BL好きで知らぬ人はいないんじゃないかというほど有名な漫画家です。魅力的な絵で、青少年の不器用な恋愛模様がよく描かれています。そんなおげれつたなか作品を、おすすめランキング形式でご紹介します。
7月3日生まれ、大阪在住の漫画家です。デビュー作品は2013年の『外面だけは王子様』(『恋とはバカであることだ』に収録)、2014年6月には初コミックである『恋とはバカであることだ』を出版しています。
デビュー時から、新人とは思えぬ画力と繊細な心理描写で今後の活動を期待されており、デビュー後すぐに『恋愛ルビの正しいふりかた』、『錆びた夜でも恋は囁く』を連続して出版しました。
早い出版スピードにもかかわらずどの作品もクオリティ高く描かれており、特にキャラクターたちの生き生きとした表情が魅力的。思わず読み手が胸を打たれるほど人間くさく、その表情を見るためだけでも読む価値があるのではと思うほど素晴らしい画力です。
もともとpixivにて2次創作をメインに活動しており、なんとブックマーク数が1万以上になるほどの人気ぶりで、pixiv内でも有名な作家でもあります。創作漫画『ヤリチン☆ビッチ部』も掲載しており、すでに単行本として1巻が発売されています。
無表情で感情がストレートに伝わらない硬派タイプの勇介と、毎夜女の子と絡み軽い見た目のギャル男サヤ。両極端の2人ですが、ともに自分を理解してもらえない辛さを内に秘めています。
『ネオンサイン・アンバー』は、そんな2人がちょっとしたことで交流を持ち、惹かれ合っていく姿を丁寧に描いた作品です。
- 著者
- おげれつ たなか
- 出版日
- 2016-12-29
クラブのスタッフとして働く勇介は、感情が顔に出ないせいで一緒にいても楽しそうに見えないと、彼女に一方的に振られてしまいます。笑顔のつもりでも、誰もそう見てはくれません。
そんな勇介が出会ったのが、毎夜クラブに顔を出しては女の子をナンパしているサヤでした。初めは印象のよくなかったサヤでしたが、なぜか彼だけ勇介の微妙な表情の違いに気づきます。
2人の距離はぐっと縮まっていきますが、ノンケの勇介と恋に臆病なサヤ、2人の関係はなかなかスムーズにはいきません。結局、勇介はサヤを傷つけてしまいます。
2人の切ない心理描写がうまく表現されており、特に男同士に葛藤する勇介の描写が秀逸です。ページをめくるごとに2人のすれ違いが切なく、胸がぐっと締め付けられます。
1巻すべて表題作なのでとても読みごたえがあり、ストーリー重視の方にもぜひ読んでいただきたい作品です。巻末の、その後の2人のお話もおすすめですよ。
作者の初コミックであり、3つの短編が収録されています。
表題作の「恋とはバカであることだ」は、主人公の32歳カフェ店員に初めて彼氏ができた所から始まります。ですが、相手は現役大学生の20歳。なんと年の差12歳です。年下彼氏の常識が理解できず、ジェネレーションギャップに苦労する日々。問題は他にもあるのですが、結局自分からは言い出せず流れに任せてしまいます。
まるで高校生のような、不器用で初々しい感じの2人が魅力的です。背も高いしガタイもいい年下彼氏ですが、子犬のような仕草に思わず癒されます。年下なりに、相手に合わせようと頑張っている姿がいじらしいです。
- 著者
- おげれつ たなか
- 出版日
- 2014-06-10
収録されている他2つの作品も、相手に幻滅されないためにイメージを貫こうと努力したり、嘘をついたりと、一生懸命な高校生の姿が描かれています。
かなりの暴君な人気者と、下僕のように扱われる根暗の幼馴染カップル「外面だけは王子様」。嘘つきが何よりも嫌いな攻めと、そんな彼に好かれるため猫を被っている受けの「泣けないうそつき」。どちらの話も高校生のひた向きな姿が可愛らしく、心温まるお話です。
恋人のかんちゃんに暴力を振るわれている弓。高校時代は屈託なく笑う人だったのに、就職してから変わってしまった恋人。
殴られ罵倒される日々のなか、弓はバイト先で中学の同級生だった真山と再会します。あの頃とまったく変わらない真山に、弓の心は締め付けられます。あの頃、ともに惹かれ合っていたのに進展しなった2人。再会したその日から真山は頻繁に会いに来るようになり、弓は心を揺さぶられ続けます。
- 著者
- おげれつ たなか
- 出版日
- 2015-03-30
おげれつたなか作品のなかでも、シリアス要素が強いお話です。暴力シーンが何度もあり痛々しいですが、その描写によってかんちゃんと真山の違いを分かりやすく表現しています。中学時代から一途に弓だけを想っていた真山が、とにかくすごいです。
どこまでもまっすぐな真山は、どんな時も弓をありのままの姿で見ようとします。その態度や視線に、内側をどんどんかき乱され困惑する弓。その時の表情がとにかく苦しそうで、必死に過去の自分と葛藤しているのがわかります。
自分と向き合うことの大切を、おげれつたなからしい描写で表現した、とても読みごたえのある1作です。
見た目も中身も今どき男子の直人は、新しく始まる大学生活を楽しみにしていました。なのに、入学式で出会ったのは、高校時代にひどい別れ方をした元カレの太一。
別れてからは口もきかなかった2人ですが、大学では友達としてやり直そうとします。けれど、1度知ってしまった「友達以上」を忘れたふりができるわけがなく、とうとう2人は再び一線を越えてしまうのです。
- 著者
- おげれつ たなか
- 出版日
- 2015-10-10
「ダメって分かってても言わなきゃダメだって思って」
「特に大事なことって」(『エスケープジャーニー』から引用)
恋人同士だとケンカばかりになってしまう2人は、なぜか友達関係であればうまくいくのです。お互いのことが好きで好きで仕方がないのに、ストーリーが進むほど、2人はどんどんすれ違ってしまいます。どうすればいいのかわからない2人の焦りが伝わり、どきどきが止まりません。
ある1人の不良のせいで、悔しい思いをした根暗男・弘の復讐物語です。
高校卒業後、そいつを見返してやりたい!と固く決意した弘は、努力の結果イケメン美容師へと大変身しました。充実した日々を過ごしていた弘でしたが、彼が努めるヘアサロンに、なんと高校時代をむちゃくちゃした元不良の夏生が現れます。
一目ぼれしたから付き合え、と言ってきた夏生。そんな彼に、弘はある復讐方法を思いつくのです。
素直じゃない根暗攻めと、ガラの悪い一途な受けが織りなす可愛らしい作品です。復讐のために付き合い出す2人ですが、無邪気に懐いてくる夏生とともに過ごしていくうちに、弘の中で何かが目覚めていきます。ずっと秘めていた気持ちを打ち明けるシーンは、胸を打つほど感動的です。
- 著者
- おげれつ たなか
- 出版日
- 2015-04-30
『恋愛ルビの正しいふりかた』には『錆びた夜でも恋は囁く』で登場した、暴力男・かんちゃんのお話「ほどける怪物」が同時収録されています。
「ほどける怪物」は、目つきと愛想の悪いかんちゃんと、そんな彼に興味を持った職場の後輩・秀那のお話です。遊びから本気の恋愛へと急展開する発展するリーマンラブストーリー。お互い惹かれ合っているのに、押しては引き、引いたかと思えば押すを繰り返すので、なかなか関係は進展しません。
じれったい2人が心通わすまでを、丁寧に描いた作品です。作者が描くかっこいいスーツ姿の2人にも、ぜひご注目ください。
おげれつたなかの漫画は、キャラクター1人1人への愛が溢れています。泣き顔1つとっても、悔しさや悲しさ、嬉しさ、絶望、など多彩な感情を細かく表現しています。だからこそリアリティを感じ、ストーリーに更なる深みが増すのです。1度ではなく、2度、3度と読み返していただきたい作品ばかりとなっています。
ぜひ、ご一読ください!