おかざき真里のおすすめ漫画ランキングベスト5!大人女子がハマる!

更新:2021.12.17

大人女子から絶大な支持を集めるおかざき真里。大人ならではのリアルな視点で描かれた漫画の数々に、ハマる女性が多くいます。そこで今回はまだ彼女の作品を読んだことがないという方に、特におすすめしたいおかざき作品を5作、ご紹介します。

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デビューから注目を浴びた、おかざき真里とは?

おかざき真里は、女性向け漫画雑誌『ぶ~け』(2000年に廃刊)や『Cookie』、『FEEL YOUNG』で活躍した女性漫画家です。彼女は高校時代から『Fanroad(ファンロード)』という読者投稿型漫画雑誌で活躍していました。

大学卒業後は、広告代理店に入社。働きながら執筆活動を続け、1994年に『バスルーム寓話』で『ぶ~け』の新人長編部門第1席を受賞し、漫画家としてデビューを果たします。広告代理店では漫画執筆と並行しながら激務をこなし、2000年に結婚を機に退職しました。2017年現在は子育てをしながら漫画家、イラストレーターとして活躍を続けています。

自身の会社員時代の経験をもとにした、いわゆるお仕事漫画は、働く女性から絶大な支持を得ています。誰もが共感できるエピソードであるものの決してありきたりではなく、展開や結末はいつも驚かせてくれる独特なもの。大人ならではの視点で描かれた物語は一気読みしてしまうこと間違いなしです。

5位: おかざき真里が届ける、切なさが詰まったオムニバス『バスルーム寓話』

おかざき真里のデビュー作である本作は、「1996年の夏休み」「バスルーム寓話」「夏草子」「拍手喝采ピエロ」の4作品が収録された短編集。あらゆる別れをメインに描かれた物語が詰まっており、キュンとするより、切なく息が詰まる1冊です。

著者
おかざき 真里
出版日

表題作「バスルーム寓話」は、恋人に別れを告げられた女性の物語。忘れ物を取りに行った車の中で恋人がなぜかペンギンになってしまうのですが、そのペンギンを自宅のバスルームで飼うことになります。ファンタジーで非現実的な内容でありながら、どこかリアルで現実味を感じさせる物語です。

いちばんの見どころはその画力です。とくに作中で何度か出てくる魚の絵。画面いっぱいに描かれた大量の魚の絵は、とにかく圧巻で目が離せなくなります。小さなものが大量に舞うというおかざき真里独特の描写には、美しさと気味悪さ、そしてある種の恐怖が感じられ、失恋という身近な出来事における心理を表わしているように思える作画です。

『バスルーム寓話』は何かを失うことから立ち直るまでの女性の強さを感じられます。すべてがハッピーエンドとは言えませんが決して後味は悪くなく、気持ちの良い感動に浸れるのではないでしょうか。デビュー作とは思えない完成度の高さです。

4位: ラブホテル街で交錯する人間模様『渋谷区円山町』

渋谷区円山町のラブホテル街を舞台に、人々の恋や友情、出会いや別れを描いたオムニバス作品です。短編集ですがシリーズ化されており、『渋谷区円山町』『渋谷区円山町・桜』『渋谷区円山町・浪人吾郎』『渋谷区円山町・百花繚乱』の4作品が発表されています。

著者
おかざき 真里
出版日
2004-09-15

最初に収録されている「渋谷区円山町 青空」は、教師に恋をする女子高生の物語。高校2年の加藤由紀江はある日、友人と渋谷の円山町にあるラブホテル街に迷い込んでしまいました。そこで数学教師の「ヤマケン」が女性とラブホテルに入っていくところを目撃します。それ以来ヤマケンのことがなぜか頭から離れなくなり、次第に気になる存在に変わっていくのです。

女子高生は年上の大人の色気に魅力を感じる年頃。由紀江には同級生の彼氏がいたにもかかわらず、ヤマケンを好きになってしまい彼氏と別れてしまいました。そんな女の子の気持ちの変化と、好きな人に構ってもらいたいというワガママがうまくまとめられています。

ラブホテル街という特殊な場所では、すれ違う人々を見る目も変わるのではないでしょうか。この作品は日常から少し離れた場所だからこそ素直になれたりなれなかったり……。そういった人間の気持ちの変化を繊細に表わしている作品です。『渋谷区円山町』は恋愛だけではなく友情をテーマにした作品も収録されているので、1冊でいろんな物語を楽しむことができます。

3位: おかざき真里が描き出す、仏教界の天才『阿・吽』

恋愛物語が多いおかざき真里の漫画では珍しく、平安時代を舞台にした歴史物語。天台宗の開祖である最澄と、真言宗の開祖である空海をモデルに物語は進められます。ライバル関係にある2人の生き様を描いたヒューマンドラマを楽しめますよ。

著者
おかざき 真里
出版日
2014-10-10

若き日の最澄の物語から始まります。ある日、最澄の目の前で人が殺されます。しかし彼は助けられなかった自分を責め、一層修行に励むようになりました。そして見事に国家公認の僧になることができたのですが、彼を待っていたのは思い描いていた世界とは真逆の腐敗した仏教界だったのです。一方の空海は大学在学中に勤操という謎の僧侶に出会うことで仏教を知り、その影響からやがて最澄と同じ道を歩むようになります。

静と動の真逆のふたりがいかにして同じ志を持ち、同じ道を究めるのか、またその後いかにして仏教の世界を歩んでいくのかが細かく丁寧に描かれており、内容にボリュームのある作品です。最澄と空海が交わるのはしばらく読み進めてからになるので、個々の生い立ちもゆっくり楽しむことができます。

この作品でまず心に残るのは、やはりおかざき真里の画力でしょう。力強く迫力があるので、心をグッと掴まれるのではずです。また過激な描写は多いのですが、それが作品により深みを出しており、仏教という特殊なテーマに合う作画となっているのです。

仏教と聞くと専門用語が出てくると思うかもしれませんが、難しい単語は多くありません。たまに出てきても珍しい漢字などは使っておらず、ちょっとしたカタカナ表記で読みやすい工夫がされています。仏教について無知であっても十分に楽しめる作品です。

平安時代の僧侶というふたりですが、その生き様からは生、死、欲、希望、絶望など、現代にも通じるいろんなものを肌で感じることができます。歴史が好きな方もそうでない方も、読めばきっと身になるのではないでしょうか。

2位: 主人公は、ダブルワーカー!『&』

昼間は医療事務として病院で働く女性が、夜に個人のネイルサロンの経営を始めるというダブルワークストーリー。作者自身も広告代理店と漫画家を掛け持ちしていた経験があり、ダブルワークをこなす女性像が丁寧に描かれています。

著者
おかざき 真里
出版日
2010-11-08

26歳の青木薫は、大学時代の後輩である城田孟司と数年ぶりに再会し、彼が経営する会社の1階部分を借りてネイルサロンを開くことになります。薫は他人に触れられることが苦手で、彼氏も今までにいたことがありませんでした。しかし同じ病院で働く医師の矢飼黄河が重たい過去を背負っていることを知り、それ以来、彼にだけは触れたいと思うようになるのです。

本作の見どころは、過去やトラウマに立ち向かっていくキャラクターたちの姿です。矢飼の壮絶な過去に薫はどう寄り添っていくのか、また薫に思いを寄せる城田にはどう接していくのか、ひとつひとつの展開に学ぶものが感じられます。また心に響く名セリフが多いことも、おすすめしたいポイントです。

「最初に身につけなきゃいけねーのは失敗の経験なんかじゃねー 自力で乗り越えられねー失敗なんて委縮のエサにしかなんねーよ」
「どんな職でも20代のうちに成功の実感掴まねー奴は 歳喰ってから方向性見失うんだよ」
(『&』より引用)

「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、その言葉に慣れすぎて「成功の実感」という大切なものを忘れがちではないでしょうか?仕事で後悔がある矢飼が言うところに強い説得力があり、妙に納得してしまう場面です。このセリフは薫の働き方や恋愛における伏線にもなっています。

本作は重く切ないストーリーの中に、仕事と恋愛の在り方を見出せる深い作品です。キャラクターの境遇や心情から受け取るものはプラスの感情ばかりではありませんが、仕事や恋愛で行き詰まってしまったとき、この作品を読めば、道しるべになってくれるかもしれません。

『&』については<漫画『&』を読もう!おかざき真里の隠れた名作の魅力をネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

1位: おかざき真里が描く、恋と仕事に生きるリアルな女性像『サプリ』

広告代理店で働く女性の仕事と恋愛。作者自身も広告代理店でCMプランナーとして働いていた経験から、かなりリアルな内情が描かれています。本作は2006年にドラマ化もされていて、おかざき真里の代表作といえます。

著者
おかざき 真里
出版日
2004-06-30

主人公の藤井ミナミは、広告代理店で働くキャリアウーマン。しかし仕事に没頭するあまり、7年付き合った彼氏に別れを告げられてしまいます。自分も別れを意識してはいたものの、いざ相手から切り出されると動揺せずにはいられませんでした。友達もおらず仕事しかすることがなかったミナミは、別れて初めて職場の同僚と交流するようになるのです。

本作のおすすめポイントは、心に刺さるセリフ。どこか真髄をついてくるような言葉選びに、思わず読む手を止めてしまいます。

「始める時は勢いでできる 終わることも簡単だ ただ 続けていくことだけが つらいんだ」
「仕事には2通りあって 経験が積みあがるものと自分が消耗するもの ゆっくりと自分の身をこするように 給料は成果じゃなくこういう消耗に対して支払われている気になる」
「サラリーマンていうのはね 死なないためのシステムなのよ」
(『サプリ』より引用)

などなど、1度でも社会人経験のある方なら共感できる方が多いのではないでしょうか。普段働いている中で「どうして私だけ……」と思う日もありますよね。しかしそんなときに、弱いながらも立ち向かっていく本作の登場人物たちの姿には、励まされるばかり。境遇は違えど、頑張っているのは自分だけじゃないと思わせてくれますよ。職場における女性のリアルな気持ちがわかるので、男性にもぜひ一読してもらいたい作品です。

『サプリ』については<おかざき真里の漫画『サプリ』が沁みる!オトナ女子を優しく癒す名言の数々>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

仕事用のカバンを買いに行ったのに全然違うおしゃれなカバンを買ってしまうなど、女性に支持される女性キャラクターばかりのおかざき真里作品。一度ハマれば抜け出せないおかざきワールドは、大人女子にとって日々のバイブルになれるのではないでしょうか。

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