『カードキャプターさくら』好きにおすすめの漫画5選!

更新:2021.11.25

CLAMPの大ヒット作『カードキャプターさくら』。続編の連載と、さらにはアニメも控えており、ますますの盛り上がりが予想されます。そこで今回は「さくら」のように夢と希望、そして愛を与えてくれる少女達の物語をご紹介したいと思います。

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願いと希望を守るため、夢の力で変身!

主人公の日奈森亜夢(ひなもりあむ)は、近所や学校でクールと評判の女子小学生。その格好いい言動から、世代を超えて畏敬の念を抱かれています。ですが、本当の彼女は口下手が災いして誤解を解けないでいる、恥ずかしがり屋の女の子でした。

彼女がそんな自分を変えたいと思って「なりたい自分」を願ったところ、翌日彼女のベッドの中に3つの不思議な卵が現れました。その中から生まれたのはラン、ミキ、スゥの小人のような3人でした。彼女達「しゅごキャラ」は、持ち主に願った力を得た得てくれます。

こうしてしゅごキャラを得た亜夢は、人々の願いを付け狙う悪者達と戦うことになっていきます。

著者
PEACH-PIT
出版日
2006-07-06

本作は2006年から「なかよし」、「なかよしラブリー」で連載されていたPEACH-PITの作品。

『Rozen Maiden』(現ローゼンメイデン)が大ヒットした同作者の初少女漫画です。願いや夢を力にして戦う主人公が、人々の願いを守るという、基本に忠実な変身ヒロインモノの物語となっています。

しゅごキャラとは、持ち主がなりたいと願った自分自身が具現化した存在です。基本的には持ち主に似た小人か人形といった姿。その力を借りること(キャラチェンジ)で、持ち主の理想とした能力を得たり、さらには性格まで変化したり。しゅごキャラと一体化する「キャラなり」はまさに変身。キャラチェンジより強力な力を発揮出来るようになります。

変身の原動力が夢なため、全体的なテーマも夢や希望を連想させます。ですが、そこで単に夢想を描くだけに終始しないのが本作の特徴です。シリアスな展開や恋愛について、あるいは将来への不安や、幼さゆえの素直になれない捻くれ。これら夢や希望の裏返しについてもありのままが出てくるのです。

それらは子どもの願い「こころのたまご」として表現され、さらに、たまごが歪んで暴走した×たまとしても現れるのです。

しゅごキャラの持ち主は亜夢以外にも登場し、主に彼女達しゅごキャラ持ちの「ガーディアン」は×たまやたまごの悪用を狙う組織「イースター社」と対峙していきます。イースターの真の目的は、あらゆる願いを叶える特別なたまご「エンブリオ」の捜索です。このエンブリオが物語の鍵ともなります。

感情移入しやすいキャラとわかりやすい世界観。作者の絵柄と相まって読んでいるだけで楽しくなる、幅広い年代層に楽しまれる作品です。


『しゅごキャラ!』については<漫画『しゅごキャラ!』のガーディアンのしゅごキャラたちを考察!>で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

 

小さな妖精と過ごす宝石のようにきらめく奇跡

ミューレンブルクという街に、祖母と共に住む11歳の少女サガ・ベルイマン。規律正しいサガはある日、妖精界から修行にやってきた雪使いのシュガーと出会います。シュガーは季節使いと呼ばれる妖精で、修行とは魔法の種を育てることでした。その大事な種が誤ってサガの玩具のピアノに根付いてしまったことから、奇妙な共同生活が始まります。

堅物のサガと天真爛漫なシュガー。まるで正反対な2人は喧嘩ばかりですが、次第に心を通じ合わせていきます。

著者
["コゲどんぼ", "蒼 はるか", "BH SNOW+CLINIC"]
出版日

本作は2001年に発売された蒼はるか原案、花屋敷ぼたん(BH SNOW+CLINIC名義)作画の作品。

本作の舞台となるミューレンブルクは、ドイツを思わせる架空の都市です。そこかしこに欧州の雰囲気が見られて、本編の内容と合わせておとぎ話のような物語となっています。まさにメルヘン。

シュガーは季節使いという妖精の1人で、雪を操る雪使いです。彼女達は楽器(シュガーの場合は小さなフルートのような楽器)を演奏することで魔法を起こし、それによって気象を操ります。雪使い見習いのシュガーはまだまだ未熟で、毎回何かしら失敗してはそれが騒動に繋がっていきます。

もう一方の主人公サガ。杓子定規というか堅物というか、あまり融通の利かない女の子です。これは早くに亡くした母親の悪口を言われることを嫌って、模範的に振る舞おうとしているためです。それがあまりに極端過ぎるため、心の余裕をなくしていることに本人は気付いていません。

そんな2人にも共通点があります。それは母親を尊敬し、母親のような偉大な存在になろうと努力していることです。

本作は人間と妖精がぶつかったり、あるいは仲直りしたりしていくうちに、絆を深めて成長していく優しい物語となっています。BS放送黎明期の隠れた名作アニメのコミカライズ、ぜひ紐解いてみてください。

シュガシュガルーン! 魔法の言葉を唱えてラブバトル!

魔界の王国(ロワイヨーム)に住む魔女の少女、ショコラとバニラは仲の良い親友同士です。同時に彼女達は、王国の次期女王候補というライバル関係にもありました。女王選定の試験のため、2人は人間界へとやってきます。その試験とは、人間の気持ちの結晶「ハート」を集めることでした。

私立萌黄学園に通いながら、ハートを集める競争をすることになるショコラとバニラ。彼女達はその争いの中で、それぞれ本当に大切な気持ちについて知っていきます。

著者
安野 モヨコ
出版日
2004-03-26

本作は2003年から「なかよし」で連載されていた安野モヨコの作品。2人の女王候補による競争が描かれますが、そこには戦闘などはなく、正統派の魔法少女ファンタジーとなっています。

作者は連載当時既に、女性向け作品『ハッピー・マニア』等でストーリーテリングに高い評価を受けていました。本作において安野は、大人には他愛なくても子どもにとって重大なことがあり、主人公がそれをこつこつ乗り越えていく、という物語を意識したようです。

行動的なショコラと控えめなバニラ。主人公の少女2人は魔女ではあるものの、年相応の感覚と行動の持ち主なので、非常に共感を得やすいキャラとなっています。

少女らしい悩みや恋心も描かれるのですが、重要になってくるのがハート争奪のラブバトルです。ハートとは想いの結晶。ハートを奪うためには、人間と交流を重ねて結晶を大きくしたり、取り出しやすくする必要があります。そのためには好かれることが手っ取り早いのです。

ですが、交流を行うと情が湧いてしまうもの。最初は良くても、経験を積むうちに段々とハートを奪うことの重さを彼女達は実感していくことになります。

さらには、魔女がハートをなくすと死んでしまうという原則があります。人間はハートがなくなっても想いが消えるだけですが、ハートを1つしか持たない魔女がそれを失うと死んでしまうのです。魔女は自分が誰かに恋されても、誰かを好きになってはいけないわけです。ところがショコラは、人間界のピエールという少年に惹かれていきます。

魔女が人間に恋心を抱く。ショコラはハートを奪われやすい、危うい状態になっていくのです。こういった禁忌の状況に陥っていくのも見所。ハラハラさせられる展開は、さすがの作者の手腕と言ったところでしょう。

こうした一面で読者を惹き付けつつ、ショコラとバニラのキラキラした魔法が描かれていきます。果たして2人の恋と女王試験はどんな結末を迎えるのでしょうか?

戦う乙女は動物に大変身!

桃宮いちごは同じクラスの少年、青山雅也に恋する中学1年生の女の子です。彼と念願のデートをしていた時、突如として地震が発生し、いちごは体の中に猫が入ってくる奇妙な体験をしました。それからというもの、いちごは無意識に猫に似た行動を取るようになります。

それは地震の影響で、白金稜(しろがねりょう)らの「μプロジェクト」が誤っていちごの体内で発現してしまったせいでした。彼らは地球を狙う「エイリアン」に対抗すべく研究を続けていました。

絶滅危惧種の遺伝子と結合して変身能力を得たいちごは、元の人間に戻るその日まで、「ミュウイチゴ」となってエイリアンと戦っていくことになります。

著者
["征海 未亜", "吉田 玲子"]
出版日
2015-10-06

本作は2000年から「なかよし」で連載されていた吉田玲子原作、征海未亜作画の作品。作画の征海の読み切り作品『Tokyo黒猫娘』をベースにした、『美少女戦士セーラームーン』に連なる戦隊バトル要素のある魔法少女モノです。

本作の1番の特徴は、主人公達の変身した姿が動物由来ということでしょう。それも単なる動物ではなく、レッドデータブックに記載された絶滅危惧種の動物です。ミュウイチゴはイリオモテヤマネコ、ミュウミントはノドジロルリインコで、ミュウレタスはスナメリ(イルカの仲間)といった風に。

作中では環境破壊への警鐘や、自然保護の大切さが描かれており、変身モチーフが絶滅危惧種になっていることにもちゃんと意味があるんです。そういったテーマはテーマとして、作品内容自体は王道の変身ヒロインモノ。地球を狙う侵略者に対して、キュートな戦士が果敢に戦います。

タイトルと同じく東京ミュウミュウと名乗って活動する少女達。彼女達は皆、表向きには白金が運営する「カフェミュウミュウ」でアルバイトとして働いています。不慮の事故で変身能力を得た彼女達は、小中学生の日常生活とウェイトレス、そして変身ヒロインという3つの顔を持っているのです。こういった登場人物の様々な側面を見られるのも魅力の1つ。

特にいちごは驚いたり感情が昂ぶると、耳や尻尾が飛び出てしまいます。見ている分には愛らしいし面白いのですが、本人にとっては一大事です。

正体不明のエイリアンと戦い続ける東京ミュウミュウ。彼女達は平穏な日々を取り戻すことが出来るのでしょうか。

野ばら咲き乱れる学舎での禁断の恋

西園寺初美と穂波さくらは、変わらぬ友情を誓い合う幼馴染みの親友同士。彼女達は揃って、由緒正しいお嬢様学校である音羽女学院の高等科へと入学しました。

2人は寮でも同室となり、憧れていた学園生活に胸躍らせていた矢先、初美は2年生の三条泉と出会ったのです。泉は同学年の白川繭子と共に「音羽の華(ソーシャライツ)」と呼ばれ、全学年から慕われる特別な存在でした。

まるで王子様のような泉に惹かれていく初美。そして初美とさくらは、偶然にも泉と繭子が口付けを交わす場面を目撃してしまい……。

著者
白沢 まりも
出版日
2010-11-05

本作は2010年から「なかよし」で連載されていた白沢まりもの作品。

これまでご紹介してきた作品とは打って変わって、魔法少女でも変身ヒロインのファンタジーでもない少女漫画です。それも少女同士の恋愛にフォーカスを当てたものとなっています。

主要人物として登場する、友人関係にある2組の少女達。表向き友人や親友となっているのですが、その彼女達の関係が単なる友情を越えた、恋愛対象に発展していく様子が描かれます。あらすじでも少し触れましたが、キスシーンや、場合によってはそれ以上の行為を仄めかす描写も。

ヒロインは無垢で素直な女の子達です。これまでは友情で通ってきたものが、外界とは隔絶された女子校という環境、王子様とお姫様のような2人の先輩の影響によって変化。お互いがお互いを大事に想っており、しかし、それゆえに時に相手を苦しめてしまうというジレンマが起こってしまいます。

物語は学園生活というより、寮での展開がメインです。醜女達の内なる世界の邪魔となる要素が最大限排除されていて、儚くも美しい純粋な同性愛が描かれています。もちろん、それは受け手の読者としても余計なことを気にすることなく、物語に浸れるということでもあります。

閉鎖されたお嬢様学校という禁断の園。そこではどんな果実が実るのでしょうか?

いかがでしたか? 今回ご紹介した作品を読めば、様々な想いを胸にして頑張る少女の姿に、思わず心打たれることでしょう。


『カードキャプターさくら』好きにおすすめの作品を紹介する本記事ですが、『カードキャプターさくら』についてはおさらいしたいという方は<漫画『カードキャプターさくら』クリアカード編をネタバレ徹底考察!>がおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

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