漫画『ババンババンバンバンパイア』は「別冊少年チャンピオン」で連載されているBL漫画です。ただしBLはBLでも公式に「ブラッディ・ラブコメディ」とされており、吸血鬼が一方的に住み込みで働く銭湯の息子に執着するストーリーとなっています。 ギリギリの突き抜けた面白さが人気の本作ですが、2025年にTVアニメ化と実写映画化が決定しています。 この記事ではそんな『ババンババンバンバンパイア』について、原作漫画の内容を紹介しながら魅力について解説しましょう。

漫画『ババンババンバンバンパイア』は「別冊少年チャンピオン」で連載されている奥嶋ひろまさの作品です。連載が始まったのは2021年10月で、既刊は13巻。最新の第13巻は2026年4月8日に発売されました。
「18歳の童貞」の血を好む吸血鬼が、老舗銭湯に住み込みで働くかたわら、密かに高校生になったばかりの銭湯の1人息子の貞操を守るためにあれこれ奔走するBL(ブラッディ・ラブコメ)。
BLとは言うものの、あくまで「ブラッディ・コメディ」であってボーイズラブ要素はほぼありません。主人公の吸血鬼が清い男の子に執着しますが、かなりおバカなノリで描かれるため、男女関係なくどんな人でも楽しめます。ただ、直接的な描写はないものの童貞喪失が1つのポイントになっているので、本作を読む場合は中高生以上が無難でしょう。
漫画『ババンババンバンバンパイア』はかなり早い段階から評判になっており、2022年9月にはバラエティ番組「川島・山内のマンガ沼」で麒麟の川島明が絶賛したことで、さらに人気が高まりました。
そんな漫画『ババンババンバンバンパイア』は、2025年にTVアニメ化と実写映画化が実現しました。TVアニメは1月11日から3月29日まで全12話が放送され、主人公を演じたのは浪川大輔。実写映画は同年7月4日に公開され、主演は吉沢亮です。
創業60年にもなる銭湯「こいの湯」で働く森蘭丸。彼の正体は「18歳の童貞」の血液を何よりも尊ぶ吸血鬼であり、10年もの長きにわたって住み込みで働き続けているのは、いずれ銭湯を継ぐ少年・立野李仁(たつのりひと)の血を狙っているからでした。
蘭丸は純真無垢なままの李仁の成長を見守り、心待ちにしていましたが、李仁が高校に進学してから事態が一変します。彼が街角でバッタリ出会った同級生、篠塚葵に一目惚れしてしまったのです。
今時ラブコメでも見ないベタベタの展開。蘭丸はちょろすぎる李仁の童貞力に喜ぶ一方で、万が一にも恋が成就した場合、心身共に健康な15歳の若者が付き合って清いままでいられるわけがないと恐れます。
人間社会に溶け込む蘭丸は、なるべく穏便に済ませようと葵に接触して、李仁を諦めさせようとするものの……。
『ババンババンバンバンパイア』の主人公は森蘭丸。現在の身分は「こいの湯」の住み込み従業員ですが、実は年齢約450歳の吸血鬼であり、かの有名な織田信長の小姓・森蘭丸本人です。12歳でバンパイア化して以来、人間に交じって日本史の表と裏を見てきた歴史の生き証人。
森蘭丸であることを特に隠していませんが、たまに自分の見聞きした歴史的事実を口にしても誰もまともに受け取らず、マニアックな歴史ジョークを言う人と思われています。
蘭丸の見た目は吸血鬼らしく、ミステリアスでクールな美青年。ただし言動が浮世離れしているため、やることなすことすべてがギャグっぽくなってしまいます。いわゆる残念なイケメン。
立野李仁は蘭丸にとってのヒロインです。銭湯「こいの湯」の4代目に当たる思春期真っ盛り、15歳の高校1年生。美少年というほどではありませんが、純朴さが光るあどけない少年です。
ややピュアすぎるところはあるものの、李仁自身はただただ普通。10年間一緒に暮らしている蘭丸が自分を狙っていることなどまったく気付かず、年頃らしいあれやこれやの悩み(主に葵に関すること)を相談しては、意図せず蘭丸の面白いリアクションを引き出していきます。
篠塚葵は作品としてのヒロインです。優しく穏やかな性格で、李仁に負けず劣らずの夢見る乙女。天然な一面があるため、少しズレた発言や行動が目立ちます。李仁と違って、蘭丸が吸血鬼ということは察しています。
蘭丸は李仁に心酔しているために葵も李仁に好意があると思い込んでいますが、実際のところは葵は李仁を仲がいい異性の友人としか思っていません。幼少期から西洋ファンタジーに親しんできた彼女は、むしろイケメンで吸血鬼な蘭丸の方に恋心を抱いています。
上記3人だけだと三角関係ですが、事態をややこしくしていくのが葵の兄で学校の先輩のフランケンと、蘭丸たちの先生である坂本梅太郎です。
フランケンの本名は篠塚健。無類の強さを誇り、トレードマークのネジ型ピアスと本名「けん」からフランケンと呼ばれています。不良グループを率いていますが、筋の通らないことを嫌う昔気質の熱血漢です。不良の揉め事で蘭丸と戦ったものの、手ひどく負けた上に誤解があったため、蘭丸を兄貴と慕うようになりました。ちなみに童貞。
坂本梅太郎は眼鏡をかけた優男風のイケメン教師ですが、裏の顔は人知れず吸血鬼を狩るバンパイアハンターです。実は坂本龍馬の子孫であり、龍馬の死の真相――蘭丸こそが先祖の仇だと知っているため、一族すべての宿願として蘭丸を付け狙っています。10年前に一度ら家追い詰めたのですが……。なお梅太郎も童貞。
蛇足ですが坂本龍馬には才谷梅太郎という変名があり、梅太郎はそこから名付けられたと思われます。
漫画『ババンババンバンバンパイア』コメディ要素の強い作品ですが、その魅力は大きく分けて3つあります。1つ目はアクの強い登場人物の奇行、2つ目はこじれすぎている人間関係 3つ目はオマージュ要素です。
登場人物の奇行の筆頭は、主人公の森蘭丸。彼は李仁の童貞を守り、18歳なったら血を吸う(結果として死なせる)ことが目的ですが、普段の考え方や行動は純愛そのもの。ただし吸血鬼ならではの価値観や認識がズレているため、空回りしたり過剰なリアクションを見せたりすることが多く、そういった部分が奇行として描かれて笑いに繋がります。
なお吸血鬼に対抗するバンパイアハンターなためか、奇行・変人度では坂本梅太郎も負けてはいません。彼の本性が明らかになってからは、一番おかしい蘭丸がドン引きするほどの異常っぷりを発揮します。
人間関係については、一言ではとても説明できないくらい複雑。序盤こそ李仁と蘭丸と葵の三角関係しかありませんが、フランケンや梅太郎とキャラクターが増えるごとに、どんどんこじれていっています。誰かと別の誰かが変な部分で繋がっていて、そこに誤解とすれ違いが発生し、予想外のめちゃくちゃが起きることがしばしば。
どれぐらいめちゃくちゃかと言うと、例えば恋愛作品だったら軽く血が流れてもおかしくないレベルです。幸いなことに本作は「ブラッディ・ラブコメディ」と銘打たれているものの、コメディなだけあって今のところ流血沙汰はありません。
本作のオマージュ要素は、作品のメインではなくあくまでオマケ的な要素です。知っている人にははっきりわかる形で描かれますが、知らなくても特に問題なくギャグとして成立しています。
とはいえ、作者の奥嶋ひろまさの元ネタへのリスペクトが込められているようで、なかなか細かくて秀逸です。びっくり顔が楳図かずお風になっているのはわかりやすい部類ですが、山崎まさよしの名曲「One more time, One more chance」の一節をパロディセリフにするセンスは、面白いと同時に感心してしまいます。
総じて、こうしたおバカなノリが『ババンババンバンバンパイア』の魅力。
高校入学早々、李仁は登校中の街角で女子とぶつかるというベタすぎるシチュエーションで、篠塚葵に一目惚れします。それを知った蘭丸は表向き協力するフリをしつつ、万が一にも李仁が童貞を失うことがないように、色々と手を回しました。
最初は穏便に済ませるため、それとなく家族に周知して萎えさせようとしますが、かえって逆効果でした。蘭丸は最後の手段として、栄養補給とストレス発散を兼ねた狩り(人間と共存するため凶悪犯だけが対象)で着る吸血鬼のコスチュームに身を包み、葵を脅そうとするのですが……。
自分が好きな人は、他の人からも好かれているはず! という思い込みのせいで、まったく噛み合わない蘭丸と葵の会話が面白いです。挙げ句の果てに、蘭丸は危険視するライバルである葵に対して李仁の魅力を熱弁する始末。恋は盲目と言いますが、あまりにも盛大にすれ違うので読んでいると思わず笑ってしまいます。
蘭丸の軽率な行動のせいであっさり正体がバレそうになり、葵にバンパイアと呼ばれて狼狽えた場面でどもってタイトル回収していたのが地味に秀逸。タイトルがザ・ドリフターズの「いい湯だな(ビバノン・ロック)」の歌詞由来なのは一目瞭然ですが、ダジャレ的なかばん語を自然に出してきたのが見事でした。
- 著者
- 奥嶋ひろまさ
- 出版日
バンパイアハンター。それは吸血鬼に家族を奪われた遺族が、復讐を目的として吸血鬼専門のハンターになった者たちのこと。約450年生きる蘭丸にも、昔から彼を付け狙うハンターの一族がいました。かの坂本龍馬の末裔、梅太郎。
梅太郎は教師として各地を転勤しながら吸血鬼の足跡を追っていたのですが、偶然にも李仁たちの学校に赴任し、運命的に蘭丸と出会ってしまいます。
梅太郎は10年前に蘭丸をギリギリまで追い詰めたものの、トドメを刺す前に逃げられた過去がありました。つまり2人の出会いは、因縁の再会だったのです。
人間社会に溶け込んでいる李仁、教職に就いている梅太郎。微妙な立場上、すぐに対決とは行きませんでしたが、梅太郎は家庭訪問の名目で「こいの湯」を訪れて深夜の銭湯でついに決着を……。
コメディとは思えない、緊迫した死闘からのまさかの真相発覚! 意外すぎる展開にただただ唖然とさせられます。事前に梅太郎もちょっとおかしなところが描かれてはいますが、熟練バンパイアハンターの慎重な行動と区別しづらいのがミソ。
あまりにもアブノーマルすぎて、蘭丸がツッコミに回らざるを得ない流れをぜひお楽しみください。
- 著者
- 奥嶋ひろまさ
- 出版日
李仁たちの高校の2年に「G4」と呼ばれ、恐れられる4人組のギャル軍団がいました。特にリーダー格の山羽(やまば)カオル、通称ヤマンバは暴力こそ振るわないものの口が非常に立ち、男嫌いなのも相まって男子への悪口が非常に過激。男気の強いフランケンですら戦意喪失、学校では比較的信用のある梅太郎も丸め込まれて、ギャルたちのおもちゃにされてしまう有様です。
ヤマンバの李仁への悪影響を恐れた蘭丸は早めに手を打とうとしますが、そこで意外な家庭事情が発覚します。彼女と母親は、昔から父親の理不尽な家庭内暴力に晒されており、そのせいで男嫌いになっていたのです。
結果的に蘭丸がヤマンバの家族を救うことになるのですが、そこでのすれ違いがまた絶妙。最初は葵と似たようなことになると思わせて、まったく違う展開になっているのがとても面白いです。
男嫌いが高じて可愛いものに目がないヤマンバが、純真無垢な李仁の良さに気付くのもポイント。素直になれない女性版蘭丸に近い言動を見せ始め、複雑すぎる人間関係がより面白くなっていきます。
- 著者
- 奥嶋ひろまさ
- 出版日
漫画『ババンババンバンバンパイア』は2023年12月にメディアミックスが発表され、のちに2025年のTVアニメ化と実写映画化が明らかになりました。
メディアミックスと言えば、アニメかドラマ、あるいは映画のどれか1つなのが普通。よっぽどの大ヒット作でも、どれかから順番に作られていくものです。それがいきなりTVアニメ化と実写映画化、しかもほぼ同時期に行われるというのはかなり異例。『ババンババンバンバンパイア』の人気と期待の高さが窺えます。
TVアニメ版はテレビ朝日系列の土曜深夜アニメ枠「IMAnimation」で1月11日から3月29日まで全12話が放送され、インターネットでは「Netflix」で独占配信されました。制作を担当するのは元ガイナックス子会社のスタジオガイナ(GAINA)です。代表作は『ピアノの森』、『グレンダイザーU』など。
TVアニメ版の主要キャストは森蘭丸がベテラン人気声優の浪川大輔、立野李仁は『Re:ゼロから始める異世界生活』のナツキ・スバル役の小林裕介、ヒロインの篠塚葵は『魔法少女にあこがれて』の水神小夜/マジアアズール役で知られる風間万裕子です。
作画も動きも良好で、少しきわどいセリフも深夜枠らしくそのまま。マイケル・ジャクソンや『HUNTER×HUNTER』といったオマージュ・パロディネタもしっかり映像化され、激しいすれ違いのコメディが最後まで楽しめる仕上がりでした。
ただし、ボーイズラブっぽい耽美感を薄くしてギャグテイストを強くするためか、キャラクターデザインがやや柔らかめに変更されています。
実写映画版は松竹配給。当初は2025年2月14日公開の予定でしたが、諸般の事情により延期が発表され、同年7月4日に公開されました。森蘭丸役は吉沢亮で、立野李仁には作者がイメージ元にしたという板垣李光人(いたがきりひと)がキャスティングされています。
ファンタジー色の強いコメディ作品の実写映画は、いかに振り切って作るかが1つのキーポイント。実写映画『ババンババンバンバンパイア』は、過剰なくらいの演出で笑い飛ばせる内容に振り切っています。
ただ、一部の役に少しコスプレ感が漂っているので、気になる人は気になってしまうかも知れません。
なお原作漫画の第6巻から登場する森長可がTVアニメ、実写映画どちらもで発表されています。TVアニメ版は中村悠一、実写映画版は眞栄田郷敦(まえだごうどん)。
TVアニメ版は第6巻あたりまでを映像化。実写映画版は上映時間の都合から、原作漫画の序盤をベースにしたストーリーにまとめられています。
アニメと実写映画、2つの映像化を経たいまだからこそ、原作漫画を読み返す楽しさもあります。
漫画『ババンババンバンバンパイア』の作者は奥嶋(おくじま)ひろまさです。1982年3月23日、兵庫県生まれ。
専門学校アートカレッジ神戸出身で、小学生時代から漫画に親しんでおり、自然と漫画家を志すようになったそうです。高校在学中から投稿を始めて、2007年に母校を舞台としたヤンキー漫画『SHOUT!』で商業デビュー。
- 著者
- 奥嶋 ひろまさ
- 出版日
デビュー前は『高校鉄拳伝タフ』 の猿渡哲也のもとでアシスタントを約3年間勤めており、猿渡哲也を尊敬しているそうです。一番好きな漫画家はまた別で、漫画『スラムダンク』とともに作者・井上雄彦を挙げています。
奥嶋ひろまさは秋田書店の「ヤングキング」系雑誌を中心に活動している関係上、作品はヤンキー漫画ばかりで本人もヤンキー漫画家と認識されていますが、本人はヤンキーではないとのこと。
今や『ババンババンバンバンパイア』の方が有名になってしまいましたが、作風的にはフランケンがこれまでの作品のノリそのまま。もともとは不良を主人公とした熱血バトルと軽妙な軽口が特徴です。
奥嶋ひろまさ自身は意識していなかったものの、2012年に連載を始めた『アキラNo.2』のころからBL指向の女性ファンが多かったとか。
- 著者
- 奥嶋ひろまさ
- 出版日
そしてSHOOWA原作の『同棲ヤンキー赤松セブン』の作画担当をきっかけに本格的にBLを意識し、実験的な読み切り漫画『軍服さん~吸血鬼と恋~』を経て、『入浴ヤンキース』の要素をミックスして『ババンババンバンバンパイア』が生まれました。
『軍服さん~吸血鬼と恋~』は名前や登場人物こそ違いますが、設定はかなり『ババンババンバンバンパイア』に近い事実上の前身。『ババンババンバンバンパイア』第9巻に特別収録されているので、本編が気に入った方はぜひ読んでみてください。
現在は『ババンババンバンバンパイア』の他に、総理大臣の息子が極道の子弟ばかりが集まる学校に入学する学園コメディ『ヴィランの学校』を平行して連載しています。
- 著者
- 奥嶋 ひろまさ
- 出版日
漫画『ババンババンバンバンパイア』は現在も「別冊少年チャンピオン」で絶賛連載中です。
秋田書店公式のWebコミック配信サイト「チャンピオンクロス」でも最新公開話まで基本無料で読めるので、この記事やメディアミックスがきっかけで気になった方は、まずそちらからどうぞ!