漫画『封神演義』スーパー宝貝一覧!【ネタバレ注意】

更新:2021.11.11

中国古典小説をベースに、より壮大な物語へと進化した藤崎竜の『封神演義』。中でも、仙人たちの武器である「宝貝(パオペエ)」を駆使したバトルシーンは必見。今回は、登場する「宝貝」のうち、特に強大な力を持つ「スーパー宝貝」についてご紹介します!

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漫画『封神演義』に登場するスーパー宝貝とは

漫画『封神演技』は、作者・藤崎竜の代表作として2000年の連載終了以降も根強い人気を誇るスペクタクルファンタジーです。

仙人や道士、妖怪などが人界と仙人界を二分する争いを繰り広げる中国の古典小説をベースに、多彩なオマージュやメタファー、コミカルな表現などを駆使して構築した傑作となっています。

本作の大まかなあらすじとしては、史実である殷周革命の時代をベースに物語が展開されていきます。悪政を強いる殷の皇帝・紂王(ちゅうおう)とその妻で仙女の妲己(だっき)によって乱れた国を元に戻し、新たな王朝をつくるべく、仙人界の教主・元始天尊(げんしてんそん)が計画した「封神計画」。

その「封神計画」の実行役として元始天尊が任命したのが、自身の弟子であり本作の主人公となる太公望です。

著者
藤崎 竜
出版日
2015-11-18

太公望は持ち前の頭脳と人望で仲間を集め、順調に「封神計画」を進めていくのですが、物語のラストでは、歴史を揺るがす最大の秘密が明らかに……と結末が近付くにつれ、手に汗握る展開が巻き起こる本作に登場するのが「宝貝(パオペエ)」です。

「宝貝」とは、本作に登場する仙人や道士たちが使用する武器のことで、使用者の力量や使う「宝貝」によって様々な力を発揮します。

使用者の精気を吸い取ることで力を発現するため、素質のない者が使用すると精気を吸いつくされ干からびてしまうほどの強力な力を持っているのです。

剣や槍、鞭といった形状をはじめ、ビーム砲や差し棒といった形状まで様々な種類が存在するなかでも特に強力な力を持つ「宝貝」を、本作では「スーパー宝貝」と呼んでいます。

仙人界でも数名しか使えるものがいない「スーパー宝貝」は、その力をもってすれば世界の理すら変えることができるほどの力があるといわれているのです。

「スーパー宝貝」には、雷公鞭(らいこうべん)、傾城元嬢(けいせんげんじょう)、禁鞭、太極図、六魂幡(りくこんはん)、金蛟剪(きんこうせん)、盤古幡(ばんこはん)の7つがあり、それぞれかなりの実力を持つ道士・仙人たちが所有しています。

実はその全てが、ある目的のために用意された武器であり、物語の中に登場する「宝貝」は、これらの模倣品なのだとか。

ある目的とは一体なんなのか……? も気になるところですが、今回は、スーパー宝貝とそれを所持する登場人物たちについてご紹介しつつ、考察もしていきたいと思います。

1:雷公鞭(らいこうべん)

1:雷公鞭(らいこうべん)
出典:『封神演義』1巻

物語のストーリーテラーの役割を果たしつつ、最強の道士である申公豹(しんこうひょう)が所有するのが、「雷公鞭」という「スーパー宝貝」です。

申公豹は、三大仙人といわれる最強の3人の仙人のうち太上老君の弟子ですが、三大仙人よりも強いと言われています。

最強の霊獣である黒点虎(こくてんこ)に乗り、最強の「宝貝」を所有し、最強の強さを持つ道士、なんてラスボス感満載ですが、中立の立場から物語を掻き回す狂言回しとしてストーリーを彩ります。

そんな彼が使う「雷公鞭」は、道化師のような申公豹のスタイルに似合いの、アイスクリームのような見た目をした「スーパー宝貝」で、先が3つに分かれた鞭のような形状をしています。

すべての「宝貝」の中で最も強い力を持ち、その力は中国全土の空を覆い尽くすほどの範囲にまでおよび、さらに数キロ離れた山でさえも、1つ丸ごと消滅させてしまう雷を起こすほどの威力です。

しかも、それでもまだまだ全力を発揮していないという底知れない力を秘めた「雷公鞭」。

また、肉体を失った状態である「魂魄体」には、通常の「宝貝」では危害を加えることもままならないのですが、申公豹が扱う「雷公便」なら、その魂魄体まで焼き尽くすことができるという危険極まりないものなのです。

さらに、スタンガンのように使用してみたり、地中の「龍脈」を破壊できたりとやりたい放題。オールマイティに何でもこなせる、まさに最強の「宝貝」。

本作に登場するすべての「宝貝」において、破壊力はもとより特異性も兼ね備えた一流の武器なのですが、使用についてはあまり描かれていません。

しかし、ひとたび使用したときの脅威のパワーはすさまじいので、ぜひ注目してみてください。

2:傾世元禳(けいせいげんじょう)

2:傾世元禳(けいせいげんじょう)
出典:『封神演義』1巻

本作の(自称)ヒロインであり、殷の紂王の妃となった仙女であり、謎多き美女・妲己(だっき)が所有するのが「傾世元穰」です。(妲己については<漫画『封神演義』妲己の魅力を徹底紹介!【ネタバレ注意】>で詳しく紹介しています。)

妲己は妖怪仙人が住まう金鰲島の出身で、その美貌と「傾世元穰」によって完成させた「魅惑の術(テンプテーション)」によって、紂王をたぶらかし悪政と贅沢の限りをつくしています。

また、魂魄体だけで移動することができ、他人の肉体を乗っ取る術を体得しているなど、これまでも皇帝の妃となって皇帝を裏から操りながら時を重ねてきました。

絶世の美貌と抜群のプロポーションを持ち、「妲己よん♡」「あはん♡」など、語尾にハートマークを付ける可愛らしいしゃべり方をしていますが、「酒池肉林♡」と言って殷の民衆を焼き殺したり刺し殺したり、人肉を喰らうなど残忍で狡猾な性格です。

しかし、なぜか憎めない! かわいいから! 残酷なのに妹想いなところもチャームポイントですね。男性キャラばかりの本作で、自称とはいえヒロインはやっぱり妲己でしょう。

そんな妲己が使用する「傾世元穰」は、長い布のような形状をしています。

周囲を誘惑し、人心を意のままに操ることができる恐ろしい「宝貝」です。さらに防御力も格段にアップし、所有者を守るバリアーとしての役割もあるようです。

妲己は戦闘も恐ろしく強いのですが、自ら戦地に赴くことは少なく、裏から策略を巡らす策略家。

そのため、「スーパー宝貝」である「傾世元穰」が威力を発揮するシーンもあまり描かれてはいませんが、常に妲己とともに在り、妲己を守る頼もしい武器なのです。

3:禁鞭(きんべん)

3:禁鞭(きんべん)
出典:『封神演義』3巻

『封神演義』作中において、序盤から終盤に至る長きにわたり強敵として君臨した殷王朝の軍師・聞仲は、妲己と同じく金鰲島出身で、金鰲三強と呼ばれる実力者の1人です。

彼が使う「禁鞭」もまた「スーパー宝貝」の1つ。

聞仲は元々、100万人に1人にしか現れないという仙人のための骨「仙人骨」を持たないただの人間でしたが、とてつもない修行を繰り返し、肉体が腐りかけるほど酷使したことで仙人骨がうまれ、仙人としての修行をすることになります。

仙人の力を使い、数百年以上前から殷の兵士であり、忠誠を誓い殷のためにまい進してきた聞仲は、歴代皇帝の側近として殷の繁栄を見守ってきた殷の番人です。

それゆえに殷を害するものには容赦のない激情的な部分も持っており、また、殷を自分の子どものように想っているからこそ、作中でも「殷のためにならない」という理由で仙人をすべて滅ぼしてしまおうとするなど、苛烈なまでに「殷の守護者」として描かれています。

仙人界全体を巻き込んだ大規模な仙界戦争においては、所有する「禁鞭」を巧みに操り、たった1人で仙人界をほぼ壊滅状態へと追い込むなど実力は計り知れません。

主人公の太公望からするとやっかいな「中ボス」といえるでしょう。

 

冷静かつ慎重な性格で、目的遂行にまい進する冷徹さをもつ一方で、部下からは慕われるなど人間味あるシーンも登場します。

仙人の力を得たのも全ては殷のためであり、実は誰よりも殷と人間を愛している無骨な男なのです。敵ながらものすごく格好いいんですよ。

そんな聞仲の「禁鞭」は、長い鞭のような形状で、半径数kmに入った対象を一瞬にして打ち据えることができる超攻撃型の「宝貝」で、シンプルゆえにその威力は大きく直接的で、多くの仙人や道士たちが「禁鞭」によって深傷を負いました。
 

しかし、「禁鞭」は気位が高い「宝貝」だそうで、未熟な者が扱うと暴走したり、使用者を含む周囲を無差別に打ち据えてしまったりするというやっかいな性格をしているそう。

それを使いこなす聞仲、やはり侮れませんね……。

使用者である聞仲の圧倒的な実力とともに、「禁鞭」の威力も楽しみにして読んでみてください。

 

4:太極図(たいきょくず)

4:太極図(たいきょくず)
出典:『封神演義』18巻

三大仙人の1人で、申公豹の師匠でもある太上老君が所有するのは、事実上最強の「反宝貝」能力を持つ「太極図」です。

極度の怠け者である太上老君ですが、その実力は妲己や聞仲をもしのぎ、三大仙人随一といわれるほどの力の持ち主。

しかし本人はいたって無類の怠け者で、呼吸すらわずらわしいと言って自ら作った「怠惰スーツ」を着込み、3年は眠り続けているという体たらくとなっています。

物語の序盤から噂に名高い太上老君でしたが、姿を現したのは終盤に差し迫った頃。

歴史を裏で操っていた真の敵の正体に気付いており、眠りながら敵の動向を探り、直接対決はしていないものの、妲己が使っていた「傾世元穰」を難なく使いこなすシーンが描かれるなど実力は未知数です。

太上老君が使う「太極図」は、「どんな宝貝よりも弱く、同時にどんな宝貝よりも強力」と説明するように、周囲一帯の宝貝の効果を無力化する力がああり、さらに宝貝で受けた傷を癒すこともできるという、まさに「スーパー」な宝貝!

「宝貝」の無力化や傷を癒す能力のほか、他の宝貝を通じて周囲の仙人・道士の力を吸収・集束することで使用者に莫大な力を与えるという能力を持っています。

自分で動かずとも力が付く、ちょっぴり他力本願なところがまさに太上老君にぴったりな「スーパー宝貝」だなという気がしてしまいますよね。

5:六魂幡(りくこんはん)

5:六魂幡(りくこんはん)
出典:『封神演義』15巻

黒いマントのような形状をした「六魂幡」を扱う通天教主(つうてんきょうしゅ)は、妖怪仙人ばかりが住む金鰲島の教主で三大仙人の1人です。

太公望とともに戦う崑崙山の道士・楊戩(ようぜん)の父であり、妲己の師匠でもあります。

妖怪仙人の頂点に立つ存在ながら、崑崙山と友好関係を築くなど穏健派であり、妲己が金鰲島から離反した際には、妲己の裏で歴史を操る人物の存在に気付き、息子の楊戩を崑崙山に預けて不可侵条約を結ぶなど心やさしい一面も覗かせています。

通天教主が所有する「六魂幡」は、攻撃時には巨大化し、包み込んだ相手を圧縮することで封神(=神へと魂魄を送る、すなわち死ぬこと)されることもなく、完全にその存在を消失してしまう残酷で恐ろしい「宝貝」です。

聞仲が下山して後、通天教主は妲己によって心を支配され、ついには心を奪われてただの抜け殻同然の傀儡と化してしまいます。

ブツブツと独り言を繰り返す通天教主の様子には恐怖を覚えますが、彼の背後にある事情を知ると、何とももの悲しい気持ちにもさせられます。

聞仲が引き起した仙界大戦の際には、「六魂幡」を使って息子を守ると、最後には楊戩に看取られて封神していくのです。

この父と子の物語は、本作においてもシリアスで、通天教主の葛藤や息子への愛情がなんとも悲しく心に突き刺さります。

本来なら、もっと違ったかたちで譲渡したはずの「六魂幡」は、最終的に息子である楊戩に受け継がれました。

6:金蛟剪(きんこうせん)

6:金蛟剪(きんこうせん)
出典:『封神演義』12巻

雷公鞭に次いで仙人界第2位の破壊力を持つ「スーパー宝貝」で、金鰲三強の1人と言われる趙公明が所有しているのが「金蛟剪」です。
 

所有者の趙公明は、性格こそ明るく愉快で、ふざけているのかと思うような派手なリアクションで周囲をドン引きさせることもありますが、その実力は折り紙つき。自身が巨大な花の化身であるゆえか華やかで美しいものを好みますが、その実、単純に戦いが好きだという戦闘狂です。

一度など崑崙山に乗り込み、元始天尊に撃退されたこともあるほど。誰にでも戦いを挑むところは玉にキズですね。

そんな趙公明が使用する「金蛟剪」は、大型のハサミのような形状をしていて、全てを打ち砕く龍を召喚することができるうえ、その龍は標的を喰らい尽くすまで追い続けるというやっかいな宝貝です。
 

使い手の能力により龍が変化するほか、使いこなせない者が使うと呼び出せる龍が少なくなるなど、「スーパー宝貝」だけあって一筋縄ではいきません。

実力者が使いこなすと、虹の色と同じ7色の7匹の龍を呼び出すことができ、それらを束ねて1匹の黄金色をした巨大な龍へと進化させることも可能なのだそう。

趙公明は太公望との戦いによって封神されてしまいますが陽気で憎めない性格ゆえ、印象深いキャラクターです。

7:盤古幡(ばんこはん)

7:盤古幡(ばんこはん)
出典:『封神演義』16巻

崑崙山の教主であり太公望の師でもある、三大仙人の1人・元始天尊が所有するのが「盤古幡」。

「盤古幡」は分子構造に似た球体の宝貝で、局地的に重力を操ることができる能力を持っています。

もともと、太公望による封神計画を立案し遂行させた張本人で、怠け者のように見える元始天尊も実は、千里眼によって人間界を監視していたり、宝貝の1つである「封神台」を起動させて封神フィールドを張っていたりとちゃんと働いているのです。

弟子である太公望に劣らず策略家で、歴史を操る真の敵の存在を消滅させるために様々に策を練って実行したものが「封神計画」というから、食えないじいさんです。

彼が使用する「盤古幡」の力はすさまじく、最大出力である1000倍の重力下では、その空間が歪みを生じ、内部にいるだけで骨折するほどの威力を発揮します。

さらに、力のあるものが他の宝貝と組み合わせることで、いっそうその能力を引き出すことができるそう。

元始天尊は基本的に裏方なので戦闘の表舞台にはなかなか登場しませんが、「盤古幡」を駆使して闘うじいさんの姿は恰好いいのひと言なので、ぜひチェックしてみてください。しびれますよ。

『封神演義』の「スーパー宝貝」には様々な特性があると同時に、何とも使用者の性格や能力にぴったりのものばかりだと思いませんか。所有者と宝貝との相性が良いからこそ、「スーパー宝貝」の能力が最大限に引き出され、仙人・道士たちの力となっているのですね。2018年1月からスタートするアニメでは物語のメインとなる仙界大戦が迫力満点に描かれますので、ぜひ「スーパー宝貝」の威力にも注目してみてください。

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