アーネスト・へミングウェイはその簡潔で短い文章から、文体の作家と言われています。淡泊な文章を情熱的に使い、多くの短編と長編小説を残してきました。 ハードボイルドの元祖と呼ばれるほど情動的な作品を楽しめます。
アーネスト・ヘミングウェイは簡潔で短い文体を使用することで有名な作家です。シンプルな文体ながら広い意味合いを含んでおり、実に情緒たっぷりな文章となっています。短編では簡潔文体を用いており、ハードボイルド小説の基礎も築きあげました。
1899年にイリノイ州で生まれたヘミングウェイは活発的な父親の影響で釣りや狩猟などを学んでいます。第一次世界大戦、スペイン内戦に参加。マラリア、肺炎、皮膚がんなどの病気や、内臓破裂などの怪我を経験しています。また1年以内に2度の飛行機事故を経験して生還しているなど、非常に悪運の強い人間だと言えるかもしれません。
晩年は酷い妄想障害に苛まれます。自分はFBIの盗聴や監視下にあると周りに漏らしていました。ヘミングウェイはキューバのカストロと面識があるため、その妄想が事実だったとのちに判明しています。ですが周りは妄言だと思い、相手にしませんでした。そしてアーネスト・ヘミングウェイはショットガン自殺という形で61年の生涯に幕を閉じたのでした。
- 著者
- アーネスト ヘミングウェイ
- 出版日
- 2014-09-11
アーネスト・ヘミングウェイは『老人と海』を書きあげ、ノーベル文学賞を受賞しています。本作はヘミングウェイの代表作と呼べるほど有名で、様々なメディアで展開されています。また多くのアーティストたちにオマージュされてきました。
キューバにサンチャゴという年老いた漁師がいました。昔は漁師として名をはせたサンチャゴも、腕が落ちて漁は不毛続きです。助手であった少年も離れてしまいます。そんなある日、老人は大きなカジキを釣りあげました。4日間にも渡る死闘の末の結果です。そのカジキは船に寝せるには大きすぎるため、縛りつけてカジキを運ぶことにしました。しかし血の匂いを嗅ぎつけたサメたちが大量に寄ってきたのでした。
本書は、戦争に参加したヘミングウェイらしい、老人の勇敢な闘いを描いた作品です。カジキとの格闘の末に待っていたのはサメたちとの新たな闘いでした。老人は、格闘中にもかからず夢見ごこちでかつての武勇伝を思い出します。昔の力を失った老人がその勇敢さを取り戻そうとする様が勇ましく描かれていて面白いです。
ヘミングウェイは意図的に三人称の中に一人称を混ぜあわせて、夢のように不安定な文体に仕上げています。そしてところどころで老人が夢を見ているとわかる仕掛けが散りばめられているのです。
- 著者
- アーネスト ヘミングウェイ
- 出版日
- 2003-06-28
アーネスト・ヘミングウェイは24歳頃から短編や中編などを書き続けてきました。そして27歳になる1926年に長編小説『日はまた昇る』を発表。ヘミングウェイの出世作となっています。
主人公ジェイク・バーンズにはブレットというお互いに心を寄せる女性がいました。しかしジェイクは第一世界大戦で下半身を負傷しており、ふたりの体が結ばれることは一生ありません。ブレットは人との温もりがないと生きられない女性で、多くの男と関係しています。そんなジェイクとブレットがスペインに旅行に行きました。そこでブレットは若きマタドールのペドロ・ロメロと出会い惹かれていくのでした。
本書は下半身不全のジェイクとその心の恋人ブレットを中心した愛憎劇がドロドロに溶けあっていく様が面白いです。ブレットの浮気性を知っていながら彼女を愛するジェイクの様子は男くさい愛情にあふれています。アーネスト・ヘミングウェイのハードボイルドな愛を読むことのできる一品です。
- 著者
- アーネスト ヘミングウェイ
- 出版日
自身の経験したスペイン内戦をテーマにして、ヘミングウェイは1940年に『誰がために鐘は鳴る』を発表しました。1943年には映画化しています。他にも宝塚で舞台化されるなど、有名な作品です。またヘヴィメタルバンドのメタリカが本作を基に原題と同名の『For Whom the Bell Tolls』という曲を発表しています。
打倒ファシズムを掲げ、ロバート・ジョーダンはスペイン内戦に参加します。そして現地でファシストに家族を殺されたマリアと出会い恋に落ちます。やがてロバート・ジョーダンは橋梁を爆破して敵の行軍を妨害するという任務に向かうのでした。
本書はスペイン内戦という激動の舞台において、ジョーダンとマリアの恋が激しく描かれています。極限の状態で書かれた極限の愛をヘミングウェイらしい簡潔でハードボイルドな文章で読むことができます。恋模様だけでなく、戦闘の様子も短い文章でテンポ良く書かれているため、緊迫した状態が続き、飽きることなく最後まで読み進めることのできる作品です。
- 著者
- アーネスト ヘミングウェイ
- 出版日
- 2006-05-30
第一次世界大戦への参加経験のあるアーネスト・ヘミングウェイは自身の体験を基に『武器よさらば』を書きあげ、1929年に発表されました。
主人公フレデリック・ヘンリーは第一次世界大戦でイタリア軍に参加します。負傷兵を病人に運ぶ役割を持った部隊を指揮していたヘンリー。病院でキャサリン・バークリと出会い、遊びで付き合い始めますが、やがて本気の恋へと発展し、キャサリンの妊娠が発覚。脱走兵のレッテルを貼られたヘンリーはキャサリンと共にスイスへと逃げのびるのでした。
本書はヘンリーの回想という形式で書かれており、主人公の目線から戦争を体験することができます。簡潔な文体で余計な情報をほとんど排除するヘミングウェイですが、独白という形によってヘンリーの戦争を通した哲学的考えを読み取ることができるのが特徴です。また愛する人のために戦争で生き延びようとするヘンリーの様子も、読んでいてハラハラする作品です。
- 著者
- アーネスト・ヘミングウェイ
- 出版日
- 2014-07-20
『キリマンジャロの雪』は足の壊疽が原因で死にゆく男とそれを看病する妻の様子が物悲しく語られている短編小説です。
小説家のハリーは狩猟のために訪れていたアフリカで足を負傷してしまい、それがきっかけで壊疽を患ってしまいます。壊疽は広がり、ハリーの命を蝕んでいきます。妻のヘレンは救助を待ちながら夫を看病し続けるのでした。
本作ではハリーはこれまでにしてきた冒険の数々を思い出します。簡潔な文章だからこそ、死にゆく男と妻の孤独や不安がひしひしつ伝わってくるのです。