明治大学文学部教授でありながら、作家としても活躍している齋藤孝。独自の教育法を提唱し、学ぶことの重要性を数々の本で説いています。今回は、読めば人生がどんどん豊かになる、齋藤孝のおすすめ作品を5つご紹介。
静岡県に生まれ、東京大学そして同大学院を卒業した齋藤孝。テレビのコメンテーターとしてもお馴染みですが、多数の本を世に出している作家でもあります。執筆した本のジャンルは、哲学や自己啓発をはじめ、身体論、ビジネス論、文学と様々。
「自分の想いを世の中に発信する」ことを目指した齋藤孝は、2001年に『身体感覚を取り戻す』で新潮学芸賞を受賞し、デビュー。同年、草思社より出版された『声に出して読みたい日本語』は大ベストセラーとなり、メディアへの出演や新しい執筆依頼によって、齋藤孝の名は瞬く間に世間に認知されていきました。
まるで絵に描いたような順風満帆な人生に思えますが、実は、10年間孤独な日々を過ごすという「暗黒時代」を経験してきた人でもあります。説得力のある文章を書く齋藤孝ですが、その説得力の基盤には「暗黒時代」の豊富な読書経験が活かされているのでしょう。
「読書」とは一体何なのか。普段の生活ではあまり考えることのない「読書そのものの本質」を鋭く追求した『読書力』は、齋藤孝の著書の中でも特に人気のある1冊です。
本書で紹介されている推薦書はなんと100冊。気楽に読める本や強烈な個性が感じられる本など、カテゴリー別に紹介しています。
- 著者
- 齋藤 孝
- 出版日
- 2002-09-20
今ではインターネット中心の生活となり、本を読まなくなくても、手軽にたくさんの情報が得られる世の中になりました。しかし、だからこそ、情報を正しく要約する力や、溢れかえる情報に惑わされないような、しっかりとした自己形成の力が必要になってきているのかもしれません。
『読書力』では、読書をスポーツの技術に例えたり、あるいは自己形成のためのツールとして捉えたりと、あらゆる視点で読書のあり方を考えていきます。読書をする意味、そして読書をすることによって得られる力を理解することは、情報化が進む現代を生き抜くための力を養うことにもつながります。本を読むことの大切さがわかる1冊です。
『読書力』は、読書の本質を一度立ち止まって考えるための本ですが、『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』は知的生産力を向上させる、実践的かつ具体的な方法論を網羅した本になります。
齋藤孝が実践している情報の収集方法や整理方法、効率的なライティング技術など、即効性のあるテクニックを、本書では25個も紹介。『読書力』と同じように、情報化の時代を乗り切るためのハウツーがふんだんに盛り込まれています。
- 著者
- 齋藤 孝
- 出版日
- 2009-08-21
文筆家としてデビューして以来、ハイペースで様々なジャンルの本を世に送り出してきた齋藤孝が実践している、効率的なメモの取り方やスケジューリングの方法もこの1冊から学べます。
本書のあとがきで、次のような意識を喚起していきたいのだ、と述べています。
「わずかずつでも確実に、自己形成が進んでいく実感。知的生産術がモノになってきた、という実感。そんな実感を大切に、情報と関わって生きていく。」
(『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』より引用)
知的生産術は、現代に生きる人には必要不可欠な要素。情報と上手に関わって生きていきたい方におすすめの1冊です。
齋藤孝といえば『声に出して読みたい日本語』が有名ですが、実は声に出して読みたくない日本語についても本を書いています。それが『余計な一言』。
何か言う度に「だって」、謝る時には「ごめんごめん」、誘いの提案に「行けたら行く」……。ついつい普段の会話の中で使ってしまう「イラつく日本語」の具体例を交えながら、使わないようにする対策方法も紹介しています。
- 著者
- 齋藤孝
- 出版日
- 2014-07-17
近年では、コミュニケーション能力の重要性が注目されています。普段の言葉づかいを意識することは、円滑な人間関係を築くこと。本書を読むことで、周りの「イラつく」言葉づかいにも寛容になれるかもしれません。
本書は、わかりやすくもユーモアのある説明で、すらすらと読める1冊となっています。普段の言葉づかいに不安を感じる人は、ぜひ読んでみてください。
スピーディな仕事が求められる現代社会。1つのことを終わらせるために多くの手間をかけたりはできません。自分の思考と仕事スタイルを効率化し、「やらなくていいこと」をやらず、「やるべきことだけ」を集中する、それこそが、『手抜き力』の本質です。
『手抜き力』のある人=大した労力をかけてもいないのに、ものすごい結果を出す人になるためのルールがふんだんに盛り込まれた1冊となっています。
- 著者
- 齋藤 孝
- 出版日
- 2014-06-21
普段の生活の中で聞く「手抜き」という言葉は、ネガティブな意味合いが強く、あまり好まれる言い回しではありません。しかし、本書では、「手抜き」をポジティブな意味で捉えています。「手抜き」とは、仕事やプライベートにおける無駄の排除を徹底的に追求した、いわばストレスフリーを実現するための仕事術にほかなりません。
齋藤孝が実践しているインプット・アウトプットの方法論を、具体例を交えながら紹介しているため、読みやすく、そして活用しやすい内容となっています。仕事に追われる社会人だけでなく、学生や主婦の方にもおすすめできる1冊でしょう。
大学受験失敗に職探しの日々……齋藤孝が実際に経験した孤独な10年間を基に『孤独のチカラ』は書かれました。本書は、ピカソや中原中也など、孤独を経験した偉人達のストーリーを交えながら、孤独とどう向き合っていくのかを考える1冊となっています。
- 著者
- 齋藤 孝
- 出版日
- 2010-09-29
齋藤孝は孤独な時代真っ只中、同世代の友人達が華々しく活躍していく姿を横目に、こう思ったそうです。
「この出遅れた年月が無意味ではないことを絶対に証明しなくてはいけない」
(『孤独のチカラ』より引用)
今やインターネットで簡単に人と繋がることができる時代。SNSを開けば、すぐに知り合いの動向を知ることができるでしょう。しかし同時に、知り合いの活躍に焦燥感を抱いたり、強い劣等感を感じたりもします。
本書は、そんな孤独な想いを成長の糧へと変化させる、希望に満ちた作品になっています。ぜひ読んでみてください。
ある時はロジカルで、またある時はユーモラス。そんな齋藤孝のおすすめ本5冊をご紹介しました。