『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』2025年上半期の超話題作!各話の元ネタを完全解説

更新:2026.7.4

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は2025年4月から6月にかけて放送・配信されたテレビアニメです。魅力的な内容からまたたくまに話題となって、放送の度にSNSで大きく話題となりました。 本作の魅力の1つは、「ガンダム」シリーズ由来の様々なオマージュネタが毎回仕込まれていること。普通に見ていても面白いですが、元ネタを理解しているとより一層楽しめます。 この記事ではシリーズ未履修の方でも楽しめるように、各話の元ネタを解説していきます。

小説も漫画も映画も基本雑食な、しがない物書き。温故知新で古典作品にもよく触れるようにしています。
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3行でわかる記事の内容

  • アニメ『機動戦士ガンダムGQuuuuuuX』の各話にはオマージュがちりばめられている
  • 細かい部分まで多岐にわたるため気付けないものもある
  • あらすじを紹介しつつ、どの作品の何のオマージュかを解説する

『GQuuuuuuX』各話ストーリーのあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

『GQuuuuuuX』は全12話の比較的短い作品ですが、中盤から終盤にかけてかなり情報過多。序盤にも細かいネタがちりばめられており、初見ですべて理解するのはなかなか困難です。

そこで各話の簡単なあらすじとともに、「ガンダム」関連の元ネタや小ネタを解説していきたいと思います。未視聴の方は初見の楽しさがあるので、できればそのまま見ていただきたいですが、再視聴の際にはぜひ解説を参考にして色々注目して見てください。

第1話「赤いガンダム」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

偶然出会った運び屋のニャアンを通して、非合法賭博試合クランバトルの存在を知ったマチュ。ニャアンの付き添いでクランバトルチーム「ポメラニアンズ」の事務所に出向いた彼女は、そこで謎の赤いガンダムを巡る戦いに巻き込まれ、偶然ジオン軍の最新鋭MSジーアクアクスに乗り込むことになります。

インストーラーデバイスWG-X22120AU-01-76

民間に払い下げられたMSの火器管制システムのロックを解除する違法デバイス。赤いガンダムのシステムをジオンが解析、模倣した戦闘用システムの非正規コピー品です。MSがクランバトルに参加する際に必要なもので、マチュとニャアンを繋げたキーアイテム。

インストーラーデバイス自体は『GQuuuuuuX』初出ですが、戦闘用システムの元ネタは『ファースト』のガンダムに組み込まれていた学習型コンピューターでしょう。そしてデバイスの形状は、『ファースト』TV版第34話や劇場版3作目に登場した「テム・レイの回路」そっくり。

詳細は省きますが、テム・レイの回路は曰く付きの粗悪品なため、インストーラーデバイスを目にしたファンの間で話題となりました。

クランバトル

MSによる2対2の違法賭博試合。表向き非合法ではあるものの、職のない退役軍人の受け皿や不要になった兵器の払い下げ先、抑圧された一般市民のガス抜き等々で事実上黙認されているようです。

元ネタは、おそらく『装甲騎兵ボトムズ』に登場するロボット競技「バトリング」。「ガンダム」と双璧をなすリアルロボットアニメで、同じサンライズ制作という共通点があります。

また『ファースト』第34話と劇場版2作目には、サイド6のそばで起きた戦闘をテレビ中継する場面が出てきます。ニュース速報と試合中継という違いこそありますが、クランバトルの原点かも知れません。

マチュとニャアンを守る赤いガンダム

エグザベの乗るジークアクスと赤いガンダムが戦闘中に接触、衝撃で弾き飛ばされた盾がスラム街に落下し、マチュとニャアンが巻き込まれてあわや大惨事――になるところを赤いガンダムが割って入り、身を挺して守るシーンが中盤に登場します。

シチュエーションが違うので断言できませんが、『ファースト』第37話や劇場版3作目で描かれるテキサスコロニー戦のオマージュかも知れません。シャアが戦闘中の大爆発からニュータイプの少女ララァを守るため、新型MSゲルググでかばうシーンが出てきます。シャアと関連する赤いMSが、ニュータイプの少女を守るという構図が同じです。

ジークアクスの脚部

ジークアクスは全体的にかなり攻めたデザインですが、特に凄いのは脚部。

人型なのに足が存在せず、爪先やかかとに相当する接地面が外部フレームとなっています。そして足首には推進器のノズルがあり、外装の隙間からはふくらはぎや太ももの内側に燃料タンクを内蔵しているのが見えます。『GQuuuuuuX』の主なMSがモノコック構造ということがよくわかるデザイン。

デザイナーの山下いくとによると、ジークアクスの脚部は駐機(立ち止まった状態)と歩行程度はできるものの走行は苦手とのこと。

つまりジークアクスは基本的に宇宙戦を想定した機体であり、脚部は地上戦のための移動装置ではなく、円滑にスラスター機動を行える推進器と割り切っているのが面白いです。

脚部がないことで有名な大型MSジオングに関する『ファースト』の名台詞、「あんなの(脚)飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」に対するアンサーにもなっていそうです。

「ララ音」と「キラキラ」

「ララ音」はニュータイプが別のニュータイプの思念を感知した時に、「ラ……ラ……」という音が聞こえる現象、または音自体を指します。「キラキラ」はニュータイプ同士の意識が時空間を越えて通じ合う、多種多様な光で満ちた渦巻く超空間のこと。

いずれも『ファースト』のころからあったニュータイプ能力の独特な表現ですが、これまで公式な名称は設定されておらず(ファンレベルでキラキラをニュータイプ空間と呼んでいた程度)、『GQuuuuuuX』によって固有名詞を与えられた上で再定義されました。

『ファースト』でララ音が登場したのはTV版第39話で、ララァ・スンが初めてビット攻撃を試みた際に何人かの人物が感知しました。キラキラのような現象の初出はアムロ・レイとララァが意識交換するTV版第41話。どちらも劇場版では3作目に収録されています。

○いガンダム

第1話サブタイトル「赤いガンダム」と第2話「白いガンダム」は、いずれも『Zガンダム』第1話「黒いガンダム」のオマージュ。

『ファースト』までガンダムと言えば、劇中でも「連邦の白いやつ」と呼ばれることもあって、白(もしくはそれに青と黄色を加えたトリコロールカラー)のイメージが強くありました。

『Zガンダム』第1話サブタイトルで言及される黒いガンダムことガンダムMk-II(マークツー)は、そんな既存のイメージをぶち破る強烈なインパクトがあったため、『GQuuuuuuX』もそれにあやかって付けたのでしょう。『Zガンダム』に近い時代であることを匂わせる意図もあるかも知れません。

ちなみにサイド6の治安を担う軍警は、英語だとMilitary Police。略すとMPとなります。『Zガンダム』の物語の発端はMPの横暴がきっかけなので、そんなところでも『GQuuuuuuX』とリンクしています。

第2話「白いガンダム」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

時は遡って宇宙世紀0079年9月。連邦軍の極秘作戦を掴んだシャアは、特殊部隊を率いて密かにサイド7のコロニーに潜入し、連邦軍の白い新型MSガンダムと強襲揚陸艦ペガサスの奪取に成功します。ガンダムを愛機としたシャアの活躍で、ジオン軍はMSの運用と開発計画を修正し、膠着していた戦争は徐々にジオンへと傾いていきました。

オープニング映像

米津玄師歌唱の「Plazma(プラズマ)」とオープニング映像がここで初公開されました。

「ガンダム」的に注目したいのは「飛び出して行け宇宙の彼方」からの一連のシーン。敵味方の出撃、迫る敵影に反応するパイロット、砲撃を盾で受けて爆煙から姿を現すガンダム……いずれも完全に『Zガンダム』のオープニングに合わせた映像でした。

スタジオカラー公式アカウントによると、監督の鶴巻和哉渾身かつ庵野秀明もイチオシのオープニングとのこと。シーンの順番や向きの違いはあるものの、見る人が見れば一目でわかる作りになっていて、生粋の「ガンダム」好きが愛とリスペクトを込めたことが窺えます。

『ファースト』第1話をほぼ完全再現

第2話の内容は基本的な流れが『ファースト』第1話をなぞっていて、歴史変更部分と新規描き起こしのメカ描写を除けば、画面構成も出来事のタイミングも完璧でした。

この第2話を含む1年戦争のくだりは先行劇場版では時系列に描かれていたことから、通称「Beginningパート」と呼ばれています。BeginningパートはCM(CMがない場面でもシーン切り替えとして登場)前後のアイキャッチも『ファースト』に完全準拠しており、異様なまでの執念が感じられました。

ちなみにBeginningパートの脚本を担当したのはあの庵野秀明。『シン・ゴジラ』から始まった一連の「シン・シリーズ」において、元ネタ再現に異様にこだわったのあまりにも有名です。Beginningパートの異常な再現度が誰の仕業か言うまでもないでしょう。

史上初のMS戦

正史の史上初のMS戦はアムロが操縦するガンダムとザクの対決でしたが、『GQuuuuuuX』ではシャアの白いガンダムと名もなきパイロットのガンキャノンに変わってしまいました。コックピットを貫くビームサーベル、巧みな操縦技術によるMSの肉弾戦……というか有名なシャア専用ザクのキックなど、構図はまったく同じなのに違う立場から描かれる名シーンが見所。

ガンダムを奪ったシャアはその後、慣熟訓練から駆けつけた連邦軍のMS部隊と遭遇します。これは正史だと、サイド7を脱出したアムロたちの乗るホワイトベースをシャアが追撃してきた場面です。

迎え撃つのがガンダムとホワイトベース(の同型艦)というとこまでは同じなのに、敵対する相手がシャア専用ザクではなく同じガンダム。

ガンダムはワンオフの機体のイメージが強いですが、実は正史でも3号機まで存在しています(後に8号機まであったことになりますが)。アムロが搭乗するガンダムは2号機で、1号機はプロトタイプガンダムです。

『GQuuuuuuX』でシャアが戦う01(ゼロヒト)ガンダムは、名称からして1号機なので正史におけるプロトタイプガンダムでしょう。当初の予定だと01ガンダムは出て来なかったそうですが、白いガンダムの活躍を強調するためにガンダム対ガンダムの対戦カードを盛り込んだとか。

ちなみに正史のガンダムの型式番号はRX-78-2ですが、白いガンダムはRX-78-02になっていて微妙に違います。 

ペガサス級強襲揚陸艦

本来サイド7に入港するペガサス級強襲揚陸艦は2番艦ホワイトベースのはずですが、『GQuuuuuuX』ではなぜかネームシップである1番艦ペガサスになっています。艦籍番号もホワイトベースのLMSD-71ではなく、ちゃんとLMSD-70になっているのが細かいです。

 ただし乗組員は同じで、どちらも艦長はパオロ・カシアス(よく知られているブライト・ノアはパオロ艦長が負傷した後の代理)。

『GQuuuuuuX』のストーリー上、ペガサスは強奪されてソドンに改名されます。パオロは強奪の際にブリッジの破壊に巻き込まれて戦死。乗組員が同じなら士官候補生のブライトも乗船しているはずですが、こちらの生死は不明です。

ソドンの由来はおそらく、「トミノメモ」に名称だけ記されていた「ソドン・タイプ重巡」でしょう。『ファースト』でアムロがランバ・ラルと出会った街の名前もソドンだったりしますが、関連しそうな要素は特にありません。

1ヶ月で終わるはずだった戦争

ジオンが短期決戦を狙って仕掛けたコロニー落としは、コロニー住民と地球の被害合計が当時の総人口の半数に達するほどの悲惨な結果を生みました。1年戦争開戦からわずか1週間の間に起きた出来事で、一連の戦いを特に「1週間戦争」とも呼びます。

続くサイド5で行われた「ルウム戦役」でジオン軍はMSを実戦投入、連邦軍に壊滅的打撃を与えて一時的にジオンが優勢となり、ジオンに有利な休戦条約(事実上の連邦降伏)締結一歩手前まで行きました。しかし、捕虜となった連邦軍レビル将軍が脱出して、ジオン本国の人的・物的資源の乏しさを暴露すると状況は一転、戦争は膠着状態に陥ったのです。

ちなみにルウム戦役では、シャア・アズナブルがたった1人で連邦の戦艦5隻を沈める大戦果を挙げ、「赤い彗星」の名声を轟かせました。『ファースト』では戦果について言及されるだけですが、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(以下、『THE ORIGIN』)の第13~14巻では戦闘の詳細が描かれています(若干正史と食い違うパラレル要素を含みますが)。

著者
安彦 良和
出版日

ニュータイプ、シャリア・ブル

シャアはこれまでエースパイロットの1人という扱いでしたが、ガンダムに乗り換えてからの戦績を踏まえて、フラナガン博士からニュータイプの可能性が告げられます。

フラナガン博士は、自身の名を冠したジオンのニュータイプ研究所「フラナガン機関」の設立者。『ファースト』はもちろん宇宙世紀の歴史にも大きく関わる、サイコミュ研究と開発の第一人者でもあります。

そんなフラナガンの紹介で登場するのがシャリア・ブルです。『ファースト』TV版第39話が初出ですが、あっという間に退場して劇場版ではそもそも出番すらありません。一方で小説版や「トミノメモ」ではかなりの重要人物。

主要スタッフは『GQuuuuuuX』の企画立ち上げの遙か前(『フリクリ』制作時)から、「もしリメイクするなら」でシャリア・ブルを軸に据えたいと考えていたらしく、その構想を膨らませてキーパーソンに昇格しました。

正史での乗機はニュータイプ専用モビルアーマーのブラウ・ブロ。小説版はリック・ドムで出撃していることもあって、『GQuuuuuuX』でもワンカットだけ専用の青いリック・ドムに乗っています。

シャアとシャリアの関係

正史の2人はほんのわずかな間に顔を合わせただけに過ぎませんが、本作『GQuuuuuuX』においては直接思考を覗けるニュータイプなのもあって、さまざまな感情を匂わせるただならぬ関係になっています。完全に新しいシャリア・ブル像を目指したらしく、外見はがらりと変化した今風のイケおじに(ファンからの愛称は「緑のおじさん」)。

握手時のセリフは『ファースト』TV版第39話を踏襲しているので、見比べると面白いでしょう。

ワインで垣間見える教養とSF

2人が私室での会話でワインを嗜むシーン。意外なほどムーディーな雰囲気にドギマギしてしまいますが、おそろしく細かい描写が挟まれています。

ボルドーはフランスの有名なワインの産地ですが、3つの川で隔てられた地域によって右岸と左岸に分かれていて、味わいに差が出るそうです。ちなみにガロンヌ川とジロンド川の左側の地域が左岸。

劇中で銘柄は明かされていませんが、旧世紀産という言葉が正しければ少なく見積もっても80年もの。有識者の見解によるとエチケット(ラベル)のデザインから、「王のワイン」とも呼ばれる「シャトー・ラフィット・ロートシルト」の可能性が高いとか。

戦時中、しかも宇宙に拠点を置くジオンで超高額なフランス産ワインを出していることから、シャアの権限やシャリアへの評価の高さが窺えます。

対するシャリアの所作もワイン愛好家らしさを感じられて素晴らしいのですが、実は彼のセリフとシチュエーションがかなりSF。

年月を経たワインは熟成の過程で澱が発生するため、沈殿するまで待たないと味がおかしくなります。ところが無重力ではふわふわ浮いてしまって、澱が沈んだりはしません。

そこで重要になるのがソドンの居住区の設備。遠心力による疑似重力があるおかげで、宇宙空間でも問題なくワインの味を楽しめる――ということがシャリアのセリフ「擬似重力はありがたい」から読み取れるのです。

試作アルファ型サイコミュ

なぜか開発中止となった専用モビルアーマーの武装を、シャアの赤いガンダムに後付けで搭載たもの。コックピットのシステム、無人ビーム砲端末の形状が正史で重要な役割を果たしたモビルアーマー、エルメスを想起させます。

劇中の活躍を見ても明らかなように、赤いガンダムの機動性とビット兵器によるオールレンジ攻撃の組み合わせは、1年戦争の時代では明らかに過剰戦力。正史におけるガンダムの異名「白い悪魔」を越える強さを誇ったのは間違いありません。

なおビットは当初6基装備していましたが、戦闘で損耗して『GQuuuuuuX』第1話の時点で2基まで減っています。

独立部隊

目立ちすぎたシャアはキシリア配下のマ・クベの不興を買い、ジオン軍本隊から外されて月面都市グラナダに待機させられました。事実上の左遷です。ところがこの措置が功を奏し、後述するソロモン落とし阻止部隊の中核を担うことになります。

立場は正反対ですが、シャアの足跡が正史において主人公側と一致しているのが面白いところ。

『ファースト』のホワイトベースは数々の激戦をほぼ単独でくぐり抜けたことで、ジオン軍からニュータイプ部隊と認知されます。逆に連邦軍は寄せ集め人員のホワイトベースに対して懐疑的。そもそもガンダムもホワイトベースも実験的側面が強く、上層部は正規軍と足並みを揃えづらいと判断し、ジオンの注目を逆手に取った囮専門の独立部隊に任命します。

上層部に疎まれて独立部隊になる流れが似ていますし、ソロモン落としの展開を考えると『逆襲のシャア』のロンド・ベル隊にもそっくり。

他にも正史のシャアはガルマ戦死の責任を問われて左遷されるのですが、そんな部分にもリンクしています。

総攻撃と○○○○落とし

0079年12月、ジオン軍は連邦宇宙軍の最後の砦、ルナツー攻略戦を開始。これはジオン本国までの最後の障害である、宇宙要塞ア・バオア・クー攻略を意図した正史の連邦軍の「星一号作戦」と構図としては同じ。

ルナツー攻略とほぼ同時に動いていたのが、ジオンとの痛み分けを狙った連邦による月面都市グラナダへのソロモン落とし(第2次ソロモン会戦)です。こちらは対象などの細部は異なるものの、独立部隊が阻止作戦に参加するところまで『逆襲のシャア』のアクシズ落としとそっくり。

結果としてソロモン落としは回避されますが、ここで赤いガンダムのサイコミュが暴走し、ソロモンの一部を焼失させるゼクノヴァが発生します。この時点で詳細不明ですが、サイコミュ関連の超常現象ということで、『逆襲のシャア』のアクシズ・ショックを思い起こさせました。

第2次ソロモン会戦を指揮した連邦軍の司令官はワッケインです。『ファースト』TV版と劇場版で役どころが違いますが、現実的視野を持った連邦軍軍人として描かれた人物でした。

『GQuuuuuuX』でグラナダがソロモン落としの標的になったのは、キシリアがグラナダに突撃機動軍の本部を設置して本人の在所にしていたせいですが、これは正史でも同様です。

総攻撃を経て1年戦争は終結しますが、『ファースト』が0080年1月1日だったのに対して、『GQuuuuuuX』ではなぜか0080年1月3日に終戦協定が結ばれています。 

第3話「クランバトルのマチュ」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

成り行きでジークアクスに乗り、軍警ザクを撃破してしまったマチュ。彼女は「ポメラニアンズ」からクランバトルに誘われ、戦闘中に惹かれた「キラキラ」を頼りに赤いガンダムの持ち主――シュウジを探し出し、彼とマヴを組んで再びMS戦に身を投じることになります。 

ルウム難民のエグザベ

第1話でジークアクスをイズマ・コロニーに持ち込んだエグザベは軍警に拘束、尋問を受けます。軍警の高圧的な手法はやはり『Zガンダム』のMPを思わせますが、それはさておき、取り調べの最中にエグザベがルウム出身の難民であることが判明。

サイド5のルウムは1年戦争の緒戦、1週間戦争とも呼ばれるルウム戦役で戦場となった宙域です。この戦いでルウム住民は故郷を失い、難民となって方々のサイドに散り散りになりました。

ルウム難民は、いわばジオン独立戦争の煽りを受けた犠牲者。それが当事者のジオン軍に入隊した上、ルウム戦役で優位性を示したMSパイロット(しかもニュータイプ)になっているという、皮肉と複雑な運命を感じるシーンです。

マチュの日常生活

マチュが普通に暮らす日常生活には、ところどころに別作品を感じさせる小ネタがちりばめられています。

自宅のマンションは、細部に違いはあるものの外観がTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサトのマンションに近いです。スタジオカラーは「エヴァ」のガイナックス系のスタジオなので、スタッフのお遊びでしょう。

マチュが夕食で食べているグラタンも、おそらくOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(通称『ポケ戦』)のパロディ。『GQuuuuuuX』監督の鶴巻和哉は『ポケ戦』ファンを公言しているので、母親との微妙な関係性も含めて意図的に似せたものでしょう。

カムラン・ブルーム

カムラン大統領補佐官は、エグザベの身柄返還を求めて強引にイズマ・コロニーに侵入したソドンとの交渉役。

正史の役職はサイド6の監察官で、初登場は『ファースト』TV版第33話もしくは劇場版2作目です。補給でサイド6コロニーに入港したホワイトベースに対して、中立エリアで戦闘しないよう条約遵守と火器の封印を求めて来ました。実は操舵士ミライ・ヤシマの婚約者だったことが発覚、ロマンス未満の男女関係が描かれました。

人物像はおおむねパッとしないものの、ここぞという時の度胸や政治手腕は確かで、『逆襲のシャア』の時代には地球連邦政府の要職、会計監査局局員にまで上り詰めています。『GQuuuuuuX』で大統領補佐官になっているのは、その辺りの背景を反映したのでしょう。

「コンニチワ。オイソギデスカ」「ベツニイソイデイマセンヨ」

ニャアンが運び屋の仕事でシュウジを訪れた時のセリフ。第1話でも「ポメラニアンズ」の事務所に同じ言葉を言っていますが、これは運び屋の取引を意味する合い言葉です。

初出は『ファースト』TV版第26~28話および劇場版2作目に出演するミハル・ラトキエ。民間人として暮らすジオンの現地スパイで、入手した情報を売って生計を立てる戦災孤児の少女です。

ミハルは1エピソードだけのゲストキャラクターながら、登場から退場までが非常に印象的。残念ながら『GQuuuuuuX』ではセリフのみの引用となりましたが、シリーズ構成・脚本を担当した榎戸洋司の裏話によると、カイ・シデンと結婚したミハルがジオン情報部を通じてマチュとシャリアを手助けする……という初期構想があったそうです。

シュウジの身の回りのもの

シュウジは登場人物の中でもっとも謎の多いキャラクターですが、彼の身の回りにはいくつか小ネタがちりばめられています。

まずはペットロボットのコンチ。ニャアンの第一印象では「愛媛みかん」と書かれた段ボールのような姿で思い浮かべられるのですが、名前の響きとダンボールのイメージから、元ネタは同じ監督や脚本家によって作られた『フリクリ』のロボット「カンチ」ではないかと見られています。

またシリーズのマスコットであるハロを「Hello」として、対になるように「こんにちは」をもじってコンチと名付けられた可能性もあります。

他にはシュウジが地下で隠れ家(?)にしている宇宙艇は、正史ホワイトベースの脱出艇スペースランチによく似た形状をしていますが……。

17バンチ事件

シャリアとカムランの密談で言及される詳細不明の事件。17バンチコロニーにジオン軍が介入したらしいこと以外、何があったのかはまったくわかりません。

ただし、『Zガンダム』には30バンチ事件という似た名称の事件が出てきます。サイド1の30バンチコロニーで起きた反地球連邦デモを鎮圧するため、ティターンズが使用禁止のはずのG3ガスを使って、全住民1500万人を虐殺した前代未聞の事件です。

カムランの口振りからすると、民間人の大量虐殺が行われたわけではなさそうですが……。 

第4話「魔女の戦争」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

マチュとシュウジ――ジークアクスと赤いガンダムのマヴで連戦連勝の「ポメラニアンズ」。そんな彼らの次の相手はクラン「CRS」だったのですが、現れたのは「CRS」が通常運用する型落ちの軽キャノンではなく、払い下げなどが行われていないジオン軍現役のMSゲルググでした。

パイロットはかつての連邦軍エース、シイコ・スガイ。1年戦争で赤いガンダムと因縁のある彼女が、破竹の勢いの「ポメラニアンズ」を知って戦いを挑んできたのです。

宇宙移民者の実情、ジオンのお家騒動

『GQuuuuuuX』のジオンはスペースノイドの自治権を獲得する名目で、連邦に独立戦争を挑んで1年戦争に勝利しました。

当然ながら正史よりスペースノイドの権利が向上していなければいけませんが、実態は連邦が勝利した正史とほぼ同じ。勝利してもジオンの国力は疲弊している上に、ギレン派とキシリア派で派閥争いが水面下で進んでいるため、本国サイド3を除く各サイドは野放し同然です。

一方で独自の財政基盤を持つサイド6は、ほぼジオンに並ぶ独立国家となっています。そのためジオンとサイド6の間には地位協定があって、イズマ・コロニーに赤いガンダムが潜伏しているのがわかっていても介入できませんし、同様にサイド6側も戦闘態勢にないソドンがコロニー内に駐留していても取り締まりができません。

gMS-01ゲルググ

1年戦争時に連邦のガンダムをジオンが解析(リバースエンジニアリング)、ジオンによって再設計・生産されたMSです。つまり量産型ガンダム。

劇中時点でもジオン軍で運用中の現役機で、ジャンク屋同士が行っているという建前のクランバトルに出てくるはずがない代物です。ストーリー上では、なんらかのルートで横流しされたことが示唆されました。

名称は正史における1年戦争末期のジオン主力量産機MS-14ゲルググと同じですが、外観はまったくの別物……というより、正史でガンダムの量産型として開発された連邦の主力量産機RGM-79ジムそのものです。

詳しい経緯は語られませんでしたが、本来ゲルググの設計と開発のために計上された予算と生産ラインを中止し、代わりにガンダムの量産型を開発した結果、見た目はジムなのに名前が異なるキメラじみたgMS-01ゲルググが生み出された――ということが読み取れます。

モスク・ハン博士

元地球連邦軍技師。クラン「CRS」を隠れ蓑にして、自社の兵器開発を進める民間軍事警備会社「ドミトリー」に所属する開発者です。

モスク・ハンは正史にもいた人物で、初出は『ファースト』TV版第40話。ニュータイプ能力の覚醒したアムロのために、自身の提唱したマグネット・コーティング理論を用いてガンダムの反応速度を向上させました。

『GQuuuuuuX』世界でも同様の研究をしていたようですが、第4話の時点ではまだ実証段階の新技術となっています。これは正史と違って連邦がガンダム(正確にはガンダムの駆動技術)を失い、アムロほど優れたニュータイプが出現しなかったせいで、マグネット・コーティングの研究が遅れたためでしょう。

本作ではガンダムの代わりに、同じ技術系統のgMS-01ゲルググにマグネット・コーティングを実装することになります。シイコの活躍を見守るモスク・ハンは、『ファースト』TV版でアムロにかけたセリフと同じことを口にしますが、若干ニュアンスの違いを感じるので見比べると面白いです。 

第5話「ニャアンはキラキラを知らない」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

魔女シイコとの戦いを経て、クランバトル――MS戦の本質に触れたマチュ。彼女の中で慣れてきたと思っていた生活と、シュウジに対する意識に少しずつ変化が起きていきます。そんな時、ジークアクスの行方を追っていたエグザベが偶然マチュを発見、一時的に身柄を抑えるというトラブルが発生。

目前に迫った「バイナリーズ」との試合を無事行わなければ、莫大な違約金を背負わなければいけません。そうなればマチュとニャアン、シュウジの3人で計画した地球行きも破綻。マチュが身動き取れないことを唯一知るニャアンは、意を決してジークアクスで出撃するのでした。 

元「黒い3連星」とドム

シャアと同じくルウム戦役で活躍したジオン軍の3人組のエース小隊です。メンバーは小隊長のガイア、オルテガ、マッシュで、異名の通りパーソナルカラーは黒。

『ファースト』TV版24~25話と劇場版2作目に登場。ジオンが支配する欧州工業地帯奪還を狙った連邦軍の「オデッサ作戦」の最中、黒い3連星は後方攪乱を担うホワイトベースを強襲してきます。

『GQuuuuuuX』の黒い3連星はというと、シャアと赤いガンダムの活躍の影に隠れてろくに出世をできず、マッシュが早々に除隊したために3人小隊が2人だけに。さらにジオン軍を掌握したマ・クベによって職を失い、スクラップ回収業者にまで落ちぶれています。

搭乗機体は正史では地上戦用のMS-09ドムでしたが、本作では宇宙戦用のリック・ドム。リック・ドムは正史にも出てくるMSですが、型式番号がMS-09Rではなくドムと同じMS-09

になっており、『GQuuuuuuX』版は背部推進器の代わりに3本目の脚部を備えている面白いデザインとなっています。

ちなみに彼らのクラン「バイナリーズ」の「バイナリー」とは「2進法」のこと。“3”連星ではなくなった2人組を意味しているのでしょう。

ジェットストリームアタック

縦一列に並ぶことで攻撃対象に1機の攻撃と誤認させ、種類も射程距離も異なる時間差攻撃で惑わせる黒い3連星の代名詞。本来は3機1組で行う戦法ですが、マッシュが抜けているせいで本編中は2機で実行しました(そもそも2対2のマヴ戦ですが)。

正史においてはガンダムを守るために輸送機ミデアが割って入りましたが、『GQuuuuuuX』ではそれに対応するようにジークアクスが赤いガンダムを盾……というか囮にしています。

『ファースト』での撃墜順はマッシュ→オルテガ→ガイアで、『GQuuuuuuX』はオルテガ→ガイアとなっており、撃墜こそされていないもののマッシュがいち早く部隊を抜けたことを踏まえるとちゃんと順番通り。

両断されたコックピット

1度目のジェットストリームアタックでオルテガ機が反撃でコックピットを損傷、コックピットハッチが吹き飛びます。これはおそらく正史のランバ・ラル戦のオマージュ。オルテガが溶解したコックピットの端を、ランバ・ラルとほとんど同じ仕草で押しのけるでほぼ間違いありません。

該当シーンは『ファースト』第19話または劇場版2作で描かれる名場面なのですが、『GQuuuuuuX』にはグフとランバ・ラルが活躍する場面がないので、黒い3連星にその要素を盛り込んだのでしょう。

ヤシマ重工製のスペースグライダー

マチュが手付金を支払ったというスペースグライダーも、オールドファンがニヤリとする小ネタ。わずか数秒映るスペースグライダーのメーカーが、ヤシマになっています。

「ガンダム」でヤシマと言えば、思い出すのはヤシマ重工。正史のホワイトベースクルーであるミライ・ヤシマの実家が営む会社(『THE ORIGIN』設定)です。

またミライはホワイトベースの操舵手ですが、元々は他のクルーと同じく一般市民でしかなく、たまたまスペースグライダーのライセンスを持っていたことから志願したという経緯があります。

こうした背景から、ヤシマ重工製スペースグライダーはファンサービス的に差し挟まれたのでしょう。 

第6話「キシリア暗殺計画」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

ジークアクスの出撃で仲がこじれてしまったマチュとニャアン。それぞれ気まずい思いを抱えていつもの日常を過ごし、時間をかけてすれ違いを修復するかに思えましたが、彼女らを取り巻く状況がそれを許しませんでした。

クランバトルを隠れ蓑にして水面下で進むジオン要人暗殺計画。ポメラニアンズに対して、ジークアクスと赤いガンダムの引き渡しを求めるシャリアの動き……もはや誰もがなりふり構っていられなくなります。

シムス・アル・バハロフ

ジオン軍の技術士官。正史での階級は中尉で、ニュータイプ用試作モビルアーマーであるブラウ・ブロのテストなどを担当していました。

初登場は『ファースト』第33話。第39話ではシャリア・ブルをブラウ・ブロのパイロットに据えて、自身はオブザーバーとして同乗しています。短期間ながらシャリアとシムスは相棒と言えなくもない関係。

『GQuuuuuuX』のシムスは大尉に昇進し、月面都市グラナダに勤務していましたが、シャリアの要請であるものをソドンに運び込んできました。

税関検査

陰謀の匂いを感じさせる中、イズマ・コロニーに搬入された「空調機」。税関検査を受けるこのシーンには、小ネタが多数ちりばめられていました。

まず大きなところは『ポケ戦』第2話、サイクロプス隊がMSを貨物に偽装してコロニーに持ち込んだ場面。税関職員の風貌がそっくりな上に、ご丁寧に元ネタと同じ4番ゲートから搬入する念の入れようで、ファンは軒並みニヤリとさせられました。『ポケ戦』の舞台はリボーコロニー、『GQuuuuuuX』はイズマ・コロニーなのでよく似た別人と思われます。

また輸送船の船名「コバヤシマル」は、世界的人気のSF「スタートレック」シリーズの架空の宇宙船です。知名度の高さとシミュレーション上の船という使いやすさから、さまざまな作品のパロディ元になっています。

ちなみに空調機のメーカー「正宗空調有限公司」は、実在するダイキン工業がモチーフ。同社製ルームエアコンのマスコット「ぴちょんくん」をイメージしたらしきキャラクターが空調機の偽装にプリントされていました。

連邦軍の特殊研究所と強化人間

明言こそされていませんが、日本にある連邦軍関連の特殊な研究所と言えば、まず間違いなく『Zガンダム』に出てくるムラサメ研究所です。連邦軍主導のニュータイプ研究機関の1つで、他にはオーガスタ研究所が有名。

ムラサメ研究所の正史における主な実績はサイコミュ搭載機体の開発と、人工的にニュータイプを再現した強化人間の研究・開発です。

ムラサメ研究所の強化人間には慣例的にムラサメの名字と、被検体番号にちなんだ便宜上の名前を与えられる特徴があります。よく知られているのはフォウ・ムラサメ(4番目だから英語のFour)です。

ドゥー・ムラサメは正史にはいないキャラクターですが、ドゥー(deux)はフランス語で2を意味することと、名字から考えてムラサメ研究所出身の強化人間なのは確定。

バスク・オム

ポメラニアンズの次の対戦相手は、アマラカマラ商会擁するクラン「トゥエルブオリンピアンズ」……ですが、裏からそれらの糸を引いていたのは連邦軍情報局少佐バスク・オムです。彼はクランバトルの名目で強化人間を送り込み、暗殺計画を目論んでいました。

バスクの初出は『Zガンダム』で、特殊部隊「ティターンズ」の総司令官。正史におけるティターンズ諸問題の元凶とも言える人物です。宇宙世紀史上屈指の悪名を誇る危険思想の持ち主なため、バスクの登場ですべての「ガンダム」ファンが戦慄しました。

『GQuuuuuuX』では連邦が敗北した影響でティターンズを組織できていませんが、公式サイトのキャラクター紹介で極右思想の特殊部隊創設を目論んでいることが示唆されています。

ゲーツ・キャパ

バスクの密命を帯びてイズマ・コロニーに潜入する強化人間です。

初出は『Zガンダム』第42話。正史ではティターンズに所属するオーガスタ研究所出身の強化人間で、サイコ・ガンダムMk-IIパイロットの監視役でした。

『GQuuuuuuX』でのゲーツも所属と階級こそ違うものの、精神的に安定した強化人間としてドゥー・ムラサメの監視と指揮を行うという、正史とほぼ同じ役どころなっています。作品本編では言及されていませんが、公式サイトによるとオーガスタ研究所出身なのも変わっていません。

トゥエルブオリンピアンズ

クラン「トゥエルブオリンピアンズ」は直訳で「12人のオリンピア人」。「12」で「オリンピア」と来れば、ギリシア神話の神々「オリュンポス12神」を指しているのは間違いありません。

そしてオリュンポス12神の先代の神々の名は、「ティーターン」あるいは「ティターン」。つまりトゥエルブオリンピアンズが正史のティターンズに関連する組織であることが示唆されています。 

第7話「マチュのリベリオン」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

シャリアとの交渉で現状に見切りを付けたアンキー。彼女は懸賞金と保身のために、軍警とジオン軍に赤いガンダムとジークアクスを差し出そうとしました。偶然それを知ったマチュはニャアンを巻き込み、クランバトルの最中にシュウジとともに3人で地球へ逃れる計画を立てます。

ところが、次のクランバトルの相手はキシリア暗殺を目論むテロリストでした。彼らはクランバトル隠蔽の名目でコロニー市街地に新型モビルアーマーを持ち込み、無差別攻撃を開始してしまいます。そしてマチュとニャアンは、ルールのない本物の戦いに否応なく翻弄されることに……。

ペルガミノ

キシリアと会談するサイド6大統領のペルガミノは正史にも登場した人物、初出は『ファースト』TV版第33話。修理会社を営むサイド6の実業家で、連邦ジオン双方にパイプがあると豪語する成金的な人物でした。

『ファースト』以外にも『THE ORIGIN』や『機動戦士ガンダムUC』(以下、『ガンダムUC』)、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(以下、『サンダーボルト』)など派生作品にも名前が出てきます。

BGM「モビルスーツ戦」

戦闘シーンで流れたBGMはオールドファンに馴染み深い、『Zガンダム』の劇伴曲「モビルスーツ戦」。サイコ・ガンダムが大暴れする場面とあって、庵野秀明が鶴巻監督に強く推薦したとのこと。

MRX-010サイコ・ガンダム

表向きコロニー用空調機として搬入された可変型巨大モビルアーマー。登場時のシチュエーションと名称こそ『Zガンダム』第17話と劇場版2作目に出てくる正史のサイコ・ガンダムと同じですが、ビジュアルと型式番号はなぜかサイコ・ガンダムMk-IIのもの(本来のサイコ・ガンダムはMRX-009)。ただし全長は10メートルも大きくなっています

強化人間ドゥー・ムラサメが操縦することを前提とした機体で、正史とは異なるジオンから流出したサイコミュらしきシステムが組み込まれています。

オリジナルから大きく変化しているのは、複眼をシャッターで覆う顔の上半分、装甲をパージして発光する人工筋肉のような骨格が剥き出しになることと、パージした装甲がビームを偏光するレフ・ビット(リフレクター・ビット)を兼ねることの3点。

装甲パージはおそらく、『ZZガンダム』第84話で戦闘中に装甲が破損しても戦い続けていたシーンのオマージュ。『進撃の巨人』の超大型巨人を連想させる人工筋肉は、可変機に必要不可欠なムーバブルフレームが技術的に未成熟なせいで、大型化・異形化したものかも知れません。

また発光現象がサイコミュ由来だと仮定すると、同じく連邦軍では未発達なサイコミュを強引に組み込んだ結果、この時代にはまだないサイコフレームに似た代物になった可能性もあります(サイコフレームが登場するのは『逆シャア』時代なので少なくとも8年後の技術)。

『GQuuuuuuX』劇中ではパージした装甲を直接ぶつける質量攻撃にも応用しており、後の時代のファンネル・ミサイルや『∀ガンダム』のターンX、映画『アイアンマン3』などからインスピレーションを得ていそうです。

市街地での戦闘とゼクノヴァ

第7話の市街戦は「ガンダム」というより「エヴァ」や庵野秀明を感じる要素が多数。

ビーム兵器を無効化するバリア「Iフィールド」は正史にもある技術ですが、演出的にはATフィールドに近いです。サイコ・ガンダムへのダメージがパイロットにフィードバックしているところも「エヴァ」風。ミノフスキー粒子反転現象=ゼクノヴァを報告するソドンクルーに至っては、「エヴァ」の暴走シーンそのものでした。

またサイコ・ガンダムの放った拡散メガ粒子砲が建造物をかすめるシーンは、「エヴァ」のさらに元ネタに当たる『風の谷のナウシカ』の巨神兵、あるいは『天空の城ラピュタ』のロボット兵の影響が感じられます。

ORX-139ハンブラビ

開発はティターンズではなくオーガスタ研究所が担当。型式番号と細部は異なるものの、基本的な外観は正史のRX-139ハンブラビと大差ありません。

本来は人型形態と飛行形態の変形を0.5秒で行える高速可変モビルスーツですが、『GQuuuuuuX』のハンブラビはムーバブルフレームおよびマグネット・コーティング技術の問題で変形に時間がかかりすぎるという設定。実戦レベルにはないからか、本編中で飛行形態に変形するシーンは描かれませんでした。

「大人はみんな嫌いだ!」

アンキーと一悶着起こした際、マチュが去り際に言い捨てたセリフ。『GQuuuuuuX』には『逆シャア』に由来すると思われる要素がいくつかありますが、おそらくこのセリフもそうでしょう。

ハサウェイ・ノアに諭されたクェス・パラヤが、思わず「子供は嫌いだ! 図々しいから!」と返した場面のオマージュ。対象が大人と子供という違いこそありますが、正論に言い返すことができずに、逆上して思わず口走ったというニュアンスは同じです。

ララ音が聞こえる要人

ゼクノヴァが起こる直前のシーン。キシリアがララ音を感知しており、本人の自覚がないもののニュータイプの素質を持っていることが示唆されます。

この場面は「ファースト」劇場版3作目、コンペイトウ(宇宙要塞ソロモンの別称)がエルメスのビット攻撃に晒される直前、連邦軍のレビル将軍がララ音を感じ取ったことのオマージュでしょう。前後するシーンでホワイトベースのミライやセイラ・マスが同じものを感じているので、レビル将軍にもニュータイプの素質があることを窺わせました。

MS-15/Hギャン ハクジ装備

細部は異なりますが、追加武装のランス型大型複合兵装ハクジを除けば、主な要素は正史のYMS-15ギャンとほぼ同じ。

正史ではMS-14ゲルググとの次期主力MS開発計画のコンペに敗れ、少数の試作機(YMSのYは試作実験機の意味)が生産されただけでしたが、『GQuuuuuuX』世界ではギャンを推進したマ・クベが要職で健在なためか量産MSに正式採用されたものと思われます。

なおハクジの元ネタは「トミノメモ」で、ギャンのラフデザインに付けられていた仮称です。

MAN-03キケロガ

初出は「ガンダム」第33話。主に活躍したのはシャリアがパイロットを務めるようになってからですが、初登場時は開発者のシムスとコワル少尉が搭乗していました。ちなみに正史のコワルは第33話で戦死していますが、『GQuuuuuuX』ではソドンのメカニックとなっています。

機体名がブラウ・ブロからキケロガに変更されている以外、外観も型式番号もほぼオリジナルのまま……と見せかけて、本体からコックピットブロックが独立してMS形態に変形するという隠し機能を持っていました。

この一見突飛な変更は、「トミノメモ」に「ブラウ・ブロ的メカ」とだけ書いてあった本編未登場のMS「キケロガ」のイメージを膨らませてこうなったのでしょう。

正史ではありませんが、『サンダーボルト』第137話に登場するブラウ・ブロがドッキングしたパーフェクト・ガンダムのビジュアルは、キケロガのMS形態と似ているのでデザインを参考にした可能性があります。

著者
["太田垣 康男", "矢立 肇", "富野 由悠季"]
出版日

暴走しかける主人公

我を忘れたマチュに呼応して暴走(?)の兆候を見せたジークアクスを、シャリアのキケロガが一撃で仕留めたシーン。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のラスト、渚カヲルがカシウスの槍の投擲で暴走する初号機を貫き、サードインパクトを未然に食い止めた流れがよく似ています。

MSに出迎えられる少女

ゼクノヴァの現場から逃げおおせたニャアンは、ニュータイプとしてエグザベのギャンに保護されます。これは『機動戦士ガンダムF91』(以下、『F91』)序盤で、セシリー・フェアチャイルドが異母兄ドレル・ロナの乗機ベルガ・ダラスに迎えられるシーンのオマージュです。

ニャアンとセシリーの立場はまったく違いますが、MSが手を差し伸べて特別な少女をエスコートするという、一連の流れが一致しています。 

第8話「月に墜(堕)ちる」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

時は戻って1年戦争末期。敗戦濃厚な連邦軍は乾坤一擲の作戦、月面都市グラナダへのソロモン落としを実行します。ジオン軍の大半はルナツー攻略作戦に出払っており、阻止できるのはシャア率いる部隊のみ。ソロモンを内部から分断しようとしたシャアは、そこで謎の現象「ゼクノヴァ」に巻き込まれ、消息不明となりました。

そして現在。エグザベに保護されたニャアンはニュータイプの素養を認められ、キシリアの庇護下でジオン軍に入隊、ジークアクス2号機「ジフレド」のパイロットに抜擢されるのでした……。

宇宙要塞ソロモン

小惑星を改造した宇宙要塞。特徴的な形状から、連邦軍管理下ではコンペイトウとも呼ばれます。

正史ではソロモンを根城とするドズル・ザビのジオン軍に対して、ルナツー指令のワッケインが攻略戦を仕掛けました(『ファースト』TV版第35話、劇場版3作目)。

『GQuuuuuuX』でも同様の戦いを経て連邦軍が占領していましたが、宇宙での戦いが劣勢になったことから戦略上重要なソロモンを犠牲にしてでも、ジオン本国の要の1つグラナダを落とすという痛み分けの作戦が立案されました。

なお、ワッケインの初出は『ファースト』TV版第4話もしくは劇場版1作目。TV版と劇場版で印象がガラッと変わる生粋の軍人で、連邦の置かれた苦境を吐露する「寒い時代だとは思わんか」というセリフが有名です。

阻止作戦

シャアが提案した作戦は、ソロモンに潜入して4箇所でMSを爆発させ、内部から破断するというもの。これは『逆シャア』でアクシズ落としに対して、ロンド・ベル部隊が行った爆破工作と似ています。

ただし『逆シャア』では小さい破片にして地球圏外に飛ばす予定だったのに対して、ソロモン落とし阻止作戦は爆発によってソロモンの重心をずらし、グラナダ直撃コースから逸らす計画なので目的が微妙に違います。

第2次ソロモン会戦

出撃直前にオペレーターが落下阻止までの猶予を「ソロモン阻止限界点までナナマル」と報告しますが、ここは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(以下、『0083』)第12話のオマージュ。重力に引かれる大質量物体は一定距離を超えるの軌道を変えられず、実際に落下する以前に被害が確定します。被害を避けられるギリギリの距離が阻止限界点です。

また作戦に当たる「殴り込み艦隊」という呼称、先行して進路を開く赤いガンダムとキケロガのシーンは、ガイナックスのSFロボットアニメ『トップをねらえ!』第5話の太陽系太陽系絶対防衛戦のセルフパロディ。

オリジナルの「銀河中心殴り込み艦隊」は約8,700隻なので数にだいぶ開きはありますが、カタパルトから発進した後のモニターの表示、カット割りや戦闘の流れは左右や書き込みの差以外ほとんど同じです。

本当に強襲した強襲揚陸艦

強襲揚陸艦とは、攻撃目標の手前まで艦載機や人員を輸送する能力を持つ艦艇のこと。

「ガンダム」シリーズに登場する母艦はホワイトベース(ソドン)をはじめとして、いくつかか強襲揚陸艦が出てきます。例えば『ポケ戦』のグレイファントム、『0083』のアルビオン、『ZZガンダム』や『ガンダムUC』のネェル・アーガマなど。

強襲揚陸艦の強襲は本来「艦載機で攻撃できる」くらいの意味なのですが、ソロモン落とし阻止作戦においてソドンは「ガンダム」史上初めて、強襲揚陸艦で敵地に強襲(攻撃)して揚陸(乗り込む)する離れ業を見せました。

激突時にはショックアブソーバーが機能しているため、両舷の発着デッキ兼格納庫を衝角(ラム)のように使うことは元々想定されていたようです。

ちなみに正史のホワイトベースも艦ごと敵基地に乗り込んでいますが、こちらはエンジン被弾による着底なので強襲揚陸とは言いづらいです。

ゲルググ実戦配備

ソドンの上陸部隊ですが、同系色でわかりづらいもののザクとリック・ドムに混じってゲルググが確認できます。同様にルナツー攻略シーンにも多数のゲルググが映り込んでおり、1年戦争終盤にはジオン軍にゲルググが実戦配備されていたことがわかります。

この第8話前半は、第2話でカットされたBeginningパートの終盤。ゲルググが正式に公開されたのは第4話ですが、先行劇場版の時点ですでにこっそり画面には登場していたのです。

セイラ専用軽キャノン

連邦軍の主力量産型MS、RGM-79軽キャノン。型式番号は正史のRGM-79ジムと同じですが、ジムがガンダムの量産型なのに対して、軽キャノンはガンキャノンをベースにして開発されました。白いガンダムを開発データごと奪われた連邦軍が、それでもMSを実戦配備する必要に迫られて、ガンキャノンを原型機とした苦肉の策。

セイラ専用軽キャノンは、名称通りパイロットのセイラ専用機です。青白赤のトリコロール(いわゆるガンダムカラー)の塗装が特徴的。

『GQuuuuuuX』には名前とシルエットしか登場しませんが、十中八九「ファースト」の主要人物セイラ・マスその人。入隊の経緯は不明ですがアムロ不在の中で頭角を現し、シイコ・スガイと同じくエースパイロットに上り詰めた連邦軍最強のニュータイプです。

正史のセイラとシャアには因縁があり、ソロモンで出くわした状況も生身とMSの差や立ち位置の違いこそありますが、TV版第30話や劇場版2作目で描かれたジャブローでの再会シーンのオマージュでしょう。

ニュータイプの閃き

軽キャノンを撃とうとしたシャアが、ニュータイプ特有の閃きで相手が誰かを察知するシーン。スロー再生でよく見ると、閃きのエフェクトの向こうにとある人物のシルエットが浮かんでいます。これは先行劇場版Beginningの時にはなかった演出で、TV版から追加されました(Beginningの再上映でも該当シーンで確認できず)。

元ネタは「ファースト」TV版第41話(劇場版3作目)。ガンダム対エルメスとゲルググの三つ巴にセイラのGファイター(劇場版ではコアファイター)が割って入った際、シャアが攻撃を制止された場面と対応しています。

ソロモンから離れるソドン

ソロモンからの離脱を指示するドレンのセリフ「エンジンリバース! ゴースターン!」。英語で表記すると「Go astern」で、「逆進(後退)せよ」という意味の航海用語です。「ゴースターン」なのは、口頭での英語の発音をそのまま用語として取り入れた昔の慣例の名残。

キシリアの評価

分断作戦が失敗し、グラナダへと迫るソロモンを前に「赤い彗星め。買いかぶりすぎたか」と吐き捨てたキシリア。彼女なりにシャアを評価していたことがわかる場面ですが、似たシーンが正史でもあります。

それは劇場版3作目の後半、遊撃任務でホワイトベースを目標としたシャアが、失敗して帰還した際のやりとりです。キシリアは失望を隠さずに「やや買いかぶりすぎたかな。私は」と発言します。

「時(刻)が見える」

ゼクノヴァ発生に立ち会ったシャアの残したセリフ。

初出は「ファースト」TV版第41話(劇場版3作目)で、それ以降の宇宙世紀のニュータイプも度々同様の言葉を口にします。公式によって具体的に説明されたことはありませんが、ニュータイプが極限に達した認識力によって物事の因果を見通し、ある種の悟りを開いた状態だと考えられます。

3人目のパイロット候補

ニャアンはゼクノヴァを起こせるニュータイプと見込まれ、ジークアクス2号機「ジフレド」の3人目パイロットに抜擢されます。ジフレド(GFreD)は略称で、正式名称はgMS-κガンダム・フレド。

ガンダムらしくない拘束具で覆われたような頭部、紫を基調とした緑の差し色のカラーリング、パイロットが3人目……とエヴァ初号機(もしくは第13号機)を連想させる要素が満載となっています。これはデザイン上の話になりますが、スタジオカラー担当だからこそできるセルフパロディをプロデューサーに要請された結果のようです。

頭部を除く形状と基本スペックはジークアクスと共通していますが、組み込まれているサイコミュはジークアクスと同じオメガ・サイコミュではなくカッパ・サイコミュ(カッパは10番目のギリシア文字)。専用武装として頭部両サイドに小型のビット兵器「エスビット」を搭載しています

1/6Gの手作りフルーツケーキ

なんでもないように見えるミゲル・セルベートの手作りケーキですが、SF考証的に見逃せない点があります。それはパウンドケーキらしき生地の上側に、大振りの果物が散らばっていること。

ざっくり説明すると、地球のような重力が1Gの環境では、焼き菓子の具材は液状生地の対流などで沈んでしまいます。しかし地球の1/6しかない月の低重力環境になると、そういった現象が起こりにくいため、理屈の上では具材が重さで沈まないとか。

誰でも手軽に作れるケーキの描写に、月面という特殊な環境を考慮してしっかり科学的アプローチを試みているのが面白いです。

クローン強化人間

後半でエグザベがニャアンを自室に送る場面で語られた、ギレンがニュータイプ研究を独占するキシリアに対抗して進めているという計画。このセリフはTV放映時にはなぜか存在せず、サブスク配信版から追加されました。

元ネタはトミノメモ。ギレンの精子とニュータイプ女性の卵子を人工授精させて、複数の強化人間を生み出すというアイデアでした。この設定は『ZZガンダム』のグレミー・トトに流用されています。

また同じく『ZZガンダム』には人工的に生み出されたニュータイプの少女たち、通称「プルシリーズ」が登場するのですが、そちらを示唆している可能性もあります。

贅沢な窓

ニャアンがキシリアの恩寵を受け、破格の待遇を受けていることを明示するエグザベのセリフ。

グラナダは月の裏側にあるクレーターの内側に作られた月面都市で、地下に向かって放射状に建設されている設定です。都市上空には街全体を覆うカバーなどがないため、都市上層部の建築物は宇宙空間にそのまま晒されている可能性が大。

何かの拍子に太陽からの有害な放射線、スペースデブリといった外部の影響で建物に甚大な被害が出てもおかしくないので、都市上層部の建築物は人命優先の堅牢な作りになっているはずです。脆くなるだけの窓なんてもってのほか。

それにもかかわらずわざわざ窓が設置されているのは、無意味な装飾を施しても安全性に問題がない特別な作り、つまり極めて贅沢で発注者に余裕がある証明というわけです。

シャトルの行き先の宇宙港

シロウズがティルザを案内する場面で、一瞬表示される案内板はほぼすべて「ガンダム」シリーズに出てくる地名(コロニー名)。例えばロンデニオンは『逆シャア』、タイガーバウムとシャングリラは『ZZガンダム』、エアーズは『ガンダム・センチナル』です。

異質なのはKAMI-IGSA(カミイグサ)ですが、これも『ポケ戦』に名称だけ出てくるコロニー。「ガンダム」制作当時、株式会社サンライズの所在地が東京都杉並区上井草にあったことに由来します。『ポケ戦』といえばリゾートコロニーのフランチェスカも有名です。

 第9話「シャロンの薔薇」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

キシリア暗殺事件の混乱の中、ジークアクスともども拿捕され、ソドンに監禁されたマチュ。そこで彼女は「シャロンの薔薇」の存在を知り、謎のメッセージに導かれるままに脱獄、ジークアクスで「シャロンの薔薇」がある地球へ逃亡を試みます。そこに忽然と消えたシュウジの手がかりがあると信じて。

そして強引に地球へ降下したマチュは、予知能力を持つ謎の少女、ララァ・スンと運命的な出会いを遂げます。

独房

マチュが7話ラストから収監されている独房は、ファーストTV版第19話(劇場版2作目)のオマージュ。

該当エピソードではアムロがランバ・ラル戦後に帰投した後、独断でホワイトベースを抜けたことの罰として独房に入れられました。アムロは脱走してから独房入り、マチュは独房から脱走するので経緯はあべこべですが、似たようなことをしているのが興味深いです。

カバスの館

関係者の口振りから、高級娼館であることが示唆される場所。

正史にも登場しないため知らないオールドファンも多いですが、初出は富野由悠季の小説『密会~アムロとララァ(旧題『密会』)』です。1997年に発表されたスピンオフ小説で、本編では謎だったララァとシャアの出会い、アムロとの関係が描かれています。娼婦だったララァをシャア身請けしたという話は、この小説の内容に由来します。

人物描写が中心ですが、読み取れる上からすると小説のベースになっているのはTV版ではなく劇場版のようです。

著者
["富野 由悠季", "NOCCHI"]
出版日

無断発進を見逃す艦長

シャリアに脱走したマチュを泳がせるよう言われて、仕方なく「さっさと放り出せ」と見逃したラシット艦長。元ネタはおそらく『逆シャア』中盤でナナイ・ミゲル戦術士官に反感を抱いたクェスが、旗艦レウルーラから無断発進しようとした場面です。

素質はあっても奔放すぎてクェスを持て余していた艦長は、彼女が乗って出ようとした機体が腕部を損傷していたことを理由に、「被弾したヤクト・ドーガなど放出しろ」と発進ではなく投棄の名目で許可しました。立場や状況は違いますが、艦長が厄介払いのためにMSを発艦させるところが共通しています。

ララァ・スン

地球に住むニュータイプの少女。『ファースト』TV版第34話や劇場版3作目に登場したキャラクターと同姓同名ですが、『GQuuuuuuX』での役回りは少し違っていて、『密会』設定に準拠しつつシャア(とアムロ)に出会わなかった場合のifが描かれます。

ララァは極めて高い能力と独特な感性を持っており、シリーズを問わずあらゆる意味でニュータイプのイメージを決定づけました。劇中ではシャアとアムロに強烈な印象を残したことで、その影響は『逆シャア』の時代にまで及んでいます。

サルベージ部隊

海底に沈んでいた「シャロンの薔薇」のサルベージを担当したのは、ジオン軍の水陸両用MS部隊です。ジオン水陸両用MSは水中戦を想定したどことなく愛嬌のあるデザインから、ファンには長年「ジオン水泳部」の愛称で親しまれています。画面に映ったのは手前からゴッグ、ゴッグに重なる位置にズゴック、そして潜水母艦マッドアングラーです。

サルベージの場面は本来ソドンが引き上げるシーンだけで良かったのですが、公式Xによれば庵野秀明たっての願いでジオン水泳部の出動が叶ったそうです。

「シャロンの薔薇」

シャロンは旧約聖書に見られる地名で、「シャロンの薔薇」は純潔の象徴とされています。薔薇とは言っても、いわゆるローズを意味する薔薇かどうかは諸説あって、チューリップやユリと解釈する説もあるそうです。

そんな意味深なコードネームで度々呼ばれていた「シャロンの薔薇」。正体は1年戦争中に発見された、その時点ではまだ建造されてないはずのジオン軍のニュータイプ専用モビルアーマーでした。

正史での呼称はMAN-08エルメス。パイロットはララァ・スンです。

引き上げ作業を見学していたコモリ少尉が「薔薇っていうよりチューリップみたい」と発言しますが、これは『ファースト』劇場版3作目のパロディ。新しく戦線に投入されたエルメスを分析する中で、ミライがその形状を「チューリップだかとんがり帽子みたいなの」と表現しました。

ちなみに第8話のBeginningパートにて、グラナダの地下実験場に安置されていたオブジェクト=「シャロンの薔薇」が突然消えたことが明かされますが、これはトミノメモの没ネタを反映したもの。初期構想では遠隔操作兵器のエルメスがグラナダの地下にあり、地中に潜って対決する予定でした。 

第10話「イオマグヌッソ封鎖」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

地球寒冷化対策の巨大装置「イオマグヌッソ」の完成記念式典。5年振りにジオン指導者のギレンとキシリアが公の場に揃うとあって、平和目的の式典とは裏腹に、物々しい警備が敷かれていました。

「シャロンの薔薇」のサルベージから数ヶ月、シャリアは有事に備えてマチュを指導していましたが、キシリアはその目算を越えた動きを見せました。政敵ギレンの謀殺と、国家親衛隊並びにイオマグヌッソの制圧……。マチュとニャアンは始まってしまったジオンの内戦の渦中に放り込まれてしまいます。

ソーラ・レイ

密閉型スペースコロニー1基を流用した超巨大レーザー兵器。『Zガンダム』以降はコロニーレーザーとも呼ばれます。本作ではイオマグヌッソの説明で軽く言及されるだけですが、正史では連邦軍に壊滅的打撃を与えました。

イオマグヌッソ

正史には存在しない巨大な建造物。

アメリカの作家H・P・ラヴクラフトが創始した、創作神話大系『クトゥルフ神話』に登場する神性Yomagn'tho(理外の存在なので正確な発音は不明という設定)が元ネタです。人間が呼び出すことのできる神ですが、本体は次元の影に潜み、召喚者をも焼き尽くす危険な存在とされています。

第7話冒頭でキシリアがサイド6のペルガミノ大統領と会談を行っていますが、この時に議題に上がっていたのがイオマグヌッソ建設事業計画の予算に関する相談でした。

お肌の触れ合い通信

マチュの回想で出てきた、ジークアクスとキケロガをはさんでの会話シーン。特に説明がないものの、これは俗に「お肌の触れ合い通信」と呼ばれる接触回線による通話です。

接触回線は機体の振動を利用するもので、無線を妨害するミノフスキー粒子散布下でも近距離なら会話が可能。無線の周波数を合わせる必要がないため、時には戦闘中の敵MS相手でも直接言葉をかわすことができます。接触通信の特性を利用すれば密談することも。 

ギレンの秘書、セシリア・アイリーン

初出は富野由悠季の小説版第3巻で、アニメでは劇場版3作目の序盤からギレン付きの秘書として登場しました。ただしセリフはなく、ザビ家の3者会談やデギン公王との謁見シーンなど出番はごくわずかでした。

ギレンの愛人設定は小説版由来のもの。そちらではもう少し知的な女性でしたが、『GQuuuuuuX』ではギレンに5年間依存されたからか、やや傲慢な性格になったようです。

著者
["富野 由悠季", "美樹本 晴彦"]
出版日

ギレン暗殺

時系列や手段は異なるものの、キシリアによるギレン暗殺は正史通り。動機はキシリアが語ったように、ギレンの犯した父殺しです。

『ファースト』TV版第42話(劇場版3作目)にて、ギレンはデギン公王が密かに和平工作を行おうとしていることを察知すると、厭戦に傾いた実の父を連邦軍の艦隊ごとソーラ・レイで焼き払いました。

『GQuuuuuuX』でギレンがいつ、どのようにデギン公王を謀殺したのかは不明。イオマグヌッソがわざわざ平和目的のソーラ・レイと明言されているため、兵器としてのソーラ・レイがあるのは間違いありませんが、正史と同様の方法で父殺しを行ったのかはわかりません。

不明瞭な会話

キシリアのクーデターでギレン直属の国家親衛隊を急襲するエグザベの部隊。友軍が突然起こした不可解な動きに、グワジン級戦艦グワランのオペレーターが騒然となります。

元ネタはTV版42話(劇場版3作目)。ソーラ・レイ発射後に情報が錯綜し、未確認のデギン公王の消息についてオペレーター同士でこそこそ話し合っていたところを、「不明瞭な会話はやめよ」とキシリアに咎められるシーンでした。

また直後に戦艦直上から行われる攻撃は、劇場版3作目序盤でドレン指揮するキャメル艦隊旗艦がガンダムに急降下攻撃されるシーンのオマージュ。

無数の「エヴァ」パロディ

第10話は「エヴァ」を感じさせる要素が随所にちりばめられており、小ネタが多岐にわたるためまとめてご紹介します。

ビグ・ザムの量産は正史においてドズル・ザビの悲願でしたが、『GQuuuuuuX』では実際に量産化が実現。最新の13号機まで配備されていることが明かされますが、13号機と言えば「エヴァ」TV版第22話でエヴァ量産型の建造が13号機まで始まったたことや、新劇場版で重要な位置を占めるエヴァ第13号機を連想させます。

イオマグヌッソ内部へ向かうジフレドは、TV版第24話でセントラルドグマを降下するカヲルとエヴァ弐号機か、その翻案である新劇場版Qの第13号機の降下シーンのセルフパロディでしょう。第13号機にはビット状の装備があるため、ジフレドとの類似性から後者の可能性が高いです。

またイオマグヌッソ内部の指揮所のレオ・レオーニを攻撃する場面は、TV版第5話などで描写された実験中のエヴァ零号機が碇ゲンドウを襲う構図に似ています。

気分が悪くなるニャアン

ニャアンがゼクノヴァ使用後、吐き気をもよおして「気持ち悪い」とヘルメットを取るのは『逆シャア』のクェスのオマージュ。ロンド・ベルによるアクシズ落とし阻止作戦の最中、戦場から離れた場所で人の死のイメージを感じ取ったクェスが「怖い……気持ちが悪い……」と言います。

ただし、クェスが遠方の死を過敏に感じたのに対して、ニャアンは戦場の間近にいながら気分が悪くなる程度で済んでいるため、クェスより感応する力が鈍いのだと思われます。

第11話「アルファ殺したち」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

ニャアンが引き起こす大量破壊を止めるべく、マチュはオメガ・サイコミュのリミッターを外し、ジークアクスでイオマグヌッソのシステムの中核――時間停止した「シャロンの薔薇」に干渉します。ニャアンと薔薇に囚われたララァのために。

一方、イオマグヌッソの開発に関わっていたシロウズが、密かに行動していたシャアだったことが判明。シャアはキシリアとの対面を経て、改めて自ら関わったイオマグヌッソ本来の目的――「シャロンの薔薇」排除に向けた計画を実行に移そうとしました。

薔薇の処遇を巡ってマチュとシャアは対立しますが……。

敵味方に分かれてしまった2人

巡り合わせによってシャリアについたマチュと、キシリアについたニャアン。敵味方に分かれてしまった2人がお互いを詰問する流れは、『F91』の中盤で再会したシーブック・アノーとセシリーの関係を連想させます。

セリフや感情の動きは違いますが、セシリーの「こうなっちゃったのよ、こうできちゃったのよ」という言い訳と、ニャアンの「しょうがないじゃん。こうなっちゃったんだから!」は明らかに対応しています。

幻に導かれるニュータイプ

「シャロンの薔薇」の謎の現象の余波で現れたらしいシュウジの幻に導かれ、マチュはシャアとキシリアの元へ向かいます。ここは『機動戦士Vガンダム』最終話、エンジェル・ハイロゥに取り付いたウッソ・エヴィンが先に散った仲間の幻の指差しで導かれ、最後の戦いに挑む場面のオマージュでしょう。

この他にも、「ガンダム」シリーズでは感応力の高いニュータイプが、幻(死者)に導かれる展開がままあります。

劇場での対面

シャアとキシリアが劇場でお互いの主張をぶつけるシチュエーションは、『Zガンダム』最終話のオマージュ。

元ネタではグリプス2内部の劇場で対峙したクワトロ(シャア)をはじめとする、エゥーゴとアクシズ(後のネオ・ジオン)、ティターンズ各陣営の代表者が主義と信条をぶつけ合う緊迫の場面でした。結局カミーユが割って入って突発的な会談は終わりますが、ギャグ的に落下したマチュと違って、カミーユは彼自身の持論を展開するところが違います。

ニュータイプというものの理解

シャアは対面の中でニュータイプ観を語りますが、そこで明かしたニュータイプの定義「洞察に満ちた優しさを持つ者」は『ファースト』小説版第3巻に由来します。原文では「洞察に満ちたやさしみを持つ人」となっており、これは小説版シャアが持つ父ジオン・ダイクン譲りの思想です。

真のゼクノヴァの余波

目覚め始めた「シャロンの薔薇」が起こす真のゼクノヴァの余波で、不思議な出来事がいくつも起こります。

マチュとシャアの目の前に再出現した地面に横たわる赤いガンダムは、『ファースト』最終話でア・バオア・クーから脱出しようとするアムロがガンダムを見つける構図とほとんど同じです。

シャアの服装が突然変化したのも余波の影響。お馴染みのシャアのコスチュームにしようと考えたものの、話の流れからして自分でおかしいとなったため、ララァの理想が反映される形で“変身”しました。

一連の変身シークエンスは魔法少女モノ全般のパロディになっており、スタッフの遊び心と思われます。「ガンダム」かつ魔法少女ということで、リアルタイムで視聴していたオールドファンの中には、池田恵のパロディ漫画『魔法の少尉ブラスターマリ』を思い出した人もいたようです。

「向こう側」から来たもの

真のゼクノヴァで「向こう側」から正体不明のMSが現れますが、この場面は『ファースト』TV版第39話が元ネタです。ポーズや武装の差があるものの、光の中から現れる構図が完全に一致しています。

第12話「だから僕は…」のあらすじと元ネタ解説【ネタバレ注意】

マチュはシャアを止めようとしますが、彼は構わずにイオマグヌッソに隠された機能を起動し、「シャロンの薔薇」を「向こう側」に送り返すゲートを開いてしまいます。ところシャアが実行に移す前に、「向こう側」から白いMSに乗ったシュウジが出現しました。シュウジは彼の目的を果たすため、ララァの殺害を宣言。

かくして「シャロンの薔薇」とララァを巡って、マチュとニャアンとシュウジ、シャアとシャリアそれぞれの最後の戦いが始まります。

「だから僕は…」

すべての作品ではありませんが、ガイナックス系アニメスタジオは最終話のサブタイトルを名作SF小説から引用する慣例があります。

そんな中、『GQuuuuuuX』最終話の元ネタに選ばれたのは、「ガンダム」シリーズの生みの親である富野由悠季の自伝『だから僕は…』(改訂などで微妙にタイトルの違うものが3つあります)でした。SF小説ではありませんが、『ファースト』を強くリスペクトした『GQuuuuuuX』らしいチョイス。

終局である

内容には直接関係ない部分ですが、ネット上の配信サービスなどで見られる『GQuuuuuuX』最終話のあらすじの出だし「終局である」は、『ファースト』TV版最終話の予告ナレーションが元ネタです。

出だし以外はまったく違いますが、比較的淡々と書かれてきた各話あらすじの中で、最後だけ仕込んできたことにこだわりが感じられます。

装備を身代わりにして奇襲

オールレンジ攻撃に晒されたエグザベが大型ランスで肉薄すると見せかけて、武器を身代わりにしてビームサーベルで奇襲をかけるシーン。ここはシリーズ屈指の名勝負と言われる、『ファースト』TV版第19話(劇場版2作目)のランバ・ラル戦のオマージュです。

格上のパイロットに一矢報いるため、目立つ装備を身代わりにする柔軟な戦闘センスが共通しています。

「白い悪魔」

「向こう側」からやって来た謎のMSに対して、コモリが感じ取った印象を一言で表した言葉。

「白い悪魔」とは、正史のガンダムの異名です。正確には『ファースト』ではなく後年の後付けで、本編では「連邦の白いやつ」と呼ばれていました。

それはともかく、出現した「白い悪魔」はどう見てもRX-78-2ガンダム……つまり、『ファースト』に登場するオリジナルのガンダムです。

キラキラが見せた光る宇宙の幻影

キラキラの中、マチュとシュウジのバックで流れる映像は『ファースト』TV版第41話「光る宇宙」のもの。さらにそこからの場面転換で描かれるのは、該当エピソードを最新技術で書き起こした新規映像です。

ララァの主観なせいかシャアとララァ以外のセリフはありませんが、展開も構図もまったく同じ。シャアとララァの声優も新規映像のみオリジナルの池田秀一、潘恵子になっており、TV版のGファイター垂直尾翼の作画ミスや劇場版のゲルググのサーベル色指定ミスなど細かい部分まで再現されています。

ただし、正史ではララァがシャアをかばうのですが、ここでは間に合わずにシャアが死亡。「向こう側」は正史にそっくりではあっても、正史とはまた別のパラレルワールドだということが暗示されています。

別世界のシャアの乗機

繰り返されるやり直しの中で、シャアが乗機とした赤い機体は合計7機。下から順にグフ、ヅダ、ビグロ、ビグ・ザム、ガルバルディα、そして正体不明の赤いMSです。

最後の赤いMSは『GQuuuuuuX』のメカデザインを担当した山下いくとが、1989年のアンソロジーコミック誌「サイバーコミックス」で発表した白いMSと赤いMSがベース。本人は明言していませんが、山下いくと版ν(ニュー)ガンダムとサザビーだろうと考察されています。

キラキラの対話への介入と挿入歌

シュウジが心情を吐露するバックで流れるのは、劇場版3作目でアムロとララァ、シャア3者の決着がついた場面で使われた挿入歌「ビギニング」です。歌唱は井上大輔。

また正史の前後するシーンで、ララァとアムロの対話にシャアが割って入ってくるのですが、そこもシュウジとマチュに介入する形で再現されています。

キシリアの回想と思想

幼少期のシャア=キャスバルを初めて見た時の回想は、『ファースト』小説版でキシリアが抱いた感想ほぼそのままです。

また第11話でシャアと対面した時にも言っていましたが、キシリアが思うシャアの理想とする世界とは、地球人類を排除するという『逆シャア』におけるシャアの思想そのもの。

謀殺されるキシリア

シャリアの攻撃から離脱しようとするキシリアの乗艦は、『ファースト』TV版最終話(劇場版3作目終盤)でア・バオア・クーから脱出する場面と対応しています。生身とMSという違いはあるものの、シャアにバズーカ状の武器で撃ち抜かれて死亡するところも同じ。

シャアのセリフだけ微妙に異なっていて、正史ではガルマへの手向けだったのが、『GQuuuuuuX』ではガルマが健在(?)なためギレンに言及しています。

シャリアの真意

着々と計画を進行させつつあるシャアに対して、突如攻撃を仕掛けたシャリア。同志として盲信していると見せかけて、実は内心で危険視していたことがわかります。

シャリアが予見したシャアの行く末はキシリアと同じ――すなわち、地球人類に絶望して破滅を引き起こすというもの。『GQuuuuuuX』のこの時点のシャアからは想像ができませんが、いずれ『逆シャア』の彼自身と同じ結論に辿り着くというのはあり得そうです。

そしてここで初めて、シャリアがジオン・ダイクンのもう1人の遺児、アルテイシアにコンタクトを取っていたことが判明します。ザビ家亡き後、ジオン軍エースの実績から考えて民衆はシャアを支持する可能性が高いですが、シャアさえいなければアルテイシアは受け入れられるでしょう。

シャリアはそこまで考えて、誰にも悟られずにシャアの命を狙っていたのです。

巨大化する白い悪魔

マチュとニャアンの息の合った攻撃で形勢不利となったシュウジは、白い悪魔を巨大化させます。「向こう側」から来たシュウジが、ララァを介して質量を変化させたと思われますが、この一見トンデモな展開にも元ネタがあります。

富野由悠季の代表作の1つ、アニメ『聖戦士ダンバイン』のハイパー化です。詳細は省きますが、ハイパー化とはパイロットの感情に呼応して、人型兵器オーラバトラーが見かけ上巨大化する現象のこと。

また白い悪魔が巨大化した際のカラーリングは、富野由悠季が企画時に本来想定していた白(銀)一色のガンダムの設定を反映したか、1980年頃に作られた富野ガンプラを意識したものと思われます。

他には「エヴァ」旧劇場版と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に出てくる巨大綾波レイを意識した可能性も少なくありません。

シャアとシャリアのラストバトル

終始シャアが優勢で進む2人のラストバトル。ところどころの動きが『ファースト』の最後で行われるアムロとシャア、ガンダムとジオングのラストバトルに寄せられています。

特に顕著なのはシャアがキケロガの胸部を撃ち抜くところと、頭部だけのキケロガと赤いガンダムが相打ちになるところ。後者はビームライフルではなくビームサーベルですが、アニメ史に残る名場面「ラストシューティング」を完全再現しています。

シャリアとシャアの決戦にガンダムとジオングの最終決戦を重ねたのは、公式Xアカウントによると庵野秀明の発案だそうです。

巨大な白い悪魔とのバトル

巨大化した白い悪魔がジフレドを握り潰したのは、「エヴァ」TV版第24話のエヴァ初号機とカヲルのオマージュ。初号機カラーのジフレドが潰される側なので、構図が逆転しています。

そして覚醒するジークアクス。

ポメラニアンズの調査で、ジークアクスの顎にはギミックがあると仄めかされていましたが、その伏線がここで回収。ジークアクスの顎部がオープンして、雄叫びとともに覚醒しました。モチーフになっているのは間違いなくエヴァ初号機の覚醒(暴走)状態です。

羽ばたく鳥

『ファースト』の数々の描写から、ララァ=白鳥のイメージがあります。シュウジを説得するマチュのイメージで羽ばたく鳥が出てきますが、これは明らかにララァを意識したもの。ただし、ここで描かれている鳥は白鳥ではありません。頭や翼の黒い模様から、インドガンだと思われます。

インドガンは世界でもっとも高い高度を飛び、ヒマラヤ山脈を越えて行ける渡り鳥です。第9話で『GQuuuuuuX』世界のララァが言っていた山脈を越える渡り鳥がこのインドガン。

マチュにインドガンのイメージが重なっているのは、シュウジの常識や想像をマチュ(そして「向こう側」のララァも)が越えていけるという表現でしょう。

脱出

最後の戦いを生き延びたシャアは、そのまま赤いガンダムのコアファイターで飛び立っていきます。横たわったガンダムからコアファイターで飛び立つ流れは、『ファースト』最終話でアムロがア・バオア・クーから脱出するのとまったく同じです。

またその後のキケロガの脱出ポッドをエグザベが確保するシークエンスは、『逆シャア』の最終決戦(通称「殴り合い宇宙」)後に脱出機構が作動したサザビーのコックピットブロックをνガンダムがキャッチした場面のオマージュ。

この他にもキケロガの頭部から脱出ポッドを強制排出する様子は、「エヴァ」新劇場版Qでエヴァ第13号機のエントリープラグを強制的に射出する場面と重なります。

マチュを案じるハロ

すべてが終わって嗚咽するマチュを気遣うハロですが、何気ない言葉と思わせて『ポケ戦』最終話のオマージュの可能性があります。1年戦争が終わって全校集会が開かれる中、やはり嗚咽し始めたアルフレッド・イズルハをクラスメイトが慰めるのですが、気遣うセリフのいくつかがハロのものとほぼ同じです。

公王庁で即位するアルテイシア

エンディングではマスクを着用したシャリア、エグザベ、コモリが遠めに見守る中、フォーマルな出で立ちの若い女性がレッドカーペットを進んでいきます。女性が何者なのかは明言されていませんが、状況からしてシャリアの目論見通りにアルテイシア擁立に成功、即位のセレモニーが行われていると考えるのが妥当です。

アルテイシアに付き添っている中年男性も不明ですが、特徴的なヒゲと恰幅の良さから、ほぼ間違いなくここまで出番のなかったランバ・ラルでしょう。ランバ・ラルは正史でジオン・ダイクンを支持するダイクン派なのが確定しているので、アルテイシア擁立に関連してシャリアが働きかけていた可能性が高いです。

ポメラニアンズのその後

第8話以降消息不明になっていたポメラニアンズですが、サイコ・ガンダム騒動のどさくさに紛れて逃げ延びていたことが判明します。運搬業に転身したらしくコンテナ船で何かを運んでいますが、船の動力源に水陸両用MSゾック(大型ジェネレーター搭載)を流用している様子が描かれました。

操縦席の配置とアンキーのポジションは、『不思議の海のナディア』に出てくるグランディス一味と万能戦車グラタンのパロディ。

地球でバカンスするマチュとニャアン

地球のどこかのビーチで、戦いから退いてバカンスを楽しむ2人の元ネタは、『ファースト』小説版第3巻ラスト。しがらみから解放されたセイラが、地中海で自由を噛みしめながら泳ぐ描写があります。

またニャアンに「他に行きたいところなんてないでしょ」と聞かれて「(シュウジには)いつかまた会える」と答えるマチュのセリフは、『ファースト』TV版最終回でホワイトベースクルーの元に帰る際のアムロの名台詞「まだ僕には帰れるところがあるんだ。(中略)ララァにはいつでも会いに行けるから」と対応しています。

ちなみにマチュが軍用の通信機器で暗号化したメールを母親タマキに送っていることから、2人の地球上の生活はジオンか、少なくともシャリアに支援されていると見て間違いないでしょう。公式Xによると軍用機器のアイデアは、リアリティを持たせるための庵野秀明による演出のようです。


なるべく元ネタに触れられるように、できるだけ詳細な初出情報を併記しました。もし『GQuuuuuuX』本編と合わせて楽しんでいただけたなら、これほど嬉しいことはありません。

個人的にはシャリア・ブルによるマチュへのオールレンジ攻撃の指導と教育方針に、そこはかとなく『機動戦士ガンダムX』のジャミル・ニートとガロード・ランの関係性を感じたことなどにも言及したい気持ちはありましたが、脈絡がなさすぎるので自重しました。

ぜひ元ネタに挙げた以外のシリーズにも触れて、「これの影響かな?」と自分なりに想像しながらお楽しみください。

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