戦国時代を舞台にした歴史小説オススメランキングベスト7!

更新:2021.12.14

かつて戦国という動乱の時代を生きた人々がいました。今回は、下剋上が当たり前の厳しい世の中を彗星のごとく駆け抜けた男たちの生き様を描いた歴史小説を、ランキング形式で5作品ご紹介します。

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7位: 誰もが惚れる男の姿!『一夢庵風流記』

本作では、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られた前田慶次郎の活躍が描かれます。傾奇者とは、異風を好み、派手な身なりをして、常識を逸脱した行動に走る者たちのこと指します。

著者
隆 慶一郎
出版日
1991-09-30


慶次郎は年上だろうが天下人だろうが、気に入らなければ牙を剥き、親友が決死の闘いに挑むと知れば、笑顔で「俺も一緒に死んでやろう」と励まします。彼に出会った人々は、老若男女、身分や立場を問わず、その生き様に感化され心酔します。

大空に漂う雲のように自由奔放に、風にひらりと舞う花のように美学を貫き生きようとした慶次郎には武士たる潔さを感じ、心地よさがあります。

日常や仕事に疲れた時、嫌なことを忘れて夢中になれる一冊です。

6位: 剛勇と忠義の西国無双『小説立花宗茂』

主人公・立花宗茂は、大友家の重臣である立花道雪を義父、高橋紹運を実父として持ち、道雪の娘誾千代を妻とした九州の武将です。宗茂は、義父と実父を島津の猛攻の中で失い、苦しい立場に立たされますが、豊臣秀吉に取り立てられ、柳河十三万石の大名となります。秀吉の九州平定に功績を残した宗茂は、秀吉の死後、彼から受けた恩恵を返すため、豊臣側を堅持し続けました。その結果、宗茂は、関ヶ原の合戦で敗れ、領地を失い、大名から一変、浪人に身を落とします。しかし後に復権を果たし、敗将で唯一、旧領地の藩主に返り咲くことができたのでした。

著者
童門 冬二
出版日


小大名で、いわゆる「負け組」に属していた宗茂が、秀吉や家康の天下人たちに一目置かれていた理由は、島津に対抗し得る戦いの才覚、臣下達と領民への細やかな気配り、そして受けた恩に報いろうとする情の厚さにありました。ゆえに、関ヶ原では豊臣側につき改易されますが、徳川家からは信頼に足る人物として復権を叶えます。

完璧人間と思われる宗茂ですが、実は生活力がなく、それゆえに家臣たちを当惑させるエピソードがあります。本作ではそうした宗茂の人間臭さまで描き出され、宗茂の親しみやすさが垣間見られることでしょう。

裏切りと下剋上が当たり前の戦国にあって、忠義を貫こうとする宗茂の真っ直ぐな姿勢は心地よく、読後には清々しさを残す作品といえます。

5位: 不屈の東北武士の生き様『天を衝く』

戦国時代後期、東北の大名・南部家棟梁が二代続けて怪死するという激乱の中、主人公・九戸政実は、京の動きに目を向けながらも、南部一族内の権謀術数がうごめく陸奥に縛られていました。同時期に織田信長が死に、天下人となった豊臣秀吉が、20万の兵を率いて東へ進軍をはじめ、主家・南部が豊臣に降る中、政実は豊臣に抗うことを決めます。

著者
高橋 克彦
出版日
2004-11-16


主人公・九戸政実(くのへまさざね)は知名度こそ低いものの、サブタイトルにあるように豊臣秀吉に最後まで抗った猛将として、地元東北を中心に人気の高い武将です。

政実は相手の裏を読んだ緻密な戦略で数々の戦いを制していきますが、主家である南部家が豊臣の軍門に降ると見切りをつけ、東北平定を目指す豊臣に籠城戦を挑みました。結果としては、豊臣軍の圧倒的な戦力を前にひれ伏しますが、最後まで誰一人として弱音を吐かず抵抗した政実を中心とする九戸党の結束の強さ、ここで死んでも構わないと、今を精いっぱい生きる潔さが強く印象に残ります。

豊臣軍と対峙する戦闘シーンの躍動感は、必見です。戦国末期の東北を舞台に日本史の影に埋もれた豪傑を見事に描いた作品といえます。

4位: 静かなる戦い『利休にたずねよ』

戦国時代を戦い、生き抜いたのは武士だけではありません。本作の主人公、文化人・千利休もその一人です。利休は茶の湯の道を極め、天下人に重用されながら、最後には豊臣秀吉から切腹を言い渡されました。

著者
山本 兼一
出版日
2010-10-13


物語は、冒頭、切腹するところから書かれ、そこから過去へ下る回顧録のように進んでいきます。その中で、美を追求し天下人・秀吉に認められながらも反感を買ってしまう伏線を、徐々に明らかにされる過去が回収していきます。また、とある女性との出会いをきっかけにして生まれた利休の強烈な美意識の原点や執着が、その他の女性との関係を掘り下げていく中で明らかにされていきます。

次々と明らかになる利休像に、読者は翻弄されます。利休という人間がこれほど掴めないのは、彼の魅力が多様であると納得せざるを得ないでしょう。彼がこだわる美学と、ある女性への忘れられぬ愛という観点から、新しい利休の姿を浮かび上がらせようとした意欲作を、ぜひお楽しみください。

3位: 新しい明智光秀像『覇王の番人』

「戦乱の世を我が手でしずめてみせる」という決意を胸に秘め、天下統一の夢を信長にたくし、織田軍団の先頭に立って戦いの日々へと突き進んでいく明智光秀。しかしその思いは徐々に変わっていき、やがては打倒信長へと向かう……そんな物語です。

著者
真保 裕一
出版日
2011-09-15


本作は、ミステリー作家が描く明智光秀の物語です。光秀はなぜ本能寺の変を起こしたのか、歴史小説に推理要素が混ぜられ、筆者が推理する「意外な黒幕」と、これまでにない歴史解釈が織り込まれます。

物語で描かれる光秀像は一貫して「正義」の人です。義を貫こうとする光秀の信長に対する心情が、親愛から不信感に変わる過程。それを小平太という第三者が語ることで、光秀ひとりでは抱えきれない葛藤と苦悩が際立つのです。

悲劇的な結末を迎える物語ですが、その結末は推理・論理立てられたものの上に成り立つので、読後はひとつの説として納得がいき、そこへ行きついた達成感を感じることでしょう。信長家臣一同たちの駆け引き、葛藤の末打倒信長を決意した際の涙を誘うセリフ、光秀を支えようとする光秀配下たちの心掴まれる場面が随所にちりばめられたクライマックスを、ぜひご自身で確かめてください。

2位: その生き方、まさに戦国『真田太平記』

武田家に仕える信濃の一武将ながら時代の波に乗り、ときにはしたたかに、ときには忠義を尽くした真田一族の40年にわたる興亡を描いた一作です。

著者
池波 正太郎
出版日
1987-09-30


真田幸村を始めとし、彼の兄・信之と父・昌幸のそれぞれの生涯を、思い切った虚構を混ぜながら爽快に描きます。次々と主(あるじ)を替えていかなければならなかった彼らの生き方は、まさに下剋上の戦国時代を表しています。

戦国を生き抜くためのしたたかに振る舞う知略と、恩ある人々への深い情、真田家を守るため一身を捧げる清々しい生き様を堪能できる良作です。

1位: 剥きだしの野心『国盗り物語』

本作は、主人公を斉藤道三と織田信長の2部構成にしているところが特徴です。1部の主人公・斉藤道三は己の才覚を武器に美濃の大名に成り上がります。道三の娘婿で2部の主人公・織田信長は、道三の野心を引き継ぎ、知略と革命的な発想を持って天下に名をとどろかせるのでした。しかし信長は天下統一あと少しのところで、明智光秀に討たれます。

著者
司馬 遼太郎
出版日
1971-12-02


本作で横行する、裏切りや暗殺、だまし討ち。己の野心を叶えるため、善悪を超えたあらゆる手段を講じる姿は「国を取る」ではなく、奪う行為「国盗り」といえます。この時代の、生き抜くためには犠牲を厭わない、という姿勢には鬼気迫るものを感じます。裏切りや騙し討ちなどの残酷な決断をしなければならないときに彼らが見せる葛藤や苦悩は、現代を生きる我々がなにかを決断する際の葛藤と似ていて、共感することができるでしょう。

彼らの知恵、勇気、行動は魅力的ですが、それを支える家臣や妻、敵対する武将たちもまた物語を面白くしています。特に従来、信長の家臣と書かれる明智光秀が、本作では信長とライバル関係のように描かれているところが斬新です。

織田信長という型破りで、先見の明があり残忍な性質を持つ天才と、明智光秀という文武両道に優れ、沈思黙考型の才人を対照的に描くことによって、後におこる本能寺の変への緊張感を高めている作品です。

群雄割拠、下剋上、戦国時代には数多くのドラマがあります。食うか食われるか、生きるか死ぬか、紙一重の状況で生きる戦国の人々の興亡と生き様は、現代に生きる私たちを惹きつけてやみません。各筆者が思いを込めて綴る物語を胸に、戦国を生きた人々に思いを馳せてみませんか?

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