藤ちょこが挿絵を描くラノベおすすめ5選!色彩豊かな美麗絵が魅力

更新:2021.12.19

またジャケ買いしちゃった……!そんなことは日常茶飯事という貴方、読んで失敗したということもあるでしょう。今回はジャケ買い間違いなし!と断言できる、美麗イラスト・藤ちょこ作品から、特に面白いものを選りすぐりました。

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極彩色の魔術師、藤ちょこ

藤ちょこは、1990年生まれの女性イラストレーター。多摩美術大学油画科を卒業しています。

彼女の最大の魅力は、何といってもその色彩と大胆な構図でしょう。色彩や背景・人物配置によって巧みに奥行きのある空間を作り出し、情感豊かな人物表情が独特の世界観を表現しているのです。

ファンタジー小説の挿絵を多く手がける他、自身の作品自体にも飛行都市、和洋折衷な衣装といった題材が多く使われています。じっくりと何度も眺めたくなる、藤ちょこの画集『極彩少女世界』は夢のように幻想的で、浪漫のある画面に釘付けとなってしまうでしょう。

空を自由に飛べたらな!実直侍少年x虫愛づる姫君の青春ファンタジー

まずは、物草純平「ミス・ファーブルの蟲ノ荒園」シリーズ。

舞台は19世紀ヨーロッパ。産業革命が華やかな時代、この世界には「蟲」(ギヴル)と呼ばれるものが存在していました。通常の虫と酷似した外見ながらも、そのサイズは巨大で、例えば20メートルのフンコロガシというように尋常ではありません。この世界には蟲と共存する人々と、恐れ、排除しようとする人々がいるのです。

本作の主人公は生真面目な侍少年と蟲を愛する不思議な少女。少年と少女は様々な出会いを得て、時には刃を交えながら成長していきます。

未知の生命体「蟲」の生まれた世界の謎に迫りつつ、鉄道・小型飛行機械といったSFの要素も盛りだくさんに描かれる逸品です。

著者
物草 純平
出版日
2013-06-07

藤ちょこ特有の色彩の美しさにため息が出ますが、特にその空といったら!澄み切った蒼穹を描く出会いの1巻、やや不穏さの遠くに再びの希望が見えるような4巻。読後に改めて眺めると、それぞれの物語が思い起こされて感無量です。

主人公・慧太郎たちの敵となるのは、「裸蟲」(ミルメコレオ)。「蟲」と合体した彼らは独自の王国を築くためテロ組織を形成しています。

この組織の背景には世界の政治的思惑も多いに関わってくるのですが、その一員らに触れる慧太郎の生真面目さがなんとも青臭くて、それゆえにきゅんとくるのです!慧太郎は男女問わず天然人たらしですが、納得してしまいます。

作中に度々出てくるのが虫ですが、ここまで大きくてアグレッシブに動くときもち悪さを通り越してしまいますよ。

可愛いあの娘は爺で男で異世界人です

お次は、りゅうせんひろつぐ「賢者の弟子を名乗る賢者」シリーズ。

ある日目覚めると、とても見覚えのあるファンタジー風景の中にいた主人公・鑑。おかしい、バーチャルリアリティゲームでキャラクターを作りこんでいる途中、寝落ちしてしまったはずなのに……?どうやらゲーム世界に入り込んでしまったようです。

これは転生?それとも異世界トリップ?そんなことよりも問題なのは、見慣れた渋い老賢者姿ではなく、一夜で作り上げた美少女姿だということ……!

渋くないのが不本意な主人公は「わし」言葉を操る珍妙な少女賢者として、ファンタジー世界を突き進んでいくのでした。

著者
りゅうせんひろつぐ
出版日
2014-06-30

WEBサイト「小説家になろう」の大人気作であり、書籍化、コミックス化と多岐にわたってファンを虜にしている本作品。既存のWEB読者は、藤ちょこの描く少女賢者(=鑑)を目にして「神……」と打ち震えたことでしょう。

本作の魅力は何といっても爺であり幼女でもあるヒロイン(中身は男ですが)の可愛らしさ!文章だけでも、その言葉じりや周りの大人たちから生暖かい視線を受けているのが可愛すぎるのに、そこにこのビジュアル。こんなに可愛かったのね……と一層愛おしくなることしきりです。

意外と冷静に受け入れてしまうところや、元来老賢者が保っていた伝説の召喚術師の地位を取り戻すべく努力する姿など、熱いところもある中の人・鑑も結構いい男で、男女問わず楽しめるでしょう。

1巻はまるで旅番組のようで、ゆる~く世界を楽しんでいるところも見所です。

ラノベ史上最も頼れる猫が登場。

竹林七草『猫にはなれないご職業』では、藤ちょこの現代もの女子イラストともふもふの猫が拝めます。

主人公・桜子の家には猫がおり、ただその猫は猫又という妖怪かつ陰陽師で、言葉も話せて煙草を好むという変わった設定です。

由緒正しき陰陽師である桜子の祖母の葬儀後の場面から始まる物語。祖母の方針から猫又であることを明かせず声をかけることはできませんが、心から桜子を想う猫・タマが描かれていきます。

祖母の死によって、桜子の周囲で動き出す妖怪たち。桜子の親友・命(みこと)とタッグを組んだタマの、命懸けの妖し封じは果たしてうまくいくのでしょうか?

著者
竹林 七草
出版日
2012-05-18

爺さん口調の猫が可愛く、命の天然な発言にくすっと笑えながらも、物語は急展開をとげていくのです。そんなシリアスとコメディが入り乱れる、飽きることのない作品です。

腐女子であることから脅しをかけられ、妖怪封じに巻き込まれた命とタマは当初はバタバタと罵りあう凸凹ぶりで楽しめますが、次第に命懸けで桜子を守るハードボイルドバディものの様相になります。読者は、命ってまじめな顔もできるんだ……と驚かされることに。カラーイラストのドヤ顔に思わず惚れますよ。

クライマックスでは、守られ続けてきた桜子が成長の瞬間を迎えます。それはある大切な存在との決別を乗り越えたためなのですが、タマや命との絆を強め、目覚める姿を是非ご覧下さい。

魔王が倒された世の中、金が全て……か?

お次は女騎士の太ももがすばらしくキュートな、むらさきゆきや『放浪勇者は金貨と踊る』。魔王が倒された後の、剣と魔法のファンタジー世界にて繰り広げられるストーリーです。

亜人(人に似ているが、人とは一線を画した能力をもつ存在)の少女が酒場で女剣士に相談していますが、どうやら彼女は詐欺にあってしまったようです。それを聞いていた得体の知れない青年が、騙し返してお金を取り戻してくれるといいます。

彼の正体は、実は魔王を倒した勇者本人!新たな人類の敵となった詐欺師たちを相手取り、詐欺返しによって人々を助けんとする勇者の世直しストーリーです。

著者
むらさき ゆきや
出版日
2015-02-20

ドラゴンや魔王をばっさばっさとなぎ倒し、助けた国の王女様に勝利のキスをもらってハッピーエンド!といったお約束最強系ファンタジーには飽きちゃった、という貴方におすすめのラノベです。

魔王の脅威がなくなった世界で人々が縛られるのは金の力。新たなモンスターとなった金の亡者たち(=詐欺師たち)を知略で騙し返す、というところが新鮮で楽しめます。

とはいえ、藤ちょこが描く女騎士は可愛いし、魔王討伐隊の元パーティーは出てくるし、安定のファンタジー感もありますので安心してドキドキできるでしょう。

詐欺の手口は意外と分かりやすかったり、結局は勇者としての力がモノを言ったりもしますが、根底にあるのは、正義を執行するものこそ勇者ということ。出だしはいきなり情けない感じですが、刀から頭脳へ武器を変えても弱きを助ける、アツい勇者の心に脱帽です。

惹かれあう、運命のふたり……いや、ひとりと一体。

最後は、やっぱり藤ちょことの黄金タッグ、物草純平『終奏のリフレイン』です。

21世紀半ばの現代、空には「スフィア」があてどなく飛行しています。それは"オルゴール技術"によって未知の動力を得るオーパーツ(時代にそぐわない高度な加工品)であり、世界はこの19世紀に発見された新技術によって急速な発展を遂げました。

人と見紛う精巧なロボット、宇宙への探索。主人公・タスクは、そんな世界で一人前の技術者となるべく、ヨーロッパへ留学中の身の上です。

人間よりも人形に焦がれるタスクが一体の人形に出会うところから、物語は動き出します。全ての自動人形の母である彼女、リフレインとタスクの堕ちていく恋物語へと。

著者
物草 純平
出版日
2017-03-10

ライトノベル=会話主体の行間たっぷりな文章、そんなイメージがある貴方には、ちょっと驚きかもしれない冒頭数十ページ。だって漢字と固有名詞が詰め込まれすぎていて目眩がしそうです……!

練りに練った世界観なので、歌唱人形(オルドール)の動力部分の稼働音やらMD波と呼ばれる動力起動の説明やら、ギリシャでの技術発見の経緯やら、まるで歴史の教科書のよう……。

お好きな方には堪らないマニアックな記述ですが、苦手な方も少し!頑張ってみてください。主要キャラたちが登場してからはもう止まりません!登場人物たちのキャラが立っているので、難解かと思われた文章もすっと入るようになります。藤ちょこのイラストが、作品に磨きをかけているのです。

ヒーローといいヒロインといい、ふと漏らす変態思考がなんだかクセになってくる作品です。

こんなキャラビジュアルなら作品の魅力も一気に上がります!そんな藤ちょこがイラストを手がけるラノベ作品、眠たくなったら美少女たちを眺めるだけでもいかがですか?

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