『ストロボエッジ』!鈍感ガールの初恋は前途多難?【ネタバレ注意】

更新:2021.12.17

胸キュン漫画のヒットメーカー咲坂伊緒の恋愛漫画『ストロボエッジ』。今回は青春の一瞬のきらめきを切り取った本作のキラキラ展開をご紹介!ネタバレも含むのでご注意を。

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あらすじ

高校生の二菜子はちょっと抜けた性格の女の子。彼女はクラスメイトの大樹と付き合ってはいないものの公認の仲として見なされています。みんながそう言うってことは自分は本当に彼が好きなのかもなぁなんて思う鈍感さです。しかし、ひょんなきっかけで学年一のイケメンの蓮と顔見知りになり、それから彼のことが気になり始めて……。

 

著者
咲坂 伊緒
出版日
2007-11-22


本作はリアルな青春の要素とその中で光る胸キュンシーンが魅力です。咲坂伊緒の作品は王道展開なのですが、なぜか心に響く!その理由は小さな心の動きを丁寧にすくい取り、響く言葉で表現しているから。丁寧になぞられた「よくある感情」は普段流しがちな私たちの心に新鮮に映ります。今回はそんな彼女の魅力が発揮されたキラキラシーンをご紹介いたします!ネタバレを含みますのでご注意ください。

『ストロボエッジ』1巻のキラキラシーン!<教室のざわめき>

学生時代の教室。それは社会人になってからはあまり経験しない、様々な性格の人たちが一緒に過ごす雑然とした世界ではないでしょうか。そしてその世界はそこだけで完結しており、閉じられています。その箱庭の中は過ぎた人にはもう戻れない、そこにいる人には肌で理解できる独特な雰囲気があります。

出典:『ストロボエッジ』1巻

蓮を見てはしゃぐ友人たちをどこか冷めた目で観察する二菜子。「そのこと自体を楽しんでいる」と、蓮にはしゃいでいるように見えて、おしゃべりしたいということの方が目的であることを見抜いています。口下手で抜けた子なのですが、冷静に状況や自分の感情を見ており、モノローグの言葉は雄弁です。

二菜子のモノローグと描写から感じられるのは、教室のざわめき。カースト上位の人には心地よく、下位の人には孤独さを強調させる懐かしいあの雰囲気がこの一コマから感じられます。

『ストロボエッジ』1巻のキラキラシーン!<「ほぼ確定」の気持ち>

鈍感なようでいて意外と冷静な二菜子。いつもからかわれる大樹との「ほぼ確定」の関係性をこう語ります。 

出典:『ストロボエッジ』1巻

このもどかしい友達以上、恋人未満の関係もTHE!青春という感じですよね。教室という舞台で距離が近い分、お互いの気持ちが簡単に見えてしまうのは恥ずかしくてこそばゆいもの。付き合ってどうしようとか、利害関係とかがない、気持ちだけの学生時代の恋。その純粋な気持ちに気づいているけど何も出来ない、というのは多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。その熱量はそうかな?くらいの認識でも大人のものより熱いかもしれません。

『ストロボエッジ』1巻のキラキラシーン!<ヤキモチ>

徐々に蓮に惹かれていく二菜子。自分の気持ちに鈍感だったせいで、大樹の期待をずるずると長引かせてしまったことを後悔します。すれ違った仁奈子のおかしな様子に気づいて引き返してきた蓮の行動が嬉しくて、後悔の気持ちと蓮が好きだという気持ちとが溢れた二菜子は泣き出してしまいます。そしてその様子を見た大樹がこう言うのです。

出典:『ストロボエッジ』1巻

そう、蓮は彼女がおり、しかもその相手は大樹の姉だったのです。学年一の人気者で、彼女がいて、と障害の多いこの恋に気持ちがくじけそうになる二菜子。しかし、友達に気持ちを吐露するうちに自分の本当に大事にしたい気持ちに気づきます。そして彼女は大樹にその気持ちを伝えるのですが……。

『ストロボエッジ』1巻のキラキラシーン!<恋はダメになってからが勝負!>

二菜子は自分の気持ちを自覚し、辛い道になってもこの恋を大事にしようと決めます。そしていつも通り同じ路線の電車で帰る蓮を見ながら、この恋の始まりを思い返しながら、こう思います。

出典:『ストロボエッジ』1巻

言葉が不必要なほどの胸キュンのシーン。辛い道になってもこの気持ちに感謝できる二菜子のまっすぐさと強さに心を打たれます。そしてだめでもこの気持ちをただ伝えたい、と思い、ついに……。と、ここまでが1巻の内容です。

『ストロボエッジ』2巻のキラキラシーン!<逃避行>

お待たせしました、新たな四角関係展開です!大樹には新たな恋の予感があるのでそちらは作品でチェックしてみてください。2巻からは二菜子、蓮、蓮の彼女に加えて、Newキャラが登場します。

初登場シーンは5話。蓮を待ち伏せしてあいさつしようとして、二菜子は他の人に声をかけてしまいます。それはイケメンチャラ男の安堂でした。それからなんだか二菜子にかまってくる彼。興味本位ですが、彼はその分二菜子をずっと見ていました。

ある日、蓮と二菜子、安堂で学祭の買い出しに出かけることになります。そして偶然蓮の彼女、麻由香に出会うのです。そしてなぜか4人で買い出し。二菜子は蓮が彼女の名前を呼ぶ度、彼女が蓮の腕を掴む度、泣きそうな気持ちになります。そしてそれを見た安堂がこう言います。

「逃げよっか」 

出典:『ストロボエッジ』2巻

どうして青春はこんなに走るという行為が似合うのでしょうか。それは自分の中に抑えきれなくなった内側の想いが外側の体にまで出てきてしまうという想いの強さが感じられるからではないでしょうか。そんなことが出来るのは溢れるほど強い気持ちと、体力がある時代だから。うらやましい体力……は置いといて、まさに強いフラッシュのような青春のキラキラが感じられる場面です。

この後安堂は7話である事件を起こします。こちらもかなりキュンキュンのシーンで、安堂の表情がたまりません。安堂おずおずと引き起こす事件は作品でご覧ください。そしてその事件は次にご紹介するシーンのきっかけになるのです。

『ストロボエッジ』2巻のキラキラシーン!<この行為の意味は?>

安堂からあることをされて逃げてきた二菜子。その途中で偶然蓮に出会い、そのまま腕を引っ張られて一緒に教室に隠れます。

出典:『ストロボエッジ』2巻

壁ドン的な姿勢でハグって2倍おいしいシチュエーションですね。安堂がふたりのいる教室を通り過ぎた後も蓮は離れなくて……。と、ここまでが2巻の内容です。

ダメだと分かっているのに二菜子にかまわずにはいられない蓮。その様子はずるくて、でもついかわいいと思ってしまうものです。この展開で蓮は一言も発しないのですが、その分行動だけで気持ちを雄弁に語ります。安堂にとられたくない、よくわからないけど二菜子を離したくない。思いの粒が少し暗くなってきた教室の片隅で光ります。はたして蓮はこのあとどうするのでしょうか?

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こんな胸キュンシーンが作品の中で星座のようにキラキラまたたく『ストロボエッジ』。その星たちはつながって、ストーリーを思わぬ方向に進めていきます。全10巻で完結済みの作品なので最後まで一気に読めるのも嬉しいポイント。あなたの好きな名シーンもこの他にきっとまだまだ見つかるはずです。

著者
咲坂 伊緒
出版日
2010-12-24
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