お仕事小説おすすめランキングベスト5!

更新:2021.12.15

世の中には様々なお仕事が存在します。誰もが知っているお仕事から、人知れず成り立っているお仕事まで。終身雇用が崩壊し、ブラック企業だなんだと働きにくくなっている現代に、働く元気を与えてくれる作品をご紹介します。

ブックカルテ リンク

5位:クリーニング屋を営む傍らで起こる日常ミステリー

父の急逝により、家業のクリーニング店を手伝うことになった大学卒業前の主人公、新井和也。彼の店に舞い込んでくる、クリーニングの衣類が謎のきっかけとなり、和也は友人の沢田とともにその謎に迫ります。

著者
坂木 司
出版日
2009-07-05

なんて書くと、殺人事件が絡むようなミステリーに見えてしまいますが、本作に血を見るような事件は起こりません。あくまでも商店街で起こるちょっとした事件を謎解きしていくお話です。

商店街で起こる事件って、何?と、思われる方も多いと思われますが、情報社会においては、クリーニング店に出す洗濯物さえも個人情報になりえるのだということに気づかされるのです。

ミステリーは生活の色々なシーンに隠れているのだと、あらためて気づかされる作品です。

4位:仕事やめます!挫折系女子の転職ほのぼの日記

外資系証券会社でバリバリ働いていた主人公の弥生は、恋人との別れをきっかけに転職を決める。大都会東京から、北関東の片田舎にある下請け納豆メーカー、ネバーラへ。

著者
瀧羽 麻子
出版日
2011-06-09

もちろん、この片田舎には、田舎特有のゆったりとした時間が流れる個性豊かな人がたくさんいます。職場の上司や同僚、行きつけの飲み屋や、街の人々も。そんな人たちに囲まれて暮らすうちに、弥生は心身の平穏を取り戻し、元気だった自分になっていることを自覚します。

そんな中、せっかく機嫌良く働いていた会社、ネバーラの乗っ取りの噂が勃発します。元気を取り戻した弥生は、ある企画を提案して行動に出ます。

都会に疲れた女性が、田舎で元気を取り戻す、というと平坦に聞こえますが、納豆という商品を扱った会社であること、北関東という、東京に近いのに田舎扱いされてしまう土地柄、もあって、ほっこりした読み心地の良い仕上がりになっています。

挫折を恐れて行動に移さないよりも、やっぱり行動を起こさねば始まらないのだと、しみじみ思わされる作品です。

3位:池井戸潤の勧善懲悪でスッキリ!

テレビドラマ『半沢直樹』で一斉を風靡した池井戸潤の作品です。

父親の後を継いで運送会社を経営していた赤松は、自社のトラックによるタイヤ脱落事故で、死傷者を出してしまいます。トラック製造元の調査結果により、整備不良と結論づけられ、容疑者と決めつけられた赤松だったが、自社整備士門田の詳細な整備記録と、他でも同様な事故が起こっていることから、トラック製造元のリコール隠しを疑うようになります。

著者
池井戸 潤
出版日
2009-09-15

このように、主人公が一度窮地に立たされ、そこからなんとかして這い上がろうとするカタルシスが、池井戸作品の面白い部分です。決して主人公ひとりではなく、周囲に賛同者が現れ、彼のピンチを救ってくれるようなきっかけを作ってくれます。

人は誰もひとりで生きているのではなく、周囲のたくさんの人によって生かされていることが、面倒でもあり楽しくも思えるストーリーとなっています。

本作も数々の困難を乗り越えて、自社の潔白を証明していくこの過程が、最終的にはどうなるのかが薄々分かっていながらも、その先をどんどん知りたくなる引き込まれ具合に、我を忘れて読み入ってしまうことでしょう 。

2位:「税金」にまつわるお仕事、国税徴収官

新人の国税徴収官・ぐー子こと鈴宮が、鬼上司である鏡の補佐について、奔走しながらも一人前のトッカンとして成長していく物語です。

彼女は、徴収部門の中でも悪質な事案を請け負う特別徴収部門に所属しており、ゆえにトッカンという通称で呼ばれているのだが、日々、悪質な税金滞納者と対峙しながら取り立てに走り回らねばならない運命となっている。

著者
高殿 円
出版日
2012-05-24

税務署というと、なんとなくエリートが揃っているのではないかという先入観を、ちょっとイイ感じで裏切ってくれるぐー子の性格づけが、このお話を面白くさせてくれています。

友達いない、彼氏いない、悪気はないのに、ある特定の同性には嫌われる。頑張っているのに嫌われる。あなたの回りにもいませんか、こんな人。いい子過ぎて、建前ばかりが先に立つ、いますよね、こんな人。

でも、こんな主人公が懸命に奔走する姿を見ているうちに、いつしか自分にも共感できるようになってくるのです。

「税金」というテーマでありながら、どこか身近で、日常に寄ったストーリーです。上司についてひらすら働く姿に、いつしか感情移入してしまう人情味溢れる仕上がりになっています。

1位:林業という仕事の奥深さを知る

高校卒業後の進路を担任に決められた主人公平野は、どんな仕事をするかもわからないまま、三重県神去村にやってきます。ケータイの電波も届かないような神去村の中村林業株式会社に就職した主人公は、幾度となく逃げようと画策しながらも、徐々にその雄大な自然に魅了され、村の生活に馴染んでいくのです。

著者
三浦 しをん
出版日
2012-09-07

普段、あまりなじみのない仕事のお話だからこそ、新鮮で魅了されてしまう物語です。ヒルやダニとの戦いは、都会で暮らしている我々には創造し難いものですし、自然を相手に暮らしてきた人々を相手にすると、なんだか自分がちっぽけに思えてきたりすることも、多いのではないでしょうか。

都会からやって来た主人公が、奮闘しながらも山の中での生活に順応し、村の人々にも受け入れらていく過程を読んでいると、いつしか主人公・平野を応援したくなってしまいます。

自分ももっとやらねばと、勇気をもらえる作品です。

自営業もサラリーマンも、みな日々働いてお金を稼ぐのは同じです。どの作品も、彼らの日常であり、それを垣間みることで、自分も、もっと頑張らねば、と奮起できる作品だと思います。

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