目で見ることで世界の多くを認識しているからこそ、視覚を失うことの不便さや喪失感は計り知れません。『アビスレイジ』は、盲目の主人公が活躍する異種格闘漫画。どんな風に戦うのか、何のために格闘技を極めたのか。気になる作品の中身を、全巻ネタバレ紹介していきます。
『アビスレイジ』は、成田成哲の漫画作品。集英社のweb漫画配信サイト「少年ジャンプ+」にて2018年5月から連載が開始され、2021年2月に惜しまれながらも完結を迎えました。完結巻であるコミックス8巻は2021年4月に発売されました。
主人公の深淵忍(みぶちしのぶ)は、盲目でありながら古武術「深淵新陰流」の鍛錬をおこなっています。師である拓真にも将来を嘱望され、その娘である美琴とは恋人同士で、順風満帆な日々を送っていました。ある日、手合わせと称した道場破りの男が現れ、忍は惨敗、美琴も連れ去られてしまいました。美琴を取り戻すために、忍は絶望のどん底から這い上がっていきます。
数多くある格闘漫画のなかでも、本作の大きな特徴となるのは主人公の特殊な設定。盲目ながら驚異的な身体技術を身に着けることで、屈強な猛者たちと相対していきます。戦いの舞台となるのは、極悪人ばかりが収監されているという監獄。囚人たちのデスマッチを制し、忍は美琴を連れ戻ることができるのでしょうか。
乙女すぎるヤクザ……など遊びの効いた登場人物による軽妙なストーリータッチに比べ、武術を用いた格闘シーンはいたってリアル。この記事ではそんな本作のあらすじや登場人物の紹介だけでなく、各巻のあらすじと見所を、ネタバレを交えてご紹介していきます。
深淵忍は古武術の深淵新陰流の使い手。道場主の拓真にも将来を嘱望され、娘の美琴とも拓真公認の恋人同士です。鍛錬を積む穏やかな日常を送っていたある日、道場に禿頭でオネエ言葉を操る屈強な男がやってきました。彼は道場やぶりをおこなっており、拓真に勝負を仕掛けます。
挑戦を受けないことが拓真の流儀。一度は断りますが、忍と美琴の身の危険を感じ、勝負をします。結果拓真は謎の男に敗れてしまったのです。忍も立ち向かった者の歯が立たず、美琴は忍をかばうような形で男に連れ去られてしまいました。
自分の無力さを痛感する忍に、男は自分の思い描いた場所が完成した時に、強い男になっていればという謎の言葉を残します。美琴を取り戻すため、忍は3年間血のにじむような修練を重ねました。そして道場破りをしてきた男が「所長」を務める、極悪人が集まる「監獄」へ乗り込みます。監獄で行われているのは、激しい殺し合い。忍は無事美琴を取り戻すことができるのでしょうか。
アビスレイジ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2018/10/4
『アビスレイジ』1巻を電子書籍で読みたい方は、こちらから!
本作は生死をかけたデスマッチが行われる格闘漫画。あらすじからもキャラクターの個性の強さが窺えますが、一筋縄ではいかない人物ばかりです。こちらでは、個性的な登場人物をご紹介していきます。
まずは主人公の忍です。忍は全盲の武道家で、深淵徒手術の使い手でもあります。幼い頃から目が見えない忍がどのように闘っているのかと言えば、頼りにしているのは耳。戦っているときの忍は常に舌打ちをしており、反響した音を聞くことで、相手の一夜動きを把握しているのです。精度は高く、提示された指の本数を間違えずに数えられるほど。技術を極めたのは、現当主である拓真の跡を継ぎ、頭首となるためです。
性格は温厚で真面目な忍。なぜ彼が殺法として発達してきた古武術を極めようとしたのかと言えば、幼馴染であり恋人でもある美琴のためでした。幼い頃から忍の目となり、広い世界の景色を教えてくれていた美琴。彼女は一人娘であり、いずれ深淵新陰流を継ぐ立場にあります。美琴が過酷な修練を積む必要がないように忍が言い出したことでしたが、それが忍の自信にも繋がっていました。
世界のすべてが美琴を中心に回っていると言っても過言ではないほど、美琴を愛している忍。だからこそ、目の前で美琴が奪われてからの3年間で穏やかさは失われ、研ぎ澄まされた刃のようになりました。幸せな頃を描いた後であるだけに変化は大きく、忍の受けた衝撃を物語っています。
忍にとって生きる意味そのものといえるのが深淵美琴です。美琴と忍は幼い頃から一緒に住んでおり、行動をともにしては見える世界を教えることが美琴の日常でした。忍のことは大切に想っており、頭首を継ぐと決意した忍と結婚すると言ったのは美琴です。自身も深淵新陰流の修練を積みながら家事をこなし、忍と父拓真の日常生活を支えています。
道場破りが起こった時は忍をかばって男についていくと明言、一度は忍との結婚を諦めるような言葉を残していきました。監獄では職員のようなことをしながら生活をしている様子。優しく芯が強い、面倒見のよい少女です。
父である拓真は、深淵新陰流の頭首。美琴との父親であり、忍にとっては父親代わりであり師匠でもあります。父としては気さくな人柄ですが、師匠としてはとても厳しい人物。道場破りに敗北してしまいますが、弱いとは明言されておらず敬意を払われていた様子なので、実力は相当のようです。
忍は極悪人ばかりが収監されている監獄に行くことになるのですが、そこで出会うのが佐々木です。佐々木は、白岡組の構成員で若頭補佐をしているヤクザです。外見も大柄で剃り込みの入った髪型をしており、派手なスーツを着た姿はいかにもヤクザという風貌。実際はヤクザらしからぬ、臆病で心優しい人物なのです。
どれくらい臆病なのかと言えば、恐ろしい目に遭って尿を漏らしてしまうほど。喧嘩は弱いものの、弱者を放っておけない優しさの持ち主なので、目が離せず守ってあげたくなってしまいます。ヒロインである美琴の他にも登場する女性キャラクターが精神的にも肉体的にも強いこともあり、忍の側にいる守られるポジションという意味では、佐々木ほどヒロインらしいキャラクターもいないでしょう。本作の和み担当とも言えます。
ちなみにコミックスには、佐々木を主人公にした四コマのようなものも収録されており、コミカルな姿を見ることができます。
監獄内で登場するキャラクターをもう1人ご紹介いたしましょう。興行師を名乗る貴美島は、監獄のなかでも特殊な立ち位置の人物。囚人ではあるものの監獄内のパワーバランスをよく見ており、抗争を大きくさせたりと常に何かが起こるよう立ち回っています。武器や情報を扱っており、囚人でありながら第三者といった立場でしょうか。
忍にとっては敵か味方かわからないポジションで登場しますが、忍たちにとっては兄のように頼れる人物。面倒見も良く、忍は何度も危機を救われることになります。実は何でもできる天才で、ボクシングを中心に格闘スタイルを変えるなど器用さが目立ちます。
他にも剣道の天才東堂、忍の前に立ちはだかる一撃必殺の狂人遠藤、片腕の女剣士のあやめなどが登場。性格はもちろんのこと、戦闘スタイルもそれぞれ尖った部分を持つ、個性の強いキャラクターが揃っています。
登場人物紹介で、重要な人物がいないことにお気づきだったのではないでしょうか。深淵家の平穏を破壊し、極悪な囚人ばかりが集まる「監獄」を作った人物、所長の真神を忘れてはいけません。真神は全ての元凶を作ったともいえる存在。彼は一体どういった人物で、何のために道場やぶりを行い、監獄を作ったのでしょうか。
所長真神は高い身長に髪が一本もないつるりとした禿頭、逆三角形の屈強な肉体を持つ男です。外見だけでも強烈なインパクトの持ち主ですが、オネエ口調というだけで得体の知れなさが格段に上がってしまいます。ただしイロモノキャラとは思えないほど強く、忍や拓真だけでなく、多くの武闘家を圧倒的な力でねじ伏せてきました。
真神が刑務所を買い取り、極悪人ばかり集めた監獄を作り出したのは、ひとえに「強い人物と戦いたかったから」、と理由はとてもシンプル。弱い人間は嫌いなので言動はかなり辛辣ですが、実力を持つ人間には敬意を払う姿を見せるなど、礼節を持った人間らしい姿も見せています。
そんな真神も、昔から強さにこだわる戦闘狂ではありませんでした。実はその正体は天上秀一という大財閥の御曹司。何不自由のない生活を送っていたのです。
紆余曲折あって傭兵となり、その中で出会ったのが軍人であり傭兵でもあるジョンです。真神とは戦場でパートナーとなるなど、強い絆で結ばれていました。うなされる真神がジョンの名前を呼ぶ場面があるなど、真神にとってとても大切な存在のようです。
続いて本作の見所を紹介していきましょう。
まず大きな見所となるのが、主人公忍の盲目という設定です。小さい頃から盲目だった忍は、愛する人のために深淵新陰流に打ち込み、力を手に入れました。舌打ちをするという戦い方がかなり独特で、誰にも真似できない戦闘スタイルというのは間違いないでしょう。
数多の強者が登場する本作のなかでも、視覚が失われているという圧倒的に不利な状況に置かれているのは忍だけ。そんな彼が努力によって身につけた技で強者に立ち向かい、打ち負かしていく姿は胸が熱くなります。
忍は素手で戦いますが、真神はナイフや鉈のような形状の武器を使用。貴美島も多くの武器を使用して戦うなど、戦闘スタイルにはかなり個性が出ています。深淵新陰流のように特殊な武術も登場しますが、武器も正統派な使い方をしていないのが大きなポイント。いかに工夫して相手を倒すかという、思考を凝らした戦闘に引き込まれます。
また、空手の遠藤や剣道で全国制覇をした東堂など、ひとつの武術を極めた男たちが登場するところも見所のひとつ。愚直に突き進んだからこそたどり着いた境地を見ることができます。
作品が進む中で互いへの愛を自覚することが多いですが、忍と美琴に関しては、作品開始時点から相思相愛だという珍しいカップルです。幼い頃に結婚の約束をし、一緒に生活を始めて10年という節目に、美琴は忍へ指輪を送る予定でいました。その後美琴は連れ去られ、忍は助けるために力を手に入れたのですが、その愛情と執着は極端なほど。
忍の行動は全て美琴を中心に回っており、他人が入り込む余地はありません。離れ離れの状況でもお互いを想い、乗り越えようとする2人の強い絆と互いへの想いが、作品を盛り上げる要素の一つになっています。
愛する人を救い出すために生死をかけた戦いに挑む。デスマッチという過酷さの中に人を想う強い気持ちがあるからこそ、物語がより一層ドラマチックになっていくのかもしれません。次からは気になる各巻のあらすじと見所をご紹介していきます。
「マッチョが好き」と公言する漫画家、成田成哲。その公言どおり力強い登場人物らの体つきや動きが作者の持ち味であり、漫画的な誇張のなかにもリアリティを感じられるでしょう。
過去には『マッチョグルメ』という作品で、ボディビルダーの食事という1テーマを漫画に描いています。ボディビルダーが普段の厳しい食事制限を1日だけ解放していい日、「チートデイ」。どれほどその日の食事が幸せなのか伝わり、マッチョのような暮らしに無縁な方も爽快な気持ちを味わえる作品となっています。
- 著者
- 成田 成哲
- 出版日
- 2017-07-04
作者についてもっと知りたい方は、本人によるTwitter成田 成哲@ジャンプ+もご覧ください。
盲目の少年深淵忍は、深淵新陰流の鍛錬に励む武道家です。次代の頭首を目指し、恋人の美琴とともに穏やかな日々を送っていましたが、ある日道場破りの真神が現れたことで状況は一変。現頭首の拓真は倒され、美琴が連れ去られてしまいました。まったく歯が立たず、目の前で美琴が連れ去られたことにショックを受けた忍は、より一層鍛錬に励みます。
3年後、送られてきた刺客を返り討ちにした忍は、真神の用意した孤島の監獄へ案内されることになりました。そこは外へ出るために囚人たちが命を懸けて戦うデスマッチの舞台。同室になった佐々木の協力を得ながら、忍は激しい戦いへと身を投じるのでした。
穏やかな日常が崩れ去り、大切な人を取り戻すための闘いの日々が始まりました。見所はたくさんありますが、1話の真神と忍の戦いです。物語開始当初では天と地ほどの実力差がある2人。厳しい鍛錬とはいえ、3年という長くはない時間でどれくらい差が埋まるのでしょうか。この場面を覚えていると、忍の成長をより実感できるはずです。
- 著者
- 成田 成哲
- 出版日
囚人たちの殺し合いが行われている監獄。ポイント制になっており、1人殺すごとに1ポイント獲得することができます。100ポイントで出所できるシステムとなっており、囚人たちはグループを組むなど様々な方法でポイントを稼いでいました。
剣道の天才と呼ばれている東堂は、100ポイントを獲得し出所することになりました。しかし、最後に待ち受けていたのは所長の真神。日本刀を武器に戦う東堂に対し、真神が持つのは短刀のみ。外の世界へ出るために、東堂は真神へと戦いを挑むことになるのでした。
一方忍は、1人の男に目をつけられ戦うことになってしまいました。相手は「拳聖」と呼ばれる空手家の遠藤。一撃必殺を理念とし、強烈な正拳突きを武器にしています。遠藤は忍の舌打ちによるソナーをかいくぐり、腹部へと重い一撃を食らわせるのでした。
2巻では本格的な戦いが始まります。1巻では真神と忍の実力差を感じましたが、2巻では他の強者と比べて真神がどれくらい強いのかを実感できる場面が多く登場します。見所は真神と東堂の戦いでしょうか。忍の戦いも注目したいところですが、真神の桁違いの強さに圧倒されてしまいます。
- 著者
- 成田 成哲
- 出版日
遠藤との戦いの後、美琴の情報を得るために監獄内の情報を握っている興行師の貴美島を探すことになりました。その途中でDブロックを縄張りとしている元力士の淀川一派に妨害を受けてしまいます。淀川は忍が耳を頼りに戦っていることを見抜き、仲間が大声や大きな音を出すことで戦闘の妨害をし始めました。
不利な状況に苦戦する忍でしたが、貴美島の機転で監獄の明かりがすべて消えてしまいます。暗闇は忍の得意とする空間。人の声を頼りに忍は窮地を脱するのでした。貴美島と顔を合わせた帰り道、忍は淀川に遭遇。1対1の戦いをすることになるのでした。
元力士の淀川が率いる一派と淀川自身との戦いのほか、囚人のなかでも得意な立場にいる貴美島との出会いが描かれています。見所は淀川一派および淀川本人との戦いです。一派は弱点を的確に突いた作戦で忍を苦戦させますが、淀川が持っているのは圧倒的な力。相撲の技を駆使して戦う淀川をどう攻略していくのか、目が離せません。
- 著者
- 成田 成哲
- 出版日
淀川との激闘の後、忍の前に現れたのは真神でした。淀川との戦いに刺激されたと言い、忍と戦い始めます。美琴を連れ去られて3年、宿敵との突然の遭遇に力が入ります。一方真神も、以前とは比べ物にならないくらいの実力を身に着けた忍に興奮が収まりません。弱いものが愛を語ることが嫌いだと告げた真神は、忍を一方的に追い詰めるのでした。
忍を助けようと真神に立ち向かってくる佐々木の義理堅さに心を動かされた貴美島は、真神にある名前を告げます。それは謎めいた監獄の所長、真神の過去に触れる、とっておきの情報なのでした。
忍と真神の邂逅など見所の多い4巻。特に注目したいのが、美琴と忍の強い絆です。4巻では連れ去られた後の美琴がどのように生活していたのか、その様子を見ることができるほか、美琴と忍のかわいい過去のエピソードが登場。忍同様美琴も違う環境で頑張っていたのだと、互いを強く想う心に心が温まります。
なお4巻からは書籍ではなく、電子書籍のみでの販売となっています。
アビスレイジ 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2019/8/2
『アビスレイジ』4巻を電子書籍で読みたい方は、こちらから!
深淵新陰流は元々暗殺に特化した古武術。それを護身術に昇華させ、忍に教えたのは拓真でした。師である拓真の教えを守り、人を殺めることは一度もなかった忍。しかし、真神との戦いで自身の甘さを痛感した忍は師匠との誓いを破り、禁じ手となった暗殺術を使用することを決めます。
遠藤との戦いの中、忍は暗殺術を駆使して追い詰めていきますが、その手を止めたのは貴美島でした。忍が手を汚さなくても、真神に勝つ方法があるとある秘策を告げます。しかし、真神は貴美島の動きを把握しており、彼の元へ真神からの刺客が迫るのでした。
5巻では忍が闇落ちの危機を迎えるなど、波乱に満ちた展開です。貴美島に止められましたが、忍は不殺を貫き通すことができるのでしょうか。見所は遠藤や貴美島、行動をともにする片腕の女剣士あやめの過去など、様々なキャラクターの掘り下げです。特に一見何の関りもなさそうな遠藤と忍の間に意外な因縁があることが明かされ、驚かされます。
アビスレイジ 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2019/12/4
『アビスレイジ』5巻を電子書籍で読みたい方は、こちらから!
100ポイントを獲得したことで、真神と対決することになってしまった貴美島。卓越した戦闘技術で真神を追い詰めていきます。関節技を決めて真神の左腕を破壊した貴美島は停戦を申し出ますが、負傷したと思われた左腕の攻撃により状況は一変、脳しんとうを起こした貴美島はピンチに陥ってしまいます。
しかし彼は、真神との戦いにおいて命を奪われることはなく、忍への伝言を届けさせるために開放されました。忍が知らされたのは美琴が死亡したという事実。絶望する忍に真神は、自身が差し向ける最強の戦闘員と戦い、忍が勝利した場合のみ特別に挑戦を受け入れると告げたのでした。
美琴死亡という衝撃的な情報が伝えられる6巻、最強の刺客との戦いのルールに困惑するのではないでしょうか。ヘルメット姿の人物が誰なのか明かされた時、忍だけでなく読者も驚くはずです。見所は真神と貴美島の戦い。本気で戦う貴美島の姿はもちろん、天才ゆえに苦悩の多かった過去が垣間見られるエピソードをお見逃しなく。
アビスレイジ 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2020/3/4
『アビスレイジ』6巻を電子書籍で読みたい方は、こちらから!
最強の戦闘員との戦いを終え、監獄を終焉に導くことを決めた忍。100ポイント貯めた後に何が起こるのか、それを施設中に告げて回ると宣言するのでした。一方、貴美島からの伝言を受け取り、忍と対話したことで遠藤は真神と対決することを決めました。徒手では監獄内最強とまで評価される遠藤の拳が、真神を追い詰めていきます。
一方、混乱する施設内で美琴は真神の過去に通じる手がかりをつかむのでした。かつて天上秀一と名乗り、財閥御曹司として不自由のない生活を送っていたはずの真神。彼が傭兵となり、監獄を作り上げるまでの過去が明かされていきます。
監獄が崩壊へと向かっていくなか、己の全てをかけて遠藤と真神が拳を交わします。7巻の見所は何といっても真神の過去。なぜ財閥御曹司が傭兵になったのか、監獄を作ったのはなぜなのか。その理由が明かされていきます。ジョンとの関係性も明かされますが、納得する部分も多いのではないでしょうか。弱者が語る愛を必要以上に嫌う理由の一端が垣間見られます。
アビスレイジ 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2020/9/4
『アビスレイジ』7巻を電子書籍で読みたい方は、こちらから!
物語は完結し、コミックスは2021年4月に発売されました。最終回が知りたい、忍たちがどうなったのか、気になる8巻の内容を見ていきましょう。
遠藤との戦いの勝者は真神でした。美琴や佐々木、貴美島や真神の部下である柏木が見守る中で、忍は真神と再び戦うことになります。あらゆる技を駆使し、真神を追い詰める忍。勝利を確信した時、真神の思いがけない反撃が忍を襲うのでした。
最強のラスボスなので楽に勝たせてくはくれない真神ですが、意外な人の手によって最期を迎えることになります。勝利は忍の力だけでは成しえず、彼を支えてきたすべての人の勝利だと実感できるでしょう。
戦いが激しかっただけに、全員幸せになってほしいという気持ちが強くなりますが、キャラクターたちの後日談も収録。幸せそうな姿に心が温かくなります。
アビスレイジ 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)
2021/4/2
『アビスレイジ』8巻を電子書籍で読みたい方は、こちらから!
いかがだったでしょうか。過酷なデスマッチと、愛の物語が融合した本作。戦いの中だけでなく、忍と美琴の関係や真神の過去など愛を語ることで濃厚かつドラマチックな人間ドラマが生み出されました。様々な格闘家が登場するという意味でも、他の格闘漫画とは少し違ったカラーという意味でも「異種格闘」という言葉が似合う本作。ぜひ手に取ってお楽しみください。