人間を食料とする喰種(グール)と人間との戦いや葛藤、さまざまな謎を描いてきた『東京喰種』。物語は新編である『東京喰種:re』にまで続き、喰種に潜む巨大な謎が明かされました。アニメは4期まで放映され、実写映画化も2度された人気作品です。 ここでは喰種を巡るさまざまな謎の解説や考察したあとに、最終回までの見所についてご紹介します。ネタバレを含みますので、気になる方はスマホアプリでストーリーをチェックしてからご覧ください。
全ての生き物は、何らかの方法で栄養を摂取して生きています。人間は植物や他の動物を栄養として摂取しますが、人間が栄養とされることはありません。しかし、人間が捕食される側になるとしたら……。
石田スイ『東京喰種』は、人間の姿を持ちながら、人間を食す「喰種(グール)」という特殊な存在が軸となる物語です。強靭な肉体と特殊な能力を持ち、人間を捕食する喰種。食う者と食われる者が存在する世界を、喰種を巡る事件に巻き込まれた少年を主人公に描き出します。
本作は大学生の金木研を主人公とした『東京喰種』と、佐々木排世を主人公とした第2部『東京喰種:re』が発行されており、喰種を巡る数多くの謎と、圧倒的な描写力で多くの読者を魅了してきました。
2014年、2015年、2018年に2度の計4度アニメ化され、舞台化や2017年、2019年に2度実写映画も公開され、爆発的な人気があった本作。特に映画作品は窪田正孝、蒼井優、佐々木希、大泉洋などの豪華キャストでも話題になりました。
こちらでは、そんな原作の第1部と第2部それぞれのあらすじと、物語最大の謎である「喰種」に関わる大きな謎や伏線なども、ネタバレを交えながら解説。最終巻の見どころもにも触れていきます。
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多くの人が行き交う都市、東京。現代日本と何ら変わらない世界ですが、大きく違うところがあります。『東京喰種』の世界には、「喰種(グール)」という、人ならざる亜人種が存在していました。
喰種は、数メートルの障害物を軽々と飛び越えるなど、超人的な身体能力と、高い治癒力、そして武器にもなる捕食器官や特殊な細胞を持った存在です。一見人のようですが、人間とは多くの違いを持っているがゆえに、人間からは敵視されていました。
意思疎通することも出来ますが、人間は喰種を駆除対象とし、「喰種対策局」通称「CCG」なる大掛かりな組織も誕生しました。なぜそこまで喰種は敵視されているのかというと、喰種が人間を主食としているからです。
人に紛れ、時に人を捕食しながら闇の社会を生きる喰種は、身近でありながら一般人からは少し遠い存在です。主人公である金木研(通称カネキ)も、喰種とは関わりのない生活を送る、普通の大学生。ある日、趣味である読書を通じ、神代利世(愛称はリゼ)と知り合います。
リゼに好意を寄せていたカネキでしたが、彼女の本来の姿は喰種。危うく捕食されそうになりましたが、鉄骨の落下事故に巻き込まれてしまいます。
リゼは死亡し、一命をとりとめたカネキでしたが、瀕死の重傷を負ったことで知らぬ間にリゼの臓器を移植されていました。喰種であるリゼの臓器を持ったカネキは、人間としての自我を持ったまま、人間に食欲をそそられる、喰種となってしまったのでした。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
喰種の互助組織としての役割を持つ喫茶店「あんていく」に身を寄せたカネキは、本人の意志とは裏腹に、人間と喰種の戦いや、喰種同士の抗争に巻き込まれていきます。その中で、喰種となってしまった自身に思い悩み、より深く喰種の世界に関わっていくことになります。
カネキ自身の苦悩と、リゼを始めとした、多くの喰種の謎を絡めながら「CCG」や喰種組織「アオギリの樹」との激化する戦いに身を投じていくのでした。
第1部は、突如として喰種となってしまった、カネキの物語です。カネキと読者の目線は、物語当初からとても近くにあります。何も知らないカネキの目から見える世界だからこそ、読者にも本作の世界が、多くの謎に包まれていることを感じることができるでしょう。
元々人間だからこそ人を食べることに対し苦悩し嫌悪する感情を持ちと、喰種の存在意義を否定できないカネキの心理、どちらにも共感できる内容となっています。
バトル漫画としても見どころは多く、特に喰種特有の器官である「赫子(かぐね)」を使用した戦闘シーンは、他の漫画にはない独特なもの。喰種それぞれに特徴があり、性格以外にも個性が出ているところもポイントのひとつです。
また、多くの伏線が散りばめられており、装飾品や、小さな店の看板、名前などもヒントになっていることも。何度も読み返す楽しみの多い作品でもあります。
第2部『東京喰種:re』は、第1部で主人公だったカネキに変わり、新たに佐々木排世(ささきはいせ 通称ハイセ)を主人公とした物語が展開されます。第1部からは2年後の世界が舞台となっていますが、喰種の脅威は、人間のまだすぐそばにありました。
ハイセは22歳、毛先が白、生え際が黒というツートーンカラーの髪が特徴です。喰種捜査官として「喰種対策局(CCG)」に勤め、高い実力を持っていました。
中でも、エリート特務捜査官である有馬将貴を超える人材を育成することを目的とした「クインクス」班の指導者を任されており、個性的なメンバーに手を焼きながらも、賑やかな日々を送っていました。
「クインクス」とは、喰種の赫包を武器として加工した「クインケ」を、体内に持った兵士の事を指します。クインクス班のメンバーは、喰種のように赫子を使用することができますが、喰種のように人を食べることはありません。
しかし、フレームアウトという、いわゆる暴走状態が起こった際には、喰種として駆逐されることが決定しています。
ハイセはクインクス班の指導を行いながら、捜査官として喰種と戦っていきます。しかし、物語が進むにつれ、ハイセの過去について疑問に思う部分が多く出てくることでしょう。
温厚な性格、趣味は読書、料理が得意で、そして20年間の記憶を失っているという点。ハイセ自身の謎と、徐々に明るみに出てくるCCGの本性が、物語全体を包む謎を明らかにしていきます。
第2部は主人公が違う、と聞いてがっかりした読者もいるかもしれません。しかし、物語の舞台は同じで、2年後ではあるものの、同じ世界で物語は進んでいきます。
第1部では喰種視点で物語が進みましたが、第2部は謎多き組織CCGにスポットが当てられ、より多くの謎が明かされていきます。
また、第1部に登場したキャラクターたちがどうなっているのかも、物語が進むにつれ明かされていくのでご安心ください。第1部の持つ重い空気とは少し違った雰囲気がありますが、より喰種やCCGの謎に深く切り込んでいきますので、謎が解かれていく驚きも楽しむことができます。
第1部では喰種と戦い、人類を守る存在として登場した喰種対策局、通称CCG。国の行政機関であり、喰種の捜索及び駆除、喰種によって身寄りを失った子どもたちの保護などを、主な業務としています。
人類を捕食する喰種と戦う、という人類からしてみれば正義と言える機関ではありますが、読み進めていくと、それは違うのではないか?という事実が明るみに出てきました。
まず、CCGは喰種との戦闘において、捜査官の一部は「クインケ」と呼ばれる武器を使用しています。クインケは、討伐した喰種の赫包(かくほう・喰種特有の器官で喰種にしかないRc細胞を貯めこんでいる嚢胞)を加工して生成されており、もちろん一般の人は知らされていません。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2014-12-19
さらには、クインケ鋼を体内に移植された喰種捜査官「クインクス」を作り出して強力な喰種討伐にあたらせるなど、人体実験まがいの事を組織として行っています。クインクスは喰種よりは劣るものの、その能力は強大。
しかし、その能力をコントロールすることは難しく、能力抑制装置である「フレーム」を外すたびに暴走の危険性が高まります。心神喪失となり喰種化、性格が変わってしまう者も少なくありません。
また、クインケの材料ともなるRc含有液(喰種を溶かして作成する)を海外から輸入していた貿易会社スフィンクスから、Rc含有液を購入していたのもCCG。そもそもスフィンクスを設立したのもCCGである、という事実が明かされています。
さらにはスフィンクスの社長・安久七生社長夫妻を殺害した実の娘、クロナ、シロナの双子姉妹は、元CCG所属の医師、嘉納の手で半喰種化されていました。カネキの半喰種化手術を担当した嘉納の実験施設は、CCGの地下にあります。
グレーゾーンを通り越し、黒に近いように見えるCCG。末端の捜査官は何も知らない一般人が多く、組織の中でも幹部クラスの人間でなければ、この秘密は知りません。
作中でも捜査官の亜門鋼太郎や、丸手斎らがCCG内部の秘密を探っている様子が描かれました。また、作戦の一部が喰種側に漏れるなど、一枚岩ではない様子で組織の中でも様々な思惑が絡み合っているようです。
またCCGは、行政機関でありながらその設立にとある名家が関わっています。CCG総長や局長を務めているのは、名家「和修家」出身の者たち。作中では長らく謎の家として登場してきた和修家ですが、喰種にも大きな影響を与える存在であることが、徐々に判明しました。
和修家は、代々喰種討伐を生業としてきた名家で、その実力は同業者の中でも随一といわれています。CCG設立にも大いに貢献し、その幹部には、和修常吉、吉時、政といった和修の人間が付いており、国家組織であるはずなのに世襲制になっていました。
和修家が管理していると言っても過言ではないCCGの、組織としての黒い部分を明らかになったわけで、幹部である和修家が全く関わっていないわけがありません。作中では和修家が喰種討伐をしていた家系ではなく、実は喰種たちの一族であることが明かされました。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2015-03-19
和修家は喰種としての血を存続させることに執念を燃やしているらしく、和修家が秘密裏に作った組織「V」とは、和修家の分家の事です。しかし、一般的な本家や分家といったものではなく、Vと呼ばれる分家は和修家を存続させるために必要な事をこなす、いわば使用人的な立場にあたります。
その中には雑用係のほか、血を残すためにタネ役、母胎役と呼ばれる係も存在しており、カネキに赫包を移植することになったリゼも、元は母胎として和修家、ひいてはVにいたのでした。
喰種を作るということに執念を燃やしているせいか、人間と喰種の交雑なども行っていたことが作中で語られています。喰種よりは人間に近いものの、その身体能力は人間よりもはるかに優れている、半人間を作り出していました。半人間たちは和修家で雑用係として働くほか、CCGの捜査官として働いている者もいます。
彼らは喰種捜査官を育成する、CCGアカデミーの中でもかなり特殊な「白日庭」の出身者。表向きは優秀な子どもたちを集めて教育を施す、英才教育機関となっていますが、片親が喰種の半人間ばかりが籍を置いています。
喰種たちの前に、最強のCCG特等捜査官として登場する有馬貴将は、白日庭出身の半人間。Vの一員であり、若い頃からその戦闘能力を生かし、喰種や人間を殺し、他者から何かを奪う生活を送ってきました。
喰種を狩る立場の喰種ということは、和修家は喰種の頂点に立とうとしているのでは?と予想されますが、その思惑ははっきりとはしていません。
はっきりとする以前に、作中で和修家は、予想外に存続の危機を迎えてしまいました。その危機を運んできたのは、実は前作から姿があったものの、誰も重要人物だとは予想していなかった、とあるキャラクターだったのです。
CCGの上層部として、さらには喰種として和修の血を残していくため、その権力を振るっていた和修家ですが、とある人物の襲撃により、一族は壊滅状態に陥ります。その人物とは、旧多二福(ふるたにむら)。「和修旧多 宗太」が本名であり、普段はCCGの捜査官として働いています。
その戦闘能力は赫子を出していないカネキと互角渡り合うシーンが存在するなど、かなり高いことが推測されます。ちょっと気弱そうに見える中年、旧多ですが、かなり秘密が多く、様々な場所で暗躍してきました。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2016-03-18
まず、リゼは元々和修家にいましたが、なぜ20区(1区から23区まである東京の行政区域。区ごとに喰種の活動状況が異なる。20区は比較的安全とされている)にいたのでしょう?それは当時とても可憐で可愛らしかったリゼを、旧多が逃がしたからであり、後にリゼは喰種の神代叉栄から名前を貰い、神代利世として生きていたのでした。
何かと暗躍していた旧多ですが、実は半人間であるのに加え、リゼの赫包を移植された半喰種でもあります。その能力を全て出し切っているわけではありませんが、強大な力を持っており、その力で和修家を襲撃、自身の父である常吉や吉時を殺害しました。
自身は和修家を継ぐものとして「和修吉福」と名乗り、和修家当主ならびにCCG局長に就任。権力を手に入れています。しかし、現状ではその真の目的は今一つ判明していません。
ラスボスとしては今一つインパクトには欠けますが、謎が多く今まで以上に何かしら暗躍しているのでは、と窺える場面も見られました。悪となる存在なのかと思えば、「超平和」を目指している発言もあり、読者としても判断に迷う人物の1人でもあります。
Vの一員であり、和修家に関わる人物だった旧多は、別の顔も持っています。和修家には旧多が単独で襲撃を行ったわけではなく、ピエロの面をかぶった喰種たちが関わっていました。
通称「ピエロ」と呼ばれる組織に旧多は「宗太」として関わっており、実は物語最初期に、リゼに鉄骨を落とした犯人であることが判明しています。すでに大きな権力を手に入れた旧多も所属している組織、ピエロとは何なのでしょうか。
和修家を襲撃し、和修本家を継いだ旧多二福が、宗太という名前で所属していた謎の集団ピエロ。彼らが拠点としている東京の3区、現代でいうところの港区は、喰種同士の奪い合いが頻発している危険区域です。メンバー全員がピエロの面をかぶっていることから「道化師(ピエロ)」と名が付いた組織ですが、その目的も謎に包まれています。
旧多二福がメンバーの1人であることが判明しましたが、実はカネキに近しい人物たちも、そのメンバーであることが明かされています。かつてカネキが身を寄せていた喫茶店「あんていく」に関わっていたメンバーも多く、カネキを慕っていた帆糸ロマや情報屋のイトリ、仮面を作る工房のウタなどがメンバー。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2016-12-19
首領は明かされていませんが、重要な人物として、ロシア系の喰種で、かつて亜門鋼太郎の育ての親だったドナート・ポルポラ、通称神父が浮上しました。
クラウンと呼ばれている描写はあるものの、本当にドナートがクラウンかどうかは判明していません。クラウンはハイセのことを気に入っており、話すことを楽しみにしている、といった描写があります。
ピエロの目的は判然としませんが、カネキをハイセとして存在させるのではなく、元に戻そうと動いている場面が見られます。そんなピエロの動きから、ピエロの首領は、カネキの幼馴染である永近英良(通称ヒデ)なのではないか、という説がささやかれるなど、様々な憶測が飛び交いました。
そのピエロですが、創設者が誰なのかが判明し、読者を驚かせました。ピエロの創設者は、帆糸ロマ。
あんていくでアルバイトをしていた女性ですが、若々しい見た目に反し、実年齢はなんと驚きの51歳。隻眼の王との戦闘経験もあるSSSレートの赫者でしたが、クインクスの瓜江久生に撃退されてしまっています。
宗太やウタ、イトリなどが所属していたピエロも喰種の組織ですが、喰種はリゼのように単独で動くものもいれば、少数グループや組織として行動している者もいます。その中でも、かなり巨大な力を持っているのが、「アオギリの樹」。同組織もカネキや霧嶋董香の前に立ちはだかりました。
アオギリの樹は、11区を活動の中心としており、その目的はCCGの壊滅と、歪んだ世界を水平に戻すこと。強力な喰種を擁しており、「隻眼の王」が首領です。
かなり好戦的な組織ですが、CCGと頻繁に戦闘を行い、捕獲された喰種が収容されるコクリアを襲撃して、開放した喰種を仲間に引き入れるなど、勢力拡大にも力を入れています。
隻眼の王および、CCGから最も恐れられている喰種「隻眼の梟」に深くかかわる組織でもあるアオギリの樹は、CCGにとって討伐対象として存在してきました。その首領であり、喰種たちにとっては強さの象徴でもある二人の喰種の正体も、作中で明かされています。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2017-06-19
アオギリの樹を作ったのは、めったに生まれないと言われる純粋な半喰種であるエトと、CCGの特等捜査官、有馬貴将です。本来であれば敵対しているはずの二人ですが、戦闘時に両者が会話をした事で目的が一致していることが判明、アオギリの樹を組織するに至りました。
実は首領である隻眼の王は、有馬たちが作り出した架空の存在です。組織の象徴として、強力な捜査官として恐れられている有馬を倒せるほどの存在であることが求められていました。
結果的にハイセに看取られて有馬が死亡しているので、隻眼の王はその名前と目的を、ハイセ、すなわちカネキが受け継がれています。
隻眼の梟は、強力な喰種であるあんていくの店長、芳村の事を指していた言葉でした。実際は、芳村が「功善」と名乗っていた頃に、人間の女性との間に生まれた、先天的な半喰種のエトの事を指します。
しかし、自身で隻眼の梟と名乗ることはほぼなく、アオギリの樹メンバーの前での演説で初めて明かされた事実です。有馬とともにアオギリの樹を作ったエトも、隻眼の王をカネキに継承することを承諾しており、現時点においてエトの消息はわかっていません。
エトについておさらいしたい方は以下の記事もどうぞ。
『東京喰種』エトに関する8の事実!可愛いグールの正体を考察【ネタバレ】
2011年の連載開始から人気を博し、2014年には『東京喰種:re』として新編をスタートさせ、2018年に完結となった『東京喰種(トーキョーグール)』。とある事故をきっかけに、人を食べる「喰種(グール)」になってしまった主人公・金木研と、彼を取り巻く人間や喰種たちの戦いを描いた物語です。 今回は、物語の重要なカギを握るグールである「エト」について、その正体を探っていきます!本作は下のボタンからダウンロードできるスマホアプリで読むこともできます!
有馬やエトから隻眼の王の座を継承し、アオギリの樹首領となったカネキ。作中でハイセとカネキは自身の内部で対話を続け、最終的にはカネキの人格が復帰する形となっています。白と黒のツートーンだった髪も黒髪となったカネキですが、彼が作った新組織が「黒山羊(ゴート)」です。
黒山羊は、隻眼の王となったカネキが結成を宣言した組織で、喰種と人間の共存が目的とされています。アオギリの樹の生存メンバーやコクリアからの脱走者が組織を構成するメンバーとなっており、なかには人間の協力者の姿もありました。
黒山羊の名前の由来は、エトが高槻泉という筆名で執筆した、カネキの愛読書のひとつである「黒山羊の卵」ではないか、と推測されます。 あんていくにいた頃に関わりのあった、トーカやヨモのほか、カネキをつけ狙う存在だった月山習および月山家の面々も黒山羊の一員となりました。
作中ではカネキのサポーターとしての役割も担っており、一時期はカネキの死という事実を受け入れられず、錯乱していたものの、無事に復活しています。また、CCGの捜査官である平子丈や月山の理解者である掘ちえ、白日庭出身者で構成されるCCGの「0番隊」の面々も、黒山羊のメンバーとなりました。
ついに結ばれたカネキとトーカでしたが、侵攻してくるCCGの新たな一手「オッガイ」の存在などに、黒山羊たちは追い詰められていきます。
ピエロに関わる人物の正体が明かされ、新たなワードである「ナァガラジ」の登場、そしてカネキの暴走と大きな変化に、死んだはずの人物が登場するなど、息もつかせぬ怒涛の展開を見せました。
ピエロの創設者である帆糸ロマの存在は、ピエロの考察内で明かしましたが、気になるのは巨大な竜「ナァガラジ」の存在です。竜とは、旧多が存在をほのめかした、最強の敵ですが、その正体は明らかにされてきませんでした。しかし、13巻で鈴屋什造との戦いに敗れたカネキは、手足をもがれた状態から、「オッガイ」を捕食することにより、異様な姿に変貌してしまいました。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2017-10-19
和修のルーツは竜である、とかつて旧多が言葉にしていますが、ナァガラジがカネキの変質した姿である、との明確なセリフなどは登場していません。しかし、旧多はカネキに大きな変質をもたらそうと画策していたらしく、カネキのように、リゼをベースとしたクインクス部隊「オッガイ」を組織させました。喰種に対する新たな対抗策と思わせておきながら、どうやらこれはカネキの餌として用意された存在であることを匂わせるセリフもあり、旧多の思惑通りに事が運んでいるようだと想像できます。
ナァガラジの存在や、大きく姿を変えてしまったカネキのその後も気になるところですが、13巻では意外な人物が姿を現し、読者を驚かせました。それは、第1部よりカネキの親友として登場していたヒデこと永近英良。第2部でもその存在を匂わせながら、一切姿を現さなかった人物です。
ハイセに作家高槻泉の色紙を贈るなど、読者からもいつ登場するのかと待たれていた存在ですが、13巻でついにかかしのような姿をし、声を聞き取ることのできない喰種、スケアクロウであることが判明しました。しかし、人間ではなく、あくまでもスケアクロウとしての姿しか見せず、しかも言葉ではなく筆談で正体を明かしている状態です。スケアクロウは言葉がノイズのようにしか聞こえないという情報もあり、姿をくらましている間にヒデにも様々なことが起こっていたことを匂わせます。
トーカを守るため、本能的にオッガイたちを食らい、その姿を異様に変質してしまったカネキでしたが、全てが旧多の思惑の中なのか、未だ謎は多く、続きが待たれます。
14巻では、今まで人の生き死にが繰り返され、胸糞の悪いキャラの登場が続き、と苦しい展開が続いてきた流れに希望の光が差し込みます。結末に向けての動きが感じられもしました。
最もファンとして嬉しいのはヒデの再来ではないでしょうか。彼は身を潜めていた間、オークション戦ではカネキを助けてくれそうな人を、ルシマでは「保険」があるかどうかを見極めていたと語ります。
そしてカネキが活動を再開する72時間の間にどうにか彼を救う手立てを考えねばと言います。そしてどうしてカネキのためにそこまでするのかと聞かれ、こう答えるのです。
「だって アイツの事 好きっすもん」
ラスボス説などもありましたが、長い潜伏期間を経て再登場してもやっぱり彼は彼。安心する、シンプルな言葉です。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2018-01-19
そして14巻では物語の重要な鍵を握っていた嘉納の最期も描かれます。和修家がひた隠しにしてきた喰種の研究を医学にも応用するために画策してきた、マッドサイエンティスト的な立ち位置の彼が「試作品」としてリゼの赫包を移植しカネキを無残な姿にしたのですが、ただ実験してそのままやりっぱなしという訳ではないよう。
彼が同じ研究をしていた父の墓参りにいったことから「保険」が現れるという情報がCCGに入っていたのです。そこから物語は解決の兆しを見せ始めます。
それまでのすべての元凶が和修家であり、グールとCCGの対立関係を操っていたことが明かされた人間側。
彼らはカネキを王様と崇拝していた喰種たちと一致団結して立ち上がるのです。これまでの恐れや洗脳から真実を知らずにきた人間たちと、迫害されて復讐ばかり考えてきた喰種が手をとる姿は感動的。全員で彼のために動き出す様子に胸が熱くなります。
嘉納の弟子たちによって明かされるカネキ救出の可能性、人と喰種が手を取る様子をぜひ作品でご覧になってみてください。
15巻では、六月がなぜハイセ(カネキ)にそこまで執着するかが、かつての仲間であった才子、瓜江を攻撃しながら語られます。
六月が女だということに気づいていながらも、彼女のためにそれに気づいていないような嘘をついたカネキ。それに気づいた六月は、今まで自分のためにしか嘘をついてこなかったその身を振り返り、彼が何て優しい人間なのかと思ったと語ります。そして彼に近づくために、肉を喰らうようになったのでした……。
しかし彼女の周りには、カネキ以外にもその身を案じる人物がもちろんいます。それが才子と瓜江。2人は自分を殺してくれと言いながら激しい攻撃をしてくる六月に、「絶対にしない」と言い続け、その身を貫かれてもされるがままになって彼女の心の変化を待ち……。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2018-03-19
一方その頃、カネキは自分の精神世界でリゼと対話していました。そこで彼は、自分が「隻眼の王」だと名乗ったことで喰種をより危険な場所に導いてしまったこと、人間と理解しあうために、まずはCCGの戦力をなくすことを考えていたのが独善的だということを指摘されます。
そしてその言動のせいで、たくさんの人が死んだということを突きつけられるのです。
しかもリゼは、カネキが「バラバラになった彼女」を集めるためにある役割をさせられていたことまでも明かされます。そのせいでさらにどれだけ多くの人が死んだのかということも。そこからリゼが追い討ちをかけるかのように鋭い言葉を投げつけ、ついに彼は錯乱してしまい、このままこの空間でまどろんでいようと考えて……。
それぞれの場所で、それぞれの人物が自分の心を守るために必死になっていることが感じられる15巻。しかし、六月もカネキも周囲の人にどれだけ支えられていたかということに気づき、その歩みを変えます。
しかし、現実世界では、また新たな問題も発覚。次々と止まることを知らない新たな展開に、どんどん読み進めてしまうこと間違いなしです。果たして人類と喰種の共存はどのような形で果たされるのでしょうか?
謎の生物の卵管から生まれた「落とし子」の影響によって、町中でどんどんROS(喰種化)を発症する人々が現れます。そこで喰種の研究者である貴未がこの原因である怪物、つまり毒の元を断つ必要性を語りました。毒を持つ個体はある卵管の付近に集中していることから、そこに毒の元があるのだろうと推測したのです。
しかし、もちろん普通の人間がそこへ行けば、同じように喰種化してしまいますし、黒山羊たちのような喰種でも、毒を吸収しすぎてしまえば、暴走してしまう危険性があります。
そこで名乗りをあげたのが、カネキ。彼は唯一その毒の影響を受けない体になった人物です。
そこでカネキは地下に詳しいと語るアヤトとともに、毒の発生源に向かうのですが……。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2018-07-19
無印から「:re」まで長らく続いてきた「東京喰種」シリーズですが、ついに16巻で最終回を迎えます。その展開はCCG本部と、毒の発生源とに別れて2軸で進んでいきます。
本部組は、それぞれ四方vsウタ、ドナートvs亜門が激しい火花を散らし、それぞれに和解や退場があり、心を動かされます。
しかし何と言っても見所はカネキが向かう毒の発生源。そこで待っていた旧多との戦いで、彼の過去や生い立ちが明らかになり……。
そして最終回はそこから6年後。安否が不明だったキャラたちのその後が描かれます。この戦いによって、人間は、喰種は何を得たのかは、最後の179話でご覧ください。ところどころに細かい伏線回収のような描写も見られます。
はっきりとハッピーエンドとは言えませんが、確実に前に進んでいることを感じさせる結末です。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2014-12-19
当初の伏線以上に様々な要素が絡み合い、スピード感満載でストーリーが進んでいく本作。最終回を向かえたということで、ぜひ一気読みがおすすめです!これまでの伏線をおさらいしてみてはいかがでしょうか?
人間と喰種の未来は考えさせられることも多いので、ぜひ作品からあなたなりのテーマを読み取ってみてください!
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伏線がすごい!おすすめ漫画ランキング!回収が上手い30作品
ストーリーを楽しむ上で欠かせないポイントのひとつ、設定。伏線がすごい漫画はそのポイントをうまくつかみ、読者を想像もつかない世界に連れて行ってくれます。そこで今回は読者の想定を上回る伏線回収がすごい漫画をいくつか紹介していきたいと思います!
本作は巻数が多いため、一気読みにも最適な作品。強大な力を持ちながら、どこか悲しい存在である喰種と、彼らを取り巻く謎の物語をお楽しみください。