影ながら江戸の夜を支えていた職業、花魁。儚くも美しい彼女たちの職業は時に羨まれ、時に蔑まされながらも強く生きてきた女性ばかり。そんな花魁たちが主人公のおすすめ漫画をご紹介します。
吉原で人気女郎として日々奮闘していた『江戸モアゼル』の主人公・お仙は、ある日思わぬ事故により気絶し、気が付いたらそこは現代日本でした。一緒にタイムスリップしてしまった新人女郎・寿乃と若いもん・平吉と共に生活していくことになりますが……?
- 著者
- キリエ
- 出版日
- 2013-10-24
花魁ギャグ漫画という斬新なコンセプトも新鮮です。お仙はコンビニで働くにも着物にキセルといった姿で、言動も時代錯誤なものばかり。そんなお仙に引きながらもツッコむ周りの人々のシュールさなども笑いを誘います。
平成の世に馴染みながらも現代日本の闇や常識を花魁テクと江戸仕込みの気風の良さで一刀両断する姿は見ていてとても痛快。笑えるけれどカッコイイ、お仙一行の時代錯誤花魁コメディ漫画をお楽しみください。
「花魁」の語源をご存じですか?遊女専用の雑用係であった「禿(かむろ)」と呼ばれる少女たちが遊女を「おいらん姐さん」と呼んでいたからだとか。遊女の日々の生活・取り巻く環境や時代背景までを解説しながらドラマを展開する花魁漫画です。
- 著者
- 鈴木 あつむ
- 出版日
- 2007-09-29
様々な作品で取り上げられる花魁ですが、彼女たちは普段どのように仕事をし、どのように生活していたのか……それを説明する漫画は非常に少ないものです。それらを勉強しながら読み進めていくと、花魁と弟子として働く遊女見習いのドラマが展開されていきます。
花魁を夢見て日々橋立花魁の世話役をつとめる主人公・なみじのひたむきさと、厳しいながらもなみじを思いやる橋立花魁との絆には感動必至です。
次にご紹介するのは小学館漫画賞少女向け部門を獲得し大ヒットとなった漫画・『BLACK BIRD』の作者、桜小路かのこの花魁漫画『青楼オペラ』です。
武家出身の身でありながら両親を亡くしたことで身寄りがなくなり、吉原でもトップ5に入る人気の大見世・曙楼へ入ることとなった主人公・朱音。吉原一の花魁になろうと決意する彼女は曙楼を訪れたその日、江戸でも有名な高利貸しの若旦那・近江屋惣右助と出会い……?
- 著者
- 桜小路 かのこ
- 出版日
- 2015-10-26
一番の魅力は美形揃いのキャラクターの数々。『BLACK BIRD』でもイケメン揃いのキャラが目を引いた桜小路かのこですが、その作風はしっかりと『青楼オペラ』へ引き継がれています。
花魁を目指す女性は幼少期から禿として、先輩花魁の世話役として修業を積むのが慣例のため、15歳の朱音が吉原へ入るのは異例。しかし朱音は曙楼でトップの花魁・朝明野にそのことを指摘されても言い返すほどの強い女性であることが第一話から描かれています。吉原一の花魁を目指していく彼女の成長を見守るのも楽しい作品です。
舞台は江戸後期の小見世・山田屋。『花宵道中』には主人公が複数存在しますが、その一人目が朝霧。朝霧は遊女の母に虐待された経験を持ちながらも、山田屋で仕事を続ける毎日を送っていました。そんなある日、朝霧は外出先で親切にしてくれた男・半次郎と運命的な出会いを果たします。意気投合し再会を約束する2人でしたが、待ちに待ったその再会は思いがけず最悪なものとなってしまい……?
花宵道中
2014年10月16日
朝霧のお気に入りの下駄を作ったのは半次郎、というまさに運命的な出会いを果たした2人の恋はどんどん暗転していってしまいます。恋愛禁止の花魁と客という叶わぬ恋をする2人の結末には涙を禁じ得ません。
この花魁漫画の全体を通した特徴は舞台が吉原の小見世であるということ。吉原を舞台とした作品は多数存在しますが、ピックアップされるのは吉原でもトップクラスの遊郭である大見世がほとんどです。『花宵道中』ではトップクラスで特別待遇を受ける花魁ではなく、さらに下の位置にいる女性たちを描いているのが特徴となっています。
『働きマン』『シュガシュガルーン』でお馴染みの安野モヨコが描く、強く美しい遊女・きよ葉が主人公の花魁漫画です。
吉原の玉菊屋のNo.3であるきよ葉は美人ながら強気で愛想がないことで有名な問題児。No.1である高尾とはことごとくそりが合わないきよ葉でしたが、器量のよさから将来を期待されている女性でした。そんなある日、きよ葉の得意客である光信が高尾との心中を図り高尾を殺してしまったことを知ります。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2003-11-05
吉原には数多く遊郭があるため遊女の数の日本一。そのため遊女はなんとかお客を獲得しようと必死であることがほとんどです。けれどきよ葉はお客に媚びるようなことはしない、とても型破りな遊女です。
気に入らない相手には容赦なく鉄拳をふるうため恐れられているきよ葉ですが、その真意には仕事に対する確固たるビジョンと優しさがある女性。周りの悪口や悪意の目に負けずに江戸一番の花魁へと成長する姿や、潔い生き方には誰もが夢中になるでしょう。そんなきよ葉のかっこいい生き様は、現代女性でも憧れるはずです。
花魁漫画おすすめ5選はいかがでしたか?強く生きる女性たちのストーリーをぜひ体感してみてください。