三嶋くろねは柔らかな女の子のイラストに加えて、その繊細な色使いで人気を博しているイラストレーターです。ライトノベルの挿絵のみならず、コミカライズ、アンソロジー作品の絵なども手掛けています。今回は三嶋くろねがイラストを担当した5作品をご紹介。
三嶋くろねは元々同人誌を作成するサークル白髪教団として活動をしていました。三度の飯より白髪が好きと公言するなど、彼女が描く魅惑の髪色は最大の魅力を誇っています。そんな三嶋くろねの名前を一躍世に知らしめたのが、ライトノベル『この素晴らしい世界に祝福を!』の挿絵を担当したことです。
『この素晴らしい世界に祝福を!』は小説投稿サイトである「小説家になろう」で連載されていた小説が書籍化されたものです。流行の異世界転生ものを皮肉った展開がヒットし、三嶋くろねの名前は大きな知名度を得ました。
また、富士見ファンタジア大賞を受賞した『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』のイラストも担当し、これまたヒット。2017年このライトノベルがすごい!イラストレーター部門で4位を獲得するなど大人気イラストレーターに上りつめます。
2017年2月には『この素晴らしい世界に祝福を!』の画集である『Cheers!』を刊行するなど、今まさに乗りに乗っているイラストレーターと言えるでしょう。
『この素晴らしい世界に祝福を!』は基本的にコメディー要素が強い作品ですが、重要な場面ではシリアス展開があり、落差の激しいラノベです。そのギャップがおもしろく、気軽に楽しむことのできる作品でしょう。
- 著者
- 暁 なつめ
- 出版日
- 2013-09-28
本作は、引きこもりニートの佐藤カズマが死後、異世界に転生して、女神のアクア、破壊力絶大だが一発打てば動けなくなる爆裂魔法の使い手のめぐみん、防御力はピカイチだが攻撃がまったく当たらないダメ剣士のダクネスと繰り広げるドタバタコメディーが大きな魅力の作品です。
普段はゲスだのクズだの言われているカズマが、仲間のピンチの際には体を張って、頭を使って、困難を解決していく姿は言い様のない爽快感を与えてくれるでしょう。
三嶋くろねが描くキャラクターの柔らかなタッチゆえに、コメディー部分やハプニングシーンが想像力を刺激します。一方、彼らが真剣に敵に立ち向かうシーンでの作画もキマっており、本編の雰囲気にマッチしています。表紙絵も素晴らしく、パッと目が引き寄せられるでしょう。
本編の内容も、クスリと笑ってしまう非常に読みやすいもの。このように、内容とイラストのマッチ具合が素晴らしく、読めば読むほど引き込まれる作品です。二度のアニメ化にゲーム化にと、絶好調の『この素晴らしい世界に祝福を!』ぜひとも読んでみてはいかがでしょうか?
アニメ化もされた人気ライトノベルである『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』ですが、本作でも三嶋くろねが手がけるイラストの良さは大いに発揮されています。主人公であるグレン=レーダスのダメダメっぷりはもちろん、魔術師同士の抗争までも、素晴らしい出来のイラストで描かれている作品です。
- 著者
- 羊太郎
- 出版日
- 2014-07-19
三嶋くろねは自他ともに認める白髪好きなのは先に紹介したとおりですが、本作のメインヒロインであるシスティーナ=フィーベルもまた白髪。そんな彼女は、感情が表に出やすい直情的なヒロインであるため、一喜一憂して表情がコロコロ変わる姿が非常に愛らしいイラストに仕上がっています。
普段はぐうたらな魔術講師のグレン=レーダスにも注目。教え子のピンチのときには颯爽と駆けつけ、天の智慧研究会と呼ばれる闇の組織から守ってくれる姿は、まさに頼もしい先生と言えるでしょう。普段のダメダメっぷりとのギャップが激しく、ノックアウトされてしまう読者も多いと思います。
システィーナだけでなく彼女の親友であるルミア=ティンジェルも、きちんとしたキャラクター造形がされています。芯の強い彼女は、作品を彩る一つの魅力です。どれだけの逆境でも負けることのない彼女の強さも、三嶋くろねがイラストで余すことなく再現しています。
傑作ラノベ『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』、ぜひ手に取ってみてください。
ネットゲームの普及に伴い、オフ会(=現実世界で会うこと)が開かれるなどインターネットとリアルな世界の境目は徐々になくなりつつあります。本作はインターネットゲームでネカマ(=ネット上で男性が女性の振りをすること)をしていた主人公が、オフ会のときにゲーム内のグループにおける唯一の男キャラ「騎士様」と間違われてしまうところから物語が始まります。
- 著者
- 藤谷ある
- 出版日
- 2011-10-29
本作の魅力はなんといってもドタバタのハーレムコメディー。三嶋くろねによって彩られた、現実世界でもネット上でも存在する可愛らしいキャラクターたち。そのキャラクターたちとイチャイチャするシーンは、たまりません。
主人公が押しつけられてしまった騎士様役の本当の正体やその目的などが気になるストーリー展開ですが、おもしろいのはそれだけではありません。毒舌少女の雫、ツンデレお嬢様である姫、電波系妹キャラのリコッタ、腐女子で主婦のましゅまろなど、特徴的なキャラクターが多数登場し、現実でもゲームでも息もつかせぬ物語展開。ノックアウトされること間違いなしです。
三嶋くろねの可愛らしいイラストだけではなく、徐々に広がりを見せる物語にページをめくる手が止まらなくなります。ネットでも現実でもモテモテ気分を味わえる本作品、おすすめですよ。
普通の高校生が、異世界からやってきた少女と恋に落ちる……という極めて王道の設定を生かしているのが本作です。
主人公は実は勇者の末裔であり、魔王を名乗る少女リアが監視という名目で同居生活が始まってしまいます。
- 著者
- 緋月 薙
- 出版日
- 2013-11-29
本作の魅力はやはり、主人公・倉橋和希と魔王の少女リアのイチャイチャコメディ。それは間違いありません。ライトノベルのラブコメといえば、ハーレムや鈍感、ヘタレなどの定番設定が、読者を不快にさせてしまうことが多々あるものですが、本作はそうではないのです。
和希は相手の気持ちをきちんと察することができ、やることをきちんとやる、好感のモテる主人公です。それでも、二人がことに及んでしまうと勇者と魔王が大戦争を起こしてしまうという設定上、手を出すわけにはいきません。そこで主人公が見せる我慢。それがいかにも紳士然としていて、とても魅力的な作品に仕上がっています。
特に、添い寝シーンの挿絵で描かれるリアは繊細さに溢れ、主人公ではなくとも思わず守ってやりたくなる…そんな魅力が爆発していると言っても過言ではありません。
勇者と魔王のニヤニヤの同棲コメディー、ぜひとも耽溺してみてはいかがでしょうか?
本作は、このライトノベルがすごい!文庫から刊行されており、大人気作家の七月隆文と日日日が別視点からそれぞれ物語を描くシェアワールド企画となっています。二作品とも三嶋くろねがイラストを担当しており、どちらの作品も満足させてくれること間違いなしでしょう。
- 著者
- 七月 隆文
- 出版日
- 2014-03-10
両作品ともヒロインは白髪で、七月隆文が描くルートAが幼なじみ、日日日が描くルートBがお姉ちゃんであり、どちらもイラストの魅力たっぷりで描かれています。
シェアワールドの設定上、伝説の桜の木を咲かせてしまった主人公を巡るドタバタコメディーが共通の柱になっているのですが、そのカップル同士のイチャイチャっぷりが、これでもか!とイラストと本文の力で表現されている作品です。
ルートAは学園ラブコメのテイストが強いですが、ルートBは伝奇色が強いなど、作者の独自色が全面に押し出されており、両方読めばさらに楽しみが深まることでしょう。
魅力的なヒロインである幼なじみの小河桃子(ルートA)、お姉ちゃんの真智ありす(ルートB)。あなたはどちらにノックアウトされたいですか? どちらにもノックアウトされたいという方と、迷って決められない方は、どうぞ両方とも読んでいただきたい作品です。
三嶋くろねのイラストが彩られた作品はいかがだったでしょうか? どの作品もイラストに負けない内容ですので、内容もイラストも思う存分楽しんでいただければ幸いです。