原作・しき、漫画・蓮見ナツメが送る大人気漫画『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』。コミックシーモア主催の「電子コミック大賞2021」が新たに開設した異世界部門にて、見事受賞を果たしました。 そんな気になる『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』のあらすじから登場人物、しきが綴る原作小説まで余すことなく紹介。「乙女ゲーム」の世界にあなたを誘います!
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』は、小説投稿サイト「小説家になろう」にて、しきが連載していた異世界ものの人気小説です。その小説が、アルファポリスのファンタジー小説大賞で特別賞を受賞したことがきっかけで、同社より書籍化されました。
さらに、小説を原作に、同名でコミカライズされたものが今回紹介する漫画作品。コミックシーモア主催「電子コミック大賞2021」の異世界部門を受賞した実力作です!
アルファスタ国、王太子・セシルの婚約者は、前世の記憶があるというバーティア嬢。何もかもパーフェクトなそのセシルにとって、唯一理解不可能な存在がバーティアです。「乙女ゲーム」に転生したという意味不明な話をするバーティアは、子どもながらに人生に退屈していたセシルにとっては絶好の玩具です。予測不能なバーティアを観察することがセシルの楽しみになっていくのですが……。
このバーティアのお馬鹿なテンションに、子供らしさを母のお腹の中に置き忘れてきたセシルの冷静さが絶妙に面白く一気読み必至!漫画を担当する蓮見ナツメのうっとりするほど美麗な絵柄も魅力的です。
ハイテンション、ファンタジーラブコメディの『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』は、漫画好きはもちろん、ラノベ好き、転生もの好き、異世界もの好きと多くの読者を魅了するに違いありません!!!
- 著者
- しき
- 出版日
セシル・グロー・アルファスタ。アルファスタ国第一王子にして王太子。超絶天才で何をやらせても優秀なうえ、容姿もパーフェクト。さらに常に冷静沈着。バーティアのいう「乙女ゲーム」では攻略対象の1人。そのバーティアの理解不能なお馬鹿な言動が唯一の楽しみ。
アルファスタ国・宰相であるバーティア・イビル・ノーチェス侯爵令嬢。セシルの婚約者。自称悪役令嬢。前世の記憶があり、日本で「乙女ゲーム」にハマッていた女の子だった。今いる世界はその「乙女ゲーム」の世界で、自分は転生者であると言い張る。最初はちょっと小太りだったが、その1年後、見事な変貌を遂げた。
セシル専属の侍従。セシルに対する心の声がよく漏れている。実はセシルと契約している精霊。メインの属性は水と風。精霊王の血筋で、中位精霊に扱える程度の魔法はどの属性でも使える。
バーティアは、ただの狐だと思っていたが、バーティアと契約した闇の高位精霊。ふだんは、黒い狐か幼女メイドに擬態している。
不思議な小鳥といつも一緒のヒローニア・インデロン男爵令嬢。バーティア曰く「乙女ゲーム」のヒロイン。ヒローニア自身も「運命の乙女」と豪語している。
ショーン・タ―コイン・アルファスタ。セシルの弟。アルファスタ国の第二王子。甘やかされて育った。可愛らしい容姿なうえ、甘いもの好き。
チャールズ・ラオネル。ラオネル公爵家次男。セシルの側近候補の1人。プレイボーイのふりをしているが、実は一途に1人の女性を想っている。
バルド・ノーキンス。現騎士団長嫡男。セシルの側近候補の1人。身体能力に長けている。バーティアの鍛えた体を服の上から言い当てた。
ネルト・クラム。現外務大臣嫡男。セシルの側近候補の1人。研究オタクでさまざまなものを開発する能力がある。ただ、没頭すると寝食を忘れてしまう。
クールガン・デレス・マーダン。冷静沈着、頭脳明晰。バーティアの遠縁にあたる。「乙女ゲーム」では、ノーチェス侯爵家の養子になる予定だったが、セシルが手をまわしてウラディール伯爵家の養子になる。セシルの側近候補の1人。
ジョアンナ・ケルツウォーレン公爵令嬢。セシルとショーンのはとこ。家柄、能力申し分ないレディ。セシルとタイプが似ている。セシルの元婚約者で、現在はショーンの婚約者。バーティア様を愛でる会の中心人物。
バーティア様を愛でる会のメンバー。チャールズの兄の婚約者だったが、チャールズの本気の想いを知り、その想いに答えようとする。
バーティア様を愛でる会のメンバー。乗馬が得意で、バルドと互角の腕前。バーティアのおかげで親しい仲に。
バーティア様を愛でる会のメンバー。料理上手。ネルトとは幼馴染で、昔からよく世話を焼いている。
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』の1番の魅力は、なんとってもバーティアです。自分を悪役令嬢と言って憚らず、立派な悪役となり婚約破棄されることを誓う、という突拍子もない侯爵令嬢です。実の父にも「馬鹿という不治の病気」だと言われてしまうバーティアですが、本人はいたって真面目で一生懸命。しかも、とっても純粋で真っすぐな女の子。
そんな悪役令嬢とは程遠いバーティアの可愛らしいことといったら。暴走気味ではありますが、自分を磨くための努力を惜しまず、常に周囲の人間を優先するバーティアに男女問わず心を許していきます。彼女のよさを最も理解しているのが婚約者のセシルであるというところが、なかなか憎いところ。作中に登場する「バーティア様を愛でる会」につい入りたくなる、そんな魅力いっぱいのバーティアです。
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』は転生ものの物語でも、ちょっと複雑なぶっ飛んだ設定。セシルやバーティアの住む世界は、バーティアが前世の日本でハマっていた「乙女ゲーム」。女性のプレーヤーを主人公に進める、いわゆる女性向けの恋愛ゲームですね。
しかもバーティアはそのゲームの中の悪役令嬢だといいます。そして、この悪役令嬢になりきり、最後には見事にギャフンと言わされることを目指すという何ともおかしな設定。
そんななか、この作品が面白いのは、そのバーティアのハイテンション暴走ストーリーの裏に必ずセシルの冷静パートの物語も存在しているところです。バーティアの無謀な行動の影には、必ずセシルの画策があり物語が進行していきます。この対のような構成が本作の魅力です。
たとえば、バーティアが実の父をなんとか悪の道へ進ませようとすることを逆手にとって、その父をスパイ活動に利用するなど見事な構成ですよね。この微妙なバランスで構築された物語に魅了されてしまいます!
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』のさまざまな設定や巧みな構成の面白さの根底にあるのは、王道ラブストーリーであるということ。バーティアは自身の目指す悪役令嬢になろうと彼女なりに日々精進しているわけですが、そんな彼女の予測不能な行動を面白いと思って観察していたセシルが、いつの間にか彼女に夢中になっていきます。
いつも危ういバーティアを常にそばで守ろうとするセシルの愛の物語。なんといってもセシルは王子ですから、完璧な王子に愛される姫の素敵な物語だというわけです。
バーティアの持っている優しさが、それまで感情を持てなかったセシルに本当の意味で人を愛することを気付かせてくれます。2人のキュンキュンエピソードももちろんたっぷりありますので、存分に楽しめますよ!
主人公、セシル・グロー・アルファスタは、アルファスタ国第一王子にして王太子。非常に優秀なセシルの婚約者は、宰相の1人娘であるバーティア・イビル・ノーチェスです。
物語はバーティスとセシルの初対面から始まります。そこで、自分は悪役令嬢で、その役目はセシルとヒロインの仲を引き裂き、最後は婚約破棄されギャフンと言わされることだと突然宣言するバーティア。これまでわからないことなど何ひとつなかったセシルにも、まったく理解できません。退屈しのぎにと、しばらく観察することに。ここから、セシルのバーティア観察記録が始まるのです。
バーティアはその目標のために暴走しながらも努力を重ねていきます。自分の予想を常に裏切ってくる彼女だけが、セシルを退屈させません。その上、言動はおかしいながらも、シナリオ=未来を知っているバーティアの話を無視できなくなっていくセシル。
そうして迎えるバーティアのハルム学院への入学式。セシルやその側近候補たちとともに、バーティアの巻き起こす騒動に巻き込まれていきます。バーティアがあまりに純粋で可愛らしいのですがツッコミどころ満載で、セシルの心の声(ツッコミ)に共感しっぱなしです!
- 著者
- ["しき", "蓮見 ナツメ"]
- 出版日
バーティアがハルム学院に入学してきました。そこには「乙女ゲーム」のヒロイン、ヒローニアもいます。悪の華・悪役令嬢を目指すバーティアの奮闘ぶりも相変わらずです。それを面白おかしく観察していくセシルも健在。バーティアは、ヒロインをセシルに近づけようと奔走します。その姿に、なぜか面白くないと思い始めていたセシル。このエピソードは見所のひとつで、セシルの心に変化が訪れます。
そんなセシルの気持ちをまったく知らないバーティアは、彼以外の攻略対象を別の令嬢と近づけるための恋のキューピッドになることに。そうすることで、セシルとヒローニアも近づきやすくなるというバーティアの計らいからでした。いつもの彼女らしく懸命に暴走していきます。そんななか、バーティアに嫌がらせをする危険分子の存在が明らかに。バーティアは1人で何とか対処するといいますが……。
2巻では、セシルがバーティアへの自分の感情に徐々に気付いていきます。バーティアのことが可愛くて仕方ながないセシルの態度はキュンキュンしっぱなし!コミックス巻末の番外編も。今回は令嬢たちの可愛いメイド姿が堪能できますよ!
- 著者
- ["しき", "蓮見 ナツメ"]
- 出版日
バーティアへの嫌がらせは変わらず続いていました。バーティアに手助けを拒否され不機嫌なセシルは、一切口を出さないことに決めています。バーティアのこととなると熱くなってしまうセシルです。
そんな時、中庭で騒ぎが。ヒローニアが、皆の前でバーティアを貶めようとしたのです。しかし、窓から覗いていたセシルは、真犯人を注視していました。
その後、バーティアが何者かに階段から突き落とされる事件が起きます。バーティアが傷つけられて初めて苦痛を知るセシルは、ようやく自ら動き出します。その気持ちは、バーティアを慕う他の皆も同じこと。いよいよ真犯人と直接対決することに!
そして事件も解決し、迎える文化祭。セシルとバーティアはベストカップルに選ばれます。恥ずかしがるバーティアは変わらずキュートです。一方で、もうすぐやってくるセシルとの別れに、悲しい思いを隠せずにいるバーティアなのでした。
セシルはバーティアへの自分の気持ちにはっきりと気付き、ともに歩んでいくことを心に決めますが、バーティア自身は身を引くことがセシルの幸せと知っているようで。2人の互いを想う気持ちが強く感じられる3巻です。
- 著者
- ["しき", "蓮見 ナツメ"]
- 出版日
「乙女ゲーム」では、セシルの卒業パーティーで、バーティアがギャフンされるとのこと。いよいよ迎えるパーティー本番に、バーティアはセシルとの別れを覚悟していました。
一方のセシルには考えがあり、卒業パーティーで実行することに。それは、皆の前でバーティアにプロポーズすることでした。誰もが拍手で祝福するなか、異議を唱えたのは、言わずもがなヒローニア・インデロン男爵令嬢だったのです。
しかし、ヒローニアの異議には裏付けがなく、あくまでゲームシナリオに沿うように思い込んでいただけのこと。自身の告発が全て無駄に終わると、ホントにヒロイン?と疑いたくなるほどの暴言をセシルに浴びせます。その時、セシルの頭上のガラスが割れ、ヒローニアの小鳥(実は光の精霊)が攻撃を仕掛けてくるのでした。バーティアを庇おうとしたセシルが倒れてしまいますが……。
4巻では光の精霊が見せる幻の中で、乙女ゲームのその先にシナリオが描かれていきます。バーティアの言っていたゲームの中身通りなのでしょうが、コレジャナイ感なお話ばかり。バーティアが本当にいい子であることを知っている読者には苦痛でしかない展開です。
- 著者
- ["蓮見ナツメ", "しき"]
- 出版日
光の精霊がみせるゲームシナリオが続きます。そして運命の卒業パーティー。本当のバーティアが目指した悪役令嬢としてのバーティアが登場します。そして、皆の前でセシルから婚約破棄されるのです。しかし、そこでセシルは気付きます。その世界のバーティアが自分の知る本当の彼女ではないことを。
ようやく元の世界に戻れると知ったセシルの頬を涙がつたいます。本作でも名シーンではないでしょうか!そうして目覚めると、尼になるといって頭を丸めようとするバーティアのいつも通りの騒々しい姿がありました。
落ち着いたところで、ゲームシナリオの未来の話をセシルに伝えるバーティア。それは、バーティアがどうしても隠しておきたかった今とは別人のセシルの未来だったのです。
この5巻は名シーンだらけです。特にお気に入りのシーンは、なぜバーティアが執拗にヒロインとくっつけようとしたのか、またそれをなぜセシルに話さなかったのか、そのことをセシルが知るところ。バーティアのお馬鹿具合にばかり目がいっていたけれども、どうしようもないくらい優しいことも知っていたセシル。彼はもうずっと前から、バーティアが自分にとっていかに大事な存在であるのかわかっていたのですね。
ゲームシナリオに終止符を打ち、新たな道を切り開いていくセシルとバーティア。最後の不穏な言葉で終わることを除いては。
- 著者
- ["蓮見ナツメ", "しき"]
- 出版日
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』は、アルファポリスの公式サイトで連載中です。第1回~3回までは無料配信。コミックスは2021年現在、5巻まで発売されています。
また、アルファポリスでは原作小説も一部無料配信されています。こちらの小説は2巻で完結。そして嬉しいことに、2021年7月からは『自称悪役令嬢な妻の観察記録。』として、小説の続編も始まりました。婚約者から妻となったバーティアの奮闘ぶりと彼女を優しく見守るセシルにまた会うことができますよ!
『自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。』のコミックス5巻まで紹介しました。次巻6巻にてついにコミックスも完結を迎えます。また、原作小説も新たな連載が始まりました。この小説版もとってもおすすめです。ぜひ、小説、コミックスとコンプリートしてみてくださいね。