『ピーチガール』の実写映画化で人気の少女漫画家。彼女の作品は女の子ならではのピュアさと、ちょっと怖い黒さがリアルに描かれています。今回はそんな作品のなかから、おすすめ漫画を年代順にご紹介します!
兵庫県出身の漫画家。1985年に「別冊フレンドDX Juliet」に掲載された『桃色媚薬』でデビューします。その後も主に「別冊フレンド」を中心に作家活動を行なっていきます。
そんな彼女の代表作は、2017年に映画化されたことで注目を集めた『ピーチガール』。本作品は1999年に講談社漫画賞少女部門を受賞しています。そしてアニメ化や台湾でのドラマ化など、多方面から人気となりました。
上田美和の作品はどれもハラハラドキドキする恋の展開ばかりで、先が気になって夢中で読んでしまいます。なかでも、女たちのバトルは必見。熾烈な女たちのリアルなバトルにハラハラしつつも、癖になってしまうことでしょう。普段は隠している悩みや葛藤も描き出されています。
可愛いだけじゃない女の子たちの裏側、覗いてみませんか?
幼い頃に両親を亡くして祖父母に育てられたひかるは、祖父母が経営する私立高校に進学します。その一方でひかるが16歳になると、祖父母はお見合いの話を持ってくるようになりました。もちろん、お見合いなんてしたくないひかるは、幼馴染で片思いをしているシンちゃんに助けを求めます。
すると、なんとシンちゃんからプロポーズされて2人の新婚生活が始まるのです!
- 著者
- 上田 美和
- 出版日
- 1992-04-10
祖父の計らいで、ひかるの高校に教師として赴任することとなったシンちゃん。新婚の2人は毎日学校で会えるように……。しかし、この高校には時代錯誤の「男女交際禁止」の校訓が。教師と生徒という禁断の関係に加え、校則でも禁止されている2人の関係は一体どうなるのでしょうか。
このストーリーには、2人の障害がどんどんと出てきます。お互いにライバルが出現するなど、穏やかに過ごせる日なんてありません!教師をしているシンちゃんとの禁断の恋。次々巻き起こるラブハプニングに、気が気ではありません。読んでいるこちらもハラハラする、ノンストップラブストーリーです。
ひかるは上品でかわいらしい一方、頑固な面も併せ持っています。特にシンちゃんのことに関しては、誰にも負けません。猪突猛進の勢いで、そのひたむきさが愛おしくなります。
そして、そんなひかるをいつも守ってくれる王子様のようなシンちゃん。たまに見せる、普通の恋する男の顔にキュンと来ちゃうことも……。まさに、理想のカップルです。
一筋縄ではいかない2人の波乱万丈な恋に振り回されてみるのも、悪くないですよ。
『ピーチガール』は実写映画化もした、作者の代表作ともいえる作品です。
主人公・ももは、色黒なお肌と赤く抜けた髪色のせいでギャルに見られ、「遊んでそう」という評価を受けている高校生です。しかし、もものこの容姿は元水泳部であるがゆえで、彼女は実はとってもピュアな性格なのです。
- 著者
- 上田 美和
- 出版日
- 1998-01-10
ピュアなももは、中学時代から同級生の硬派な男子・とーじに片思いをしています。そして小悪魔系女子・さえにその恋心を知られてしまったところから物語は動き出します。さえは、その小悪魔的テクニックと色白でかわいらしい容姿で男子にモテモテ。ももの恋路を邪魔すべくいろいろな罠を仕掛けてくるのです。
そして同時にももの前に現れるのが、学年1のモテ男・カイリ。カイリの勘違いでファーストキスを奪われてしまったももは、このチャラ男!!と怒り心頭ですが、なんだか彼を憎めません。そんな彼の性格によって徐々に2人の距離は縮まっていきます。チャラ男か、硬派か、究極の三角関係はどちらに軍配があがるのでしょうか。
派手な見た目と裏腹にピュアな心を持ち合わせているももの不器用な恋愛は、つい応援したくなります。そのギャップを可愛く思うと同時に、親しみがわいてくる彼女のキャラクター。そして見所はなんといっても激しい女同士の戦いです。
不器用で正直なももと、小悪魔であざといさえの対決。火花が飛ぶようにバチバチ盛り上がって、目が離せません。
さらに、ももを巡る男たちの対決も必見です。チャラさに隠したカイリのやさしい愛情と、不器用ながらに真摯なとーじの想い。どっちを選んだらいいんでしょう。胸キュン必至のノンストップ三角関係です。
双子でありながら別々に育てられ、まったく正反対な亜蝶(あげは)と花奈(はな)。内向的で自信がない姉・亜蝶は、華やかで人気者の妹・花奈に劣等感を抱いています。
花奈とは違うんだと自分を卑下し、閉じこもっていた「サナギ」のような亜蝶を羽化させたのは、スクールカウンセラーの九(いちじく)でした。片思いを実らせろ!と叱咤され、少しずつ積極的になっていく亜蝶。しかしそこで邪魔をしてくるのが妹の花奈です。
- 著者
- 上田 美和
- 出版日
- 2007-01-12
花奈は花奈で、中学時代に彼氏が亜蝶に心変わりしたことがトラウマとなっており、羽化しようとする亜蝶の邪魔をしようとします。なんと亜蝶の思いを知りつつ、その思い人・流星を奪ってしまうのです。
そんなことにもめげず、人間的にも女としても成長していく亜蝶は、果たして「サナギ」から蝶へ羽化できるのか。応援しながら読みたくなる作品です。
双子の確執と、女同士のバトル。双子は似ていて仲がいいという従来のイメージを覆す物語です。でも本当はお互い羨望し合っているというところが、なんとももどかしく感じます。それぞれにいいところがあり、知らず知らずのうちにどちらも応援してしまうはずです。
殻を破り、自信を持てなかった自分から変身していく亜蝶の成長過程には、勇気をもらえること間違いなしです!
ヒロコは、泣きぼくろがコンプレックスの女子高生。この泣きぼくろのせいで、「遊んでいそう」と判断されがちです。しかし実際は、彼氏いない歴16年のとてもウブな女の子なのです。一方ご近所さんの幼馴染・トモコはずっと彼氏が途切れないモテモテさ。
そんなトモコに女として負けたくないヒロコは、社会人の彼氏がいると見栄を張って嘘をついてしまいます。
- 著者
- 上田 美和
- 出版日
- 2012-04-13
ヒロコが好きなのは、放送部の小森田くん。彼も実はヒロコのことが気になっています。しかし、どちらも積極的に動けなくて関係はそのまま。そうしている内に、なんとトモコが小森田くんを好きになってしまい、告白!ふたりは付き合うことに……。どうする!?ヒロコ!
ヒロコは自分の恋愛遍歴を正直に明かし、小森田くんが好き!と言います。素直になって一直線にがんばるヒロコの恋の行方に、目が離せない展開です。
高校時代、女同士のこの子にだけは負けたくないって気持ち、共感できる方も多いのではないでしょうか。素直になれない気持ちに懐かしさを感じる人も多いはず。両思いなのに、積極的に動かないからうまくいかないという話もリアルですよね。
ただ、思い切って一直線にがんばれるのも青春ならではの良さ。トモコという魅力的なキャラクターが最後にした決断もあっぱれです。リアルな高校生の恋愛が懐かしく、キュンとさせられてしまいます。
『あるいていこう』は、今までの上田美和の作風とは、少し異なる物語です。バチバチの女のバトルではなく、瑞々しい女子の葛藤が描かれています。
田舎で生まれ育った女子中学生・イケ。周りの女の子たちは身だしなみにこだわったり、恋バナばかりになってきました。その流れについていけず、周囲からおいていかれているような気持ちになってしまっています。
- 著者
- 上田 美和
- 出版日
- 2013-05-13
そんな彼女は、自分が子供でつまらない人間なのではないか、と焦燥感にかられています。突っかかってくる男子・丸毛(まるも)とは犬猿の仲。しかし自分のペースであるいていこう、と決心したイケは丸毛とも接近していきます。
丸毛が自然が好きなことを知ったり、実は優しいということに気づいたり、夢の話をしたり。2人の仲は深まっていきます。しかし中学生ならではの同級生の冷やかしにあってしまいます。冷やかしなど気にしていない丸毛と、正反対に深刻に受け止め、悩んでしまうイケ。彼女はつい、感情的に丸毛にぶつかってしまいます。
この作品は何といっても、中学生にしか出せない瑞々しさと青臭さにが魅力。共感できたり、自身の青春時代を思い出したり、どこか切なく感じてしまいます。イケの焦燥感も痛いほど伝わってきて、一緒に焦れったく感じたり、なんだか応援してしまったり。繊細に描かれていてとても感情移入できるキャラクターです。
徐々に成長していくイケの姿からは、自分は自分らしく歩いて行ったらいいんだ、というメッセージも伝わってきて、読んでいるこちらも背中を押される作品です。
以上、5作品ご紹介しました。女の子の葛藤や恋愛バトルがリアルに描かれています。可愛いだけじゃない女の子の強さ、繊細さが伝わる作品です。読むと、もっと裏側が知りたくなるかもしれませんね。上田美和の魅力的な作品たち、ぜひご一読ください!