子どもがとことん楽しめる本を書き続ける原ゆたか
原ゆたかは、熊本県出身のイラストレーター兼児童文学作家です。1973年にイラストレーターとしてデビューしました。1990年頃からはイラストレーターとしての仕事は減らし、児童文学作家としての活動を中心としています。
代表作である「かいけつゾロリ」シリーズは小学生に大人気の児童書であり、累計部数3500万部を超える児童書最大の大ヒット作です。原ゆたかの児童書は徹底的に子ども目線で書かれており、一人で本を読んだ経験の少ない子どもでも、手に取りやすいよう絵が多く文字数が少ない構成になっています。
読書嫌いな子どもでも読み切ることができ、読書嫌いを克服するきっかけになれる本です。今回は特に読みやすく、人気の高い4作品をご紹介しましょう。
原ゆたかの代表作!「かいけつゾロリ」シリーズはじまりの旅
原ゆたかの代表作「かいけつゾロリ」シリーズは、みづしま志穂の児童書『ほうれんそうマン』で敵役として登場したきつねのゾロリを原ゆたかが新たに創作した作品です。
第一の旅は『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』。
いたずらの修行で旅に出たゾロリは山賊のイノシシの「イシシ」と「ノシシ」に出会います。二人から「お姫様が、真面目で正義感のある結婚相手をさがしている」と聞いたゾロリは、自分が王子になってゾロリ城を作るという作戦をたてますが……。
- 著者
- 原 ゆたか
- 出版日
- 1987-11-01
「かいけつゾロリ」シリーズに欠かせない双子のイノシシ、イシシとノシシに初めて出会う物語です。
ゾロリはいたずら大好き、悪いこと大好き!という、児童書には珍しい主人公。物語の最初からおでんやさんのお店を奪ったり、行きついた国のお姫様を作り物のドラゴンで誘拐してしまったり、とんでもない行動を起こします。
しかし詰めが甘くてすぐにばれてしまったり、最終的に失敗に終わってしまったりと、憎めないのがゾロリの良いところです。今回もあっという間にお姫様や王子様に見破られてしまいますよ。
物語の途中には活字を読むことに疲れてきた子どもたちが飽きないように迷路があったり、登場したものの図鑑があったり、飽きない工夫が多数施されています。
ぜひ、本を読むことが苦手な子どもに手に取っていただきたい一冊です。
イシシとノシシが語る「スッポコヘッポコへんてこ話 」シリーズ
ゾロリの仲間であるイシシとノシシが、ゾロリと出会う前を描いた本作は、原ゆたかが絵を、その妻である原京子が文を担当したシリーズ作品です。
イシシとノシシは、オオカミの大切なはらまきを盗んだせいで捕まってしまいました。とんかつにしようか酢豚にしようか……2人を食べてしまおうと企むオオカミから助かるべく、「へいきのヘイタ」という一風変わった男の作り話を始めます。
さて、イシシとノシシは無事に過ごせるでしょうか。
- 著者
- 原 京子
- 出版日
- 2007-10-01
「かいけつゾロリ」シリーズでお馴染みのイシシとノシシ。2人が、オオカミに捉えられてしまった状況から何とか助かりたいと、オオカミの気を惹くようにへんてこな話を作り、語っているのがこの「スッポコヘッポコへんてこ話」シリーズです。
物語は2人とオオカミのシーン、そしてイシシとノシシが作ったへいきのヘイタの話の2つで構成させています。ヘイタの話は1日ごとに区切られていますので、読み聞かせにもピッタリですね。
イシシとノシシが作った主人公ヘイタは、おばけを全く怖がらないどころか、おばけを自分の思い通りにこき使います。その飄々とした振る舞いに、子どものみならず一緒に読んでいる大人も思わず笑ってしまうでしょう。
「かいけつゾロリ」シリーズよりも字が小さくてボリュームもありますが、漢字を知らない未就学児でも読めるようすべての漢字にルビがふってあります。元々読書の好きな子どもや「かいけつゾロリ」シリーズで読書に慣れてきた子どもたちに、ぜひ読んでほしい作品です。