見てはいけない、座敷の奥の秘密を知ったような……そんなどこか影をまとうrefeiaのイラスト。挿絵として物語を盛り上げるのはもちろん、カラー絵をじっと見ていると吸い込まれてしまいそうです。不思議な魅力に是非ノックアウトされてみませんか?
refeiaの描く美少女たちの魅力は、何といってもその硬質なエロさにあるでしょう。
胸や臀部といった部位が柔らかく描かれているのはもちろんですが、表情がどこかクールなのです。にっこり笑っていても全開の笑顔というより少量の緊張感があり、肉感的というより機械的でやや背徳的な艶めかしさを感じます。
2006年までエンジニアと兼業し、現在はライトノベルの挿絵を多く手がけるかたわら、アダルトゲームやスマホゲーム(美少女系パズルゲームなんてものも!)のキャラクター造形に携わっています。
繊細さを極めれば儚げになり、コメディ作品ならあくまでも魅力を失わない楽しいギャグ絵を最大限に。様々な作風が楽しめる5作品をご紹介します。
まずは巳島ヒロシ名義にて挿絵を手がけた、七飯宏隆『ルカ ―楽園の囚われ人たち』から。
地下都市で暮らす少女・まゆは、個性豊かな家庭教師たちに囲まれ、一見平穏な暮らしを送っています。同年代の少年教師に淡い想いが生まれたり、厳格な老人教師からは叱咤されたり……
でも、本当はまゆはひとりぼっちなのです。地上は大戦で死に絶え、教師たちはモノには触れない幽霊で、彼女は最後の人類なのですから。
封鎖された空間で足掻く彼らの、未来への希望が描かれます。
- 著者
- 七飯 宏隆
- 出版日
本作品は2005年に初版が発行。巳島ヒロシ名義で手がけられたイラストです。商業イラストレーターとしては活動初期の挿絵ですのでなんだか線が初々しく感じられますが、そこが作品の世界観にぴったり合っています。
表紙のけだるげなまゆの表情や肉感的とは程遠い棒のような手足は、箱庭的空間の非現実性を暗示するようです。
まゆを母体として人類滅亡を防ごうとする人工知能と、彼女を守ろうとする幽霊たちが、それぞれの希望を求めて足掻く様は切ないの一言です。
"ルカ"と名付けられることになる人工知能と幽霊たちと、まゆが死に絶え、全てが終わるまでの物語。お互いを思い合う一つの家族の終焉に、涙が止まらないことでしょう。
次は神野オキナ『疾走れ、撃て!』シリーズ。コミカライズもされている人気作です。
徴兵制度により、中学卒業後は入隊が義務付けられる近未来の日本。敵は日本では「ダイダラ」と呼ばれる巨人で、この人外生命体の脅威に全世界が晒されているのです。主人公・理宇も例に漏れず、学生兵士となるべく訓練に参加します。しかし、そこから彼は特殊な任務につくことになります。
それは、見た目は華奢ながら少佐である美少女の護衛士官として従軍すること。彼女は超常能力・魔導を駆使し、護衛士官とはある特別な絆で結ばれているのでした。
- 著者
- 神野 オキナ
- 出版日
軍事もの+学生兵が主題のこの作品、refeiaの持ち味が遺憾なく発揮されています。
思春期の女の子たちがちょっとシリアスになりながらも大量出演!そして軍服というか制服のストイックデザインがなんだかエロい……!と、その魅力が大爆発です。主人公の周りに美少女が群がるハーレムものですので、多種多様なタイプが堪能できます。
特に前半は基本的にラブコメなので、彼女たちの主人公争奪戦を楽しく読めます。上官と幼馴染、どちらを選ぶのか?
しかし12巻にも及ぶ超大作。後半はダイダラの謎や、そもそもの主人公の正体や存在意義も絡んできて、壮大な宇宙戦記ものの風体となってきます。11巻での女子の覚悟、ちょっと泣けてしまいます……読み応えがありますよ!
次は、中村一「覚醒遺伝子」シリーズ。全3巻です。
「眠り病」が蔓延する現代。それは、突然眠りについたあとは決して目覚めず、骨組織の変形により死に至るという恐ろしい奇病でした。
「眠り病」から奇跡的に目覚めた少女と少年の出会いを発端として、その病の背景となっている人類の古代種への謎、その古代種に関する実験を繰り返す謎の組織とそれに翻弄されながらも生きようとする人々の姿が描かれています。
- 著者
- 中村 一
- 出版日
- 2010-05-10
世界観の美しさがイラストの透明感とぴったりはまった作品です。
舞台は、有翼人種が存在していた古代。SF設定を淡々と綴る物語の空気感が、そのままイラストに表れています。1巻の主人公は夢で少女と出会いますが、まさに現実離れした美しい時間がイラストの中に閉じ込められています。
2巻では、1巻とはまた別の少年少女によって病と遺伝子の謎が浮かび上がり、さらに3巻では謎の機関によって作られた有翼人種の少女をヒロインとして、世界の謎が明かされていくという、壮大なSF作品です。どの少年も一見クールですが、少女を救い共に生きるために懸命にあがく姿は魅力的です。
疾走するライトノベルにちょっと疲れてしまった貴方、是非ゆっくりと繊細な魅力を味わってみてはいかがでしょうか?
次は、あわむら赤光「あるいは現在進行形の黒歴史」シリーズ。
主人公・英二は、おバカな妹に振り回される日々を送っています。「殺戮の天使」「絶対少女黙示録」といった奇妙な単語が羅列された設定ノートを徹夜で執筆する、いわゆる中二病をこじらせた妹。大好きな兄にノートの熟読を迫ってくるのです。
一見冷たくあしらいながらも相手をしていたある日、彼女の妄想ノートのキャラクター達が現実に出現!
妹に加えて珍妙な美少女キャラクターにも愛のつっこみをせざるを得なくなった主人公の受難の日々を描くラブコメディです。
- 著者
- あわむら 赤光
- 出版日
- 2010-08-15
これはライトノベル好きにも多いであろう中二病患者が共感するあるある小説……ではありません!
ヒロインの妹は突き抜けた中二病かつおバカですので、「ここまで!?」と突き抜けた面白さがあります。怒涛のボケ&ツッコミで、「中二病って?」という方でも会話のテンポにニヤニヤが止まりません。
そしてイラスト……ある意味で、これは読者の夢の実現。なぜなら魅力的な登場人物の多くが、“ヒロインが妄想した最高に萌えるキャラクター!”という設定で出てくるからです。
ヒロインが「マリスたん、ハアハア」と悶える勢いそのままに作り出したキャラクター(青髪の死神でまるで機械のようにクールだが、ふと見せる表情が切ない)が魅力的でない筈がありません。「巨乳!」「水着!」と夢のイラストが怒涛の展開、refeiaの描く胸やらちょっとはみ出たお尻やらが惜しげもなくキラキラと描かれていきます。
脇で主人公の父・母もいい味出していて、日常に帰って来られるところがまたほっこりした魅力です。
そして最後に、こちらもあわむら赤光「聖剣使いの禁呪詠唱」シリーズです。コミカライズ、アニメ化と大人気作品になりました。
今日は、高校の入学式。主人公・諸葉は退屈な訓示に居眠り中……かと思いきや、ふと目を覚ました数センチ先には美少女の顔が!不真面目な態度を叱りつけるクラスメイトと、同じく居眠りをして泰然自若とした少女との出会いの日なのでした。
遠い昔に英雄として活躍した人間の生まれ変わりのみを集めたこの学園は、現代に蔓延る怪物を倒すことのできる存在を育成します。2つの前世を記憶する主人公が、前世で大切にしていた女性2人と出会い、愛と戦いの日々が始まったのです。
- 著者
- あわむら 赤光
- 出版日
- 2012-11-14
2つの英雄としての前世を持つだけあって、最強+最強の主人公が学園トップの力を持って敵を倒していく、という王道バトルファンタジーです。
メインヒロインはアホで元気な妹キャラと知的で巨乳な黒髪参謀キャラで、どっちも選べない!という魅力にあふれたキャラクター造形です。次々出てくる女生徒達が可愛らしいのはもちろん、怪物の造形が格好よすぎます!竜型や獣型、特にカラー絵は美しく、物語への想像が止まりません。
妹ヒロインと黒髪ヒロインは、それぞれが主人公の前世で最愛の人だった、妹と伴侶。英雄であった主人公たちは過去でもともに戦いに明け暮れる日々でしたが、兄と妹の禁断の感情が芽生えたり、世界からは恐れられる冥府の王の唯一の存在として愛し合ったりと、切なく悲しい過去も絡んできます。
アツいバトルあり、ファンタジーあり、三角関係ありと、最高のエンターテインメントはいかがですか?
パッと人目を惹く華やかさながら、じわじわ染み込んでくる魅力にもあふれたrefeiaイラスト。おひとつ手元にいかがですか?