細部まで描き込む作画や壮大なスケールのストーリーが持ち味の篠原千絵。元宝塚歌劇団のスター・七海ひろきが一人三役を演じるCMで漫画『夢の雫、黄金の鳥籠』が気になった方もいるでしょう。 本格ミステリーやホラー少女漫画の巨匠としても名高い作者。この記事では、篠原千絵のおすすめ漫画をランキング形式で5作品ご紹介します。
1981年に『赤い伝説』でデビューしてから、少女漫画界を牽引した実力派作家。
読者の恐怖心を煽るホラーテイストの作品や、手に汗握るミステリー、壮大な歴史漫画など、作り込まれたストーリーに魅了された長年のファンも多いのではないでしょうか。手書きで描かれるイラストの繊細さ、今にも襲い掛かってきそうな動物のリアルな美しさも魅力的です。
1987年には『闇のパープル・アイ』で、2001年には『天は赤い河のほとり』で、小学館漫画賞少女部門を受賞していることからも、長い期間にわたって少女漫画界を牽引している人物だとわかります。『天は赤い河のほとり』は、2018年に宝塚歌劇団にて舞台化もされ、多くの人を虜にしています。
後にオスマン帝国皇帝の后ヒュッレムとなる少女・アレクサンドラの生涯を描いた歴史漫画『夢の雫、黄金の鳥籠』。
自由に生きていきたいと願っていたアレクサンドラ。ある日、彼女の村がタタール人に襲撃され、アレクサンドラは奴隷として売られてしまいます。その後、イブラヒムに買われ教育を受けた彼女はヒュッレムという新しい名前を授けられ、オスマン帝国皇帝・スレイマン1世に献上されることとなりますが……。
- 著者
- 篠原 千絵
- 出版日
- 2011-09-09
陰謀渦巻く帝国で皇帝の権力に翻弄されるヒュッレムと宰相に大抜擢されることとなったイブラヒムの許されない恋を描いたストーリーには、歴史漫画としての面白さはもちろん、少女漫画らしい要素もしっかりと含まれています。日本の歴史に例えるならば大奥のような、女同士の駆け引きも必見です。
テレビCMで元宝塚歌劇団の男役スター・七海ひろきが演じるのは、ヒュッレム、イブラハム、そしてスレイマン1世の三役。歴史に奔流されながら、すれ違う彼ら。男女の禁断の恋の行方をお楽しみください。
ごく普通の女子高生として生活していた主人公・尾崎倫子は、身に危険が迫ると豹に変身してしまうという特殊な能力に目覚めてしまいます。豹に変身し、人を食い殺してしまう変身人間と、その存在を狙う敵。
本作『闇のパープル・アイ』は、さまざまな策略が張り巡らされたSF色の強いサスペンス作品です。
- 著者
- 篠原 千絵
- 出版日
倫子が制御できない自らの能力に悩みながらも、自分を変わらずに愛してくれる相手や、同じ苦悩を持つ変身人間との関係も描く本作。サスペンスならではの先の読めない展開に加えて、少女漫画らしいラブロマンスもしっかりと描かれています。
1996年には、雛形あきこ、加藤晴彦、浜崎あゆみなどの豪華キャスティングでテレビドラマ化もされました。
篠原千絵の描く妖しくも儚い変身人間の苦悩や、変身後の姿として描かれる豹の美しさにも、ぜひ注目していただきたい作品。望まない能力と、迫りくる敵の陰謀に立ち向かう美しい獣たちの物語、その顛末をぜひご自身の目でお確かめください。
とても仲がよい一卵性双生児の双子の姉妹。流風(るか)と流水(るみ)は、同じ相手に恋心を抱きます。しかし想い人の先輩が選んだのは、流風。それでも流水は流風の背中を押し、2人を祝福してくれるのでした。
そんな矢先、双子は部活動のキャンプで見つけた古墳で、自分たち以外の部員すべてが変死を遂げるという謎の事件に遭遇。その事件の後から様子がおかしくなっていく流水……。
- 著者
- 篠原 千絵
- 出版日
本作『海の闇、月の影』は、双子の姉妹が織り成す、愛憎渦巻くSFホラー作品です。
一卵性双生児で周りからも見分けがつかないほどそっくりな双子なのに、選ばれた流風と選ばれなかった流水。2人の関係を変えてしまった謎のウイルスなど、ホラーとSF、さらにはラブストーリーまでもがうまく調和しています。
誰からも羨まれるほど仲の良かった双子の愛憎の決着は必見。ホラー、サスペンス、SF、少女漫画、どの立ち位置から見てもおすすめの作品です。
両親の転勤で転校してきた高校生の少女蒼子(そうこ)は、新しい学校に通い始めた初日から酷い眩暈や悪寒など体調不良に悩まされていました。
美しい容姿の蒼子はすぐに転校先の学校で有名になりますが、その美貌のため、不良グループに目をつけられてしまいます。襲われたまま意識を失ってしまう蒼子でしたが、目を覚ますと自分を襲った男が消え、体調も良くなっていました。そんな現象を不思議に思う蒼子。
そして彼女の前に鬼を殺す一族の青年彬(あきら)が現れ、蒼子を殺すと言い出して……。
- 著者
- 篠原 千絵
- 出版日
美しい鬼の少女と、その鬼を打つ青年のラブストーリー『蒼の封印』。主人公の抱く、自分が人間ではないことへの恐怖が鮮明に描かれています。最初は自分の命を狙っていた彬と、しだいに惹かれあっていく様子や、彼への想いから、人間として生きたいと決断する蒼子の意志の強さには勇気づけられることでしょう。
美しさ、妖しさ、そして切なさの詰まった本作。障害があるほど愛は燃え上がる、そんな恋愛に憧れる方にはぴったりの作品です。
主人公夕梨(ユーリ)は、志望校に合格が決まったばかりの中学生。ずっと気になっていた男の子ともいい雰囲気で順風満帆、のはずだったのですが、デート中、水溜まりの中から伸びてきた腕に引き込まれ、紀元前14世紀、ヒッタイト帝国へと召喚されてしまいます。
呪術の生贄として召喚されたユーリを匿ってくれた第3皇子カイルの協力を得て、元の世界に帰ろうとするユーリですが……。
- 著者
- 篠原 千絵
- 出版日
- 2006-10-14
現代から召喚された少女が帝国の王位継承権を巡る策略に巻き込まれる、歴史ファンタジー作品『天は赤い河のほとり』。天と書いて「そら」と読ませるなど、タイトルから神秘的な雰囲気が感じられます。2018年には宝塚歌劇団によって舞台化され、話題となりました。
ごく普通の少女が異世界で経験を積み強く成長していく姿が逞しく描かれる本作。彼女に協力するカイルとの恋愛関係も描かれ、ファンタジー世界観ながらも、少女漫画らしい心ときめく展開に目が離せなくなるでしょう。
果たしてユーリは元の世界に戻ることができるのか、そしてカイルとの恋の行方は?長編少女漫画ですが、続きが気になってどんどん読み進めてしまう作品です。ホラーやサスペンスもいいですが、濃厚なファンタジーと歴史物が読みたい!そんな気分のときにおすすめです。
以上、篠原千絵作品5選、いかがでしたでしょうか。ホラー、サスペンス、歴史ものと幅広い作風もさることながら、どの作品も望まない能力を持った人間の苦悩を丁寧に描いています。ぜひこの機会にお手に取ってみてくださいね。