついていながらバッタ科に属している種がいるということです。

では、専門家はどのように見分けているのでしょうか。実は唯一の違いが、喉の部分にある小さな突起です。イナゴを裏返して腹を上にすると、喉のあたりに喉仏のような突起物があります。このような突起はバッタにはないので、どちらなのか見分けたい時はよく観察してみてください。

イナゴの佃煮は食べるとどんな味?実は栄養もたっぷり!

 

炒ったイナゴを、醤油や砂糖、水飴などで味付けして煮た佃煮。甘辛くて、わずかに緑茶の茶葉のような爽やかな風味を感じます。小エビに似た歯ごたえもして美味とされ、長野県や群馬県を中心に食用とされてきました。

ある分析結果によると、成分はタンパク質が68.1%ある一方で、脂肪は4%しかないそう。超一級の健康食品だといえるでしょう。

またイナゴは、天ぷらや唐揚げ、フライにしてもおいしいそうです。天日干しにすれば、常温でも長持ちする保存食になります。

目と耳で楽しむ生態図鑑

著者
["村井 貴史", "伊藤 ふくお", "日本直翅類学会"]
出版日
2011-07-25

 

イナゴを含むバッタ類と、同じ直翅昆虫であるコオロギやキリギリスを2000枚の写真で紹介する、オールカラーの図鑑です。日本に生息するほとんどの種類が収録されていて、生態や形態に関する情報がコンパクトにまとまっています。

判別が難しい種類については、標本による各部の拡大写真と詳細な解説でその違いを理解することができます。

さらに、キリギリスやコオロギの美しい鳴き声を収録したCDが付いていて、さまざまな楽しみ方ができる作品です。

イナゴなど直翅昆虫のすべてがわかる万能図鑑

著者
出版日

 

日本直翅類学会が編集した作品です。日本に生息する445種32亜種の直翅昆虫を、4500枚を超える写真で紹介している超大作だといえるでしょう。生きた個体に麻酔をかけて撮影した写真は新鮮そのもの。今にも動き出しそうなリアルさです。

1種類ごとに、背面、腹面、正面、側面などあらゆる角度から撮影した写真に加え、変異した姿も収められているので、種類の違いやオスとメスの違いを確実に見極めることができます。

さらに採集方法や飼育方法、撮影方法など、あらゆるノウハウが惜しみなく披露されているので、この一冊があれば何でもわかるといっても過言ではない、大満足できる作品でしょう。