絵本/児童書

児童文学『モモ』は大人だからこそ楽しめる!あらすじや登場人物、名言を紹介

更新:2019.7.25 作成:2019.7.25

世界中で愛されているミヒャエル・エンデの名作『モモ』。児童文学という枠を超え、大人の読者にも響く内容です。この記事では、あらすじや登場人物、名言などを紹介していきます。

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『モモ』の概要を簡単に解説!対象は何歳から?作者のミヒャエル・エンデってどんな人?

ドイツの児童文学作家、ミヒャエル・エンデが手掛けた児童文学『モモ』。1973年に刊行され、翌1974年には「ドイツ児童文学賞」を受賞しました。

世界各国で翻訳されましたが、日本で特に人気があり、累計発行部数はドイツに次いで2位だそう。エンデ自身も日本に所縁があり、1989年には『はてしない物語』の翻訳を担当した佐藤真理子と結婚しました。

『モモ』の物語では、人々が「時間どろぼう」に時間を盗まれ、忙しくなり、心の余裕をなくしていきます。対象年齢は小学校高学年以上とされていますが、その内容は大人が読んでも深く考えさせられるもの。小さい頃に読んだことがある方も、再読してみるとまた違った感想が抱けるかもしれません。

著者
ミヒャエル・エンデ
出版日
2005-06-16

『モモ』の主な登場人物を紹介

モモ

本作の主人公。背が低くて痩せていて、くしゃくしゃにもつれた真っ黒い巻き毛をしている少女です。ある日、街のはずれにある円形劇場の跡地にやって来て、住み着くようになりました。

人の話を聞くのがとても上手で、彼女と会話をした後は誰もが満ち足りた気持ちになるという素晴らしい才能をもっています。

灰色の男たち

人々の時間を奪う時間どろぼう。全身灰色の服を着て、灰色の鞄を持ち、灰色の葉巻を吸っています。「時間を節約して時間貯蓄銀行に預ければ、利子がついて寿命が倍になる」と嘘をつき、人々の時間を奪っていました。彼らに名前はなく、「XYQ/384/b」などのナンバーが付けられています。

ベッポ

モモの親友のおじいさん。真面目で無口な道路掃除夫です。小柄なうえに背中を丸めて歩くので、モモと同じくらいの身長に見えます。

街の人は彼のことを風変りな人だと思っていましたが、人よりもゆっくりと物事を考え、ゆっくりと話をしているだけ。根は誠実で、優しい心をしています。

ジジ

街の観光ガイドをしている、モモのもうひとりの親友です。円形劇場にやってきた旅行者に、過去の出来事や人物について面白おかしく話すのが得意。ただ、本当ではないように聞こえることも話すので、馬鹿にされることもありました。

灰色の男たちから「ひとかどのものになる」という夢を叶えてもらいましたが、時間に追われて仕事への楽しさを失い、生きがいのない毎日を送ることになってしまいます。

マイスター・ホラ

「さかさま小路」の「どこでもない家」に、亀のカシオペイアと暮らしている時間を司る存在です。人間ひとりひとりに、定められた時間を分配しています。時間を奪おうとする灰色の男たちに狙われ、モモと一緒に立ち向かいます。

『モモ』の内容とあらすじを簡単に解説

とある街のはずれにある円形劇場に、少女が住み着きました。年齢は小学生くらい。裸足で、服はボロボロです。「モモ」という名前は自分で付けたとのことでした。

街の住人たちは相談をし、皆で彼女の面倒をみることにします。しばらく経つと、モモは人の話を聞くのがとても上手な子だと気付きました。どんなに困っている人でも彼女に相談をすると、解決策が浮かんできたり、幸せな気持ちになれたりするのです。街の人たちにとって、モモは欠かせない大切な存在になりました。

そんなある日、街に灰色の男たちがやってきます。不満を抱えている人の心の隙間に入り込み、人生のなかでいかに時間を無駄にしているかを説きました。そして、時間を節約して「時間貯蓄銀行」に預ければ、利子をつけて返すと言うのです。街の人はその言葉を信じ、1秒でも無駄にしないようセカセカと働き、心の余裕をなくし、いつもイライラと怒るようになりました。

そのことに気付いたモモは、街の子どもたちに呼び掛け、プラカードを作って灰色の男たちに時間を奪われていることを大人たちに訴えるのですが、見向きもしてもらえません。さらに今度は彼女自身が、灰色の男たちから狙われてしまうのです。

モモは街の人を救おうと、時間を司るマイスター・ホラのもとを訪れ、貯蔵庫から時間を解放しようと奮闘するのですが……。

『モモ』の名言は?

読者をハッとさせたり、深く考えさせたりする名言が多数登場する『モモ』。いくつか紹介していきます。

「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな」

「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ」(『モモ』より引用)

この2つは、道路掃除夫をしているベッポの言葉です。彼は自分の仕事を気に入っていて、とても大切な仕事であることを自覚していました。長い道路を請け負った時の心構えや、仕事への向き合い方が胸に響きます。

「モモ、ひとつだけきみに言っておくけどね、人生でいちばん危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうことなんだ」(『モモ』より引用)

これは、モモのもうひとりの親友ジジの言葉です。灰色の男たちによって、「ひとかどのものになる」という夢を叶えてもらったジジ。「お金持ち」で「有名人」になります。

しかしその代償として、自分自身を見失ってしまうのです。観光客が楽しい気持ちになれるように面白おかしく物語を話していた彼が、嘘を嘘だと知りつつ話すイカサマ師に成り下がってしまいました。自分にとって本当に大切なものは何なのかを考えさせられる名言でしょう。

『モモ』は大人だからこそ楽しめる⁉エンデが伝えたかったことを考察

ミヒャエル・エンデは作中で「時間とは、すなわち生活だ」と述べています。灰色の男たちに時間を奪われた街の人は、残りの時間を1秒でも無駄にしないようにと、心に余裕をなくして休む間もなく働き続けるのです。

「仕事をさっさとやって、よけいなことはすっかりやめちまうんですよ。ひとりのお客に半時間もかけないで、十五分ですます。むだなおしゃべりはやめる」(『モモ』より引用)

お客さんとおしゃべりをしながら髪を切っていた床屋さんは、灰色の男たちのこのように言われ、店の中に大きな時計をかけて効率のみを重視した接客になりました。それまでモモを訪ねていた人も、誰も姿を現さなくなります。日々を楽しむ余裕はまったくありません。

灰色の男たちは人々から時間を奪っているのですが、それはつまり、時間だけでなく、その人にとってもっとも大切なものを奪っているということ。しかし誰もそのことに気付かないのです。

現代社会においても、「効率」「コスパ」などが重視される風潮があります。仕事をするうえではもちろん大切なことではありますが、時間に追われるばかりで本当に大切なことを見失わないよう、ミヒャエル・エンデは読者に呼び掛けているのでしょう。

著者
ミヒャエル・エンデ
出版日
2005-06-16