アーサー・C・クラークは、現代も愛され続けるSF小説を数多く生み出してきました。その中には、映画化された作品もあります。今回は、SF小説好きにおすすめの小説を5作紹介していきます。
アーサー・Ⅽ・クラーク(アーサー・チャールズ・クラーク)は20世紀に活躍したイギリスのSF小説作家です。幼少期から宇宙の神秘に見せられていたクラークは、天体観測で星を眺めることが大好きな少年だったそうです。
アーサー・C・クラークの小説の持ち味は、何と言っても、「リアリティ」であるといえます。彼は豊富な科学的知識から、また、宇宙への飽くなき追究心から、この世界を宇宙規模で考えることを表現していったのです。いまや、アーサー・C・クラークの作品はSF小説の代名詞ともいえるでしょう。宇宙や科学の壮大さ、人間のあたたかみ……。ここでは、そんなアーサー・C・クラークの描いた世界を窺い知ることのできる代表作をご紹介していきたいと思います。
『2001年宇宙の旅』はタイトルを目にすると、あの壮大な音楽が頭の中で流れ出す!という人もいるかもしれませんね。この作品はアーサー・C・クラークと、かの有名なスタンリー・キューブリック監督が互いにアイデアを出し合って作ったSF小説で、彼の代表作ともいえる一冊です。
宇宙旅行のチケットが当たったとしたら、あなたは行きますか?行ってみたいけど、少し怖いという気持ちになるのではないでしょうか。なぜなら、空の向こうに広がっているのは、圧倒的な孤独の世界だからです。地上から見たとき、あんなに小さな光の星も、近づけば人間など遙かに凌駕しさ大きさでそこに存在していることでしょう。
- 著者
- アーサー・C. クラーク
- 出版日
燦然たる宇宙を旅するのは、ちっぽけな一人の人間と、進化した人間が作り出した人工知能。AIなどの人工知能が注目されている現在だからこそ、この二者の対峙は読む価値があると思います。アーサー・C・クラークの作品を読めば、きっとまさに宇宙スケールの物語の壮大さに、日頃の小さな悩み事などすっかり忘れてのめり込んでしまうことでしょう。
『都市と星』は、アーサー・C・クラークの処女作、『銀河帝国の崩壊』の改訂版ともいえる作品です。
クラーク本人はどこまでも、小説と現実を近づけようと苦心してこの作品を書き上げたようです。
完全無欠であった銀河帝国が崩壊して十億年。人類は、もといた故郷である地球に戻ることを余儀なくされます。彼らは、すべてが完璧に快適に統制された永劫回帰的な都市を創り上げ、どこまでも平和で、しかしどこまでも閉鎖的な世界に安住していました。そんな世界に住みながら、どこにも居場所のない少年アルヴェンは、ある日、好奇心の赴くままに都市の外側の世界へと飛び出してしまいます。
- 著者
- アーサー・C・クラーク
- 出版日
- 2009-09-05
アーサー・C・クラークの本作は、ハヤカワ文庫からも新訳版が出ています。クラークは宇宙や科学のことばかり考えていた人だったのかというと、そうではないと思います。孤独な少年の心理描写は、誰しも幼い頃に一度は感じたことのあるものかもしれません。行き場のない少年は、飛び出した先の世界でなにを見、何を感じたのでしょうか。こちらはアーサー・C・クラークの『2001年宇宙の旅』よりも比較的読みやすい作品だと思うので、まだSFに触れたことがないという人たち、少年アルヴェンの気持に共感できる青少年たちにおすすめしたい一冊です。
ある映画の有名なセリフに、このようなものがあります。「人が一番恐れるものは?自分が理解できぬものだ」(映画『小説家を見つけたら』より引用)
アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』は、まさにそのことを体現したかのような作品です。ある日地球に突然現れた宇宙船。しかし乗船してきたものたちは姿を見せないまま、世の中を統治し始めます。
彼らは何のために地球にやってきたのか?彼らの目的となにか?全て謎なまま展開していきます。気づかないだけで、私達も 何者かに支配されているかもしれません。それは、国家であったり、メディアであったり、自分が理解できぬ程、大きな存在によるものかもしれないのです。支配されゆく人間たちがとった行動とは?
- 著者
- クラーク
- 出版日
- 2007-11-08
SF小説でありながら、アーサー・C・クラークの今作は大人が読む哲学書のような側面も持っています。たとえSFに興味がなくても、十分に楽しめる一冊です。これを機に自分の世界観を広めたい方、ぜひ読んでみてください。
いまでもよく、UFO、UMAなどを取り上げたテレビ番組など、よく観ますよね。人々の未知なもの、未確認なものへの興味は尽きることがありません。
もしも、人類とかけはなれたエイリアンが明日、地球に姿を現したら?そのエイリアンたちが地球人を遙かに上回る能力の持ち主だったら?アーサー・C・クラークは、この『宇宙のランデヴ―』という作品に、そんな私たちの抱く「もしも」を詰め込んでくれています。
- 著者
- アーサー・C. クラーク
- 出版日
- 2014-02-07
異星人”ラーマ”と命名されたこの人工物体の調査のため派遣されたエンデヴァ―号に乗った人類は、苦心の末にこのラーマと接触することに成功します。未知の存在に対して迫っていく過程に、きっとドキドキが止まらないことでしょう!
『最終定理』は、アーサー・C・クラークがアメリカのSF作家、フレデリック・ポールとの共作して書き上げた、最後の長編小説です。彼の遺作ともいえる本作は、今までの作品よりも、現代という時代に沿ったSF小説であるといえます。宇宙、科学、と来れば、切り離せないのが数学ですね。となると、フェルマーの最終定理を使って宇宙の謎を解く難しい話か?といえば、そうではありません。
- 著者
- ["アーサー・C. クラーク", "フレデリック ポール"]
- 出版日
- 2013-03-08
前作の『宇宙のランデヴ―』は、私達が「侵略される側」として書かれています。しかしこの作品は、今度はわたしたちに、宇宙人の視点から世界をみることを教えてくれます。一体どうゆうこと?と思われるかもしれません。今の地球を異星人が外からみたとき、地球は彼らの目にどのように映るでしょうか?
地球人は、核兵器を持って人類同士殺戮し惑星を破壊する危険な生命体とみて「滅菌」されてしまう……かもしれません。怖いですね。でも怖いことを、人間は沢山しています。
この話が書かれた時からまた、世界情勢は激しく変わり、今も紛争が耐えません、宗教、民族、部族紛争は絶えることは無いのでしょうか?
「人類の一番の悲劇は、道徳が宗教にハイジャックされたことだ」(アーサー・Ⅽ・クラークの名言より)
この本を読めば、彼が我々人類に遺した最後のメッセージを読み取ることが出来るかもしれません。