「REIGEN」が面白い!『モブサイコ』スピンオフの魅力とは【ネタバレ注意】

更新:2023.3.9

『REIGEN ~霊級値MAX131の男~』は漫画アプリ「マンガワン」で連載されていたONEの作品です。『モブサイコ100』のスピンオフ漫画で、霊幻新隆が主人公となって心霊関係の事件を華麗に(?)解決していくオカルトコメディとなっています。その後の物語を描いており、実質続編のような立ち位置といってもいいかもしれません。 そんな本作はスマホアプリで無料で読むこともできます。気になった方はぜひどうぞ!

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「REIGEN」が面白い!『モブサイコ100』のスピンオフはあの男が主役!【あらすじ】

 

主人公は誰もが振り返る美少女で、転校初日から遅刻してしまって、焦りながらもなんらかのイベントを予感させる特別な存在――に憧れる地味な女子高生、暗田(くらた)トメ。

彼女は怪奇現象などのオカルト好きがこうじて、周囲には秘密で霊能相談所の押しかけ助手をしていました。

その相談所の名前は「霊とか相談所」。所長の霊幻新隆(れいげんあらたか)は適当すぎる事務所名に反して、それなりに実績のある人物でした。

実はこの男、霊能力の一切ない実質的な詐欺師。しかし持ち前の口八丁手八丁(と優秀な人脈)で厄介事を次々と解決していきます。

物語は主にトメの視点で語られ、霊験がトメの周りや依頼人の持ち込んだ事件を時にホラーに、時にコメディチックに解決していく内容となっています。

 

作者・ONEとは

 

ONE(わん)は1986年10月29日生まれの日本の男性漫画家です。

少年時代、暇潰しのために親から買い与えられた『クレヨンしんちゃん』の影響で漫画を描き始めたそうです。本格的な美術の勉強やアシスタントの経験はありません。

2009年7月、投稿サイト「新都社」で後の代表作『ワンパンマン』の読み切りを掲載し、これが大ヒット。その後、2012年4月からWebコミックサイト「裏サンデー」で『モブサイコ100』の連載を開始したことで商業デビューしました。

 

著者
村田 雄介
出版日
2012-12-04

 

代表作は『モブサイコ100』、『ワンパンマン』(村田雄介・作画のリメイク版含む)です。

ONEは決して上手いとは言えないながらも、独特な味のある画風に定評があります。『モブサイコ100』も『ワンパンマン』もアクションがメインですが、キャラそれぞれの個性や語り口、ストーリーにも光るものがあります。ややシュールな作風は『クレヨンしんちゃん』に由来するものかも知れません。

また、その画風に反して、アクション漫画としての激アツな展開も見所。この絵でここまで熱くなれるのかというほどに盛り上げていく手腕は、脱帽するほどです。

 

原作『モブサイコ100』とは?脇役のような主人公の活躍が面白い

『REIGEN ~霊級値MAX131の男~』は超能力アクション漫画『モブサイコ100』のスピンオフ作品です。

主人公は影山茂夫(かげやましげお)という名前で、通称「モブ」。モブとは脇役を意味する俗語で、彼はその通称どおりに見た目は特に目立たない少年でした。しかし、実は凄まじい霊能力の才能があったのです。

著者
ONE
出版日
2012-11-16

モブは舌先三寸で依頼者を丸め込む自称霊能力者・霊幻新隆に言いくるめられ、弟子として仕事の手伝いをしていました。

『モブサイコ100』はいわゆる能力バトルモノですが、脇役っぽいゆるい主人公が最強クラスの力を持っているというギャップが面白い作品です。それだけではなく、モブの心の成長を描く側面もあり、心に訴えかける出来事、言動が多く描かれ、共感を抱きやすいというのも人気の理由でしょう。

本作はそんな『モブサイコ100』の人気キャラ霊幻と、彼の仕事である心霊現象にスポットを当てた作品。時系列的には『モブサイコ100』の後で、モブが進級してトメが高校進学していることから、数ヶ月から半年ほど経った時期と思われます。おそらく本編のエピローグと前後する時間軸でしょう。


『モブサイコ100』についておさらいしたい方は<『モブサイコ100』の魅力を全巻ネタバレ紹介!無料で読める激アツ漫画!>をご覧ください。

作品の魅力1:ちょっとだけ変わったあのキャラ達が再登場!

作品の魅力1:ちょっとだけ変わったあのキャラ達が再登場!
出典:『REIGEN ~霊級値MAX131の男~』

『REIGEN ~霊級値MAX131の男~』は本編のスピンオフですが、時系列的には後に位置するので実質的な続編と言えるでしょう。主要な登場人物は主人公の霊幻をはじめとして、ファンにはお馴染みのキャラばかりです。

本編での経験や数ヶ月間の出来事を通して、少しだけ変化したキャラを見られるのが本作の魅力です。見違えるほどの変化ではなく、あくまで言動の端々でちょっとだけ感じられるのがポイント。

霊幻はこれまで通り霊能力のない半ば詐欺師のまま。ただし本編でのモブとのやりとりがあったためか、やや丸くなり、面倒見の良い常識人的な面が印象的です。

暗田トメは本編でモブの先輩でしたが、こちらではストーリーの語り手として毎回登場します。モブとは違う一般人の視点が非常に新鮮。高校デビューを機に、本人なりに変わろうと努力(ただし明後日の方向)しているのが、やはりモブとは違った意味で共感の持てるキャラとなっています。

本編では圧倒的な力を発揮した超能力者、芹沢克也(せりざわかつや)も霊幻の有能な部下(相談所の数少ない除霊戦力)として活躍します。

作品の魅力2:ホラー色がアップ!本当は怖いモブサイコの世界……

作品の魅力2:ホラー色がアップ!本当は怖いモブサイコの世界……
出典:『REIGEN ~霊級値MAX131の男~』

『モブサイコ100』はモブの強大な力に何かと焦点が当たって、アクション的要素の多い漫画でした。本作では一転して、霊幻が主役のために必然として霊能関係のトラブルが多く描かれます。

「霊とか相談所」には芹沢やエクボといった頼れる仲間がいるものの、相変わらず霊幻は無能力のまま。トメだけは彼が霊能力者と信じていますが、読者は偽物であることを知っています。

また基本的に本編の主人公モブも登場しないため、戦力的にはかなり心もとない状態です。それにも関わらず、毎回のように厄介な事件が起こるので、読んでいると冷や冷やさせられます。

そういったなか、結構本格的な心霊現象などが巻き起こるので、普通にホラー漫画を読むよりもよっぽど怖いかもしれません。このあたりは本作ならではの魅力です。

作品の魅力3:共感必至!根底に流れる人間ドラマ

作品の魅力3:共感必至!根底に流れる人間ドラマ
出典:『REIGEN ~霊級値MAX131の男~』

『モブサイコ100』本編でも道徳的な話、感情に訴える話は見られましたが、本作でもそれは健在です。むしろ主人公が霊能力者ではない分、キャラの成長は一般人の読者がより共感できる内容となっています。

ここでいう成長とは、語り手のトメのことです。彼女は平凡だという自覚があるがゆえに、特殊な仕事=霊能力者に憧れています。思春期の高校生にありがちな大人への背伸びではないでしょうか。

しかしその憧れからトメが通い詰めるのは、「霊とか相談所」。普通の場所ならまだいいですが、本当に心霊現象を扱う危険な場所です。そのため霊幻や芹沢が、大人としてトメを見守りつつも、正しく導こう奮闘する展開があり、登場人物たちの優しさを感じる展開も多々あり、じんとさせられます。

ハラハラする展開だけでなく、人間関係で学ぶところもあるのです。

著者
ONE
出版日
2019-01-18

残念ながら本作は1巻だけで完結のようですが、応援していればいつか違う形で戻ってくることがあるかも知れません。コミックスにはアプリ版にはない描き下ろしも収録されているのでファンは必見です!

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