ライター注目!2024年に第1巻が出た注目の新作漫画20選

更新:2026.5.23

毎年、数限りなく発売される漫画の数々。続刊や続編、スピンオフではない完全新規タイトルに限っても、2024年は非常に豊作でした。誰もが知る雑誌、漫画アプリに掲載されたすでに人気のある作品から、まだ注目度は低くてもロングスパンで読者が増えていくものまで多種多様です。 筆者はプライベートでも雑多な作品を読んでいますが、今回は2024年に発売された漫画の中から、特に注目すべき新作漫画20選をお届けします。

小説も漫画も映画も基本雑食な、しがない物書き。温故知新で古典作品にもよく触れるようにしています。
LINE

2024年発売の完全新規タイトルから20作品を紹介

筆者が普段記事にしているのは、話題作が中心です。しかし、当然ですが漫画(に限りませんが)は話題作だけがすべてではありません。日本では毎年、何百冊何千冊と新作が発売されますし、まだ知られていないだけで面白い作品がたくさん埋もれています。

そこでこの記事では、2024年に第1巻が発売された完全新規タイトルに注目して、実際に読んだ印象を踏まえて厳選した20選をご紹介したいと思います。

各作品ごとに内容がわかるあらすじ、どういった点が面白くて、何が魅力的なのかを簡単にまとめました。

紹介するのはいずれも2024年に第1巻が出た作品です。シリーズが長期化する前のタイミングなので、まとめて追いかけやすいものを選びました。出版社公式の漫画アプリに掲載されているものも多く、そういった作品は基本無料で読めるものが大半です。気になったらとりあえずチェックしてみましょう。

出来るだけ幅広いジャンルからピックアップしましたが、個人的に読んで面白かったものチョイスした都合上、多少偏りがあることはご容赦ください。

注目の新作漫画20選①『クソ女に幸あれ』入れ替わり三角関係の複雑なラブコメ

主人公の秋吉直は中学時代、幼馴染みの西川檸檬と交際していましたが、突然「4股している」と告白されこっぴどく振られてしまいました。時は流れ、直は大学の映画サークルで出会った先輩、小河原菜摘に片思いするようになります。

どうにかいい雰囲気で菜摘との初デートを目前に控えたある日、なんの因果か彼は数年振りに檸檬と再会しました。過去を忘れたかのように妙に明るい檸檬。直はもやもやした気分になるも、新しい恋に集中して忘れようとしたのですが……翌日、なぜか直と檸檬の心と体が入れ替わってしまいます。

著者
岸川 瑞樹
出版日

『クソ女に幸あれ』は漫画アプリ「ジャンプ+」で連載されている岸川瑞樹の作品です。2023年10月にスタートした本作は、連載1年も経たず「次にくるマンガ大賞 2024」Webマンガ部門で第4位に選ばれました。

ラブコメで男女が入れ替わるのはさほど珍しくありませんが、1日交替なのが本作独自の要素。入れ替わった翌日に元に戻り、さらに翌日に再び入れ替わる……。異常な状況に慣れる間もなく、慌ただしく変化するのが面白いです。

しかも2人だけならまだしも、そこへ2人と共通する関係者として菜摘が関わってくるのだから大変。直にとっては意中の人で、檸檬にはルームメイト。構図としては三角関係ですが、前述したように1日置きの入れ替わりがあるので、非常にややこしい自体が頻発します。

とはいえ、すれ違いともどかしさはラブコメの華。1日交替ギミックのおかげで、『クソ女に幸あれ』は予想外の驚きと展開に満ち溢れています。

どうしてこんなことになったのか。どうすれば解決するのか。そして恋の行方は――。様々なことが気になって、読み始めるとどんどん引き込まれます。ちなみに檸檬の4股発言は早々に嘘なのが読者にだけ明かされます。なぜ嘘をついたのかは……実際に読んでお確かめください。

注目の新作漫画20選②『サラリーマンZ』ゾンビパニックでも働けますか?

新型コロナ禍が開けて、オフィス街に活気が戻り始めたころ。複合機メーカー「タケフク」で働く営業課長・前山田雄作は、熱海の担当者と連絡が取れなくなったという報告を受けます。未確認ながら、集団完成発生との噂も……。

各自が八方手を尽くして情報収集を試みますが、異常事態が起きている以上のことはわかりませんでした。そして異変はとうとう「タケフク」の間近でも起きてしまいます。街に溢れる、人々を襲う暴徒の群れ。噛まれた者が近くの人間に噛みつき、次々と連鎖していく――ゾンビ・パンデミックの発生。

著者
["石田 点", "NUMBER 8"]
出版日

NUMBER 8・原作、石田点・作画による青年漫画です。漫画アプリ「コミックDAYS」でも読めます。週刊誌「モーニング」連載中。未知の感染症による非常事態を描くゾンビモノ……なのですが、サラリーマンが労働哲学と団結力を発揮して、冷静に立ち向かう一風変わった作品となっています。

キーパーソンとなるのは、真面目一徹で古式ゆかしいサラリーマンの前山田。報告連絡相談を基本としつつ、ビジネス書に載っているような偉大な経営者の名言(本田宗一郎や松下幸之助といった怱々たる面子)を引用しつつ、ゾンビ・パンデミックに真っ向から立ち向かいます。

日本を舞台としたゾンビモノはいくつかありますが、個人単位ではなく1つの企業がまとまって事態の収拾に当たるというのが面白いです。

集団だからこそ出来る情報収集や連携の強みがある一方、多人数をまかなうための物資の確保と配給(とそこで起こる衝突)についても描かれており、フィクションながら迫力あるストーリーが魅力的。

注目の新作漫画20選③『タワーダンジョン』さらわれた王女を救うべく超巨大構造物に挑む

舞台はとある王国。竜に変身出来るドラクメタモルの血を引く国王が死霊術士に殺害、さらに王女がさらわれる事件が発生します。死霊術士は王の肉体を操って禁忌の超巨大構造物「竜の塔」を呼び出し、そこへ逃亡してしまいました。

近衛兵団が王女奪還を期して塔へ挑みますが、強力な魔物に行く手を阻まれ、多大な損害を出してしまいます。王国は損害を補填するために人員の召集か税の徴収を各地に通達。しがない農村に住む主人公ユーヴァは税を免れるために自ら志願するのですが、常人離れした怪力と機転で思わぬ活躍を見せ、王女救出の大役を担うことに……。

著者
弐瓶 勉
出版日

「月刊少年シリウス」で連載中のファンタジー漫画です。漫画アプリ「コミックDAYS」でも読めます。作者は『BLAME!』や『シドニアの騎士』などの弐瓶勉。『タワーダンジョン』はこれまでハードSFを手がけてきた弐瓶勉が初めて手がけるファンタジーですが、ダンジョンRPG風なのにどこか不穏で不気味、異質な雰囲気とロジックを感じる独特なデザインとなっています。

囚われの姫君を救うという、設定自体は至ってシンプル。ところが弐瓶勉イズムとも呼ぶべきある種の虚無感を覚えるシビアな世界観のおかげで、主人公を含むキャラクターがいつどこで死んでもおかしくない、緊張感がたまりません。

物語はユーヴァたちが魔物や罠だらけの迷宮を攻略していく一方で、王国議会のお触れによって他にも報酬目当ての冒険者たちが集まりだし、さらに水面下では別の思惑が動いているらしき描写が……。

はたしてユーヴァは「竜の塔」最上階で待つ死霊術士を倒し、王女イグネリアを無事救出出来るのか。死霊術士や上位存在の真の狙いはなんなのか。圧巻のスケールで描かれる物語から目が離せません。

注目の新作漫画20選④『ねずみの初恋』残酷な世界で生きる少女が恋を知る

一見すると虫も殺せなさそうな可憐な少女「ねずみ」。彼女はどこにでもいる未来明るい若者――ではありませんでした。彼女は才能を見込まれヤクザ組織で育てられたプロの殺し屋だったのです。

人間らしい生活と愛情を知らずに育った彼女ですが、普通の青年・碧と出会って生活が一変します。碧の一目惚れから始まった淡い恋。2人はプラトニックな関係の同棲生活を始めて、ねずみはごく普通の幸せを手にしたかに見えましたが……。

半年ほど経ったある日、ねずみは雇い主のヤクザから、殺し屋としての正体を知ってしまった碧を殺すよう強要されてしまいます。

著者
大瀬戸 陸
出版日

本作は「週刊ヤングマガジン」で連載中の青年漫画です。漫画アプリ「マガポケ」でも読めます。作者の大瀬戸陸は『ねずみの初恋』が連載2作目ですが、発表されるやいなや同誌史上最速最高レベルの大ヒット作品となりました。「次にくるマンガ大賞2024」、「このマンガがすごい!2025」など数々の漫画賞で高い評価を得ています。

ねずみは碧を助けて2人で生き延びるため、彼を殺し屋に育てるべく過酷な訓練を課していきます。裏社会に身を置くためには、残虐行為を平気で行うようにならなければいけないのですが、合間にある2人のやりとりがあまりにもピュア。

本作の特徴は初恋の甘さや切なさと、裏社会の歪みきった価値観が平行して描かれることです。両極端の要素が危ういバランスで成り立っており、それが多くの読者の心を惹きつけてやみません。

またストーリーが進んでいくと、頼りないだけの普通の青年と思われた碧に、思わぬ過去があることが示唆されます。読者としては血なまぐさい破滅の予感におののきつつ、ただただねずみと碧、2人の幸せを願わずにいられません。

注目の新作漫画20選⑤『魔法医レクスの変態カルテ』バカにつける薬はない!

魔王が討たれて15年の月日が流れても、人が生活を営む限り大小様々な事故や怪我が発生し、医者の仕事は尽きることがありませんでした。いや、むしろ平和になったからこその特殊な「やらかし」が多発し、熟練魔法医レクスは日々駆け込んでくる患者に頭を悩ませていました。

著者
元三 大介
出版日

本作はWeb漫画サイト「くらげバンチ」で連載中のファンタジー作品です。作者は元三大介。

ファンタジー作品といえば、一昔前まで剣と魔法がメインの西洋風異世界ファンタジーが主流でした。それが今では異世界転生モノが流行ったり、『ダンジョン飯』のヒットで迷宮を舞台としたファンタジーが増えたり、あるいは『葬送のフリーレン』の影響で昔ながらの正統派ファンタジーに再度脚光が当たるようになりました。

そんな中で『魔法医レクスの変態カルテ』は魔法の医療的利用をフィーチャーた珍しい作品で、主にフォーカスを当てるのは――魔物や魔法を駆使してシモの問題を起こした者たち。

具体的にはスライムをナニに使う、異種族間の性交問題、ちょうどいいサイズの小型食肉植物でチキンレース……などなど。タイトルの「変態カルテ」の変態とは、すなわちレクスの診療所に訪れる患者たちのことです。

魔法や魔物をシモに利用するのは、普通では思いつかない発想。ですが、もしも現実にあったとすれば、こういうことをする考えなしがいるかもしれない――そんな風に思える絶妙なリアルさが、本作のおバカ加減をより面白いものにしてくれています。

内容的には天原・原作、masha・作画の漫画『異種族レビュアーズ』に近いノリです。ただ、あちらは性風俗に注目して実際に試すお話ですが、『魔法医レクスの変態カルテ』は試した結果として失敗した患者の尻拭いをするお話。

性的好奇心に負けてやらかす患者たちの姿が笑えますし、毎回苦労させられならがも神業で見事治すレクス(とそれを考える作者)に思わず感心してしまいます。

注目の新作漫画20選⑥『尾守つみきと奇日常。』一風変わった日常が楽しいニューアオハルライフ

空想上の存在と思われた亜人種は、今や「幻人」と呼ばれる隣人となり、多様性の時代の後押しもあって一般社会に溶け込むようになった現代日本。

主人公の真層友孝は普通の少年でしたが、あえて幻人が数多く通う私立景希高等学校に入学しました。そこで彼が出会ったのが、誰とでも分け隔てなく接するウェアウルフの尾守つみきです。

周囲と合わせるうちに自己を見失っていた友孝は、自己主張を恐れない彼女の生き方に憧れを抱くようになりました。つみきも自分を尊重してくれる友孝は貴重な友人と認識。彼らがお互い積極的に関わり合うことで、周囲も含めて奇妙で楽しい日常が繰り広げられていきます。

著者
森下 みゆ
出版日

「週刊少年サンデー」で連載されている森下みゆの作品です。漫画アプリ「サンデーうぇぶり」でも読めます。独創的な世界観が評価され、「次にくるマンガ大賞2024」コミックス部門では第3位に選ばれました。

ストーリーだけを見ればいわゆる学園ラブコメですが、外見も能力も人間とは少し違う幻人が当たり前にいるというのがポイントです。

基本は明るく楽しいノリではあるものの、テーマになっているのは多様性や人間関係。作中では友孝やつみき、普通の人間や幻人たちが学園生活を通して関係を築き、成長して変化する様子が丁寧に描写されます。外見的違いや能力の違いによるすれ違い、衝突はあるものの、あくまで個人個人の個性の延長……という風にしているのが面白いです。

ある種フェティッシュなまでの幻人の作り込みも見所。明らかにこだわって設定されている幻人の生態によって、そこから発生した出来事や問題に説得力が生まれています。ファンタジー寄りのフィクションにもかかわらず、生き生きとしたキャラクターにリアリティを感じるのが凄い。

そして何より、登場人物が全員魅力的です。特につみきは別格の可愛さで、小動物的な愛らしさの中に、乙女の可憐さが垣間見えます。奥深いテーマをライトな切り口で読ませる本作は、一度手に取ればつみきの可愛さの虜になってしまうこと請け合いです。

注目の新作漫画20選⑦『ドラゴン養ってください』村上さんちのダメドラゴン

主人公の村上は、過度にドラゴンにこだわりのある大学生です。そんな彼がある時買い出しに出ると、近所の公園にたたずむ1匹のドラゴンに出会いました。

そのドラゴンはイルセラと名乗り、修行のために異世界からやってきたものの、路頭に迷っているので養って欲しいと言い出しました。ドラゴン好きの村上からしても急すぎる上に、苦しい1人暮らしの現実を考えて一旦見なかったことにします……。が、イルセラの影響で騒動が起きかけるのを見かねた村上は、結局連れ帰ることに。

以降、居候のイルセラを巡る色々な問題に、村上は頭を悩ませるようになります。

著者
["牧瀬 初雲", "東裏 友希"]
出版日

Webコミック配信サイト「裏サンデー」および漫画アプリ「マンガワン」で連載されている、牧瀬初雲・原作、東裏友希・作画のローファンタジーな日常コメディです。

作品のキモとなっているのが、村上とイルセラのかけ合い。異世界出身なのでこちらの世界の常識がないイルセラがボケ役ですが、たまに本質を突く毒舌を言い放ちます。村上は基本ツッコミ役で辛辣な物言いをしますが、そのテンションのままボケることがあるので油断出来ません。

村上は一種のドラゴンフェチというか、擬人化などではない純粋なドラゴンが好きなドラゴン原理主義者。たまたまイルセラがドラゴン種族の落ちこぼれで、魔法が下手なために小さいサイズにしかなれなかったのが、逆に村上のツボに入ったのが面白いところ。

イルセラは半人前の居候の癖に、とても偉そうに振る舞います。読んでいて少しイラッとする場面もありますが、言葉の応酬で村上が強く出るため、総じて憎めない愉快なキャラクターとして成立しているのが魅力です。

イルセラは話が進むとだんだん馴染んでいって、ちょっとほっこりしたりほろりと来るエピソードが描かれることも。ドラゴン好きの側面に限ると村上も相当な変人ですが、本作にはそれを上回る濃いキャラクターが次々登場し、読み始めると病みつきになってしまいます。

注目の新作漫画20選⑧『あくまでクジャクの話です。』男女の恋愛を生物学的視点で斬る!

付き合い始めたばかりの彼女に、「男性的魅力を感じない」といきなり浮気された高校教師の久慈弥九朗。

傷心の彼の前に、校内随一の美少女で生物学部部長の阿加埜九音が現れ、男らしくない男性がなぜモテないのかを生物学的見地から解説。彼女の話には一定の説得力があったのですが、阿加埜はさらに強引な理屈をこね回し、なぜか久慈に生物学部の顧問になって欲しいと付きまとうようになります。

著者
小出 もと貴
出版日

漫画アプリ「コミックDAYS」で連載されている小出もと貴の作品です。生物学をもとに恋愛(のちに人間関係)模様を浮き彫りにする学園ラブコメ。

生物学をフィーチャーしているのが本作の特徴ですね。生物学と言っても中高生で学ぶ教科の「生物」ではなく、もっと本格的な動物行動学や動物心理学が範囲。子孫を残すために有利になるよう進化した動物の生態を人間の恋愛観に当てはめ、極めて理論的に描かれていきます。

こう書くと堅苦しく思えますが、実際には単純化してわかりやすく解説されますし、極端な事例を引き合いに出して笑い飛ばすのがメイン。生物学の内容としてはガチガチに真面目なのに、男女間の恋愛の機微に置き換えることで、思わず吹いてしまうコメディとして成立しているのが凄いです。

例えばクジャクは派手な尾羽のオスの場合、メスにアピール出来ますが、そうでないオスはメスが寄りつかないので性淘汰される運命にあります。その事実を人間に置き換えると、冴えない容姿の男性よりも、筋トレや身だしなみを整えて自分磨きする男性の方がモテて当然……といった感じ。

生物学の理屈を逆手に取れば状況は好転させられますし、そもそも阿加埜が極論すぎて的外れだったり、さんざん解説した後に予想外の事態が起きてアタフタさせられるのも本作の面白いところです。

切り口が斬新なので、普通のラブコメに飽きた方やラブコメが苦手な方でも楽しめます。

注目の新作漫画20選⑨『ゴールデンマン』消えたヒーローの後を継ぐ記憶喪失の男

人々が脅威に怯える必要がない自由と栄華の街、ネオヨーク。軍隊ですら手を焼く危険なヴィランが現れても、街には無敵のヒーロー「ゴールデンマン」がいて、安全は保証されえtいました。ところがある晩、廃工場で発生した事件を境にゴールデンマンが失踪。代わりに現場で見つかったのは、記憶を失った謎の男だけでした。

幸か不幸か、心優しい謎の男がヒーローに匹敵するとんでもない身体能力の持ち主だったことから、ゴールデンマンのサポートチームは1つの決断を下します。次々現れるヴィランに対抗すべく、記憶喪失の男に彼こそがゴールデンマン――モロボシだと嘘をついて、誰にも知られずヒーロー活動を継がせることを……。

著者
["ペトス", "恵 広史"]
出版日

本作は「週刊ヤングマガジン」で連載されているSFアクション漫画です。『亜人ちゃんは語りたい』のペトスが原作、『BLOODY MONDAY』の恵広史が作画を務めています。アメコミ(特にバットマンやスパイダーマン)を思わせるヒーロー作品ですが、主人公たるヒーローに作中最大と言って良い謎があるのが特徴。

記憶喪失の男は、仮に本物のゴールデンマンの本名と同じモロボシと呼ばれますが、本物のゴールデンマン失踪に関係している可能性が非常に高いです。状況証拠からすると、記憶喪失前の彼がゴールデンマンと戦ったヴィランであり、本物はもう死んでいることも考えられます。

しかし、記憶のないモロボシは善良な人間にしか思えません。人当たりが良く思いやりがあって、ゴールデンマンも彼の代になってからの方が人気があり、敵のはずのヴィランですら彼に影響されるほど。

仲間や市民との絆が深まれば深まるほど、モボロシに付きまとう不穏さが増していく構成で、サスペンスモノとしても非常に面白いです。

ネオヨークの裏側が徐々に明かされていくにつれ、少しずつ判明していく真実。先が気になって読み進める手が止まらなくなります。

注目の新作漫画20選⑩『平成敗残兵すみれちゃん』平成アイドルの負け組が令和にリベンジ

東条すみれはかつて一世を風靡した――ということもなく、パッとせず消えてしまったアイドルグループ「ファーストラバー」の一員でした。三十路になった現在は、親戚の経営する場末のスナックでホステスとして働き、細々と食いつないでいる有様です。

それを見かねたのが従弟の泉雄星。彼はすみれに、「グラビア番長」と呼ばれたルックスとスタイルを活かして、同人グラビア写真集で大金を稼ぐ同人アイドルを目指そうと持ちかけます。

著者
里見 U
出版日

「週刊ヤングマガジン」で連載されている里見Uの作品です。一度は輝かしいステージを目指すも夢破れた元アイドルが、従弟の後押しでブレイク目指して再起するコメディ。

すみれとめちゃくちゃなキャラクターがとにかく凄いです。昔取った杵柄でスタイルの良さだけは健在ですが、シビアな芸能界を経験済みなせいかすれにすれまくっており、タバコは吸うわパチンコは打つわ見事なプータローと化しています。私生活はとことんがさつで自堕落、欲望に負けてとんでもないやらかしをしでかす、典型的な駄目人間です。

そんな素顔を知りつつも、なんとか支えようとする雄星が健気。彼はすみれの性格を知り尽くしていて、現金をちらつかせてその気にさせます。しかしあれこれ理屈をつけるのはすべて建前で、本音のところでは幼少期に見たすみれのアイドル活動が忘れられず、再び輝いて欲しいと願う純粋なファンなのが心を打ちます。

雄星の狙い通り、同人グラビア写真集の評判は好調で順調(?)にファンと話題を振りまいていくすみれ。そんな彼女が同じコスプレイヤー兼芸能プロダクション代表のファムファタ任三郎の目にとまるのですが、そこから一気に話が動いていきます。

とんでもない事件を起こすすみれに呆れたり、「ファーストラバー」の他の元メンバーが異常に濃いキャラをしていたり、芸能界の闇がチラ見えしつつ読者を飽きさせない展開が続いてとても面白いです。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る