中毒性のある動画で人気爆発!謎すぎる漫画『しかのこのこのここしたんたん』の魅力を紹介

更新:2026.5.12

『しかのこのこのここしたんたん』は2024年7月にアニメ化されたガールズコメディです。原作はアプリ「マガジンポケット」で連載中の漫画で、ビジュアルからは想像できない不条理ギャグが癖になります。 原作漫画のあらすじや設定を紹介しつつ、『しかのこのこのここしたんたん』の魅力をご紹介していきましょう。

小説も漫画も映画も基本雑食な、しがない物書き。温故知新で古典作品にもよく触れるようにしています。
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3行でわかる記事の内容

  • 癖になるフレーズでバズった謎の作品『しかのこのこのここしたんたん』
  • シカを自称する女子高生による不条理ギャグ漫画
  • わけがわからないままノリと勢いが癖になる

今もっとも注目を集める『しかのこのこのここしたんたん』とは

『しかのこのこのここしたんたん』は漫画アプリ「マガジンポケット」で連載中。2019年12月に「少年マガジンエッジ」で連載開始したあと、雑誌休刊のため2023年12月に移籍しました。

とある学校へ頭にシカ角を生やした女子高生が転校してきたことから、元ヤンキーの優等生少女の学園生活がカオスになっていく……というのが基本設定の日常コメディ。

可愛い美少女が前面に押し出されているため、パッと見だと日常系や百合作品に誤解するかも知れませんが、実態はツッコミが追いつかない不条理ギャグです。突拍子のない展開に困惑するしかありませんが、読んでいるうちにそれが癖になってきます。

原作漫画はそこまで注目度の高い作品ではなかったのですが、TVアニメがきっかけで事態は一変。本放送開始前の2024年5月、アニメ公式からOPの一部をループさせた動画が投稿されるやいなや、極めて高い中毒性が話題となってSNSで大バズり(人気爆発)しました。

YouTubeでは1時間耐久動画が700万回、TikTokでは2000万回以上再生されました(2024年7月時点)。あまりの人気からインターネットやSNSで一度は目にしたり、聞いたことがある方も多いでしょう。しかしちょっと気にはなっても、実際にアニメ本編視聴や原作漫画を読んでみた人は案外少ないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、話題作なのにあまり内容がわからない『しかのこのこのここしたんたん』の魅力について、原作のあらすじや設定を交えてご紹介します。

漫画『しかのこのこのここしたんたん』はカオスすぎるギャグ漫画!【あらすじ】

才色兼備の虎視虎子(こしとらこ)は日野南高校に通う2年生。実は高校デビューした元ヤンキーなのですが、これまでボロを出さずに優等生の地位を築いてきました。

そんな彼女がある日、いつも通りに学校へ向かっていると……なぜかツノが電線に引っかかって、ちゅうぶらりん状態の女子高生・鹿乃子(かのこ)のこと出会います。厄介ごとの気配を感じた虎子はスルーしようとしますが、案の定のこに絡まれて仕方なく助けることに。

しかし、それが運の尽きでした。

のこはよりによって虎子のクラスに転校してきて、席も隣になってしまいます。勘が鋭いのこは虎子が元ヤンキーなのを見抜いた上に、口が軽くてうっかり虎子が隠しておきたい秘密を漏らしてしまいかねません。虎子はバラされないよう、仕方なくのことのこが巻き起こす騒動に関わっていくことになります。

漫画『しかのこのこのここしたんたん』登場人物紹介

本作には色々な登場人物が出てきます。話の中心となるのは、主にのこ発案の「シカ部」の面々。

主人公にして部長なのが虎視虎子で、通称「こしたん」です。本作の良心かつツッコミ役。高校デビューして優等生になったため、中学時代にヤンキーだったことをひた隠しにしています。

もう1人の主人公にして最大のトラブルメーカーなのが鹿乃子のこ、通称「のこたん」です。「ぬん」が口癖の、天然ボケというか本能で生きる野生児のようなキャラ。頭部左右に生えたシカ角が特徴で、取り外したり角を取っ手代わりにして頭を開いたり(?)することが可能です。

のこは人間とシカのハイブリッドだと主張していますが、そんな程度では説明がつかないおかしな生態をしています。

虎子の妹、虎視餡子(あんこ)はある種の危険人物。通称は「こしあん」です。異常なまでのシスコンで姉・虎子を溺愛しており、のこを敵視して実力行使に出ることもあります。当初は中学生ですが、卒業後に同じ高校へ進学して入部。

そして最後の1人が馬車芽(ばしゃめ)めめです。一人称は「ばしゃめ」。入学早々、学校で行き倒れていたところをのこに救われてシカ部へ入部。白米が大好物であり、特盛りごはんを平気で食べきる大食い。信じられないほどマイペースな一方、ちょっと憎たらしい部分もあります。なぜか部室近くのスペースに田んぼを作って田植えをすることも……。

『しかのこのこのここしたんたん』には、他にも変にキャラ立ちした人物が何人も出てきます。比較的出番が多いのは、シカ部を目のが敵にしている生徒会副会長・猫山田根子(ねこやまだねこ)、同じく書記・狸小路絹(たぬきこうじきぬ)と会計・燕谷千春(つばめやちはる)の3人です。

猫山田もツッコミ気質ですが、すぐノセられるて過剰反応するので、どちらかといえばリアクション担当と言えるかも。

わけのわからなさが漫画『しかのこのこのここしたんたん』の魅力

肝心の『しかのこのこのここしたんたん』の魅力についてですが……一言で説明するのは非常に困難です。というのも本作は本質的に不条理ギャグ漫画で、毎回はちゃめちゃな出来事が起きては特に説明もなく、終始ノリで突っ切るのが基本となっています。

その最たる例が、のこの存在。なぜかシカ角を生やしており、角で建造物を破壊したり着脱式だったり、頭が開いて某四次元ポケットのごとくものを出し入れしたり……。明らかに人知を超えているのに、虎子以外は誰も疑問に思いません。

というか基本的にのこ突飛な言動に対し、虎子を除く作中の人物全員が寛容。どんなに常軌を逸した馬鹿げたことでも、なんでもかんでも肯定するのがシュールな笑いに繋がっています。

あとはのこに限らず、本作のギャグシーンでよくある表現として、ページのコマを無視することもしばしば。コマ無視といっても少女漫画などでよくある、複数コマをぶち抜いた人物描写ではありません。のこのよだれや吐血が枠線を越えて、下のコマに描かれた人物を汚すというような、ギャグ漫画でしか出来ない表現がちょくちょくあるんです。

あまりにもめちゃくちゃで突飛な展開の数々は、不条理ギャグ漫画の金字塔『ボボボーボ・ボーボボ』に通じるものがあります。『ポプテピピック』や『日常』、夢オチネタの時の『あずまんが大王』のテイストにも近いです。

『しかのこのこのここしたんたん』は不条理ギャグのレベルこそ前記の作品に及ばない部分があるものの、美少女要素が強めなのでギャップによる驚きはかなりあります。

わけがわからないことを、わけがわからないままノリと勢いで押し切る作風を楽しめる人ならきっと『しかのこのこのここしたんたん』はハマるでしょう。

漫画『しかのこのこのここしたんたん』ギャグ展開が印象的な回:シカの大名行列【第1巻4話ネタバレ注意】

のこが転校してきて1週間経ち、何かと巻き込まれてすっかり身辺が騒がしくなった虎子。耐えかねた彼女はのこの弱みを掴むため、放課後に尾行を決行します。

見張られているのを知ってか知らずか、のこは何もせずベンチでぼんやりしていましたが……「バイトの時間だ」と呟くと、どこかへ移動しました。虎子が後を追うと、向かった先は日野動物園でした。スタッフかと思いきや、のこはシカの檻に入ってシカに混じって虎子を驚かせます。

のこの展示に対して、誰も不思議そうにしないことに虎子が動揺したのもつかの間。謎のアトラクション「シカの大名行列」が始まりました。それはセーラー服姿のままののこが大量のシカ軍団の上に乗って、園内を練り歩くパレードでした……。

何から何まで全部おかしい。でも最後は女子同士の友情っぽく締められており、温度差で風邪を引きそうなくらいわけのわからないギャグ展開が印象的です。

ちなみに大名行列は『風の谷のナウシカ』の有名シーンのパロディ。おそらく「ナウシカ」と「シカ」をかけているのでしょう。

著者
おしおしお
出版日

漫画『しかのこのこのここしたんたん』ギャグ展開が印象的な回:虎視虎子王決定戦【第2巻9話ネタバレ注意】

虎子へのシスコンをこじらせて、シカ部とのこを襲撃してきた餡子。紆余曲折を経て、のこと餡子が直接対決することとなります。勝負の課題は――どちらがより虎子を理解しているか、に焦点を当てた「虎視虎子王決定戦」。

ごくごく私的な逆恨みにも関わらず、なぜかシカ部顧問や一般生徒も観客に巻き込んで、虎視虎子王決定戦はまるでクイズ大会のような形式で進みます。問題はすべて虎子のプライベートに関するもので、本人しか正解を知らないような難問ばかり。

作問をしたのが誰なのか、ただただ虎子が晒し上げされているだけはないのか、あらゆる疑問と虎子のツッコミと心労を無視して大会は進みます。熾烈すぎる互角の戦いを経て、何か既視感のある死亡フラグや生還フラグを挟みつつ、のこと餡子は和解。結果として虎子の負担が倍増するオチとなります。

著者
おしおしお
出版日

漫画『しかのこのこのここしたんたん』ギャグ展開が印象的な回:万バズ【第2巻11話ネタバレ注意】

虎子は顧問の勧めで、シカ部の知名度向上(に伴う部費アップ)のために部の活動を紹介する配信チャンネルを立ち上げました。だいぶ皮算用をしているものの、最初から成功するとは思っていなかったのですが……。なぜか初回配信の時点で多数人が集まって、虎子は謎に高いシカへの注目度の高さに驚かされます。

のこが放送事故を起こさないように警戒する虎子ですが、当然大人しくしているはずがありません。突如として壁に角を擦りつけて研ぎ出したかと思えば、リラックス(?)したのかのこの角が軟体動物のようにへにゃへにゃになり、挙げ句の果てには際限なく伸び始める始末。

そもそも謎だった、のこの生態のわけのわからさに拍車がかかるエピソードです。角というよりもはや触手と言った方が正確で、勝手に動き出すわ部室からあふれ出るわとやりたい放題。

この世界ではのこのシカ由来の出来事はなぜか常識のようですが、最終的にとんでもない再生数を叩き出して笑ってしまいます。

漫画『しかのこのこのここしたんたん』ギャグ展開が印象的な回:ご神体【第2巻12話ネタバレ注意】

12月31日、まもなく新年を迎えるというころ。虎子は初詣に誘ってきたのに、待てど暮らせど現れないのこに苛立って、先に神社へ入ってしまいます。そこではちょうど、年に1度のご神体のご開帳がされていて――現れたのは和の正装で全身着飾ったのこでした。

普段の突拍子もない言動とら裏腹に、悟りを開いたかのように大人しく鎮座するのこ。そんな彼女をありがたがる参拝客の熱、シカ要素しかないおみくじの未来予知レベルの預言、うさんくさすぎる甘酒(?)配布などなど……ツッコミどころしかない異常事態に虎子のツッコミが冴えます。

特にやばかったのが、甘酒ならぬツノ汁です。ツノ汁と言いつつ、ご神体を三日三晩煮出した汁らしく、実際はのこ汁とでもした方が正確。想像すると若干グロいのですが、あくまでギャグ漫画なのが救いと言えば救いです。

そしてこの回の最大のツッコミどころは、のこを崇める参拝客に対して「あの子はどう見てもただのシカですよ」とのたまう虎子でしょう。無意識にのこ=シカと認めて、完全に毒されている発言です。

漫画『しかのこのこのここしたんたん』ギャグ展開が印象的な回:そして仲間がまた1人【第4巻24話ネタバレ注意】

新入生2人を迎えて順調なシカ部。それを面白く思わないのが、シカ部を敵視する猫山田たちです。猫山田1人が張り切って、生徒会で「シカ部撲滅会議」と称して作戦を練っていると……いつの間にか、シカ部の元凶・のこが話に混じっていました。

慌てる猫山田のツッコミをものともせず、いつも通りマイペースなのこは、世紀の発見と言いつつ奇妙なものを見せます。陶器のような質感で、末端の触手がうねうねと蠢く毛糸玉のような謎の生物(?)。のこはそれをツチノコと断言し、狸小路と燕谷の生徒会コンビはだんだんと馴染んでいきます。

「つっちー」と名付けられた謎生物は、はちゃめちゃなのこすら振り回し、ついには猫山田を虜にしてしまいました。結局つっちーはシカ部と生徒会で共同飼育することになるのですが、敵視するシカ部と馴れ合うわ、のこのノリに毒されるわで猫山田のキャラが異常に目立つエピソードとなっています。

アニメ『しかのこのこのここしたんたん』はカオスが加速!色々と変更点も

『しかのこのこのここしたんたん』アニメ版は2024年7月から9月にかけて、TOKYO MX、BS日テレほか各サブスク動画配信サービスで全12話が放送されました。

概要でも軽く触れましたが、リアルなシカが不動の姿勢で見つめる中、虎子が左右に揺れるダンスに主題歌「シカ色デイズ」(余談ですが曲名はおそらく中川翔子「空色デイズ」のパロディ)の1フレーズがループするPV動画が大バズり状態。そういった事前の注目度の高さもあって人気は上々です。

もともと不条理ギャグ漫画としてわけがわからなかった本作ですが、アニメ版では動きとSE、音声がついたことでさらなるカオスに。

特に原作漫画にはほぼ登場しないシカがフィーチャーされており、写実的な3Dのシカの存在がアニメ版ならではのシュールな空気を生んでいます。その影響でちょくちょくアニオリがあるのも違いですね。

ストーリーの方は原作通りではなく、主要人物の登場回が優先。原作漫画では2巻以降に登場するレギュラーキャラの餡子や馬車芽が、エピソード順の入れ替えによって序盤から登場しています。

原作漫画では各話が独立していて読者のペースで読み進められますが、アニメだとそうはいきません。原作第1巻辺りののこと虎子の掛け合いだけを延々放送されると、ただでさえカオスなのに視聴者の混乱が加速するおそれがあります。そのため意識を逸らすために、バラエティ豊かなキャラを早めに投入したのは英断でしょう。

順番入れ替えの煽りを食らって、アニメ版では今のところシカの大名行列などの迷シーンが未放映となっています。すでにPVでは描かれているのでいつかあるはずですが、餡子と馬車芽が登場済みなので原作とは少し内容が変わるかも? どういう形になるのか、アニメ『しかのこのこのここしたんたん』から目が話せません。

作者おしおしお

おしおしおはフリーランスのイラストレーター兼漫画家です。詳しいプロフィールは神奈川県出身という以外不明。ギャグ漫画の執筆やライトノベルのイラスト、キャラクターデザインなど多方面で活躍中です。

美術大学を卒業後に広告関係の会社で約1年間働きますが、イラスト業や同人活動に専念するために退職しました。その後、芳文社の編集から声をかけられ、「まんがタイムきらら」で『神様とクインテット』の連載を開始したことで商業作家となります。

イラストレーターとしては、寒色を多用した繊細な画風が特徴。特に儚い少女のイラストの評価が高く、2022年に開催された個展「青光」や2023年発売の画集「青の日々」のタイトルおよび収録イラストからも、おしおしおの特色が窺えるでしょう。

他にキャラクターデザインで、Vtuber(バーチャルYouTuber)「天音かなた」と「空星きらめ」のデザインを担当しています。

このように美少女に定評があるおしおしおですが、作品の作風は『しかのこのこのここしたんたん』を含む全作品が不条理ギャグ系。過去作『神様とクインテット』と『さくらマイマイ』は4コマ漫画ですが、どちらも可愛らしいデフォルメキャラとは裏腹に、突拍子もない展開で読者の度肝を抜きました。

そんなおしおしおは、実は自作漫画のアニメ化をずっと狙っていたそうです。残念ながら過去作は長続きしなかったため、本人は『しかのこのこのここしたんたん』が当たらなかったらギャグ漫画をやめる、くらいの意気込みで制作していたとインタビューで語っています。

無事『しかのこのこのここしたんたん』がヒットしたことで、今後おしおしおの作品は色々なところで見かけるようになるでしょう。


大きな話題となって、誰しもSNSで一度は目にしたことのある『しかのこのこのここしたんたん』。不条理ギャグのテンションについていければ楽しめる作品なので、この機会にぜひどうぞ!

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